2007/12/30 - 2008/01/09
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ちゃおさん
三嶋由起夫が市ヶ谷自衛隊東部方面総監室で自決する半年前に上梓した「暁の寺」、ワット・アルン(วัดอรุณ)の朝焼けを見るべく、早朝、まだ外が暗いうちに宿泊先のRoyal Hotelを抜け出し、渡し船でチャオプラヤー川を渡り、未明のワット・アルンへ向う。
渡船を降りた直ぐのところにこの寺はあり、茂みには朝を待つ小鳥、นกกาหอ่า(ノックカーホーア)が暗い中、早くも綺麗なさえずりを始めている。
川を見ると、サバほどの大きさの魚、ปลาฮวาย(プラーホワーイ)が群れを成して泳いでいて、川面が盛り上がっている。戦前北海道、苫前の浜で、ニシンが大挙して押し寄せてくる様を「海が盛り上がって、向ってきた」と地元の漁師は表現していたが、規模は違っても丁度そんな感じで、川面がざわついている。
そこへ近所に住む初老の人がやってきて、全く、鯉に餌をやるような感じで、餌を投げ与えている。遠くからも魚がどんどん集まってくる。池の鯉を誰も釣らないように、この国では川の魚は誰も獲らないのかも知れない。去年の5月、コラートのタオ・スラナリ像を巡る掘割の中に、亀やらいろんな種類の淡水魚が、うじゃめいていたが、丁度そんな感じで、魚がうじゃめいている。
未明からさえずり始める小鳥の多さ、川面を埋め尽くす魚の多さ、タイは将に悉皆仏性の国かも知れない。ジン・ジャン、月光姫は三嶋の小説の中での架空の人物であるとしても、タイ人の自然と共棲する心の優しさはこんな処にも現れているように思えた。
そうこうする内、川向こう、オリエンタルホテルの辺りの空が薄赤く染まり始め、高層ビル・バンコクタワーの横から、真っ赤な太陽が昇り始め、空一面を茜色に染め上げる。時計を見ると丁度6時半になっていた。
小説の中では、七色のカラータイルを埋め込まれたこの暁の寺の尖塔が朝日に燦然と輝く様が描かれていたが、それは当時まだバンコクがスモッグに侵される以前の頃の情景で、今日の太陽は弱弱しい光線が漸くこの寺にも届く程度で、茜空もほんの十数分で、太陽は早くも雲かスモッグの中に隠れてしまった。
寺を取り巻く土産物店は早くも雨戸を開け始め、小旗に引率された観光客の一団がさっと来てさっと出て行ったり、よくよく見ると日本人の観光客だったり、或いは又この近くにある海軍省に出勤するエリート女性士官が颯爽と歩いてきたり、等々、早朝の寺院を存分に楽しむことが出来た。
再び渡船で川を渡り、大量の浮き草を押しやるようにして船は進み、対岸のバーククローン市場の近くで下船。折りしもこれから学校が始まる時間。有名私立小学校なのか、高級車がひっきりなしにやってきては、子供達を送迎している。タイも日本もお金持ちは教育熱心なのだ。
市場の傍の果物屋台で、明後日のタイ語サークルの皆さんのお土産用にドリアンの大房、2袋を買い、一旦ホテルに引き上げる。バンコクのホテルはどこでもそうだが、チェックアウトは11時。ボリュームのあるバイキングをたらふく食べ、プールサイドの日陰を選んでデッキチェアーに横になる。燦々と降り注ぐ陽光に下、何か外国へ来ているんだなあ、というリッチな気分に浸ることもできた。
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