2013/07/13 - 2013/07/15
668位(同エリア1175件中)
naoさん
2日目は、安藤忠雄氏設計の「光の美術館」をメインとした、山梨県にある美術館めぐりと下諏訪宿を訪ねて旅を続けます。
今回訪れた美術館
昇仙峡影絵の森美術館
光の美術館
浅川伯教・巧兄弟資料館
平山郁夫シルクロード゙美術館
■昇仙峡影絵の森美術館
昇仙峡影絵の森美術館は、日本の影絵作家の第一人者、藤城清治氏の影絵作品の常設館として、奇岩が作り出す渓谷美で知られる昇仙峡に開館しました。
藤城清治氏の手から生み出される世界は、童話や聖書に題材を求めたものから、実在する風景や建造物に至るまで、そのテーマの多様さには目を見張るものがあります。
また、光を透かした作品がつくりだす、幻想的な光と影のコントラストや、鮮やかな色彩は、今までに見た事のない圧倒的な世界観を創りだし、多くの人々の感動を呼んでいます。
当美術館では、放浪の天才画家、山下清氏の貼り絵作品もコレクションしており、これらの作品の鑑賞とともに、四季折々に変化する昇仙峡の景観の素晴らしさを求めて、多くの人々が訪れています。
■光の美術館
光の美術館(CLAVÉ GALERIE)は、スペイン現代美術を代表するアントニ・クラーベ(1913〜2005)の作品を中心に展示する美術館で、北杜市の清春芸術村敷地内に、安藤忠雄氏の設計により建てられました。
アントニ・クラーベは、絵画、彫刻、舞台芸術、版画など多彩な分野で活躍する、ピカソの後継者と目される作家で、当館では、人物のスケッチ画、布や紙を用いたコラージュ作品などを所蔵しています。
一見すれば小さなコンクリート打放しの箱にしか見えませんが、壁の一部を切り取った細いスリット窓や、屋根の突角を削ぎ落した三角窓が、シンプルな外観に大きなアクセントを与えています。
内部は、大半が吹き抜けになっている2階建てで、三角窓の延長線上に、斜めに切り込まれたトップライトが設けられています。
この、天窓から降りそそぐ自然光のみによる作品鑑賞をコンセプトに設計されていて、時間の移ろいとともに変化する、光の気まぐれがもたらす微妙な明暗が、作品に千変万化の表情を与えています。
■浅川伯教・巧兄弟資料館
1920年代以降、それまで見向きもされなかった「李朝」朝鮮時代の陶磁器や工芸品が、日本で一躍脚光を浴び、多くの陶芸家、研究者、愛陶家の注目を集めます。
その過程で大きな役割を果たしたのが、北杜市出身の浅川伯教(のりたか)・巧(たくみ)の兄弟でした。
日本統治下(1910〜45)初期の朝鮮半島に渡った浅川兄弟は、現地の人々に溶け込んだ暮らしの中で、「李朝」朝鮮時代の陶磁器や工芸品が持つ新しい美、すなわち「用の美」を発見することとなり、やがて兄・伯教は朝鮮陶磁研究の第一人者になり、また、弟・巧も陶磁器や朝鮮の木工品に関する名著をしたためます。
これが、柳宗悦を朝鮮美術の持つ美しさに目覚めさせるうえで大きな影響を与え、後に、富本憲吉、河井?次郎、濱田庄司らが加わって、日本における「用の美」を追求することとなる「民藝運動」の誕生へとつながって行きます。
その浅川伯教・巧兄弟資料館が、北杜市たかね図書館の一角に開設されていて、浅川兄弟の足跡を示す年譜や、ゆかりのある青磁・白磁のほか、伯教が遺した書や絵画、巧の日記など、貴重な資料が展示されています。
■平山郁夫シルクロード゙美術館
平山郁夫氏は、現在の東京芸術大学卒業後、同大学の教授だった前田青邨氏のもとで助手として本格的に日本画家の道を歩み始めます。
1953年、「家路」で院展に初入選した後、日本美術院賞(大観賞)、奨励賞、文部大臣賞などを次々と受賞し、1964年には34歳の若さで日本美術院同人に推され、日本画壇における地位を確立しました。
東京芸術大学在任中の平成元年から平成7年まで、及び平成13年から17年までの2回にわたって学長をつとめるかたわら、平成8年からの日本美術院理事長をはじめ、ユネスコ親善大使の世界遺産担当特別顧問、東京国立博物館特任館長、文化財赤十字活動を提唱する文化財保護・芸術研究助成財団の理事長などを歴任、1993年に文化功労者として顕彰され、1998年には文化勲章を受章されておられます。
平山郁夫氏とシルクロードの関係ですが、1966年、東京芸術大学第1次中世オリエント遺跡学術調査団に参加し、現在のトルコ共和国、カッパドキアの洞窟修道院で壁画を模写したのが最初で、以後、中近東、中央アジア、インド、中国などへの取材旅行は延べ150回以上、その行程は40万キロにも及ぶなど、シルクロードと深く関わりを持つこととなります。
その間に描かれた4000点を数える膨大なスケッチから、「仏教伝来」をはじめ、「玄奘三蔵への道」や「アレクサンダーの道」シリーズなど、シルクロードをテーマとした数多くの作品を残しておられます。
- 同行者
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- 個別手配
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朝起きてカーテンを開けると、ホテルの窓から富士山が見えています。
こうして、間近で富士山を見ると感慨深いものがこみ上げてきます。
やっぱり私も日本人ですね。
美術館めぐりの前に、まず甲府駅周辺を散策します。 -
甲州夢小路の整備に合わせて建てられた「時の鐘」。
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「時の鐘」とは、江戸時代に鐘を撞いて町民に時間を知らせていた鐘楼のことで、実際にあった物を忠実に再現しているそうです。
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鐘木(鐘撞き棒)の先端が見えています。
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JR甲府駅の北口に建つ「山梨文化会館」。
故丹下健三氏の設計により1966年に完成したもので、丹下健三氏の作品を代表する建築物として知られています。 -
駅の南東には舞鶴城公園があります。
その美しい姿から舞鶴城と呼ばれていた甲府城跡を公園として整備したもので、石垣と白壁に囲まれた公園として市民に親しまれています。
では、再現された内松蔭門をくぐって公園内へ入りましょう。 -
割石を積み上げた石垣が、「用の美」を見せています。
