2009/12/30 - 2009/12/30
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世界攻略者さん
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ダウラギリを攻略したことで、トレッキングに一区切りつきました。あとはポカラに帰るだけです。この後、ベニで温泉、ポカラで年末イベント、といくつかプランがあるので、急いで山を下ることにします。こういう時の自分はいつもぶっちぎりで速いのですが、今日はちょっと事情が違います。突然ものすごいライバルが現れ、抜きつ抜かれつのデッドヒートを演じることになりました。
**情報は2009年12月のもの。1ルピー=1.2円で計算。
最速のアンナプルナ シリーズ:
①アンナプルナ・ベースキャンプの一日 (A.B.C.)
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10444950/
②みんなのプーンヒル (ゴレパニ)
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10445604/
③新時代のジョムソン街道 その1 (バス、ジープ)
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10445981/
④新時代のジョムソン街道 その2 (ムクティナート)
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10448794/
⑤あのジグザグの先にあるもの (カグベニ)
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10449248/
⑥ムスタン 各駅トレック (トゥクチェ、マルファ他)
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10451421/
⑦ダウラギリ・アイスフォール - はじめての遭難 (ラルジュン)
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10570147/
⑧自転車 vs トレッカーの巻 (カロパニ、ガサ) <==
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10570153/
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[目次]
さらばダウラギリ
MTB軍団現る
ヒマラヤのサイクリング事情
ガサへの道
ティトレへの道
ベニへの道
まとめ
地図: 赤い線 - トレッキングルート。 黄色い線 - 工事中の道路 -
[さらばダウラギリ]
朝9時過ぎ、3日間過ごしたラルジュンの宿を出発。ベニまで続くガンダキ川沿いの道を下っていきます。慣れ親しんだダウラギリの景色とも今日でお別れです。今日一日でどこまで行けるのか、はっきりしたイメージはありません。せめてタトパニくらいまでは行きたいと思います。 -
ラルジュンから次の集落コケタンティまでは、先に川原渡って東岸を歩くルートと、西岸のジープ道を歩いて最後に橋を越えるルートがあります。私は迷わずダウラギリの良く見える東岸ルートを選択。しかし、残念ながら今日はひさびさの曇りの日。前日までの真っ青な空はありません。
写真: 東岸から見たダウラギリ -
40分ほどでコケタンティに到着。村の路上では、最近生まれたばかりの子犬が5匹仲良く遊んでいました。このチベタン マスティフは、アンナプルナ全体でよく見かけます。多分、どの集落にも一頭はいるでしょう。これまで見てきたのはすべて大人の犬だったので、子供を見るのは新鮮です。
こうやって生まれた子犬達は、他の村の家に売られたりしてますます勢力を拡大していきます。そういえば、カトマンズ、ニューロードで、チベタン・マスティフの子犬を販売している人がいました。写真と同じ黒一匹と茶黒一匹で、価格はそれぞれ3500ルピー(4200円)。 -
この後、ダンプー、カロパニ、レテと集落が続きます。ダンプー辺りから、家の建築スタイルに変化があるのに気づくかもしれません。これまではチベット式の屋根が平らな建物ばかりでした。これが、ダンプーを境に、スレートやトタンの傾斜のある屋根に変わるのです。この辺りはダウラギリ(8167m)とアンナプルナI(8091m)の中間にあり、世界で最も深い谷のひとつ。川や谷も大きく方向を変え、気候にまで影響を与えます。
コケタンティから40分程歩き、再び西岸のジープ道に渡ってカロパニに到着です。カロパニやレテは宿が多く、景色のよい場所ですが、今日は天気が悪いので、先を急ぎます。
写真: レテから見たカロパニの集落とダウラギリ。 -
[MTB軍団現る]
カロパニから30分、レテから伸びる近道を歩いた後、吊橋でジープ道と合流します。ここでは、ガンダキ川はすでに川幅が狭くなっており、谷のずっと下のほうを激しく流れます。
橋を越え、ジープ道まで登った時、突然、マウンテンバイクの集団が風を切るように通過していきました。彼らは日本人のグループのようで、少し遅れてサポートのネパール人が続きます。「そうか、そういう手があったな..」私は思わず感心してしまいました。これまで「アンナプルナを自転車で走る」という発想は全く持ってなかったからです。
写真:クールなツーリング集団。ただし、道はデコボコなのでお尻は痛いはず。 -
現在、ムクティナート - タトパニ - ベニ - ポカラと道路が繋がっています。ベニから上は、未舗装のジープ道ですが、道幅も広く基本的に緩やかな道です。つまり、マウンテンバイクで疾走するのには、ちょうどいいコースなのです。道路の整備はトレッカーにとってマイナスですが、サイクリストにとってはポジティブな変化と言えるでしょう。この旅行を企画したひとは実に頭がいい。
