京都の方広寺には豊臣秀吉（１５３７−１５９８年）の命で１５８６年から１５９５年の間の造営された奈良東大寺に倣った大仏殿があった。大仏は東大寺の大仏（高さ約１５ｍ）より大きく１８ｍもあったと言われる。だが１５９６年に地震によって倒壊、１６１４年、豊臣秀頼（１５９３−１６１５年）により再建されたが、１７８８年の落雷による火災で焼失した。その後大仏は再建されていない。大仏殿は２０００年の発掘調査で東西約５５ｍ、南北約９０ｍの規模であったと想定されており、もし残っていれば奈良東大寺大仏殿（東西約５８ｍ南北約５０ｍ）より巨大な世界一の木造建築の大仏殿だったことだろう。<br />方広寺で有名なものは東大寺、知恩院のものと合わせ日本三大名鐘のひとつとされる重要文化財に指定されている梵鐘。<br />この鐘に刻まれた「国家安康」「君臣豊楽」の銘文は京都南禅寺の禅僧文英清韓（ぶんえいせいかん１５６８-１６２１年）が書いたものだが、家と康を分断し豊臣を君主とするものだとして徳川家康（１５４３−１６１６年）の怒りにふれ、大坂の役（おおざかのえき１６１４-１６１５年の大坂冬の陣と大坂夏の陣）の口実となり、豊臣家滅亡の発端になったとされる。一般には豊臣を滅ぼすための家康のいいがかりだと言われる。この鐘の「国家安康」「君臣豊楽」の銘文は現在もはっきり見ることができる。<br />方広寺の隣には豊臣秀吉を祀る豊国神社（とよくにじんじゃ）がある。豊臣秀吉の死去の翌年の１５９９年、方広寺の鎮守社として廟所が建立され後陽成天皇から豊国大明神（ほうこくだいみょうじん）の神号が贈られたが１６１５年豊臣家が滅亡すると、徳川幕府により社領は没収された。１８６８年、明治天皇が豊臣秀吉は尊皇の功臣であるとされたことで、豊国神社の再興を開始、１８８０年、方広寺大仏殿跡地に社殿が完成した。<br />豊国神社のそばには耳塚（鼻塚）がある。<br />耳塚は、豊臣秀吉が朝鮮半島に侵攻した文禄慶長の役（朝鮮では、壬辰・丁酉の倭乱、１５９２−１５９８年）の遺跡。武将たちは、戦功のしるしとして朝鮮の人達の鼻や耳をそぎ塩漬にして日本に持ち帰った。秀吉は「耳塚」を造り供養することを命じた。秀吉が起こした文禄慶長の役は、朝鮮半島の人々の強い抵抗で敗退に追い込まれたが、「耳塚」は、豊臣秀吉軍の残虐さと朝鮮の人々の受難を、永遠に伝えている。<br />三十三間堂（さんじゅうさんげんどう）の正式名称は蓮華王院本堂（れんげおういんほんどう）。後白河上皇が自身の離宮内に１１６５年に創建した仏堂で、本尊は千手観音。「三十三間堂」の名称は、本堂の内陣の柱間が３３あることによる。江戸時代から本堂の軒下（長さ約１２０ｍ）で矢を射る「通し矢」の舞台になり、現在は新成人が振袖に袴を着け、本堂西側の射程６０ｍの射場で矢を射る「大的全国大会」が行われている。<br />京都国立博物館（きょうとこくりつはくぶつかん）は、１８９７年に開館し国宝、重要文化財を所蔵している。建物自体も、本館、表門（正門）、同札売場及び袖塀が１９６９年、「旧帝国京都博物館」として国の重要文化財に指定されている。方広寺周辺も見所が多い。<br />（写真は方広寺の鐘）<br />

