2015/03/21 - 2015/03/30
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neisanさん
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バスを降りた瞬間、映画の中にいるような錯覚を感じました。
「旅情」「ローマの休日」そして映画「ニューシネマパラダイス」はイタリアを代表する映画のひとつです。映画の舞台となったあの噴水のある広場へ行ってみたい。今回の旅は「心に残る風景を求めて」がテーマです。
インターネットの時代に入り、自宅に居ながらにして多くの情報を得ることができます。それでも、シチリアの片田舎へ行くための情報は英語の情報も不十分でした。イタリア語を英語訳しながら必要な情報を長い時間をかけ探し、旅のめどがが立ちました。
この舞台になった村パラッツォ・アドリアーノへ行くには、①パレルモからバスが出ている。②朝早いバスに乗れば数時間村に滞在し午後のバスで夕刻パレルモに戻れるというものでした。
詳しいことは現地に行ってみないと分かりません。バス乗り場に近いパレルモ中央駅の駅前ホテルを2泊予約し、パラッツォ・アドリアーノを訪れ、映画の中を歩いてみることにしました。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 観光
- 4.5
- 交通
- 2.5
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 20万円 - 25万円
- 交通手段
- 鉄道 高速・路線バス 徒歩
- 航空会社
- エミレーツ航空
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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パレルモ駅前のバス乗り場です。バス会社のインターネットの情報は次の3点でした。パラッツォ・アドリアーノへはASTのバスが行く。ASTのバス乗り場は、パレルモ中央駅から北東に2筋離れたバルBIGBUSの前から出発する。切符はここで販売している。そして出発時刻です。
前夜確認のため地図を頼りにバルBIGBUSへ行くと、バルがなくなっています。そして通りをはさんでバルNEWBUSがありました。
バルに入り、パラッツォ・アドリアーノへの切符はここで買えるかと尋ねると、親切な店員さんが英語で「今日はもうない、明日だよ」と教えてくれました。念のため時刻を確認すると6:35は間違いありません。そして、まだその時刻は店が閉まっているので、切符は運転手からと教えてくれました。
イタリアの情報は複数か所で照合しないと安心できません。確認のため、バスの出発はバル前だねと尋ねると、駅前だといいます。
地図を出し、バス停を教えて頂きました。これは同社のホームページが改訂されていないと判断し、駅前でバスを待つことにしました。 -
発車20分前、パレルモ駅前に到着。日本であれば長距離バスは定刻前にバス乗り場に入るのですが、ここはイタリアです。何が起こるか想像できません。
発車時刻の15分前に、近くにいたタクシードライバが「どうしたの」「空港か?」らしきことをイタリア語で尋ねてきました。"Palazzo Adriano Fermata?"と尋ねると、なぜかこれだけは英語で"Bus dose not come"といいます。
どうみても怪しいので、近くに停まっていた同じ会社のバス運転手にパラッツォ・アドリアーノと尋ねると、乗り場を指さし教えてくれました。そして今入って来たバスを指さします。
"Grazie!"と叫んで、バスに走り込みました。パラッツォ・アドリアーノへ行くバスに限って行き先表示が消えたままです。よく見るとバスの運転手の所に小さな紙で行き先が貼ってある。やはりイタリアです。タクシーの運転手はイタリアをなめるなと教えてくれたかもしれません。
運転手に"Palazzo Adriano andata e ritorno"といい、往復切符を購入。13ユーロ也。 -
今日3月25日は、シチリアでイタリア鉄道のストが予定されていました。運良く移動日の間にはさまれ、ことなきを得ましたが、このバスに乗れなければパラッツォ・アドリアーノへ行くこともできませんでした。昨夜のバルの店員といい、今日のバスといい。往路のケーキ以来、幸運が続いています。
バスは快調にシチリアの山間部を走っています。山はそれほど険しいものではなく、高原を行く雰囲気です。 -
バスの両脇にはなだらかな牧草地が広がります。あまりシチリアの中央部は話題に取り上げられませんが、周囲にはすばらしい風景が広がっています。
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バスは時々、主要幹線から離れ集落に立ち寄っていきます。
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山の上に街が見えます。日本では見られない光景ですね。
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バスはパラッツォ・アドリアーノへ向かうため、間道へと入ってきました。曲がりくねった山道が続きます。
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日本と同じく春先の風景を車窓から見ることができます。
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パラッツォ・アドリアーノの村の外れが見えてきました。いよいよ到着です。
