2007/07/17 - 2007/07/17
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前日光さん
近代に入って、日本にやって来たドイツ人ブルーノ・
タウトは、桂離宮の「わび・さび」的な文化に惹かれ、
東照宮のような絢爛豪華な建造物を俗だと言って
否定しました。
そこに谷崎潤一郎などが「陰翳礼讃」といった文章を
発表し、闇の中にほのかに浮かびあがる日本美について
滔々と述べたてたため、西洋人の言を鵜呑みにしてしまう
日本人は、よく考えもせず、東照宮はケバケバしくて、
日本美の基準からはずれたものと捉えてしまったのでしょう。
曇りのない目で、もう一度東照宮を見つめ直したいと
思います。
-
東照宮の建造物に用いられた色は、白・黒・
金・朱・群青・緑青・黄土の7色だそうです。
意外だと思いませんか?
陽明門の空間を埋め尽くす夥しい彫刻の
数は、508。唐獅子66・龍45・
鳳凰40・人物42・菊61・牡丹54
など。 -
-
-
陽明門の急な石段を登ってすぐに目に入る
人物の像。 -
門を潜ってふり返ると目に飛び込んでくる
獅子?の像。 -
-
陽明門の12本の柱は、「グリ紋」と呼ばれ
る渦巻き文様が彫られています。
ところが、この写真の右から2ばんめの柱の
文様は他の柱と逆の文様になっていて、
「魔除の逆柱」と言われています。 -
渦巻き紋様は、1本を除きすべてこの
向きです。 -
右から2番目の柱の紋様だけが、この向き
になっています。
五重塔がそうであったように、東照宮には
このように、一ヶ所だけ他と異なる部分が
随所に見られるのです。
間違えたわけではなく、わざわざ逆に彫った
とのこと。理由は魔除のため。
「徒然草」によると、完全なものは決して
よくはない。だから内裏を造る時も、必ず
一ヶ所は造り残しをしたそうです。
完成した瞬間から崩壊は始まる、そこで
仕残して完成させなければ、崩壊の運命を
避けることができるので、一ヶ所だけ他と
異なる仕様を施したのではないかと考え
られます。 -
「きらきらし」という古語の意味は、
?きらきらと輝いている。
?端正で美しい。
?堂々として威厳がある。りっぱで美しい。
?きわだっている。格別だ。
きらきらしているものも、捨てたものでは
ないと思いませんか? -
さて、これは陽明門を潜ると正面に見える
唐門です。 -
ここで驚くべきは、この正面台輪上の彫刻
「舜帝朝見の儀」です。
中国古代の聖王、堯(ぎょう)は舜(しゅん)
に帝位を譲り、舜は禹(う)に譲ったという
故事(禅譲)は政権交代の理想です。
舜帝は、人を適材適所に配し、五教を広め
させ、その結果「内平外成」となったという、
現在の元号「平成」とは、舜帝の言葉から
選ばれました。
つまり「平成」の元号は既に350年前、
この唐門に掲げられていたのです。 -
東照宮の本社への正門が唐門です。
現在この門は、正月や大祭などの時にしか
潜ることができません。 -
上社務所の屋根と辺りの木々。
霧雨に煙って、よい雰囲気を醸し出して
いました。 -
その屋根の下に見えた梅の花?と思われる
彫刻。
他にもいろいろありましたが、これが
印象的でした。 -
そして、いよいよ「眠り猫」です。
初めて見た時には、そのあまりの小ささに
がっかりする人も多いそうですが、家康の
お墓のある奥宮への入り口にあって、左
甚五郎作で、「眠って」いるなんて、おも
しろいなぁと思いました。 -
この眠り猫の裏側には、竹林に遊ぶ二羽
の雀の彫刻があります。
猫が寝ているから雀は楽しく暮らしていら
れる。すなわち平和な世の中を意味するの
ではないかという考え方もあるようです。
真実は猫に聞いてみなければ解らないよう
ですが・・・ -
この後、奥宮へと行きたい所ですが、まだ
陽明門と唐門の間(向かって左側)にある
神輿舎(しんよしゃ)の扉の脇の、この
美しいブルーが気に入ってしまったので、
ご紹介したいと思います。
この建物には三基の「おみこし」が入って
