2013/10/23 - 2013/12/04
3141位(同エリア17046件中)
ばねおさん
2013年10月から12月にかけて、パリ20区の旧いアパルトマンに滞在した。
ガイドブックでもあまり紹介されないこの地区だが、見るべきものは決して少なくない。
滞在したアパルトマンからほど近いペール・ラシェーズ墓地には、暇を見つけては何度となく通った。
人からは、死者に憑りつかれたのではないかと、からからかわれもしたが、訪ねたい何人もの先人たちがここに眠っている。
パリ最大の広さで、世界的な著名人が多く眠ることで知られるこの墓地は、パリ・コミューンの最後の殺戮地でもあるわけだが、今は歴史を語る博物館でもあり、格好の散策の場でもある。
墓碑を訪ね歩いている内に、思いがけず偶然にも出会った例もある。
それがいつの間にか増えていき、結構な数になった。
十分に整理ができていないが、その一部を紹介したい。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 交通手段
- 徒歩
- 航空会社
- JAL
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
ペール・ラシェーズには世界的な著名人の墓が数多くあるため、ガイドに案内される墓碑巡りツアーも催されている。
この写真はガンベッタ駅側の出入り口で、ツアーと思われる一団がみえる。 -
墓地を囲む壁はこのように高く頑丈で、まるで刑務所の塀であるが
パリ・コミューンではここが最後の抵抗地となり、多くの市民が殺戮された。 -
こちらはペール・ラシェーズ駅寄りの59街区付近である。
墓碑ガイドの説明をツアー参加者が聞き入っている様子である。
土日はこのようなツアーがいくつも見られ、人気のある墓の前ではツアー団が重なってしまい、順番待ちという光景すらある。
参加者は多国籍であるが、日本人の姿を見かけることはほとんどない。 -
墓地内のお墓は形も大きさも実にさまざまで、変化に富んでいる。
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まるで小さな教会のような墓石。
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ドーム形
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何か分譲住宅を連想させるような(失礼)
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スケールを誇るかのような、まだ建立新しいお墓。
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こちらも何か意味があるデザインなのでしょうね。きっと
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墓地出入り口近くには、埋葬されている著名人の名前と街区番号が表示されている。
訪ねたい墓所の在り処はこれで見当をつけるか案内図を持参するほかない。
しかし実際には街区番号が判明しても、目的の墓碑を特定すのは容易でない。
ひとつの街区には数百の墓があり、刻まれた文字が薄れているものもある。 -
広大な墓地内の辻つじには、街区を示す標識が立っている。
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街区標識には街区番号のほかに、通りの名称などがつけられている。
ひとつの街区には何本もの道路があるため範囲を限定する必要があるのだろう。
例えばこれは45街区のフランスのために戦死した外国人たち大通り。 -
こちらは25街区のモリエールとラフォンテーヌの小路。
名称の通り、ふたりの墓所が近くにある。 -
モリエールとフォンテーヌの墓は鉄柵で守られ、仲よく並んでいる。
向かって右がモリエール、左がフォンテーヌである。 -
モリエールさん、あなたの作品は今でも世界中で繰り返し上演されていますよ。
コメディフランセーズという素晴らしい贈り物をありがとう。
フォンテーヌさん。「北風と太陽」や「金の卵を産む雌鶏」の話は日本でも知られていますよ。「全ての道はローマに通じる」の格言も健在ですよ。 -
この私製の墓地案内図は、あるツアー団がガイドの説明を受けているところにさしかかり、後ろで一緒に聞いていたところ、ツアーの一員が手渡してくれたもの。
ツアーのメンバーと勘違いしたのか、親切でくれたものか定かでないが、とりあえずお礼を述べてありがたく頂戴した。
写真が掲載されている墓碑は、ガイドの一押しというところであろう。 -
天気の良い日は来訪者も多い。
人だかりがしているのはオスカー・ワイルドの墓の前。
この墓地ではトップクラスの人気のようだ。 -
アクリル板でぐるりと囲っているが
墓石はキスマークだらけ。
ワイルドさん、とても安らかに眠ってはいられまい。 -
10月下旬の墓地は至る所で菊の花が咲いている。
観光客も少なくないが、のんびりと散策する人や家族連れもいて、まるで公園であるかのような一面もある。 -
墓地の周辺には花屋が多いが、カトリックの大祝日11月1日のToussaint「諸聖人の日」が近いため店頭には鉢植えの菊花がずらりと並ぶ。
日本と同様に供花として菊を用いるが、こちらでは切り花ではなく鉢植えがほとんどである。 -
こちらは墓地内の納骨堂である。
カトリックでは遺体を棺に納めて埋葬することが原則であったが、火葬が許されるようになって以来、火葬希望者は増加の一途を辿っているらしい。 -
納骨堂の内部。
壁面にボックス状のスペースが割り当てられる。
マリア・カラスの遺骨もここに納められている。 -
19世紀フランスの政治家ペリエ・カシミールの銅像が中央に建つ円形広場。
面したベンチに腰をおろし、青い芝生や木々を見ていると、何か安らぎが感じられる場所である。 -
20区は高台が多いが、この墓地もガンベッタ側に高くなっていて
木々の間からはパリ中心部を望むことができる。 -
死者を悼むモニュメント。
パリ・コミューンの虐殺の場を残す壁も保存されているが
墓地内にはこうした記念碑も多くある。 -
これは第一次大戦の
戦死者を悼む記念碑。 -
数多くの有名人が埋葬されているペール・ラシェーズ墓地だが、その代表格のひとりエディット・ピアフ。
世界中から多くのファンが参り、花が絶えることはないだろう。 -
ムッシュ10万ボルトのジルベール・ベコー。
所狭しといろいろなものが墓石の上に並べられているが、この少し傾いたピアノの置物には意味がある。
水玉のネクタイをトレードマークとしていたが、たしか日本の首相にも同じような趣味の方が...