しかし、問題点がないわけではありません。ひとつは、全体的に下りは登りほど景色が良くないこと。もう一つは今回のように道路が工事で寸断される可能性があることです。それはさておき、彼らは飛行機でジョムソンまで移動したのでしょうか。小型飛行機に、たくさん自転車を積むスペースがあるのでしょうか。疑問は尽きません。 -
[ヒマラヤのサイクリング事情]
アンナプルナ・サーキットを自転車で走る、というアイデア自体は新しいものではありません。道路が整備される前からあり、ネパ社から「Biking around Annapurna」(780ルピー)という専用の地図まで出ています。アンナプルナの他にも、カトマンズ盆地や、カトマンズからチベット・ラサへのルートなど、サイクリスト向けの地図が発売されています。
この中では、やはりアンナプルナが一番特殊です。そもそもトレッキング道を自転車で走るわけですから、いろいろな困難がつきまといます。 -
地図を開いて見てみると、通常の地図の上に、各区間の自転車での所要時間、高度差、ルートの難易度などが記されています。例えば、ある区間は100%自転車が使える「Easy」な道。ある区間は自転車を担がなければならない「100% Carry」な区間など。ほとんどの区間はRide(乗る)、Push(押す)、Carry(担ぐ)の組み合わせのため、その割合がパーセントで表示されます。
とても有用な地図なのですが、発行が2001年のため、いささか情報が古くなっています。2009年現在、ムクティナートから西は、ほとんど「Easy」な道といって問題ないでしょう。だからあのようなツアーが成立するのです。 -
では、アンナプルナ・サーキットの東側はどうでしょう。西側と比べると、まだまだ道路の整備が遅れています。私が特に気になるのは、どうやって5416mのトロンパス(写真)を越えるのか。歩いても一日がかりなのに、自転車を担ぐとなると...想像もつきません。
歩いて行く場合、トロンペディ(4430m)からトロンパス(5416m)までは3時間の登り。峠を越えたら長い下りが続き、ムクティナート(3800)まで約4時間。休憩込みで8-9時間とガイドブックには書かれています。この自転車用地図に書かれた情報を見ると、峠までは100%担ぎで5時間。下りは90%乗り10%担ぎで3時間。となると、休憩込みで9-10時間くらいでしょうか。ムクティナートまでの下り部分を自転車で行けるというのが肝で、前半の遅れを後半で取り戻している感じです。 -
だいぶ可能性が見えてきました。では、特別なツアーに参加しなくても、自分で同様のツーリングを行うことは可能でしょうか、少し考えています。まず、それなりの品質の自転車をレンタルしなくてはいけません。カトマンズの専門店で一日$10-$15程度。いきなりアンナプルナ一周はしんどいので、ムクティナート -> タトパニというコースを考えて見ます。
工事がなければムクティナートまではバスやジープで行けるはず。自転車は、おそらく荷台に載せてもらえるでしょう。もちろん飛行機でジョムソンまで行くのもありです。ここまで来ればあとはジープ道を下るだけ。大きな困難はありません。ただし、ツアーのようにメカッニックは帯同しないので、パンクを自分で修理する道具とスキルが必要です。
このプランなら十分安く行けそうですが、実際に行く人は少ないでしょう。やっぱり自分で歩くことの充実感にはかないません。 -
[ガサへの道]
MTB軍団に抜かれた後、川の西側の道をガザの町まで下っていきます。45分ほどでガサに到着。意外にも、背後のダウラギリはガザの直前まで見えるのでした。自転車に乗っていたら、いちいち振り返る余裕などなかったでしょう。
ガサの町を進むと、先の日本人グループが自転車を止め、ロッジで昼飯をとっていました。なるほど、なるほど。何となく全体像が見えてきました。ガサを抜けると、例の通行止め区間が現れます。そこから4キロ、ジープ道ではなく、対岸の登山道を進まなければなりません。恐らく彼らのツーリングはここで終わりなのでしょう。競争できなかったのは残念ですが、仕方がありません。それでは、お先に。 -
ガサには検問ポイントがあり、入域証やTIMSなどがチェックされます。来る時はバスで素通りしてしまったため、ここに立ち寄るのは初めてです。中に入ると、職員が暇そうに新聞を読んでいました。しかも、よく見ると昨日の新聞です。ここの新聞は、朝の飛行機でジョムソンに運ばれ、その後バスか何かでガサまでやってくるらしく、夕刊の時間に朝刊が届くというシュールな状況になっています。
検問を終え、工事区間の方に歩いていると、再びMTB軍団が風のように私を追い抜いていきました。信じがたいことに、彼らも同じ登山道を進むようです。往路で利用したバススタンドを過ぎ、迂回の始まる橋に到着すると、そこには橋を渡る準備をしている彼らの姿がありました。 -
[ティトレへの道]
ここの吊橋は長さ140メートル。どうも、自転車に乗って橋を越えるか、押して越えるかで悩んでいるようです。先に橋を渡り、様子を眺めていると、まず勇敢な男性が下りの勢いを利用して橋を走り抜けます。その後に、慎重な人達がサポート・スタッフと共に自転車を引きながら橋を渡ってきました。
さて、この吊橋からカブレ村南の吊橋までは普通の山道。昔からあるトレッキング道のため、集落もあり道もちゃんとしてます。でも、自転車の通行は全く想定されていません。恐らく、三分の一から半分は、「担ぎ」になるでしょう。これだけハンディをもらえば、私のほうが早くタトパニに到着できるかもしれません。チャレンジしてみるか...と一気に歩くペースを上げました。 -
