1962/02/08 - 1962/02/08
38位(同エリア70件中)
ソフィさん
1962年2月8日(木)
ホテルとバーとは違った入口になっていて、目立たないホテルの入口には、脇に小さなレセプションテーブルが置かれている。
そっとドアを開けて入ったが、静まり返っていて人気がない。
二度、三度、声をかけたら、ようやく奥の方から女将さんのような人が出てきて、私の顔を見ると表情少なく、すぐに二階の部屋に案内してくれた。
あらかじめグリモーさんから、私の到着が知らされていて、用意はされていたらしい。
建物は、一階が広いバーになっていて、人が泊まれる客室は二階に二部屋あるだけらしい。
要するに建物の目的は村人の娯楽室兼集会所で、旅の人はごく限られているようだ。
部屋にはトイレどころか暖房もなく、水道水の蛇口もなく、手水鉢に用意されている水が飲料と雑用を兼ねている。
床に置かれた壺は、はじめは用途が分からなくて頭をひねったが、排尿入れに違いない。
手洗いは中庭を横断したところにしかなく、客室からかなり不便だから、こういった壺が置かれているのだろう。
パリのマンションなども、100年ほど前には各戸に手洗いがなく、窓から街路に向けて、排泄物を捨てたと聞いている。
そのころのパリは、悪臭に満ちていたらしい。
だからホテルの客室に尿瓶が置いてあることは、そんなに驚くことではないらしい。
窓から外を眺めれば、ひっそりと人影がない広場である。
「時間が止まったとは、こんな状態なんだなぁ」
やがて先ほど部屋を案内してくれた女将さんがやってくる。
「田舎だから良い待遇は出来ませんが・・・」
と、しきりに謙遜している。
料金は、パンション・コンプレート(三食付き)で12.5フラン(900円)と、信じられない安さである。
第一印象では愛想の悪い人と見たが、ゆっくり接すると、とても深い優しさを秘めているように感じる。
訊いてみないが、風呂はないだろう。
もしあっても、狭苦しくて入りにくい風呂には、入りたくない。
1月始めに、スペインのトレドで入ってから、風呂には縁はないが、こちらに人にとってはそれが普通らしい。
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