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 横浜市港南区上永谷5にある貞昌院は曹洞宗のお寺で天神山貞昌院という。<br /> 貞昌院の前身は、天性院と称した天台宗の宿坊であり、上之坊、下之坊という二坊があったが、室町時代に廃絶されたと伝えられる。菅原道真公五男管秀は、はじめ播磨国に配流となったが、のち関東に下向して下之坊に居舘を構えて、道真公自刻の尊像を奉祀して、朝夕崇拝したのが、永谷天満宮の嚆矢であるといわれている。その後、御神体は菅原文時、藤原道長、上杉金吾らに伝わり、明応2年(1493年)に上杉刑部太夫藤原乗国が永谷天神社の社殿を造営し、御神体を安置し奉った。天文12年(1543年)に、宅間伊織之介藤原綱頼が社殿を修造した。<br /> さらに、天正10年(1582年)に宅間規富は宮社を再築している。その際に、川上 徳翁寺の第四世住職 明堂文龍大和尚を開山として貞昌院が籠森の地に創建された。それ以来、天神社の別当となった。当時は永谷天満宮と山を挟んだ位置関係にあったが、文化14年(1817年)に、現在の場所に移転した。墓地が上永谷駅近くにもあるのはその名残であろうか。<br /> 明治19年(1886年)の火災により消失したが、本尊十一面観世音菩薩像と欄間彫刻は難を逃れた。本堂の龍と両側にある唐獅子の欄間彫刻がそれであろう。平成7年(1995年)に塗装修復が行われている。<br /> 明治34年(1901年)に伽藍が再建されたが、大正12年(1923年)の関東大震災で倒壊した。翌年に本堂を再建したが、茅葺きからトタン葺きになったようだ。その名残が天満宮の神楽殿にも見受けられる。向拝の彫刻は倒壊した本殿のものを再利用したものだという。彫刻が立派なのには理由があったのだ。<br /> 昭和46年(1971年)には銅葺きに替え、お寺の伽藍らしくなった。<br /> 本堂に祀られている釈迦牟尼佛像は平成3年(1991年)に開眼供養されている。<br />(表紙写真は貞昌院本堂)

貞昌院(横浜市港南区上永谷5)

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2012/08/18 - 2012/08/18

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ドクターキムル

ドクターキムルさん

 横浜市港南区上永谷5にある貞昌院は曹洞宗のお寺で天神山貞昌院という。
 貞昌院の前身は、天性院と称した天台宗の宿坊であり、上之坊、下之坊という二坊があったが、室町時代に廃絶されたと伝えられる。菅原道真公五男管秀は、はじめ播磨国に配流となったが、のち関東に下向して下之坊に居舘を構えて、道真公自刻の尊像を奉祀して、朝夕崇拝したのが、永谷天満宮の嚆矢であるといわれている。その後、御神体は菅原文時、藤原道長、上杉金吾らに伝わり、明応2年(1493年)に上杉刑部太夫藤原乗国が永谷天神社の社殿を造営し、御神体を安置し奉った。天文12年(1543年)に、宅間伊織之介藤原綱頼が社殿を修造した。
 さらに、天正10年(1582年)に宅間規富は宮社を再築している。その際に、川上 徳翁寺の第四世住職 明堂文龍大和尚を開山として貞昌院が籠森の地に創建された。それ以来、天神社の別当となった。当時は永谷天満宮と山を挟んだ位置関係にあったが、文化14年(1817年)に、現在の場所に移転した。墓地が上永谷駅近くにもあるのはその名残であろうか。
 明治19年(1886年)の火災により消失したが、本尊十一面観世音菩薩像と欄間彫刻は難を逃れた。本堂の龍と両側にある唐獅子の欄間彫刻がそれであろう。平成7年(1995年)に塗装修復が行われている。
 明治34年(1901年)に伽藍が再建されたが、大正12年(1923年)の関東大震災で倒壊した。翌年に本堂を再建したが、茅葺きからトタン葺きになったようだ。その名残が天満宮の神楽殿にも見受けられる。向拝の彫刻は倒壊した本殿のものを再利用したものだという。彫刻が立派なのには理由があったのだ。
 昭和46年(1971年)には銅葺きに替え、お寺の伽藍らしくなった。
 本堂に祀られている釈迦牟尼佛像は平成3年(1991年)に開眼供養されている。
(表紙写真は貞昌院本堂)

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  • 天満宮参道に建つ寺号標石。

    天満宮参道に建つ寺号標石。

  • 天満宮参道横の本堂。

    天満宮参道横の本堂。

  • 枝垂れ桜と十三重石塔。

    枝垂れ桜と十三重石塔。

  • 太陽光発電設備が設置されている。

    太陽光発電設備が設置されている。

  • 銀杏の木。

    銀杏の木。

  • お堂横の五輪塔。

    お堂横の五輪塔。

  • お堂の中の石仏と石碑。

    お堂の中の石仏と石碑。

  • 山門前の寺号標石。

    山門前の寺号標石。

  • 山門。

    山門。

  • 地蔵堂。

    地蔵堂。

  • 六地蔵。

    六地蔵。

  • 脇のお地蔵さま。

    脇のお地蔵さま。

  • 石燈籠。彫刻と意匠が凝っている。

    石燈籠。彫刻と意匠が凝っている。

  • 道元禅師石像。

    道元禅師石像。

  • 道元禅師石像。

    道元禅師石像。

  • 鐘楼。

    鐘楼。

  • 鐘楼。

    鐘楼。

  • 鐘楼屋根の擬宝珠。

    鐘楼屋根の擬宝珠。

  • 梵鐘。昭和18年(1943年)に金属供出され、現在の梵鐘は昭和34年(1959年)に新たに鋳造されたものである。

    梵鐘。昭和18年(1943年)に金属供出され、現在の梵鐘は昭和34年(1959年)に新たに鋳造されたものである。

  • 雨水鉢。寺紋は天満宮で見られる梅だ。

    雨水鉢。寺紋は天満宮で見られる梅だ。

  • 平和観音。

    平和観音。

  • 本堂。

    本堂。

  • 本堂。

    本堂。

  • 本堂屋根。銅葺きだ。

    本堂屋根。銅葺きだ。

  • 本堂の唐獅子の木鼻。禅宗様の木鼻でないのは珍しい。

    本堂の唐獅子の木鼻。禅宗様の木鼻でないのは珍しい。

  • 鶴の彫刻。

    鶴の彫刻。

  • 向拝の釣銅燈籠と木鼻。

    向拝の釣銅燈籠と木鼻。

  • 象と唐獅子の木鼻。

    象と唐獅子の木鼻。

  • 鯉の彫刻。

    鯉の彫刻。

  • 龍の彫刻。

    龍の彫刻。

  • 本堂に掛かる「天神山」の扁額。

    本堂に掛かる「天神山」の扁額。

  • 鯉の彫刻。

    鯉の彫刻。

  • 象と唐獅子の木鼻。

    象と唐獅子の木鼻。

  • 鶴の彫刻。

    鶴の彫刻。

  • 鳥と花の彫刻。

    鳥と花の彫刻。

  • 鳥と花の彫刻。

    鳥と花の彫刻。

  • 鳥と花の彫刻。

    鳥と花の彫刻。

  • 鳥と花の彫刻。

    鳥と花の彫刻。

  • 庫裡。

    庫裡。

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