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バスは村に入り、中心部へと進んで行きます。
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事前にGoogleStreetViewで見ておいた見覚えのある街角が見えてきました。
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角を曲がってウンベルト広場に到着です。ここまで乗り通したのは私一人でした。このバスは途中の街で通学するこどもを学校がある街まで送り届けることが仕事のようです。
バスを降りる際、運転手に帰りの時刻を書いた手帳を見せ、時刻の確認とジェスチャーでここで待っていると伝えると、インフォメーションはあちらだよらしきことをイタリア語で教えてくれました。 -
まずは広場に立ち、かの噴水に向かいます。当たり前ですが映画の通りです。ただし、映画で見た印象と比べると思ったよりも大きいですね。
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次にインフォーメーションへ向かいます。左の建物の左端の入り口がインフォメーションでした。中に入り、"Hello"と言って様子をうかがうと少し困惑した様子。やむなく"Buongiorno!"続いて"Museo nuovo cinema paradiso"といいますと、来訪の目的が分かったようです。
博物館の鍵を持ち同じ建物の中にあるニューシネマパラダイスの博物館へと案内してくれました。 -
インフォーメーションを出てすぐ右の通路を入るとニューシネマパラダイスの博物館です。ふだんは鍵が掛けてあり来客の時だけ開けるようです。
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入り口には博物館を示すプレートもつけられていました。
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中に入り、電気をつけると一部屋だけのかわいい博物館です。中には見覚えのあるものや写真が展示されています。
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この自転車もアルフレッドがトトを乗せて走ったものですね。
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中を見学していると、先ほどのインフォーメーションの女性が若い女性を連れ戻ってきました。曰く彼女は英語が話せるとのこと。
ようやく意思疎通ができるようになりました。どうやらこの田舎では英語が話せることが特別のことのようです。インフォーメーションの女性の口からも英単語が全く出てきません。
通訳の方が何か希望はありますかとのことなので、「親切ありがとうございます。一人で写真を撮って歩きますので大丈夫です。」と伝え、できれば先ほどインフォーメーションで頂いたパラッツォアドリアーノのカレンダーを友人のお土産にもう一つ下さいとお願いしたところ、気持ちよく分けて頂けました。 -
いつもまでも長居すると、博物館を閉められないので、お礼をいい、外へ戻ります。
まずは噴水の近くで1枚。 -
周囲には映画で見た光景が広がっています。
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この通りの中央、赤い車の所にパラダイス座のセットが建てられていました。
映画と異なるのは意外と車の多さ。この広場を除いては街の中に広い空間はありません。 -
街歩きを始めます。広場から狭い辻を進んでいきます。
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街の中心は石畳で覆われています。
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少し歩くと坂道になり、先に教会が見えます。
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坂道が急になってきました。
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坂道を登り切り振り返ると村の中央が見えます。
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ここまで村の中央から10分ほど、戻りは一つ隣の道を戻ります。
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村の外を見ると高原が広がっています。
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村の中を歩くと必ず"Buongiorno!"と声を掛けられます。素性の知れない東洋人に対して無視をするようなことはありません。こちらも勝手に写真を撮って歩いているわけですから、自分から"Buongiorno!"と声を掛けるようにしました。相手も必ず返事を返してくれます。
村のあちらこちら噴水があり、日本であれば有名な観光地になっていそうな所です。 -
村の中央(ウンベルト広場)へ戻ってきました。ここは街の中心、村の老人たちが集まりおしゃべりに花を咲かせています。
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広場の前の教会に入ってみました。
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映画に登場したものは、小道具だったのでしょうか?それともこれが?
