2015/01/15 - 2015/01/17
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ちびのぱぱさん
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坊ちゃん列車が走る松山城下。
乗る人は少ないですが、この列車が市街を走り抜けるたび、それを目にする人々の眼差しが優しくなります。
城下町、という言葉がこれほど似つかわしい街を訪れたのは初めてでした。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 同行者
- カップル・夫婦
- 交通手段
- 徒歩 Peach
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時刻は午後8時を少しまわったところ。
松山空港というのは思ったよりも立派な空港で、飛行機のタラップから降りて、そのままとことこシャトルバスに乗り込むんじゃないか、という予想は裏切られました。
飛行場と納豆の粒は小さい方がよいと思います。
バス乗り場にはいくつかの停留場があり、飛行機の時間に合わせて発着するシャトルバス(松山駅までは400円、道後温泉までは500円)と路線バスで市内に向かうことが出来ます。
初めて踏む四国の夜風は、どことなく柔らかくて、街のネオンの色も暖色を帯びていました。 -
大街道(おおかいどう)のホテル
「どちらにいかれますか?」
大街道のバス停で降りて、目の前の交番の地図をしげしげ見ていたら、頭の上から声が落ちてきました。
メガネをかけた優しそうな若いお巡りさんの顔が、190センチはありそうな高さから見下ろしています。
「松山ニューグランドというのは、この近くでしょうか。」
大街道あたりは三越があったりする繁華街で、もう夜の9時近いのにずいぶんにぎわっています。
教えられた通り二つ目のファミリーマートの隣にあったホテルは、機能的で、なぜかPH8.9のアルカリ泉源泉掛け流しが楽しめる大浴場が付いてます。
すぐ近くが道後温泉ですが、ビジネスホテルに温泉というのは素直にうれしい。
ぬるめの湯で冷えた体を芯から温め、床につくと、翌朝は晴れ渡っていました。 -
まず、愛媛県庁舎が目に入ります。
「それから学校の門を出て、すぐ宿へ帰ろうと思ったが、帰ったって仕方がないから、少し町を散歩してやろうと思って、無暗に足の向く方をあるき散らした。県庁も見た。古い前世紀の建築である。」夏目漱石「坊ちゃん」より
この建物は1929年のもので、坊ちゃんの時代より20年以上後に建てられました。 -
すがすがしい朝の空気を胸一杯に吸い込んで、堂々たる県庁舎のある通をお城のある方角に歩きます。
頭の中には、NHKドラマ「坂の上の雲」のテーマソング、Stand Aloneが響き渡る。
頭の中で鳴っている限り、誰にも迷惑はかけません。
そういえば、最近持病の耳鳴りが静かにしているような気がします。
旅に出たせいかなあ……。 -
坂の上の一朶(だ)の雲を目指し登って行く。
今日は良い天気だなあ。 -
この旗……
大街道の方から吹き上げる風に、しきりにはためいています。
しかし、なにが恋人の聖地なのだろうか。
にぎにぎしい幟といい、ちょっと引いてしまうのですが…… -
ロシア人と日本女性の悲恋物語
旗の先には、このような建物。
ここは、二の丸のあったところで、城のある勝山のまだ登り口になります。
一時期学校として利用されていた場所だったものが、史跡として保存するために調査がなされました。
すると井戸の中から一枚の金貨が出てきたのです。
その金貨には、カタカナでタチバナカという名ともう一人ロシア人と思われる人物の名が記されていました。
これはどういう事か。
人々の好奇心は大いにかき立てられます。
秋山好古、真之の二兄弟も活躍した日露戦争においては、大量のロシア兵捕虜がこの地に抑留されていました。
一人前の国家であることを証明したかった日本は、捕虜を手厚く遇したと言います。
当時の新聞に、そんなロシア兵と日本人看護婦との間のなさぬ恋のことが取り上げられていることが分かり、もしかするとその縁の品かも知れないと取りざたされます。
しかし、いくら当時の記録をひっくり返しても、タチバナカという名の日本女性の存在を確かめることが出来ません。
ところが詳しく調べると、タチバナカの「チ」は「ケ」という字の読み違えであることが判明し、当時の記録には竹場ナカという女性の名が残されていたのです。
コインは1899年製の10ルーブル金貨でした。
なさぬ仲になってしまったロシア兵捕虜と日本人看護士。
せめてコインに二人の名を刻んで井戸に投げ込んだのでしょうか。
それが100年の時を経て人々の目に触れる。
その物語はミュージカルとなって、近くの劇場で上演されました。
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不思議な話だなあ。
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NHKドラマ「坂の上の雲」では、最終回に長命であった秋山好古が校長を務めた学校前で生徒たちの挨拶を受ける場面がありました。
それがこの場所だと教えてくれたのは、毎日二回松山城に登るという年配の男性です。
「偶然見かけたんだけどね……。」
とおっしゃっていましたが、毎日二回登っていれば、そういう場面にも出くわすでしょう。
「おれが写真を撮ろうとしたら、えらい剣幕でしかられてな。」
NHKとしても、放映前に情報が漏れるのを嫌ったということです。
「けちけちしやがって……。」
ぶつぶつこぼしておられました。 -
すぐ横に、ジョウビタキ(メス)でしょうか、石垣にとまっています。
高いところから、ツキ、ヒ、ホシ、ホイホイホイと鳴く声がします。
「サンコウチョウ、かな?」