25分ほど歩いて、「ムスタンへようこそ」の看板のある峠に到着。これで旧ムスタン王国ともお別れです。ここには茶屋が一軒あり、中でポーター達が休憩していました。外に置かれていた荷物を見てみると、「KAZE」と書かれたダッフルバッグ(写真)に、nepalbiking.comと書かれた大きな袋。なるほどそういうことだったのか...。このツアーは、風の旅行社が現地のツーリング会社と協力して実現したようです。大きな袋の中身はスペアの自転車でしょう。
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その後、35分ほどかけて西岸のジープ道に合流。さらに15分歩いてティトレのバススタンドに到着しました。時間は2時半過ぎ。ここからはベニ行きのバス(2時間半、400ルピー)も出ています。今日はもう一本バスがあるようで、席が埋まり次第出発するということです。
さて、ここでバスに乗るべきかどうか。私は以前からあることが気になっていました。アンナプルナ保護区域を走るバスには、あからさまな外人価格(例: 3時間600ルピー)が設定されています。一方、ベニ-ポカラ間はローカル料金(4時間 180ルピー)で行けます。私はこの料金設定の分岐点を保護区域の境界であるタトパニ周辺ではないかと推測していました。つまり、タトパニやラトパニ発のバスやジープに乗れば、もっと安くベニまで行けるのではないかと。検証してみたいところですが、そうなると今晩タトパニに一泊しなければなりません。結局、時間を優先してバスに乗ることにしました。タトパニまで競争できなくて残念です。 -
[ベニへの道]
バスの出発を待っていると、茶屋の前をサイクリストの皆さんがビュンビュン通過していきました。彼らに追い抜かれるのはこれで三度目。どうも、ダナの橋からここまでたった2時間で来たようです。これは予想以上に速い。私はかなり飛ばして歩きましたが、それでも1時間15分かかっています。普通の人だと歩いて2時間かかってもおかしくありません。MTBってそんなに簡単に担げるものなの? -
3:45PM, 待つこと1時間、ようやくバスは出発し、30分でタトパニに到着しました。タトパニのバス停で20分ほど停車している間、再びサイクリストの人達が目の前を走り抜けます。いつの間にかバスが追い抜いていたようです。もしバスに乗ってなかったら、どっちが勝っていたのか..たぶん非常に接戦だったと思います。
彼らは今日タトパニの宿に泊まるようです。明日はどこまで行くのでしょう。そうこうしている間にバスは出発し、暗闇の中、2時間ほどかけてベニに到着しました。 -
ベニは想像以上に賑やかな町。山奥とはいえ、通りは商店で溢れ、町に活気があります。ベニはムスタン方面への道、ポカラ方面への道、ミャグディ川沿いの道が交わる要所にあるため、この地域のバザール・タウンとしての役割を果たしています。町の建物はコンクリート製、もう山小屋ではありません。
物価もポカラなどより、ほんの少し高いだけ。レストランのメニューを見ると安さで笑いが止まりません。せっかくなのでチキン・ステーキ(写真、150ルピー)、ガーリック・スープ(40ルピー)、オムレツ(30ルピー)を注文。腹いっぱい食べて寝床につきました。 -
[まとめ]
翌朝、シンハ温泉を訪問した後、午後のバスでポカラに戻りました。ポカラへ急いだのはストリート・フェスティバル(写真)を見るためです。そこでは、連日各種イベントが行われ、大勢のネパール人観光客が休日を楽しんでいました。その一方、私はなぜか居心地の悪さを感じていました。
アンナプルナにいた時は、ロッジで唯一の宿泊客だったり、その村やゴンパの唯一の訪問者だったりと、何か自分が中心人物のような感覚がありました。しかし、ポカラに戻れば、ワン・オブ・メニー、大勢の観客の1人に過ぎません。 -
今回のトレッキングでは、いろいろなことがありました。多くの発見があった一方で、膝を痛めたり、遭難しかけたり、天気に振り回されたり、と悪いこともいくつかありました。でも、ひとつだけ言えることは、何が起ころうが自分が主役だということです。自分で考え行動する。そのシンプルな充実感は何物にも代えられません。そんな喜びを与えてくれるトレッキングをこれからも続けていきたいと思います(完)。
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[リンク集]
==ネパール・トレッキング==
最速のアンナプルナ 全8作 (2009年秋)
http://4travel.jp/travelogue/10444950
エベレスト・トレッキングのすすめ 全10作 (2011年春)
http://4travel.jp/travelogue/10581163
ポカラ・ザ・トレック 全4作 (2013年春)
http://4travel.jp/travelogue/10759203
トレッキング装備購入ガイド 全2作
http://4travel.jp/travelogue/10571988
==ネパール旅行記一覧==
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album?dmos=os&level1=1&level2=771&level3=&sort=when
==海外旅行記一覧==
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album?dmos=os&sort=when&view_mode=list
==国内旅行記一覧==
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/?dmos=dm&sort=when&view_mode=list
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