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 「さあ、そろそろベニスですよ。いつもだとこのへんからベニスの建物が見えるんですが、・・今日は霧でだめですね。」道路の脇にすぐ海が迫っている。杭がニョキニョキ出ていて、それに信号がついている。広場でバスを降りた。<br /><br /> ここから2隻の水上タクシーの船に分乗して出発。エンジンの音が響き渡り、狭い運河をくねくねと曲がってしばらく走ると、ぱっと目の前が開けた。美しい壁画や飾りのついた家々が立ち並び、その戸口を波が洗っている。その光景は、よく写真などで目にするものだった。でも、「百聞は一見に・・」の例えどおり、本物の魅力は予想以上。ヴェネチア、何て素敵なんだろう。<br /><br /> やがて船着場に着いて、ゆらゆらする船から危なっかしい足取りで降りて、狭い道を歩いてホテルへ。Hotel Ketteは、かわいらしい上品なホテルだった。先ほどの船着場の近くのレストランで昼食。なかなかいいレストラン。銃や剣などのコレクションがずらりと壁に・・。暖炉には火が赤々と燃えている。マカロニから始まって、舌平目のソテー、デザートのフルーツポンチまで、美味しくって始めて全部残さず頂いた。<br /><br /> ホテルへ戻る。また雨が落ちてきた。傘を出さなきゃ。屋根裏部屋みたいな可愛らしい部屋。天井が斜めなので、立って見上げると妙な気分。窓を開ける。緑色のよろい戸をばたんと開けて、歓声を上げた。レンガ色の古い瓦が無造作に乗せられた屋根、目の前の煙突からは白い煙が出ていて、そのそばで数羽の鳩が雨宿りをしている。きっと何百年も変らない風景なんだろう。<br /><br /> 午後3時、傘を手にロビー集合。ガイドのおじさんは、早口の日本語を話すイタリア人。後をついて細い路地を行くと、広場に出た。ここがサンマルコ広場。雨のせいか、あまり人は歩いていない。水浸しではなかったのでほっとする。水没した時の為に、足場となる長テーブルのようなものがあちこちに重ねて置いてある。<br /><br /> サンマルコ寺院の内部は素晴らしかった。太い大理石の柱のあたりは床がゆがんでぐっと落ち込み、地盤沈下を示している。いつかは崩れ落ちるという、この巨大な建物。<br /><br /> そして、ヴェネチアングラスの実演を見る。ごうごうと音を立てている炉のそばで、あっという間に壷や馬が出来上がる。作ったものは、見せた後ガラス屑の入った箱にポイ。(冷めるとひびが入って壊れちゃうらしい)2階へ案内される。きんきらで派手なのがずらり。<br /><br />「これから、カフェ・フローリアンでお茶飲んでいきませんか?」ここで解散となって、声がかかる。映画「旅情」に出た有名なカフェ。サンマルコ広場に面したアーケードの並びの一角にあって、ゴージャスな作りのカフェだった。いくつもの小部屋に分かれていて、天井にも壁画が描かれている。チョコラータを注文。体が冷えたので温まりたい。そこへ、日本人夫婦が案内されて入ってきた。隣のテーブルに座ったので、話しかけると、ドイツのデュッセルドルフ在住で休暇中とか。「気の向くまま旅行してるんですよ、ホテルも予約せずに。」<br /><br /> 熱いチョコレートで一息ついて、濡れた靴も乾いたのでホテルに戻ることにする。外は相変わらずしとしとと冷たい雨。柔らかな黄色い灯が、雨に濡れた石畳にぼうっと映る。帰り道、本屋に立ち寄ったり、ひとつひとつお店の素敵なショーウィンドウを覗きながら歩いた。Hさんが急に慌てて戻っていった。落し物をしたとか。14000円のネックレス・・。<br /><br /> 喉がひどく痛む。あーあ、風邪ぶり返したかな。薬を飲んだ。1時間近く部屋で休んで、7時半ロビー集合。夕食は希望者のみとのことだったが、結局みんな徳田さんについていく。<br /><br /> レストランは「タベルナ・フェニーチェ」有名なフェニーチェ劇場のすぐそば。今夜もオペラがあるらしい。メニューは、あさりのスパゲッティー、イカの墨煮(やや塩辛かったけど美味しかった)とうもろこしの粉で作ったというはんぺんみたいなのが添えられている。デザートはアイスクリーム入りケーキ焦がしたカラメルソースがけ。ウェイターが、時々「うまいか?」と聞く。「ブオノ、ブオノ!」みんなはワインを美味しそうに飲んでいたけど、私は風邪薬飲むため、ミネラルウォーター。<br /><br />「明日はどちらへ行かれますか?」明日はフリー。みんなそれぞれ考えているようで、オプショナルツアーはほとんど参加者もいなくて中止。私はレースの島ブラーノに行くつもり。徳田さんに行き方を尋ねる。「レースのウェディングが飾ってあったりして、素敵ですよ。」彼女の話に、「へえー、何度もヴェニスに来ているけど、行った事ないな、面白そうだから行ってみよう。」と、コピーライターのS女史、グラフィックデザイナーのO氏が一緒に行くことになって、明朝10時ロビー待ち合わせということで別れた。<br /><br />

イタリア冬の旅? ベネチア1日目 

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1986/01/01 - 1986/01/13

3911位(同エリア4053件中)