私がつぶやくと、毎日二回のお父さんが、
「えっ、そんな鳥いるの?」
と、いぶかしがる。
「ホイホイホイがついているから、イカルか。」
「ああ、イカルはたくさん見るよ。」 -
「ほら、ここにも落書きが彫ってある。これは丸三つだな。」
石垣には、所々に家紋のような柄が彫りつけられています。
石工さんが彫ったのではないかと、お父さんは言うのです。
お父さんから、石垣に関するうんちくをたくさん聴いてから、さらに山を登って行きます。
山は深く、イカルやジョウビタキやいろいろな鳥の声に励まされつつ、ひたすら登って行きます。 -
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ケーブルカーもあるのだけど、やはり自分の足で登るのが良いと思いました。
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大きな正面の門の陰にもう一つ小さな門が、隠れるようにあり、敵が正面の門を攻めていると、こちらから出てって
「ばかめー!」
とか言いながら、不意打ちをかけるのだそうです。
通称隠し門。 -
よしあきくん
戦国大名の加藤嘉明がゆるキャラになっています。
「まつやま」の名付け親でもあります。
松山藩は、結局徳川家康の甥の松平定行が藩主となって、江戸時代のほとんどを松平家が治めたのだけど、戦国大名ばやりなので、「よしあきくん」なのだろうか。
和歌山城は吉宗くんだったから、キャラとして立てやすいかどうか、ということなのかも知れない。
どうでもよいことを、あれこれ考えているうちに、一緒に写真を撮る流れになってしまった。 -
おつきの方の甲冑は、ずいぶん年季が入っていますね。
「関ヶ原で、だいぶ戦いましたね。」
「ええ、まあ……。」
ちょっと照れくさそうに答えてくださいました。
「戦場で負けてきたんですよ。」
と、写真を撮ってくださった女性職員の方が笑いながら付け加えました。 -
ああ、良い天気だ。
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美しい城だと思います。
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城内はひんやりしている。
古い木材の床木を通して、いにしえの冷気が足から膝へ上がってくる。 -
畳の間に、甲冑のセットが二つ置いてあって、
「ご自由に着用ください」となっています。
相方に手伝ってもらって、甲冑を身に纏ってみる。
しっかりと身につけると、思ったほど重量を感じない。
体を守られている、安心感があります。
現存天守で甲冑を身に纏うと、往事のもののふの心意気がしのばれます。 -
ウグイス張りの床が張ってある板の間を抜け
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天守最上層に達します。
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天守を出て歩みを進めると、ドラマのポスターが撮られた場所が。
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城を下る途中、ジョギングで駆け上がる方とすれ違いました。
体を鍛えるためでしょうが、すごいなあ。 -
わかくさ珈琲という喫茶店で昼食にします。
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スパイシーなオリジナルカレーがおいしかったです。
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道後温泉
城の近くから路面電車に乗って、一気に来ました。 -
駅の横で、坊ちゃん列車が休んでいます。
帰りに乗るために、出発時間を確かめる。
一時間に一本くらいの割合で出ていますが、4〜5時頃には最終になります。 -
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足湯があって
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商店街を抜けると
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道後温泉本館があります。
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人力車。
車夫の方の趣味はUFOキャッチャー? -
裏に回ると皇室用の入口があります。
皇室専用の浴室である又新殿(ゆうしんでん)は、もう何十年も使われていないのだとか。 -
とんでもない費用をかけて明治時代に建てられた道後温泉本館。
又新殿は、250円也を払えば見学できるようです。
重要文化財ですから、見学の価値はあると思いますが、今回はお湯に浸かるだけにしておきます。 -
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「坊ちゃん泳ぐへからす」
男湯には、西の湯と東の湯、二つの浴室があります。
410円の入湯料を払えば、どちらにも入れます。
午後2時を廻ったところですので、ちょうど湯船に程よい間隔で浴客が浸かっている程度の混み具合。
西の湯も東の湯も、おおむね造りは同じで、真ん中の石の塔の彫刻がちょっと違う。
どう違うのか、もう忘れちゃいましたが、どちらも漢詩か何かが彫ってあって、片方はこの湯が発見された当初の大国主命とすくなひこのみこととの一件が語られていたような。
当然、お湯の沸き出し口の彫刻は大国主命。
PH9.1のアルカリ泉が、肌に優しい。
天井から、ゆっくりと湯気が落ちてきて、浴槽の縁に頭を乗せて湯に身を任せると、ああゴクラクゴクラク。
気がつくと、浴槽に浸かっているのは自分一人。
