1986/01/01 - 1986/01/13
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アーマさん
1月5日
鎧戸をごとごと開けて、思わず歓声。「いい天気よ!」真っ青な空をかもめが舞い、鳩が嬉しそうに飛び回っている。屋根の向こうのサンマルコ寺院の像が朝日に輝く。朝食もそこそこにカメラを手にホテルを飛び出した。出発までのわずかな時間、ベネチアをもっと見たい。ホテルの裏の、人が一人やっと通れるくらいの細い路地を通って、フェニーチェ劇場へ。誰もいない。ここでオペラを見たかったね・・。
ホテルに戻る。「出発しますよ」徳田さんの声に慌ててついて行く。裏で船が待っていた。
朝日が建物を照らし、あちこちの窓が開いて、ベネチアの一日が始まった。台所らしい窓際に立つ婦人、犬を連れて散歩する人、手を振るとみんな挨拶を返してくれる。「さよなら、ベネチア、また来るからね!」ベネチアは最後に素晴らしい朝の素顔をプレゼントしてくれた。
やがて広い大運河、大きな船が停泊している。船着場に着いて、先に降りた人たちが何やら叫んでいる。「足元凍ってますよー」「気をつけて!」ほんとにつるつる。おっかなびっくり歩いていたら、後ろでどっと笑い声。早速滑って転んだのはHさん。ちょうどビデオを撮っていたK氏、画面から彼女の姿がふっと消えて、下を見たらひっくり返っていたとか。笑い声とともにバスに乗り込んだ。
今日はバスの最前列、運転手の後ろの席。今日のコースは、パドヴァ〜フェラーラ〜ラベンナ、1時間ほどでパドヴァ着。運転手とガイドさんが声高に話し合っている。彼が道をよく知らないらしい。とにかく降ろされ、ぞろぞろ歩き出した。「やっぱり違う、ここから歩いて行くには遠すぎます・・」結局近くの教会を先に見て、それからスクロベンニ礼拝堂に向かうことになった。
教会の前の広場には鳩がいっぱい。土産物屋の屋台が2,3暇そうに止めてある。教会へ入ると、オルガンの音。「あ・・、結婚式!」新郎新婦は質素な服装で、花嫁は白いベールをつけただけ。神父のお祈りの間、オルガン弾きのめがねのお兄さんが、アベマリアなどのBGMを奏でる。時々伴奏がいい加減なところもあって、思わず苦笑。写真を撮りたかったけど、教会の中では禁止の場合が多いし、プロの写真屋の男がじろりと振り返るので、やめた。
教会の入り口辺りはすごい人だかり。背伸びしてみると、クリスマスのデコレーション、かなり大仕掛けのセットだった。小さな人形たちが動いている。中央の馬小屋の中には幼いキリストを抱くマリア様。お祝いに駆けつけた人々に向かって、キリストを見せ、可愛らしい幼子が祝福を与えている。遠くの丘の上には天使が現れては消え・・、とても幻想的。畑では農民が鍬を振るっている。
次にスクロベンニ礼拝堂へ向かう。ここはジオットの壁画で有名。礼拝堂は、外から見れば普通の建物。中へ入って驚く。内部の壁すべてが絵で埋め尽くされている。柔らかな色調で、描かれているのは聖書の物語。マリアの両親が、子宝に恵まれるようにと祈っている場面、マリアが生まれ、その夫となる人物をくじで選んでいる場面、とても分かりやすく、次から次へと物語は展開する。
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