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少し歩き疲れたのでバルで一休み。場所は、先ほどのインフォメーション右側の扉です。
"Hello","Coffee please"と言って入って行くと、中にいた男達が、この東洋人英語を話すぞ、どうしようという雰囲気。確かに英語というイタリア語は聞き取れましたが、誰一人として応答しません。仕方なく"Buongiorno! Coffee per favore"と言うとなぜか周囲がホッとした様子。ここではコーヒー1杯が0.6ユーロでした。
この変わらない素朴さ故に映画の舞台として選ばれたとのこと、その雰囲気は今でも続いています。
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再び噴水の前に。映画のワンシーンでは、後ろの壁の上で広場の主が寝ていたことになっていますが、結構高くて狭そうです。
さすがに人の眼があり、ここに登ることはできませんでした。 -
さらに街歩きを続けます。
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ここにも小さな泉がありました。
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結構きつい斜面を登っていきます。
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古い街並が続きます。
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街の外れから外を見るとなだらかな丘陵地が広がっています。
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シチリアの田舎らしいきれいな風景ですね。
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再び広場へ。街はこの広場を中心に広がっています。
元気な地元の老人達。絵になります。 -
街の辻の途中に抜け道があったので通ってみました。
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振り返ると、なにやら見覚えのある階段です。個人の住宅の入り口ですので申し訳ないのですが、ここは眼の見えなくなったアルフレッドがトトに話す場面で使用されたアルフレッドの家ではないでしょうか。
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先ほどまでの曇り空がにわかに晴れ上がり、青空見えました。ここはウンベルト広場から西に抜ける狭い通りです。
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この塔もぜひ登ってみたかったのですが、鍵が掛けられていました。
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再び坂道を登ります。
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城跡がありました。
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ここも鍵が掛けられていたため中の様子がよく分かりません。
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再び広場に。天候が回復し広場がとても明るく感じられます。
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お腹が空いてきたので、唯一のレストランに出向いたところ、12:30オープンと書いてあります。とりあえず扉を開け、中の人に聞いてみるとやはり12:30よりとのこと。帰りのバスが13:45に出ます。ゆとりをもって広場に戻りたい。12:30から準備を始め、とても1時間で広場に戻れるとは思えません。残念ながらここは諦めることに・・・。
広場から少し離れたところにバルがあったので入ってみると、サンドイッチらしきもが置いてあります。今日はこのサンドイッチで済ませることにしました。1.6ユーロ也。トマトベースにハムとチーズがはさんであります。量もたっぷり。ことばは通じませんがそれでも対応してくれるところがありがたいですね。 -
広場の教会の前の階段に座り、さきほどのサンドイッチを頂くことにしました。
すぐ隣は先ほどのインフォメーションです。ここには公衆トイレはありませんので、右のバルのトイレをお借りしました。コーヒー付きで80円ほど、ほぼ日本語の発音の"トイレ"で通じます。 -
教会の壁に1878年に付けたと思われる日時計。意外と正確に時を示しています。時刻は13時。このまま広場でバスが来ることを待つことにします。
予定のバスが遅れるとは限りません。
地元の人が「どうしたのかい?」らしきことをイタリア語で話しかけてきます。知っている単語は"AUTOBUS"(アウトブス)、これで分かって頂けると思います。 -
もうすぐお別れだなと待っていても、なかなかバスが現れません。
ここは始発のはず。
ここはイタリア、やはりイタリアと思いつつ、発車時刻13:45を過ぎてしまいました。バスを待っているのは自分一人です。
最悪のケースは明日の朝一番のバスに乗れば、この先の旅は続けられますが・・・。 -
15分遅れでバスがやって来ました。運転手はすまなさそうに機械のトラブルとイタリア語で言っていましたが、これで無事パレルモへ帰れるかとホッと一安心です。
一人の客を乗せ、バスは来た道を引き返し始めました。 -
往路と違い、天気が回復して素晴らしい眺めが前方に広がっています。最前列に席にとり流れ行く景色を堪能します。
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シチリアはもっと急峻な地形かと思っていましたが、このあたり高原地帯の連続です。
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広い風景が前方に広がっています。
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往路にも寄った山の上の街にやってきました。わずかな運行本数でも経由する街々では人々が乗り降りしていきます。