この本館を見下ろす冠山には古代人の遺骨が出てきて、ここがいにしえの昔より人々の心も身体も温めていたのだと言うことがわかります。
が、そんなことはどうでもいい。 -
坊ちゃん、つまり夏目漱石は、この松山のことをけちょんけんちょんに言ってますが、松山の人はそんなことは全然気にしない。
先生が松山のことを書いてくれたぞなもし。
てなもんで、いたるところに漱石先生の名声に便乗するものが……。
松山の人はおおらかで、親切だなあ。
漱石先生は、この町の出身である正岡子規とも懇意にしていました。
松山時代には、戦地で従軍記者をしていた子規が戻ってきて、しばらく同居しています。
当時のことを語る漱石先生の口調は有吉くんに似て、毒舌が冴えています。
毒舌は、愛情の裏返しであるとも言えそうです。 -
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あ、坊っちゃん列車が入ってきました。
「停車場はすぐ知れた。切符きっぷも訳なく買った。乗り込んでみるとマッチ箱のような汽車だ。ごろごろと五分ばかり動いたと思ったら、もう降りなければならない。道理で切符が安いと思った。たった三銭である。」
夏目漱石の「坊ちゃん」の一節です。
私たちが持っていたのは、400円の一日乗車券。
坊ちゃん列車は100円の追加料金がいると聞いていましたが、どうやら最近は入らなくなったようです。 -
「整理券をお持ちの方だけがお乗りになれます。」
って、乗ろうとしているのは私たち二人だけぞなもし。
先ほど、その整理券も駅の売店でゲットしてあります。
「記念写真撮りますか?」
制服に身を包んだお兄さんたちは、とても親切です。 -
聴くところでは、この坊っちゃん列車、ディーゼルエンジンで動いているそうです。
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ディーゼルによって主連棒を動かし車輪を回す。
なかなか力強いです。
「車両の上に付いているパンタグラフは、車両の通過を知らせるためなんです。」
そうなんだ、てっきり電気で動いているのかと思ってた。 -
ときどきイケメンの車掌さんが顔を出して、説明をしてくれたりしますが、客車は貸し切り状態でいたってのんびりとしたものです。
これに乗っていると、観光客が一生懸命写真を撮ってくれます。
パンダ気分 -
JR松山駅で、明日ようの四国再発見早トクきっぷを購入。
ついでに、安岡蒲鉾のじゃこてんとじゃこカツを購入。 -
何となくめまいがします。
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駅の隣にあったお店
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鯛飯が370円です。
ああ、身体がちょっと熱っぽいかも知れません。
なんとなく胸がぜいぜいします。 -
駅前のホテルにチェックインをしてじゃこ天などを食べているうちに、ベッドに倒れ込みました。
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そのまま寝込んで、この晩高熱にうなされたのでした。
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この旅行記へのコメント (4)
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- わんぱく大将さん 2015/02/28 11:53:30
- 松山
- ちびのぱぱさん
松山は何年か前、日本に帰っていた時に4トラので知り合ったトラベラーさんが松山で、日帰りで遊びに行きましたが、お城は行ってませんね。ここもいいお城ですね。
知らない間に旅行記沢山UPされて。又、伺わせていただきます。
大将
- ちびのぱぱさん からの返信 2015/02/28 23:41:46
- RE: 松山
- 大将さん
スペインは、もういろいろと花が咲いているでしょうか。
北海道は、ようやく春らしい日差しが見えるようになりましたが、いまだ雪深いです。
自分が行ったところは興味が湧いて、帰ってきてからもいろいろ調べたりしています。
姫路城をお掃除しておられたとは、うらやましいです。
松山は、とても良いところでした。
やはり、暖かいところは良いなあ、と思いました。
年が行く程そう思います。
ちびぱぱ
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- nakamasananiwaさん 2015/01/30 11:50:14
- 〜♪
- だんな、お久しぶりです。ニヒルな感じに磨きがかかってええ感じですね^^
ご夫婦で行かれる旅先
空気感が心地よく、何やらキモチがポッとあったかくなりましたw
松山よかったですか? ピーチ安いし、他にも松山ー広島割引切符なんてのもあり迷っています。
でも札幌だって今見たらふたりで1万五千円とか?
行こうかな? でも2月の雪祭り後あたり札幌ってー15度とかですよね?
よめはン死ぬな。
- ちびのぱぱさん からの返信 2015/01/30 17:51:49
- RE: 〜♪
- nakamasaさん
ご無沙汰しています。
この時期恒例の旅で、四国に初上陸しました。
南国は良いですね。
2月の北海道は、もう良いのかどうかも分からなくなりました。
家の前はすでに雪祭り状態で、なんでわざわざ見に行くのか、と思いますが、行ってみればそれなりに楽しい。
ただし、外国人だらけです。
四国は、一週間くらいゆっくりとレンタカーで廻るのも良いなと思いました。
これからまとめますが、高知は良かったですね。
またどうぞよろしくお願いします。
ちびぱぱ
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