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2

アーマ

アーマさん

 「さあ、そろそろベニスですよ。いつもだとこのへんからベニスの建物が見えるんですが、・・今日は霧でだめですね。」道路の脇にすぐ海が迫っている。杭がニョキニョキ出ていて、それに信号がついている。広場でバスを降りた。

 ここから2隻の水上タクシーの船に分乗して出発。エンジンの音が響き渡り、狭い運河をくねくねと曲がってしばらく走ると、ぱっと目の前が開けた。美しい壁画や飾りのついた家々が立ち並び、その戸口を波が洗っている。その光景は、よく写真などで目にするものだった。でも、「百聞は一見に・・」の例えどおり、本物の魅力は予想以上。ヴェネチア、何て素敵なんだろう。

 やがて船着場に着いて、ゆらゆらする船から危なっかしい足取りで降りて、狭い道を歩いてホテルへ。Hotel Ketteは、かわいらしい上品なホテルだった。先ほどの船着場の近くのレストランで昼食。なかなかいいレストラン。銃や剣などのコレクションがずらりと壁に・・。暖炉には火が赤々と燃えている。マカロニから始まって、舌平目のソテー、デザートのフルーツポンチまで、美味しくって始めて全部残さず頂いた。

 ホテルへ戻る。また雨が落ちてきた。傘を出さなきゃ。屋根裏部屋みたいな可愛らしい部屋。天井が斜めなので、立って見上げると妙な気分。窓を開ける。緑色のよろい戸をばたんと開けて、歓声を上げた。レンガ色の古い瓦が無造作に乗せられた屋根、目の前の煙突からは白い煙が出ていて、そのそばで数羽の鳩が雨宿りをしている。きっと何百年も変らない風景なんだろう。

 午後3時、傘を手にロビー集合。ガイドのおじさんは、早口の日本語を話すイタリア人。後をついて細い路地を行くと、広場に出た。ここがサンマルコ広場。雨のせいか、あまり人は歩いていない。水浸しではなかったのでほっとする。水没した時の為に、足場となる長テーブルのようなものがあちこちに重ねて置いてある。

 サンマルコ寺院の内部は素晴らしかった。太い大理石の柱のあたりは床がゆがんでぐっと落ち込み、地盤沈下を示している。いつかは崩れ落ちるという、この巨大な建物。

 そして、ヴェネチアングラスの実演を見る。ごうごうと音を立てている炉のそばで、あっという間に壷や馬が出来上がる。作ったものは、見せた後ガラス屑の入った箱にポイ。(冷めるとひびが入って壊れちゃうらしい)2階へ案内される。きんきらで派手なのがずらり。

「これから、カフェ・フローリアンでお茶飲んでいきませんか?」ここで解散となって、声がかかる。映画「旅情」に出た有名なカフェ。サンマルコ広場に面したアーケードの並びの一角にあって、ゴージャスな作りのカフェだった。いくつもの小部屋に分かれていて、天井にも壁画が描かれている。チョコラータを注文。体が冷えたので温まりたい。そこへ、日本人夫婦が案内されて入ってきた。隣のテーブルに座ったので、話しかけると、ドイツのデュッセルドルフ在住で休暇中とか。「気の向くまま旅行してるんですよ、ホテルも予約せずに。」

 熱いチョコレートで一息ついて、濡れた靴も乾いたのでホテルに戻ることにする。外は相変わらずしとしとと冷たい雨。柔らかな黄色い灯が、雨に濡れた石畳にぼうっと映る。帰り道、本屋に立ち寄ったり、ひとつひとつお店の素敵なショーウィンドウを覗きながら歩いた。Hさんが急に慌てて戻っていった。落し物をしたとか。14000円のネックレス・・。

 喉がひどく痛む。あーあ、風邪ぶり返したかな。薬を飲んだ。1時間近く部屋で休んで、7時半ロビー集合。夕食は希望者のみとのことだったが、結局みんな徳田さんについていく。

 レストランは「タベルナ・フェニーチェ」有名なフェニーチェ劇場のすぐそば。今夜もオペラがあるらしい。メニューは、あさりのスパゲッティー、イカの墨煮(やや塩辛かったけど美味しかった)とうもろこしの粉で作ったというはんぺんみたいなのが添えられている。デザートはアイスクリーム入りケーキ焦がしたカラメルソースがけ。ウェイターが、時々「うまいか?」と聞く。「ブオノ、ブオノ!」みんなはワインを美味しそうに飲んでいたけど、私は風邪薬飲むため、ミネラルウォーター。

「明日はどちらへ行かれますか?」明日はフリー。みんなそれぞれ考えているようで、オプショナルツアーはほとんど参加者もいなくて中止。私はレースの島ブラーノに行くつもり。徳田さんに行き方を尋ねる。「レースのウェディングが飾ってあったりして、素敵ですよ。」彼女の話に、「へえー、何度もヴェニスに来ているけど、行った事ないな、面白そうだから行ってみよう。」と、コピーライターのS女史、グラフィックデザイナーのO氏が一緒に行くことになって、明朝10時ロビー待ち合わせということで別れた。

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  • カフェ「フローリアン」の前

    カフェ「フローリアン」の前

  • ベネチアのホテルの部屋からの眺め<br /> 

    ベネチアのホテルの部屋からの眺め
     

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