いるそうです。
建物全体を撮りたかったのですが、この
建物の真ん中にカメラを持った女性が、
立ちはだかっていて、いっこうにどいて
くれる気配がないのです。
この日は外国人の観光客が多かったので
すが(それもアジア系の)彼女もそうだった
のかもしれません。
「空気が読めないのかなぁ」と思いながらも
仕方なくあきらめました。 -
これは、虎の彫刻ですが、家康公は天文
11年(1542年)の寅年、寅の刻
(午前4時)生まれです。
そのせいかどうかは解りませんが、東照宮
には木彫38体・41頭の虎の彫刻がある
とのことで、動物では虎が最多の由。
次いで多いのは「兎」で、これは2代秀忠
公の干支。19体・23羽。
そして3代家光公は「辰」年であり、龍の
彫刻も数多く見受けられることは言うまでも
ありません。 -
陽明門の階段の下、向かって右側、朝鮮鐘
の隣にあるのが、この鐘楼です。
この鐘楼には、鶴・龍・麒麟など計78体の
彫刻があり、豪華そのものです。
上層の豪華さに目を奪われて見落としがち
ですが、下層は袴腰(はかまごし)と呼ば
れ、銅板に黒漆を塗り、金色の金具が付け
られていて、色彩のコントラストがとても
美しい建物です。
☆注
此の解説と、この下の写真についての解説
は私の初歩的な勘違いにより、逆になって
いるとのご指摘を受けました。
よって、私が直すよりは、この記事のコメ
ント欄の「風太さん」の「鼓楼と鐘楼」を
お読み下さい。
その方が、正確に情報が伝わると思われます。 -
これは階段の左側にある鼓楼です。
鼓楼に見られる彫刻は、計38体であり、
鐘楼と比べると地味なようです。
一見同じように見えますが微妙に異なり、
東照宮設計者の意図するものが、ここにも
うかがえます。
同じような構造に見せながら、決して同一の
建物にはしていない。
なんともおもしろい、遊びの精神とも受け
取れるようなものが、随所に見られるの
です。 -
東照宮には、たくさんの霊獣(尊く不思議な
獣)がいますが、変わり種として「蜃」
(しん)を紹介します。
今まで龍とされてきましたが、そうではなく、
蜃と呼ばれる動物で、口から「気」を吐き出
しています。
この灯籠の笠にも、8匹ほどの蜃がみられます。 -
上の灯籠のアップです。
蜃について書かれた書物によれば、「燕を
食べ、よく気を吐いて、楼台城郭のさまを
描き出す。これを蜃気楼と言う」とあるそ
うです。
蜃気楼は横文字では「ミラージュ」と言い、
日本では車の名前にもなってしまうのです。 -
再び「飛越えの獅子」です。
この角度の方が、よく見えますね。 -
たくさんの灯籠を上から見たものです。
笠に生えた苔から植物が伸びています。
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この旅行記へのコメント (8)
-
- まもちんさん 2008/09/01 23:52:00
- こにちは〜
- 前日光さん
先日、史跡探勝路にいってきたんですが、前日光さんの旅行記をみて、東照宮に入っておけば良かったと後悔です(;´_`;)
それにしても、前日光さんの解説はすごいですね!
ブルーノ・タウトとか、陰翳礼賛とかありますが、もしかして、建築を学んでいたとかでしょうか?
私は建築学科だったのですが、そのときにでてきたキーワードが何カ所かありましたので^O^
まもちん
- 前日光さん からの返信 2008/09/03 00:07:02
- RE: こにちは〜
- まもちんさん こばんは〜(まもちん風)
>
> 先日、史跡探勝路にいってきたんですが、前日光さんの旅行記をみて、東照宮に入っておけば良かったと後悔です(;´_`;)
東照宮!一見の価値ありですよ〜!
若い頃は、私も派手〜っ!とか思って、むしろ恥ずかしい!なんて
思ってたこともありました。
でもでも。。。でした。
いろいろ知るに及んで、最近では「スゴイ!?」と、わが故郷への愛着心も
湧いて参りました。
> それにしても、前日光さんの解説はすごいですね!