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城壁に穿たれた狭間。
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内松蔭門の内観です。
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狭間を見て、ついつい口ずさんでしまいました。
「丸〜♪」 -
「三角〜♪」
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「四角〜♪」
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では、本丸へ向かいます。
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本丸への階段は、枡形状になっています。
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本丸には、むかし天守閣が建っていた場所に天守台が残っています。
では、天守台からの眺めを楽しみましょう。 -
本丸南側の石垣の様子。
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甲府市街の南側には・・・
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もちろん富士山がひかえています。
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西側の眺望。
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北側には、「山梨文化会館」が先ほどとは違うアングルで望めます。
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眺めを楽しんだ後は、本丸櫓跡から天守台に沿って下に降ります。
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もみじの青葉が涼やかです。
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稲荷曲輪(いなりくるわ)から天守台を見上げたところです。
曲輪とは、本丸やニノ丸など、用途や目的に応じて城内を区画した場所を示す言葉で、稲荷曲輪は信仰上の目的で造られた場所だそうです。 -
JR甲府駅南口です。
駅のコンコースを通って北口へ向かいます。 -
北口広場には、藤村記念館があります。
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藤村記念館は、明治8年、現在の甲斐市亀沢に学校の校舎として建てられました。
昭和の時代には民俗・歴史・教育・考古資料などの展示館として親しまれてきましたが、平成20年、甲府駅周辺区画整理の拠点形成事業に伴って、甲府駅北口に移築・復元し、現在は、市民や観光客の交流施設として使われています。 -
この建物の建築様式は、山梨県の初代知事である藤村紫朗が奨励した擬洋風建築で、「藤村式建築」と呼ばれているそうです。
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当時の甲府市内では、役所、学校、商家など、多くの建物が「藤村式建築」で建てられたそうです。
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外観上は、屋根の日本瓦以外ほぼ洋風建築です。
では、美術館めぐりに出発します。
最初に訪れるのは「昇仙峡影絵の森美術館」です。 -
昇仙峡へ向かう途中には、富士山の見晴台があります。
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「ここから甲府の町を写しとこう!」って、嘘ですよ。
狙うのはやっぱり富士山です。 -
「昇仙峡影絵の森美術館」に着きました。
日本の影絵作家の第一人者、藤城清治氏の美術館だけあって、たくさんの車が停まっています。 -
入場券。
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藤城清治氏が生み出す、幻想的な光と影のコントラストや鮮やかな色彩の世界は、多くの人々の感動を呼んでいます。
では、次に「光の美術館」へ向かいます。 -
昇仙峡の渓谷美が余りにもダイナミックだったので、道端に車を停めて撮影してしまいました。
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山水画の画材になりそうな奇岩。
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険しい岩肌に樹木がへばりついています。
何と生命力のある樹木たちでしょうか・・・。 -
またまた富士山です。
頂きに雲がかかっているのが面白くて、ついシャッターを切っていました。 -
「光の美術館」のある清春芸術村へ着きました。
コンクリート打ち放しの建物が、見えているような、いないような・・・。 -
やっぱりそうでした、「光の美術館」です。
思っていたより小さいのには驚きましたが、まあ、安藤さんはこんな小さな建物もお得意ですからね。 -
2本の樋と2本のスリットが仲良く並んでいます。
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コンクリートの箱のひと隅を「スパッ」と切り落として、三角窓を設けています。
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三角窓の延長線上に、トップライトが続いています。
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てっきり三角窓だけだと思っていたのに、安藤さん、憎い演出しまんな〜。
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裏側の立面。
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こちらの面は、縦と横のスリットがつながっています。
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これで一周しました。