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ここでも結構風力発電をしているのですね。たくさんの風車が車窓から見られました。
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山道が終わりに近づき、平地が多くなってきました。
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高速道路に入り前方に海が見えてきました。もうすぐパレルモです。
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パレルモ市内に戻って来ました。帰宅ラッシュの最中です。日は西の空に傾き夕暮れが近づいています。
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パレルモ駅に無事帰ってきました。ことばの通じない所に出掛け、シチリアの人々の暖かい心に触れることのできた一日でした。
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この旅行記へのコメント (8)
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- Daliaさん 2018/03/18 14:44:06
- はじめまして
- まさにこの地に行きたく計画中で
色々検索していたらこちらのレビューを
見つけました。
写真も素敵で、すっかり行った気に 笑
どうせならゆっくり行きたいと
伸ばしてしまいましたが 弾丸でも
これだけの目的でも行こうかな?と
勇気が出ました。
ありがとうございます。
- neisanさん からの返信 2018/03/18 23:25:01
- Nuovo Cinema Paradiso
- トルナトーレ監督が語ったように、パラッツォ・アドリアーノは今でも映画のままです。そしてこの地を訪れることは一生の想い出になることと思います。ぜひお出かけください。日程の都合もあるかもしれませんが、パレルモ近くにあるバゲリーアは、同監督の「シチリア・シチリア」の舞台、島の反対になりますが、シラク−ザは「マレーナ」の舞台です。
パラッツォ・アドリアーノの街の中に雑貨兼土産物屋のような店があり、街の絵はがきを売っています。ハガキはインフォメーションで出すことができるそうです。私が出そうとしたときはインフォーメーションが閉まっており、パレルモ駅隣の郵便局で出しましたが、未着のままです。
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- Pメテオラさん 2016/11/02 22:59:47
- テーマがあっていいですね
- 作者さまのテーマに沿って展開する素敵な一作ですね。映画の記憶に対する思い入れが感じられました。シチリアを舞台にした映画はいくつか知られていますが、どれも個性的な切り口だと思います。次はどの映画かお話しが切り口になるのでしょうか。また、何かに寄りそう旅になりますように。
- neisanさん からの返信 2016/11/03 14:16:09
- 旅のきっかけは
- 旅行記をお読みいただきありがとうございます。
旅をしたいと思うとき、そこには必ず何かのきっかけがあります。パラッツォ・アドリアーノを訪れたのは、映画「ニューシネマパラダイス」ですが、このナポリからマルタに至る旅は、過去に見たTV番組や小説・新聞の特集記事等がいつまでも心に残っていたものです。そして、このパラッツォ・アドリアーノに続き訪れたシラクーサも、同じくトルナトーレ監督の映画「マレーナ」の舞台です。いままでシチリアのイメージは「ゴッドファザー」でしたが、この旅を通して全く印象の異なるものにしてくれました。イタリアには世界遺産の名は付かなくとも美しい風景がたくさん残されています。機会があればぜひお出かけください。
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- TSUNEさん 2015/04/24 23:04:31
- 映画の地
- neisanさん、こんばんは。
ニューシネマパラダイス、私も大好きな映画です。
その舞台にのんびり観光なんて羨ましいですよ(笑)
大好きな映画の舞台を観光で訪問したらテンションあがるんだろうな〜。
TSUNE
- neisanさん からの返信 2015/04/25 11:37:17
- イタリア映画の中の原風景
- 旅行記を訪問していただきありがとうございます。
ブログに書きましたように、イタリア映画には、いくつかの原風景のようなものがあります。ニューシネマパラダイスは比較的新しい映画ですが、あの噴水のある広場は、映画の内容からいっても、とても心に残るシーンです。
私の旅のスタートは、いつも何らかのきっかけから始まります。トルナトーレ監督が語っているように、この映画のエキストラは地元の人たち、そしてこの素朴な街が変わっていないことが、この地を訪れるきっかけとなりました。
決して効率の良い旅行とはいえませんが、一日をこのために費やして余りある旅となりました。ぜひイタリアにもお出かけください。
NEISAN
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- procidaさん 2015/04/23 22:02:51
- はじめまして!
- 私も1年前にシチリアを旅しました。
ニューシネマパラダイスは何度も見ました。大好きな映画です。
あのサントラは今でもよく聞きます。
この街に行った事はありませんが、すごく気になってました。
この旅行記をじっくり見て、素晴らしさがわかりました。
ありがとうございます!
ブロチダ
- neisanさん からの返信 2015/04/24 17:17:45
- 来訪ありがとうございます。
- 旅行記を訪問していただきありがとうございます。
旅行記にも書いたように、公共交通機関で本当にパラッツォ・アドリアーノを無事往復できるかが今回の旅のキーポイントでした。そして、現地を訪れ感じたことは、地元の人たちの変わらない素朴さと来訪者への親切心です。
今回の旅の収穫は、旅行直前に覚えたわずか20個程度のイタリア語でも、十分なコミュニケーションを図れるということでした。
自分の脚で歩いて感じる旅は、心を豊かにしてくれます。お互いにこれからもよい出会いを続けたいですね。
NEISAN
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