そして今、天国でも熱唱していますか? -
ロックの神様(こういう表現でいいのかな?)ジム・モリソン
40代くらいまでのフランス人にペール・ラシェーズに眠る有名人の名を問うと、まず最初に挙げるのがこのひと。やはり献花が多い。
今でこそこのように写真が撮れるが、かっては上野のパンダ状態であったそうな。
押し寄せる熱狂的なファンに対して鉄柵を設置したり、警官を常駐させたり大変な騒ぎであったらしい。 -
ショパン。 ペール・ラシェーズの人気者のひとり。
この地で音楽を志す者は必ず訪れるという
やはり供花と墓参者が絶えない。
ショパンの友人ルイージ・ケルビーニの墓も4つ隣にある。 -
墓石の上の白い像は
音楽の女神が壊れた竪琴に涙を流す姿を表しているという。 -
オペラ作曲家ロッシーニ。
美食家としてもとても有名で、
フランス料理にはよく「○○のロッシーニ風」というように使われている。 -
現在のパリ市街の原型を作った
セーヌ県知事のオスマン男爵の霊廟。
もっと大きな形を予想していたが、意外な感がある。 -
ヴィヴァン・ドゥノンの像と墓石。
ナポレオンのエジプト遠征にも同行し、ルーヴル美術館のいわば初代館長。
ルーヴル美術館のドゥノン翼(ミロのビーナスやモナリザが展示されているところ)は、この人の名前から来ている。 -
頬杖で横たわるこのお方は
ナポレオン3世時代の建築家ルイ・ヴィスコンティ。
彼を知らなくても、彼の造ったルーヴルの北翼やアンバリッドのナポレオンの納棺室、サン・シュルピス教会前のライオンの噴水など見たことがあるはず。 -
これがサン・シュルピス教会前の噴水(2013.12.11撮影)
-
フランソワ・ラスパイユ
19世紀の生物学者で政治家
熱烈な共和主義者で度々投獄されたが、終生信念を通した人物。
メトロ6号線のラスパイユ駅やラスパイユ大通りは、この人の名前から来ている。 -
ガスパール・モンジェ
自分にとっては未知の人なのだが、とっても名高い数学者。 -
さて、こちらは19世紀のジャーナリストVictor Noir ヴィクター・ノワール。
ナポレオン一族を批判して、路上で射殺された姿そのままをリアルに再現している
胸には銃弾の跡が、傍らには転がった帽子が、といった具合で念入りである。
彼、というよりも彼の墓はペール・ラシェーズにおいて有名であり、特異な存在である。 -
股間や唇の周りが光っているのは
多くの女性たちが触れたり擦ったりしたためである。
いつの頃からか、女性がこの像に触れると愛が成就するとか
妊娠できるとかの言い伝えが生まれた。 -
そのため、足先や唇に触れたり、大胆な場合には股間に跨るという行動にまで及んだ。
このため風紀を乱すという理由で、一時は周囲に柵を設け、進入できないようにしたが、反対運動にあって撤去されたいきさつがある
訪問時、女性が跨る姿は残念ながら目撃できなかった。
ノワールも自分がこのような活用のされ方をされるとは夢にも思わなかったであろう。 -
パッレットを手にした画家テオドール・ジェリコー
その下には、代表作「メデュース号の筏 」のレリーフが刻まれている。
この作品をルーヴルで見た人は、人間の極限状態を描いた迫真の場面が脳裏に焼き付いているに違いない。
今でこそ公開されているが、実際に起きた遭難事件をもとに描かれたこの作品は、政治的問題とも結びつき、ルーヴルが人目につかぬように買い取った経緯がある。 -
旧100フラン紙幣の絵柄にもなっていた画家ドラクロア。
「民衆を導く自由の女神」や「キオス島の虐殺」
など戦いをテーマにした躍動感あふれるドラマチックな画面構成が有名。
ジェリコーの「メデュース号の筏 」の下方にモデルとなって描かれている。 -
一方、サンシュルピス教会には、旧約聖書から題材をとったドラクロアのフレスコ画「天使とヤコブの闘い」(2013年12月11日撮影)がある。
-
文豪バルザック。
この人ほど文豪という言葉に似つかわしい作家はいない。 -
5年ほど前にヴィスコンテイ通りのギャラリーに足を運んでいた時には気づかなかったが、その斜め前にはバルザックの経営する印刷所があったことを後に知った。
(2007年11月撮影) -
ロマン主義の作家
アルフレッド・ド・ミュッセ。
代表作「戯れに恋はすまじ」
題名自体が名訳ですね。 -
20世紀を代表する作家のひとり、マルセル・プルースト。
彼の作品は複雑だけど、墓石はとってもシンプル、かつ明快。 -
同時代の女流作家コレット。「牝猫」、「青い麦」の作者。
奔放な生活を送り、葬儀においてはミサを拒んだにもかかわらず国葬となった。
この点、ピアフとつい対比してしまう。
オードリー・ヘップバーンを世に出すきっかけを与えたことでも有名。
人を見る目があったんだ。 -
アラン・カルデイック
スピリティズムの創始者であるそうで、彼に関する知識はまったくないが
信奉者の献花が絶えないようだ。 -
パントマイムのマルセル・マルソー。
父親をアウシュビッツで失っている彼の墓石には
ダビデの星が大きく刻まれている。 -
誰かに見られている感じがして
ふと振り返ると...
