1962/02/08 - 1962/02/08
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ソフィさん
1962年2月8日(木)
フランスの田舎風景とは、すっかり馴染みになったらしい。
車窓の風景がとても懐かしく、故郷に帰ったように感じる。
昼となって、パリの駅から買ってきた固いサンドイッチをかじる。
このバゲットパンに生ハムとチーズを挟んだサンドイッチは、とても固くて粘っこく、うっかりガブリと噛みついたら、歯が欠けそうだ。
しかしそれだけ食べるのに時間がかかり、よく噛むと味が深い。
13時を過ぎて、列車は乗換駅ニオールに着いた。
人口5万人ほどの、この地域の中心となる町である。
この前グリモーさんに出会ったときはここのホテルに泊まり、初めて彼との出会いを果たした。
今日は、パリからラ・ロッシェルに向かう急行から降り、地方の支線を走るディーゼルカーに乗り換える。
ディーゼルカーと言えば、ゴォーとエンジン音を残しながら、ゴットン、ゴットンと走る田舎の情緒ある列車を思い出すが、ここのものはなかなかスマートでモダーンだ。
とは言っても、1両の短い列車なのである。
ニオールからグリモーさんの住むフォントネー・ル・コントまでほぼ30キロ。
その真ん中の、ニウル・ウルムなる小駅が目的地である。
これは、ニウルと言う小村と、ウルムなる小村の間にある駅で、その付近にグリモーさんの工場がある。
列車が停まって、ホームに降り立ったのは、私一人だった。
そのホームに一人で迎えてくれたグリモーさんが、顔中をクシャクシャにしながら、私を抱擁せんばかりにして、全身で再会の喜びを現わしてくださる。
がらんとした駅前広場には、映画「パリ祭」の出てきそうな、貫禄のある黒いシトロエンが、ひっそりとまっている。
グリモーさんの、愛車だった。
高齢のため腰の曲がった彼は、そのシトロエンを駆って、田舎道を時速100キロで飛びまわっている。
そして村の入口に立つマリア像には、目をつぶりながら胸に十字を切る。
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