2013/07/13 - 2013/07/15
425位(同エリア1253件中)
naoさん
この旅の最後に訪れるのは奈良井宿です。
奈良井宿は、木曽十一宿の中で最も標高が高く、中山道最大の難所といわれた鳥居峠越えをひかえた多くの旅人が、峠越えに備えて鋭気を養うために逗留したところで、町並みの延長は南北約1kmと、贄川宿のほぼ2倍の長さがある大変規模の大きい宿場町です。
軒を連ねる町家の大部分は江戸時代の旅籠そのままの中二階建てで、出梁(だしばり)、千本格子、しとみ戸、勾配の緩い屋根による深い軒の出など、奈良井宿の沿道が明治時代の国道整備の対象から除外されたことも幸いして、当時の姿がほぼ完全な形で残されています。
奈良井宿の町家の特徴の一つに、猿頭(さるがしら)と呼ばれる、庇の板葺き屋根をとめる桟木があります。
いかにも猿の顔を模したと思われる猿頭は、格子やしとみ戸と調和して、独特の深い味わいを醸し出しています。
そのほかにも、水場、お地蔵さまなどが、町並みの景観にアクセントを添える脇役として存在感を放っています。
一方、街道の戦略拠点として外敵の襲来に備える必要のあった宿場町は、敵の行動のしやすさや見通しを妨げる目的で、意図的に道をクランク状に屈曲させた、いわゆる「枡形」と呼ばれる道路が造られるのが一般的ですが、ここ奈良井宿にも同様のものがそのまま残されていて、「鍵の手」と呼ばれています。
毎年6月には「奈良井宿場祭」が開催され、江戸時代に、京都の宇治から徳川家へお茶を献上される際に中山道を行列した、「お茶壺道中」が再現されています。
今回この町を歩いて感じたことは、とても大きな町だということが実感できた点と、ここで暮らしている方々にとってこの町は日常生活の場であり、だからこそ、この町を愛し、慈しみ、大切にする意識の高いことが窺い知れた点にあります。
いかに観光地と言えども、人間が生活している場に物見遊山気分の旅行者がずかずか入り込むわけですから、礼儀をわきまえた行動をしなければと、いつも自分を戒める気持ちが湧きあがってきます。
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 自家用車
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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奈良井宿に到着です。
観光用駐車場に車を停めて町歩きを始めます。
駐車場から町並みへは、JR中央本線の下をくぐる地下連絡通路を通って行きます。 -
まず、JR中央本線の奈良井駅を訪れます。
町並みは、駅の南側に連なっています。 -
この駅も、宿場町にふさわしいたたずまいをしています。
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折しも、列車が走りすぎて行きます。
列車が来るのがわかっていたら、流し撮りにチャレンジしたのに・・・。
残念! -
では、そろそろ町並みへ向かいます。
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奈良井宿の町並みが見えてきました。
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ほんの入口部だけですが、この景観を一目見ただけで、この町並みの素晴らしさが予感できます。
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僅かに昇りながら町並みが続いています。
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左側の町家の軒下に、異様な物が見えます。
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雀蜂の巣です。
こんな人通りの多いところにも作るんですね。 -
信州そばや五平餅の看板。
よ〜し、今日の昼食は蕎麦に決めた。
美味しそうな蕎麦屋さんがあったら入ろう。 -
町並みの中に、水場があります。
水場は、単に飲料水の供給や洗い物をする場だけではなく、ここを利用する人々の情報交換の場となっていて、町を構成するうえで重要な要素の1つになっています。
「この一杯 命を救う」か・・・。
(児玉清のものまねをする博多華丸風に)「そのとお〜り!」 -
さすがに木曽路の町です、杉の柄杓が置かれています。
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この町は、老若男女に関係なく人気があるようです。
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現役で営業している旅館の看板。
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店先に置かれた鉢植えの花がきれいです。
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奈良井宿でも、漆器屋さんをたくさん見かけます。
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先に訪れた木曽平沢を中心に、木曽路の町々では古くから漆器作りが盛んだったんでしょうね。
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左手の町家の1階庇に、この町の町家の特徴の一つである猿頭が見えています。
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いかにも猿の顔を模したと思われる猿頭は、独特の味わいを醸し出しています。
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麻の暖簾が風にそよいでいます。
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ちょっと小ぶりな水場があります。
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町並みの中には、旅館や商店にまじって・・・
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普通の住宅も建っています。
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窓格子がその存在を主張しています。
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郵便ポストが町並みを見つめています。
先に訪れた贄川宿の郵便ポストに書かれていた「LETTER」の文字がありません。
やっぱり贄川宿の郵便ポストは珍しかったんですね。 -
左側の町屋の正面では・・・
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格子と蔀戸と猿頭が共演しています。
誰が主役なんだろうか・・・。 -
町屋の軒下にツバメの巣があります。
いい巣作りの場所を見つけたね、ツバメさん。 -
ここまで歩いて来る間は、ほとんど樹木を見ることはなかったんですが、ここに来てモミジの木と遭遇しました。
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新緑のモミジと行灯の取り合わせがいい感じです。
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とても大きな町屋です。
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この辺りはお店が目白押しです。
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お店の屋根の上では、鍾馗様がにらみを利かせています。
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年老いたお猿さん。
皺だらけに見えませんか? -
もう少し先に「鍵の手」があります。
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「鍵の手」とは、外敵の襲来に備える宿場町が・・・
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敵の行動を制限する目的で、意図的に道をクランク状に屈曲させたところです。
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一般的には「枡形」と呼ばれていますが、ここ奈良井宿では「鍵の手」と呼んでいます。