> ブルーノ・タウトとか、陰翳礼賛とかありますが、もしかして、建築を学んでいたとかでしょうか?
わぁ〜い!うれしいなぁ(~o~)
初めて理系と思われました。
コテコテの文系人間なのに、建築を学んでいたのか?なんて、
うれしいなぁ。
理系の人には並々ならぬ憬れと、その裏返しのコンプレックスも
いだいていたわけでして。。。
> 私は建築学科だったのですが、そのときにでてきたキーワードが何カ所かありましたので^O^
まもちんさんは、建築学科ですか?
もしかして菊川怜ちゃんと同じT大ですか?
わぁ〜い、そう思うことにしようっと(>_<)
では〜
前日光
-
- yopooさん 2007/07/26 11:30:06
- 私は東照宮が大好きです!
- 前日光さん,こんにちは.
私は恥ずかしながら,桂離宮に訪れたことがなく
今後是非訪れたいと思っております.
誰がなんと言おうとここも日本の文化です!
東照宮は子供のころから大好きですから.
- 前日光さん からの返信 2007/07/27 00:30:15
- RE: 私は東照宮が大好きです!
- yopooさん こんばんは!
東照宮が好きとのコメント うれしいです(~o~)
東照宮についてのいろいろな情報を知るほどに、
興味が湧き、じっくり眺めてみたいと思うのですが、
地元民とは言え、なかなか機会に恵まれません。
今回ももっとたくさんご紹介したい所があるのですが
撮りそびれています。
またの機会にと思っています。
(ところで、大きな声では言えないのですが、yopooさん、
ご安心ください。実は私も、未だに桂離宮を訪れていません。
なんとなく桂離宮についての文章を読んだり、写真を見たり
して、行ったつもりになっていますが、実物はまだです(^_-))
たぶん実際に見たら、虜になると思ってはいますが。
でも、東照宮に漂う「遊びの精神」のようなものとか、平和を
願う支配者の思いとか、というのもまた、魅力的だと思われます。
この後、東照宮周辺のスポットも少しだけ紹介しますので、
また遊びにいらしてください(^^)/
- yopooさん からの返信 2007/07/28 00:24:22
- RE: 私は東照宮が大好きです!
- 前日光さん,こんばんは.
ぜひぜひよろしくお願いします!
東照宮はいつも勉強しなくてはと思いつつ,
気になってはいるものの,いざとなると
なかなか勉強できておらず,観光するときになって
いつも後悔しています(T.T)
いろいろ教えてくださると非常にうれしいですし
勉強になりますので是非是非よろしくお願いいたします.
日本の良さを一段と感じている
今日この頃なので,今後とも
何とぞよろしくお願いいたします!
楽しみにしております!
- 前日光さん からの返信 2007/07/28 23:04:58
- RE: 私は東照宮が大好きです!
- yopooさん こんばんは
東照宮を見るのに、そんなに勉強しなくても大丈夫ですよ。
きっと、よいものに理屈はいりませんから。
でも、知識があってみると楽しいのは確かですよね。
私も見逃しているものが、たくさんあるんですよ。
お互いに知っていることを教え合いましょう!
今後ともよろしくお願いします!
-
- 義臣さん 2007/07/25 16:17:56
- 俗
- 良い事を書いてくれましたね。
日本人の色彩感覚を知らない外国人の言葉です。
むろん私は桂離宮も大好きです。
東照宮の色彩や曲線も好きなので、
物知り文化人の悪口には一寸不満でした、
大拍手です。
二票ではここも足りません。
義臣
- 前日光さん からの返信 2007/07/25 22:52:21
- RE: 俗
- こんばんは コメントありがとうございます。
私も「桂離宮」は、大好きです。
でも子どもの頃によく、「東照宮は派手だからねぇ」という
大人の言葉を耳にし、「そうか、キラキラし過ぎで駄目
なのか」と思いこんでいたのは、不幸なことでした。
先入観に囚われず、公平に物事を見つめたいものですね。
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