1962/02/08 - 1962/02/08
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ソフィさん
1962年2月8日(木)
フランスに来て、私のような若者を可愛がってくれる、おじいさんの多さに気づいている。
UICのルイ・アルマン総裁、スペイン館のミュノス守衛、そしてこのグリモーさんなど、こんなに相好を崩して体いっぱい可愛がってもらった経験は、今までの人生にはなかったように思う。
一口で言えば、国民性なのかも知れないが、戦争体験の厳しさの差もあるように思える。
日本は原子爆弾をはじめ、戦争体験には事欠かないが、フランスは日本も経験しない体験をしている。
自分の土地上での交戦であり、骨肉相食む流血もあったのかも知れない。
骨にしみ込んだ人間のはかなさ感が、彼らのやさしさの源なのかも知れない。
グリモーさんは、病み上がりとて、髭むくじゃらだった。
往年の名画「パリ祭」を思い出させる愛車シトロエンと、年代においていい勝負のソフト帽が、相変わらずよく似合っている。
しばらく風邪をこじらせて、約束の日に招待できなかったと、しきりに詫びておられる。
先ず彼の自宅に案内されて、ワインで再会を祝う乾杯をする。
彼の言葉はもともと訛りがひどくて聞き取りにくいが、加齢のためか歯に隙間が出来ていて、ますます聞きにくい。
会話にしばしば「コンプラネ・ヴ?(わかったかい)」という一句が挟まる。
「ノン」と答えると、丁寧に言葉を加えながら、もう一度話してくれる。
とにかく彼の表現には、説いて止まない力強さが満ちている。
だが何度聞いても分からないときには、分かっていないのについ「ウィ・ジェ・コンプリ(わかりました)」と言ってしまうことがある。
これは反省すべきだが、大切なことは大意をくみ取ることだろう。
アステフのシュヴァリエ嬢が片言に「ヴァンデーの人は粘り強い」と言うのを聞いたことがある。
今日グリモーさんと出会って話していると、ふとその言葉を思い出す。
ヴァンデー気質丸出しの彼と会っていると、何かしら熱い、人間の辿ってきた歴史のようなものを、胸深くに感じる。
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