バガン旅行記(ブログ) 一覧に戻る
 飛行機が低空飛行をとった頃、反対側の窓にバガンの象徴、シュエズィゴンパヤーが少しだけ見えた。僕の隣の男はそれを見て、着陸態勢にもかかわらず立ち上がってミャンマー式のお祈りを繰り返した。<br /> 飛行機の中がなぜかやたら暑かったからか、外に出るとほんの少しだが涼しさを感じた。それにしてもエアバガンの機内、暑すぎるぜ。<br /> 空港の建物に入ると、旅行者が少し列をなしていた。バガン入域料を払っているのだ。10米ドルである。とにかくこの国は、外国人旅行者から何かにつけて金を取ろうとする。このほかには、バゴー入域料、シュエダゴンパヤー参拝料など。マンダレーでも取るとか取らないとか。いずれもけっこうな値段を毟り取るのである。10ドルなんて日本ででも大した金じゃないか、ましてやこの国じゃちょっとした高級カラオケクラブで女の子を横につけて酒を飲めるくらいの金だ。誰が徴収しているのか知らないが、この金額の根拠を示していただきたいものだ。<br /> 僕は「私バガン初めてで何にも知りません」みたいな顔で列を素通りしようとした。途端に男が出てきて僕を制止し「ここで金払わんといけねーよ」と言った。「何の金?」とすっとぼけると、「バガンに来た奴は払うんじゃい」「おれは、バガン行かない。ニャウンウーに来たあるよ」「でも払え」「それおかしいよ。ニャウンウーにいるのになぜ払うか」「払えっつーの」。滑稽なことに、連中はなぜ我々訪問者が払わねばならないのかをきちんと説明できないのだ。もっといろいろけんかしたかったが、とりあえずやめておとなしく10ドル払ってやった。最後にひと言付け加えながら、Dirty Businessと。<br /> 外に出ると今度はタクシー運転手。手を変え品を変え、いろいろな手でおれたちから金をふんだくろうとする。空港からニャウンウーまではどのタクシーでも4000ksと決められている。つまり交渉は通用しないのだ。こういうのを日本では「談合」と言って、法律で禁じられているのだよミャンマーの皆さん。御丁寧に看板まである。ヤンゴンの空港から市内までがだいたい5000ks、バガンではその半分以下の距離なのに4000ks。とにかくこの国の金銭感覚には不信感が募る。<br /> 空港の敷地の外で待ち構えてていた二人組の男のタクシーに乗った。走り出してしばらくすると、助手席の男が日本語で喋り出した。「航空券はどこで買いました? PLG?」「そう」「ティンさんていう人いたでしょう?」「いましたよ。それにしても良くご存知ですねえ」「ええ、私らあそこの者でんねん」 どっひゃあっ! まるで、何十年も前、関西で流れていたCMそっくりの展開じゃないか。確か「いずもや」さんやったかな。関西以外の方ごめんなさい。また、関西でも30代以下の方々ごめんなさい。<br /> 10分もしないうちにニャウンウーの町に入った。馬車が行き交う懐かしい光景が目の前に広がった。バスステーション前でタクシーを降り、その隣のアウンヤダナーレストランに向った。出発前に電話した女友達のウィンウィンがここにいるのだ。<br /> レストランに行くと、妹のエティダが笑顔で僕を迎えてくれた。「ウィンウィンは?」「シャワーに行ってます」。ちょっとがっくり。バックパックの中の重いものは全て彼女への贈り物なのだ。とにかく早く渡して身軽になりたかった。「じゃ、後で来るわ」と言って、重い荷物のまま、とぼとぼと定宿のアウンミンガラーホテルへ向った。

バンコク経由ミャンマー旅行 第2章 バガンの日々 ?

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2006/05/08 - 2006/05/20

864位(同エリア1017件中)

