ヴォーリズの足跡を訪ねて　～再び近江八幡　vol.2～

2009/12/28 - 2009/12/28

年末の旅の２日目は、私の大好きな建築家、ウィリアム・メレル・ヴォーリズの足跡を訪ねて、彦根～近江八幡～京都～大阪へと移動していきましたが、ヴォーリズが活動の拠点としていた近江八幡は、なんと言っても彼の作品が一番残されている場所。
まずは、朝一番でクラブハリエ日牟禮館で、美味しいバームクーヘンをいただきながらヴォーリズの住宅を堪能した後は、２年前に訪れた際、見れなかった郵便局の内部や、近江兄弟学園、八幡商業など見てきました。数が多いので２つに分けて紹介します。

エリア 近江八幡・安土(滋賀)

• 交通手段: 高速・路線バス JRローカル 徒歩

こちらは旧近江八幡ＹＭＣＡ会館

ヴォーリズが建築家として最初に建てたのがこれで、元の建物は明治４０年に建築されました。

こちらは昭和10年に建替えられたもので、3年前に改修工事が行われたため、外観はきれいな状態に化粧直しされています。

外観のデザインは、初期の建物をそのまま再現しているとか。

屋根に乗った煙突がいかにもヴォーリズ風

この煙突って基本的に暖炉に1個ずつ付いているのでしょうか？

道を挟んで南側には隣の教会の牧師会館が建っています。
和洋折衷の建物で、気付かずに通り過ぎてしまうような通り過ぎてしまうような建物です。

こちらは近江八幡市立資料館
１８８６年に国警蒲生西地区署として建設されたもので、元の設計には関与していなかったようですが、改修工事の際の設計を請け負ったようで、最近になってヴォーリズがかかわっていたことが判明した建物です。
確かにヴォーリズっぽい煙突があったのでなんとなくそんな感じがしないでもありませんでしたが・・・

池田町洋風住宅街は、近江ミッションの米国人スタッフのための住宅で、ダブルハウスと称される二世帯住宅です。

外側に回された赤レンガの塀　時代を感じさせてすごくいい雰囲気

この、近江兄弟社ダブルハウスは、１９２１年（大正１０年）に建築されました。

この建物は新築以来、近江ミッションの人たちに受け継がれ、住み続けられています。

表札を見ると現在は佐藤さんと諸川さんの住まいになっているようです。

今回は、朝一番で見たクラブハリエと、ここ池田町洋館街しか、ヴォーリズの住宅を見ませんでしが、建物に興味のある方は、この周辺にたくさんのヴォーリズの残した建物はまだたくさんあります。

駅前の観光案内所でヴォーリズマップを入手できますので、それを持って天気の良い日はヴォーリズ建築めぐりもいいものですよ。

南側から見ると全く違う家に見えます。
内部を見てみたいですね。

こちらは南側から見たダブルハウス。

こちらはきれいに改修されたばかりの旧ウォーターハウス邸

1913年（大正2年）に建築された住宅です。

ウォーターハウス氏は元早稲田大学の教師だった人。

翌大正3年に、この隣にヴォーリズの自邸が完成しますがこちらは現存していません。

隣にあるのが吉田邸。1913年（大正2年）に建築された近江兄弟社創業者の一人、吉田悦蔵氏の邸宅。

ダブルハウスからレンガ塀が続いてきて、最後にあるのがこちら

あれっ　洋館ではありませんね。
一番古そうに見えたこの平屋の建物は、唯一昭和に入って建てられたものです。

吉田悦蔵氏の妻、清野夫人が婦人教育のために発足させた近江家政塾として、吉田邸の南隣に昭和１１年に建てられたものです。

最後は八幡商業高校

実はこの学校、明治３８年に２４歳のアメリカ人青年だった、ウィリアム・メレル・ヴォーリズが英語教師として赴任した学校なのです。

ヴォーリズは、ここで熱心な宗教活動を行ない、放課後開いていたバイブルクラスには70名を越える生徒がさんかしていたそうです。

しかしこのバイブルクラスの盛況が当時の仏教会の反発をかい、わずか２年で八幡商業学校の英語教師の職を辞することになります。

しかし、ヴォーリズはその後も日本にとどまり、京都で建築現場監督の仕事を引き受けたりして生計を立てていたようです。

その時から行動をともにしていたのは、八幡商業学校の卒業生の吉田悦蔵。

池田町洋館街に今も住まいの残る吉田さんです。

活動の拠点は、ここ近江八幡で、その後アメリカ本国より建築家レスター・チェーピンを呼び寄せ、吉田と3人で「ヴォーリズ合名会社」を設立します。

さらにその後、村田幸一郎ら八幡商業の卒業生を次々と加え、「ヴォーリズ建築設計事務所」が設立されることになります。

こうして元来、建築家志望だったヴォーリズの建築家としての足元が徐々に固められ、チェーピンの力を借りながら八幡商業の卒業生たちを建築家として育て上げていくことになりました。

そんな訳で、八幡商業と建築家ヴォーリズとは切っても切れない縁でつながっていたのですね。

彦根から続く今回の旅の近江八幡のヴォーリズ建築めぐりはこれにて終了しますが、これから京都・大阪・神戸へとヴォーリズの作品を追いかけての旅は続きます。