エジプトの旅【1】　クレオパトラを生んだ「地中海の真珠」　アレキサンドリア

2004/04/03 - 2004/04/10

「地中海の真珠」と呼ばれるアレキサンドリアは地中海に沿って海岸線が延び、海岸通りにはヨーロッパ風のカフェが立ち並ぶおしゃれなリゾートの街だ。人口３３０万人を擁するエジプト第２の都会でもあるこの街はマケドニア王国のアレキサンダー大王によって紀元前３３２年に創設された。そして紀元前３０５年から紀元前３０年までの間、エジプト最後の王朝、プトレマイオス王朝の首都であった。「クレオパトラの鼻があと３センチ低かったら歴史は変わったであろう」とフランスの哲学者ブレーズ・パスカルに言わしめた絶世の美女クレオパトラは紀元前６９年、プトレマイオス１２世の子としてアレキサンドリアに生まれている。近親結婚が多かったと言われるこの時代に父の死後クレオパトラは８歳下の弟プトレマイオス１３世と結婚し王位を継承する。しかし、まもなく弟プトレマイオス１３世の側近にエジプトを追われたクレオパトラはローマ皇帝カエサルに接近、カエサルをとりこにする。カエサルはプトレマイオス１３世を追放し、エジプトの実権をクレオパトラに握らせる。クレオパトラとカエサルの間には息子カエサリオンができていたが、紀元前４７年にカエサルはローマの共和主義者達に暗殺されてしまう。ひるまないクレオパトラは今度は新しいローマの実力者アントニウスをとりこにし王朝を復活させる。しかし、もう一人の実力者オクタビアヌスは彼の姉でアントニウスの妻であるオクタビアをないがしろにし、クレオパトラに執心するアントニウスに怒りアクティウムの海戦に発展する。ローマ帝国の政権をかけた戦いだったがアントニウスは敗れてしまう。クレオパトラは今度はオクタビアヌスに接近することなく、紀元前３０年、コブラに身体を噛ませて３９歳の生涯を閉じた。この結果エジプト３０００年の王朝の歴史は終焉し、以後ローマ帝国の支配下に置かれることとなった。エジプトの王朝の歴史にピリオドを打ってしまったと言われるクレオパトラだが、実際には既に弱体化していたエジプト王朝を守るためにローマ帝国との外交に奔走したが、努力は実を結ばず、刀折れ矢尽きてしまったのではないだろうか。彼女はエジプトを最も愛した女性だったのではないだろうか。美しい地中海を眺めながら、そして１９６３年にエリザベス・テーラーが主演した映画「クレオパトラ」を思い浮かべながら、悲運の女王クレオパトラに思いを馳せていた。（写真はローマ帝国支配下３世紀頃建造されたと言われるポンペイの柱）

エリア アレキサンドリア(エジプト)

美しい地中海の海岸線。

アレキサンドリアのグレコ・ローマン博物館のクレオパトラ７世の頭部像。この像からだけでは絶世の美人を想像し難い。

１９６３年にエリザベス・テーラーが主演した映画「クレオパトラ」

入浴する美の女神像。

入浴する美の女神像の顔立ち。

横たわって飲食するギリシャ人像。

アレキサンドリアのグレコ・ローマン博物館の聖牛アピスの像。

アレキサンドリアのグレコ・ローマン博物館のイシス女神像。

３世紀頃、ローマ皇帝ディオクレティアヌスを記念して建てられたセラピス神殿の跡といわれる。コリント式の円柱は台座を含め３０ｍ。右はスフインクス像。

コリント式の円柱の最上部の彫刻。

アレキサンドリアーカイロ間の移動に利用した列車。

３世紀頃、ローマ皇帝ディオクレティアヌスを記念して建てられたセラピス神殿の跡といわれる遺跡。

アレキサンドリア駅。

アレキサンドリアのグレコ・ローマン博物館を見学に来た子供達。