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2

ハイペリオン

ハイペリオンさん

 飛行機が低空飛行をとった頃、反対側の窓にバガンの象徴、シュエズィゴンパヤーが少しだけ見えた。僕の隣の男はそれを見て、着陸態勢にもかかわらず立ち上がってミャンマー式のお祈りを繰り返した。
 飛行機の中がなぜかやたら暑かったからか、外に出るとほんの少しだが涼しさを感じた。それにしてもエアバガンの機内、暑すぎるぜ。
 空港の建物に入ると、旅行者が少し列をなしていた。バガン入域料を払っているのだ。10米ドルである。とにかくこの国は、外国人旅行者から何かにつけて金を取ろうとする。このほかには、バゴー入域料、シュエダゴンパヤー参拝料など。マンダレーでも取るとか取らないとか。いずれもけっこうな値段を毟り取るのである。10ドルなんて日本ででも大した金じゃないか、ましてやこの国じゃちょっとした高級カラオケクラブで女の子を横につけて酒を飲めるくらいの金だ。誰が徴収しているのか知らないが、この金額の根拠を示していただきたいものだ。
 僕は「私バガン初めてで何にも知りません」みたいな顔で列を素通りしようとした。途端に男が出てきて僕を制止し「ここで金払わんといけねーよ」と言った。「何の金?」とすっとぼけると、「バガンに来た奴は払うんじゃい」「おれは、バガン行かない。ニャウンウーに来たあるよ」「でも払え」「それおかしいよ。ニャウンウーにいるのになぜ払うか」「払えっつーの」。滑稽なことに、連中はなぜ我々訪問者が払わねばならないのかをきちんと説明できないのだ。もっといろいろけんかしたかったが、とりあえずやめておとなしく10ドル払ってやった。最後にひと言付け加えながら、Dirty Businessと。
 外に出ると今度はタクシー運転手。手を変え品を変え、いろいろな手でおれたちから金をふんだくろうとする。空港からニャウンウーまではどのタクシーでも4000ksと決められている。つまり交渉は通用しないのだ。こういうのを日本では「談合」と言って、法律で禁じられているのだよミャンマーの皆さん。御丁寧に看板まである。ヤンゴンの空港から市内までがだいたい5000ks、バガンではその半分以下の距離なのに4000ks。とにかくこの国の金銭感覚には不信感が募る。
空港の敷地の外で待ち構えてていた二人組の男のタクシーに乗った。走り出してしばらくすると、助手席の男が日本語で喋り出した。「航空券はどこで買いました? PLG?」「そう」「ティンさんていう人いたでしょう?」「いましたよ。それにしても良くご存知ですねえ」「ええ、私らあそこの者でんねん」 どっひゃあっ! まるで、何十年も前、関西で流れていたCMそっくりの展開じゃないか。確か「いずもや」さんやったかな。関西以外の方ごめんなさい。また、関西でも30代以下の方々ごめんなさい。
 10分もしないうちにニャウンウーの町に入った。馬車が行き交う懐かしい光景が目の前に広がった。バスステーション前でタクシーを降り、その隣のアウンヤダナーレストランに向った。出発前に電話した女友達のウィンウィンがここにいるのだ。
 レストランに行くと、妹のエティダが笑顔で僕を迎えてくれた。「ウィンウィンは?」「シャワーに行ってます」。ちょっとがっくり。バックパックの中の重いものは全て彼女への贈り物なのだ。とにかく早く渡して身軽になりたかった。「じゃ、後で来るわ」と言って、重い荷物のまま、とぼとぼと定宿のアウンミンガラーホテルへ向った。

  •  部屋に入り荷をほどき、とりあえずやることがないので、シュエズィゴンパヤーへお参りに行った。<br /> シュエズィゴンはヤンゴンのシュエダゴン(紛らわしい)に比べ、その巨大さ、重厚さでは及ばないものの、町のお寺という感じで、親しみやすい。ひととおりお参りして、帰ろうとしたら、僕が歩いてきた参道が既に閉鎖されていて別の参道からしか出られなかった。見たことのない参道で、出たところもさっぱりわからず、おまけにすっかり暗くなってしまい、人に聞きながら何とかメインロードに出、ホテルに帰った頃には7時になっていた。1時間半もシュエズィゴン周辺でうろうろしていたことになる。

     部屋に入り荷をほどき、とりあえずやることがないので、シュエズィゴンパヤーへお参りに行った。
     シュエズィゴンはヤンゴンのシュエダゴン(紛らわしい)に比べ、その巨大さ、重厚さでは及ばないものの、町のお寺という感じで、親しみやすい。ひととおりお参りして、帰ろうとしたら、僕が歩いてきた参道が既に閉鎖されていて別の参道からしか出られなかった。見たことのない参道で、出たところもさっぱりわからず、おまけにすっかり暗くなってしまい、人に聞きながら何とかメインロードに出、ホテルに帰った頃には7時になっていた。1時間半もシュエズィゴン周辺でうろうろしていたことになる。