日本の旅　関西を歩く　豊臣家滅亡の発端になった鐘で知られる京都の方広寺

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2007/05/23 - 2007/05/23

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さすらいおじさんさん

京都の方広寺には豊臣秀吉（１５３７−１５９８年）の命で１５８６年から１５９５年の間の造営された奈良東大寺に倣った大仏殿があった。大仏は東大寺の大仏（高さ約１５ｍ）より大きく１８ｍもあったと言われる。だが１５９６年に地震によって倒壊、１６１４年、豊臣秀頼（１５９３−１６１５年）により再建されたが、１７８８年の落雷による火災で焼失した。その後大仏は再建されていない。大仏殿は２０００年の発掘調査で東西約５５ｍ、南北約９０ｍの規模であったと想定されており、もし残っていれば奈良東大寺大仏殿（東西約５８ｍ南北約５０ｍ）より巨大な世界一の木造建築の大仏殿だったことだろう。
方広寺で有名なものは東大寺、知恩院のものと合わせ日本三大名鐘のひとつとされる重要文化財に指定されている梵鐘。
この鐘に刻まれた「国家安康」「君臣豊楽」の銘文は京都南禅寺の禅僧文英清韓（ぶんえいせいかん１５６８-１６２１年）が書いたものだが、家と康を分断し豊臣を君主とするものだとして徳川家康（１５４３−１６１６年）の怒りにふれ、大坂の役（おおざかのえき１６１４-１６１５年の大坂冬の陣と大坂夏の陣）の口実となり、豊臣家滅亡の発端になったとされる。一般には豊臣を滅ぼすための家康のいいがかりだと言われる。この鐘の「国家安康」「君臣豊楽」の銘文は現在もはっきり見ることができる。
方広寺の隣には豊臣秀吉を祀る豊国神社（とよくにじんじゃ）がある。豊臣秀吉の死去の翌年の１５９９年、方広寺の鎮守社として廟所が建立され後陽成天皇から豊国大明神（ほうこくだいみょうじん）の神号が贈られたが１６１５年豊臣家が滅亡すると、徳川幕府により社領は没収された。１８６８年、明治天皇が豊臣秀吉は尊皇の功臣であるとされたことで、豊国神社の再興を開始、１８８０年、方広寺大仏殿跡地に社殿が完成した。
豊国神社のそばには耳塚（鼻塚）がある。
耳塚は、豊臣秀吉が朝鮮半島に侵攻した文禄慶長の役（朝鮮では、壬辰・丁酉の倭乱、１５９２−１５９８年）の遺跡。武将たちは、戦功のしるしとして朝鮮の人達の鼻や耳をそぎ塩漬にして日本に持ち帰った。秀吉は「耳塚」を造り供養することを命じた。秀吉が起こした文禄慶長の役は、朝鮮半島の人々の強い抵抗で敗退に追い込まれたが、「耳塚」は、豊臣秀吉軍の残虐さと朝鮮の人々の受難を、永遠に伝えている。
三十三間堂（さんじゅうさんげんどう）の正式名称は蓮華王院本堂（れんげおういんほんどう）。後白河上皇が自身の離宮内に１１６５年に創建した仏堂で、本尊は千手観音。「三十三間堂」の名称は、本堂の内陣の柱間が３３あることによる。江戸時代から本堂の軒下（長さ約１２０ｍ）で矢を射る「通し矢」の舞台になり、現在は新成人が振袖に袴を着け、本堂西側の射程６０ｍの射場で矢を射る「大的全国大会」が行われている。
京都国立博物館（きょうとこくりつはくぶつかん）は、１８９７年に開館し国宝、重要文化財を所蔵している。建物自体も、本館、表門（正門）、同札売場及び袖塀が１９６９年、「旧帝国京都博物館」として国の重要文化財に指定されている。方広寺周辺も見所が多い。
（写真は方広寺の鐘）

エリア

東山・祇園・北白川(京都)

方広寺梵鐘。
日本三大名鐘のひとつとされる重要文化財に指定されている方広寺梵鐘。
方広寺梵鐘の説明。
鐘に刻まれた「国家安康」「君臣豊楽」の銘文。
方広寺本殿。

豊国神社の光景。
豊国神社の光景。
豊国神社の光景。
豊国神社の光景。
豊国神社の説明。

耳塚（鼻塚）。
耳塚（鼻塚）の説明板。
三十三間堂の光景。
三十三間堂の光景。
三十三間堂の光景。

三十三間堂の光景。
京都国立博物館。
五条大橋から見る鴨川。

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この旅行記へのコメント（2）

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ndasbeさん 2007/08/27 07:27:39

京都　方広寺

さすらいおじさん、こんにちは。

京都の方広寺拝見しました。
さすらいおじさんの旅行記内容に書かれている通り、大坂の役の発端となった梵鐘があり行ってみたい所です。
鐘に刻まれた銘文小さそうですね。これが歴史を変えるような事件に発展するとはすごいですね。
以前拝見し投票のみでした。遅ればせながら書き込みさせていただきます。

さすらいおじさんさんからの返信 2007/08/27 21:45:37

RE: 京都　方広寺

ndasbeさん

京都の方広寺をごらんいただきご評価ありがとうございます。
方広寺はいまは大坂の役の発端となった梵鐘で知られる地味な寺ですが、かつては奈良の大仏に負けない大きな大仏があったすごい寺だったそうです。京都に大仏が残っていれば、観光スポットも変わっていただろうと思います。でも戦乱の歴史を経て残った遺跡や遺産もすばらしいです。
是非訪問ください。

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