増徳院元町薬師堂（横浜市中区元町1）

2013/06/29 - 2013/06/29

　横浜市中区元町1にある増徳院元町薬師堂は、山手の外国人墓地を境内墓地としていた増徳院が関東大震災後の昭和3年（1928年）に横浜市南区平楽に移ったが、薬師堂は昭和3年（1928年）に現在の地に再建され残されたものである。増徳院は、その後は戦災などを経て全てが横浜市南区平楽に移転した。現在の薬師堂は昭和47年（1972年）に再建されたものである。
　階段を上ると左に「元町　薬師堂　弁天‥」と看板が掛けられているが、看板下の文字は消えて読めない。「薬師堂・弁天堂」のようだ。弁天さまも祭られているのだろう。寺では「増徳院薬師堂」と言っていたからそれが正式名称であろう。しかし、元は元町を貫く現在の元町通りの突き当たりに増徳院があり、その境内にあったため、古くから「元町薬師」と呼ばれて住民の信仰を集めていた。また、縁日には外国人も訪れて賑わい、男女の縁を結ぶことから、「色薬師」と陰口を敲かれていたようである。そうしたことから、今では、「増徳院元町薬師堂」という呼び名になっているのだろう。
　なお、東国八十八ヶ所霊場では第四十二番札所となっている「地福寺」（高野山真言宗）がこの元町薬師堂であるような記載のものもあるが、現在では「増徳院地福寺」として横浜市南区平楽の増徳院境内に再建されている。ただし、管理は東国八十八ヶ所霊場第四十番札所である増徳院となっている。また、宗教法人名簿では兼務となっている。すなわち、第四十番札所と第四十二番札所は同一の横浜市南区平楽にかたまってある。
　蛇足ではあるが、旧増徳院境内に当たる外国人墓地裾野にはオランダのとても立派な幕末に建てられた石塔と新たに建てられた「生麦事件犠牲者の墓」があるが、公開はされていない。
（表紙写真は増徳院元町薬師堂）

エリア 横浜(神奈川)

増徳院元町薬師堂。

増徳院元町薬師堂下階入口。

七重石塔。

お地蔵さま。

石燈籠。

石燈籠の模様が「ハート形」に見える。
男女の縁を結んできた「色薬師」の面影か？

「大震災殃死者慰霊」碑。

「戦災者供養塔」。

「杉山大弁財天・薬師吉祥王如来」。

「光明真言‥」。

増徳院元町薬師堂に掛かる「薬師堂」の扁額。第24世増徳院住職真水筆。

増徳院元町薬師堂に掛かる鐘。