  •  一旦ホテルに戻り、ウィンウィンへのみやげを持ってアウンヤダナーレストランへ向った。それにしても重い。こんなものよく背負ってきたものだ。レストランに着くと一番奥の席でウィンウィンが大きく手を振っていた。近づいて握手をして、型どおりの挨拶を交わした。「商売はどう?」「あんまりよくないわ」「カメラマン氏は、水掛祭りの時は満員御礼だったって言ってたよ」「あの時はさすがに儲かったわ。ヤンゴンから大勢ツアー客が来てくれたもの。おかげで弟の学費を賄えたわ」。カメラマン氏とはミャンマー関連のサイトで知り合った日本人の友人で、年2回はバガンに来るバガンフリークのこと。彼もすっかりこのレストランを気に入ってくれ、バガンへ来た時は入り浸っているようだ。イニシャルにすればいいのだがそれだとNさんとなってしまう。ヤンゴンの友人もNさんだし、彼もNさんだし、僕もNだからややこしい。だからカメラマン氏としておく。<br /> 「カメラマンさんは水掛祭りで風邪をひいたらしいね」「そうなの。水かけられて体が冷えて、太陽に晒されて体温がまた上がって、また水かけられて体温下げての繰り返しで調子悪くしたんじゃない?」「おまけにあちこちの家に招かれてご飯を腹いっぱい食べてるし」...としばらくカメラマン氏の話で盛り上がった。<br /> 下から2番目の妹が何も言わずミャンマービールとグラスを持って来てくれた。今晩はゆっくり飲みたいと思ったので、それを断ってミャンマーラムを頼んだ。<br /> ミャンマーラムは100円もしない酒だけあって、大したものではないのだが、ほのかにラムの香りがする。僕がストレートであおっているとウィンウィンは眉をしかめ「コーラで割りな」と言ってコーラをどぼどぼと注いだ。おれはストレートの方がいいんだけどな。ラムのコーラ割りはまあスタンダードだが、甘すぎていやなのだ。<br /> ひととおり飲んだ後ビーフカレーを頼んだ。数種類の副菜付きだ。副菜は口に合うもの合わないものさまざま。<br />僕の口に合ったのは、豆の和え物と煮干の揚げ物くらいだった。カレーはうまかった。気を利かして妹がカレーのおかわりを持ってきてきれたが、2杯目はなぜかあまりうまくなかった。<br /> 飲んで食って飲んでいるうちに10時になってしまった。ホテルのゲートが閉まる時間だ。そろそろ帰らないと。「じゃ、勘定」「ノーノーノー、今日はいいわよ」。ありがとう、いい気分だ。<br /> ホテルに戻り、シャワーも浴びずに寝た。

     一旦ホテルに戻り、ウィンウィンへのみやげを持ってアウンヤダナーレストランへ向った。それにしても重い。こんなものよく背負ってきたものだ。レストランに着くと一番奥の席でウィンウィンが大きく手を振っていた。近づいて握手をして、型どおりの挨拶を交わした。「商売はどう?」「あんまりよくないわ」「カメラマン氏は、水掛祭りの時は満員御礼だったって言ってたよ」「あの時はさすがに儲かったわ。ヤンゴンから大勢ツアー客が来てくれたもの。おかげで弟の学費を賄えたわ」。カメラマン氏とはミャンマー関連のサイトで知り合った日本人の友人で、年2回はバガンに来るバガンフリークのこと。彼もすっかりこのレストランを気に入ってくれ、バガンへ来た時は入り浸っているようだ。イニシャルにすればいいのだがそれだとNさんとなってしまう。ヤンゴンの友人もNさんだし、彼もNさんだし、僕もNだからややこしい。だからカメラマン氏としておく。
     「カメラマンさんは水掛祭りで風邪をひいたらしいね」「そうなの。水かけられて体が冷えて、太陽に晒されて体温がまた上がって、また水かけられて体温下げての繰り返しで調子悪くしたんじゃない?」「おまけにあちこちの家に招かれてご飯を腹いっぱい食べてるし」...としばらくカメラマン氏の話で盛り上がった。
     下から2番目の妹が何も言わずミャンマービールとグラスを持って来てくれた。今晩はゆっくり飲みたいと思ったので、それを断ってミャンマーラムを頼んだ。
     ミャンマーラムは100円もしない酒だけあって、大したものではないのだが、ほのかにラムの香りがする。僕がストレートであおっているとウィンウィンは眉をしかめ「コーラで割りな」と言ってコーラをどぼどぼと注いだ。おれはストレートの方がいいんだけどな。ラムのコーラ割りはまあスタンダードだが、甘すぎていやなのだ。
     ひととおり飲んだ後ビーフカレーを頼んだ。数種類の副菜付きだ。副菜は口に合うもの合わないものさまざま。
    僕の口に合ったのは、豆の和え物と煮干の揚げ物くらいだった。カレーはうまかった。気を利かして妹がカレーのおかわりを持ってきてきれたが、2杯目はなぜかあまりうまくなかった。
     飲んで食って飲んでいるうちに10時になってしまった。ホテルのゲートが閉まる時間だ。そろそろ帰らないと。「じゃ、勘定」「ノーノーノー、今日はいいわよ」。ありがとう、いい気分だ。
     ホテルに戻り、シャワーも浴びずに寝た。

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この旅行記へのコメント (1)

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  • ginさん 2006/06/03 17:13:49
    ご無沙汰です.
    お元気そうですね,ミヤンマ-の旅行記なつかしくてワクワクです.残りの分が待ちどうしいです.ところでヤンゴンの陸橋の近くに商店街が有るでしょう,何軒かの店は夜に成るとディスコやバーに成りハイペリオンさんが期待する様な妖しげな雰囲気に成ってましたよ.勿論いかれたと思いますが(笑).バガンUPしたら知らせてください,樂しみです.Gin

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