目が合ってしまった
君は誰? いつまでも何を探しているの?
とでも問われているような -
そう、もう12月。
樹木は葉を落とし、訪れる人の数もすっかり少なくなった。 -
日本への帰国の前にロレーヌ、アルザスへ旅行し、
パリにはまた戻るが墓地を再訪する時間はないだろう。
次々と新たな出会いはあったが、尋ね当てられなかった墓碑がいくつかある。
心残りだが、いずれまた一輪の花を持って訪れよう。
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この旅行記へのコメント (4)
-
- sakatomoさん 2015/05/27 21:21:52
- はじめまして
- ばねおさん こんばんは
拙い旅行記に訪問・投票を頂きありがとうございます。
パリのノエルを体感したくて、昨年暮れに行ってきました。
寒くて長い夜ですが、こんな楽しみ方が…
ばねおさんの旅行記を拝見して、また行きたくなりました。(笑)
これからも宜しくお願い致します。
sakatomo
- ばねおさん からの返信 2015/05/28 18:03:43
- RE: はじめまして
- sakatomoさんこんにちは
こちらこそお立ち寄りいただいた上に
投票まで頂戴し、ありがとうございました。
昨年は、パリをはじめノエルの季節を
存分に味わってきたご様子がよくわかります。
また、浅草や人形町界隈の旅行記も拝見し
知らないことが多く発見できました。
今後とも折々に寄らせていただきますので
なにとぞよろしくお願いいたします。
ばねお
-
- yunさん 2014/01/13 22:31:06
- パリはまるで百面相
- ばねおさん こんばんは
懐かしのペール・ラシェーズ墓地。
2008年晩夏、彷徨った事があります。
広い墓地で完全に迷子になり、だいぶ歩き回ってやっとショパンのお墓に到達しました。
彷徨いながらパリの墓仕様にただ圧倒されたのを覚えてます。
お国が違えば、死後の世界も大きく異なりそうですね。
ばねおさんの旅行記を拝見して
人物に対する知識を増やしてから、再訪しようと思いました。
いまからコツコツ積み上げれば、次回予定には間に合いそうですから。
エディット・ピアフ、オスマン男爵、ドラクロア、マルセル・マルソー探せるかしら。
20区 パリの田舎。
ぴったりと寄り添うように連なる戸建て住宅。人気の的である事頷けます。
貴重な静けさですね。パリの魅力は限りない。
アルザス記も楽しみにしています。
yun
- ばねおさん からの返信 2014/01/14 22:36:29
- RE: パリはまるで百面相
- yunさん こんばんは
ペール・ラシューズ墓地には、だいぶはまり込んでしまいました。
誰もが知っている著名人が多いこともあって、次からつぎへと有機的に関連を見出せることが面白く、どんどん枝葉が広がってしまい、自分でも少々持て余したくらいです。
そしてもっともっと知識があれば、さらに発見があったかもしれないという残念な気持ちが正直なところです。
ペール・ラシューズの住人達は当代一流の人士が多くいるわけですから、訪問者が去った月夜の晩にでも会集して、あれやこれや討議でもしている姿を想像すると何やら楽しくなります。
まず討議するテーマをたてるのは○○だな、それに噛みつくのが△△だな、その二人を揶揄するのが□□で、○△はこういうセリフを云うだろうな、とか、時空を超えての丁々発止のあと夜明けには自分の墓に帰って眠る。
まあ、こんなことを夢想しているのですから、やはり死者に魅入られてしまったのでしょうか
ばねお
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