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「おっ、看板にツバメが!」と思ってカメラを向けると・・・
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「残念!」先を越されていました。
かわいい生き物を撮りたいと思うのは誰も一緒ですよね。 -
「鍵の手」まででも相当歩いて来た感じがしたのに、そこを曲がっても、「まだ続いてるよ〜!」って思いました。
とても大きな宿場町だということを実感した瞬間です。 -
1階の庇で、出幅の長いものは吊り金物で支えています。
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塩尻市の有形文化財に指定されている旧中村家住宅。
これは典型的な奈良井宿の町屋建築だそうです。 -
鎮神社が見えてきたので、そろそろ町並みの南端です。
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町並みの南端には高札場があります。
これは、昭和48年に復元されたそうです。 -
奈良井宿には、合計6ケ所の水場があるそうです。
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道祖神の足元に、見ざる、聞かざる、言わざるの、3体のお猿さんが彫られています。
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水場にはきれいな桔梗が咲いています。
私の好きな花の一つです。 -
町の最南端にある鎮神社。
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鎮神社を少し南に下った高台から見た奈良井宿の町並み。
では、ここで折り返します。 -
ここから見ると、山の中に帰って行くように感じられます。
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旧中村家住宅がみえます。
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突き当たりが「鍵の手」です。
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「鍵の手」の真ん中にも・・・
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水場があります。
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この時間になって、観光客が増えてきました。
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お猿さんの頭の上にツバメが止まっています。
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けっこう軽装の人が居るかと思えば・・・
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本格的に「歩くぞ〜」と意思表示している人々も訪れています。
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この辺りは道幅が広くなっています。
宿場町として、何か意味があるんでしょうか・・・。 -
外国の観光客の方も歩いています。
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そろそろお腹が減ってきたな〜、 と思っていたら・・・
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いい雰囲気のお蕎麦屋さんがあったので、ここで昼食にします。
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客席への上り框。
格子戸を透かして、お店の方の忙しく振舞う姿が見えています。 -
使いこまれて、飴色に変色した階段。
丹精をこめて磨いておられるんでしょうね。 -
見事な小屋組です。
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2階の客席が見えています。
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この建物も塩尻市の有形文化財に指定されているそうです。
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「きりっ」とした姿のツバメが居ました。
なかなか凛々しいですね。 -
すだれを下した町屋。
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さっき通った時には気づかなかったんですが、朝顔を育てているお店がありました。
この町にも朝顔はよく似合います。 -
そろそろ町並みの北の端です。
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リズミカルな屋根の波に見送られながら・・・
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この町を後にします。
今回、この町を歩いて気づいたことがあります。
他の宿場町では、町屋を建て替える際に今風の建物にすることが多くなっているように見受けるんですが、この町では、かたくなに昔の伝統様式を守って建て替えておられるようで、全くと言っていいほど今風の町屋が見られません。
これは、この町の人々がこの町を愛している証だと思えてなりません。
また訪れたい町がひとつ増えました。 -
駐車場の近くに、「道の駅 奈良井木曽の大橋」があります。
ここは、道の駅としては珍しく売店などの商業施設はなく、広大な芝生公園が広がっているだけです。 -
この道の駅に沿って流れる奈良井川には・・・
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総桧作りの、美しい「木曽の大橋」が架かっています。
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橋桁を下から見ると、ダイナミックな木組みを見せています。
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本当にきれいな姿を見せてくれる橋です。
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帰り道、中津川にある老舗和菓子屋「すや」さんに寄って、我が家へのお土産に「栗きんつば」と「栗の水羊羹」を買って帰りました。
ちなみに、「すや」さんの前の道は、なんと中山道なんだそうです。
今回の旅は、とっても中山道と縁の深いものになりました。
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この旅行記へのコメント (2)
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- pedaruさん 2014/04/21 05:17:46
- 奈良井宿
- naoさん お早うございます。
名前はよく聞くのですが、奈良井宿はまだ行ったことがありません。
タイムスリップしたような空間ですね。観光化した町という印象しかなかったので、この雰囲気には驚きです。それともnaoさんのレポートが旨すぎるのかな?
猿頭というのですか、細かい所まで目の行くその観察眼には感心します。
随所に見られるツバメなど心なごみますね。
あのお蕎麦屋さんは凄いですね。本物の味わいですね。肝心のお蕎麦の味はいかがでしたか?
総檜造りの橋も必見という感じですね。ぜひpedaruも訪れたいと思います。
pedaru
- naoさん からの返信 2014/04/21 20:00:57
- お薦めです。
- pedaruさん、こんばんは。
いつも投票ありがとうございます。
奈良井宿は良いですよ〜。
たたずまいといい、規模といい、江戸時代そのままの町並みが残っている
ことにとても感動したことを覚えています。
「妻籠」も素晴らしい町並みですが、これに優とも劣らないと言っても過言
ではないと思います。
猿頭ですが、建築の仕事をしていたので、ついつい建物のディティールに
目が行ってしまう習性を持っています。
建築屋の悲しい性ですね。
あと、お蕎麦屋さんは江戸時代の脇本陣だった建物で、「徳利屋」と言いま
す。
手打ちの美味しいお蕎麦を食べさせてくれますよ。
nao
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