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このスロープも一緒にデザインされたそうです。
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何気ない手すりなんですが、いつもどおり緊張感があります。
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このスリット、綿密に計算されているんでしょうね。
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スロープの見返り。
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手すり部材のディティール。
熱による鉄材の伸びを計算して、ガラスの長さを決めておられるようです。 -
では、内部を見せてもらいます。
この美術館は、ピカソの後継者と目される、スペイン現代美術を代表するアントニ・クラーベの作品を中心に展示する美術館で、人物画、布や紙を用いたコラージュ作品などを展示しています。 -
入場券。
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内部の撮影は禁止とのことなので、カメラはここまで。
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トップライトから降りそそぐ自然光がもたらす微妙な明暗が、作品に千変万化の表情を与えていました。
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外壁のスリットにカメラを入れ、ガラスに映る周りの景色を撮影しました。
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「光の美術館」の隣には、谷口吉生氏の設計によるジョルジュ・ルオー記念館(礼拝堂)が建っています。
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この礼拝堂の入口の上には、ルオー自らが制作した「ブーケ(花束)」と名付けられたステンドグラスがはめ込まれています。
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「光の美術館」の横は白樺などの雑木林になっています。
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雑木林の木陰にたたずむ美術館。
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シランもそっと覗いています。
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「光の美術館」の次に「浅川伯教・巧兄弟資料館」を訪れたんですが、北杜市たかね図書館の一角に開設されているので、写真は省略させていただきます。
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「浅川伯教・巧兄弟資料館」の次に、「平山郁夫シルクロード゙美術館」を訪れました。
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この美術館は、JR小海線の甲斐小泉駅の目の前にあるので・・・
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訪れた時、タイミングよく列車が発車するところに出くわしました。
では、作品を鑑賞させていただきます。
訪れた時は「シルクロードの饗宴 葡萄とワインの文化をめぐって」と題された展示会が開催されていて、平山郁夫氏によるシルクロードをテーマとした数々の作品とともに、シルクロードで発掘された文物が展示されていました。
中でも、同じ構図のラクダの隊商の、昼と夜の姿を描いた大判のシルクロードのシリーズ作品に最も感銘を受けました。 -
入場券。
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作品鑑賞の後は、建物を見てまわります。
玄関前のエントランス。 -
外壁はコンクリート打ち放しとアルミパネルです。
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この階段を上がると、建物裏側のラクダ公園に通じています。
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階段から見たエントランスの様子。
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甲斐小泉駅方面からのエントランス。
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エントランスを進むと、駅のプラットホームと向かい合うように・・・
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ウッドデッキとラクダ公園があります。
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このラクダ達は子供さんには人気者なんでしょうね。
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ウッドデッキの前には、平家物語の冒頭に出てくる、沙羅の花が咲いています。
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昼食は、美術館に併設されているレストラン、「亜絲花(アシハナ)」でいただきました。
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訪れた時間が時間だったのと、予約が多くてランチが売り切れてしまいましたとのことなので、ドイツソーセージのサンドウィッチをいただきました。
さて、お腹も満たされたところで、山梨県に別れを告げて、次は長野県の下諏訪宿へ向かいます。
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