2011/12/20 - 2011/12/22
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volansさん
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陽の短い冬。
そう分かっていたけど、小春日和の夕方の明るさに油断。
一軒だけ見学できた商家を出ると、街は夕闇に沈みそう。
長崎伝来の、古式カステラに銘酒女城主に…。
時間が足りなく駆け足でした。
静かで落ち着いた歴史の街。
高山や古川では感じられない、時間が止まる事無く、歴史を刻み続ける街。 そんな風に思いました。
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 3万円 - 5万円
- 交通手段
- JRローカル 私鉄 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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-
岩村駅。
何人か降りた筈だけど、駅を見渡しているうちにひとりに。 -
日本海側に比べたら小春日和。
午後の気だるい雰囲気と、車窓からの田園風景を堪能した満足感から、少しぼんやりとしてしまう。 -
古い駅だけど、小ざっぱりして居心地がいい。
有人駅。
人が居て心を配ると、古さや雑然とした雰囲気の中にも心地よさを感じる空間になる。
角が取れて、柔らかさに似た感触のある木製ベンチに腰掛け、対流式ストーブに手をかざすと、立ち上がりたくなくなる。 -
駅を出て左。
陰影が濃くなる時間。
「国鉄」の文字が残るコンテナ。
全国に鉄道網が張り巡らされていた時代、今とどう違っていたんだろう…。 -
壁を染める陽の色は濃さを増すばかり。
徐々に伸びる影が日暮れを予感させる。 -
最後に一枚撮って、「観光地」へ。
-
観光用の略図はあるけど、実際とは当然少し違う。
違う所には魅力的な小道があり、つい迷い込みたくなる。 -
丁度エアポケットのような時間。
人気の無い通り。 -
「木村家」
現在の商社に相当する商いをしていたらしい。
幕府、他藩との取引も許された、藩にとって特別な商人。
その代償は藩の財政の下支えだったようです。
ここは藩主が訪れた際に通された間。
店表とは違う、藩主専用の玄関が設けられ、直接この間に通せるようになっていました。 -
「「床框(とこがまち)」にL字型の木製カバーが掛けられている。」
「床の間の壁は、砂壁ではなく壁紙が貼られている。」
これらは、藩主が訪れる際の負担を減らす為の工夫だそうです。 -
3階の茶室。
明治期、防火対策で屋根を板葺きから瓦葺きに換えたそうです。
その結果、瓦屋根は板葺きよりも傾斜角が有る為、屋根裏に高さが生まれた。そこに茶室を作ったそうです。 -
畳に座り、窓に目を遣ると、夕日に薄く染まる横額硝子の障子。
その先には幾重にも連なる商家の瓦屋根。
ここから見る景色は往時と何ら変わるものがないのかも知れません。
不思議と落ち着く空間でした。 -
茶室で使うものは、直下の台所から滑車で上げる仕組みでした。
-
板葺きから瓦葺きの改装によって高さを増した天井。
-
「武者窓」
こういう窓は初めて見ました!
藩主来邸の折、ここに顔を入れて、通りの先々まで見渡して警戒する。
そういう仕組みです。
顔を入れると確かにそうだと分かる。
ここから見る岩村の街は格別です。 非常に面白いと思いました。 -
解説が無ければ想像がつきませんでした。
-
蔵の側から見た庭園。
庭園内には、町割りした時に作られた3本の用水のひとつが流れています。
見た所、今の感覚で言えば雨水用の小さな側溝くらいの大きさ…。
しかし流れは速く、清冽。 -
庭奥の蔵。
藩の財政を支える必要から、当初の商いに加え、酒造業等も行うようになったそうです。
藩主を迎えるにあたり行わなければならない壁の塗り替え等々が負担になるから壁紙に…。
藩随一の大店がそこまでする位頻繁に藩主が商家を訪れる。
結局それは無心の為だったのかもしれません。
「わしが直々に赴いたのによもや恥はかかせまいな!」とか…。 -
「岩村醸造」
蔵見学が可能。
店先で声を掛けると、快く応じて下さりました。
白い作業服を着た蔵の方もとても気さく。
雰囲気の良い蔵元でした。 -
試飲も気持ち良くさせて頂きました。
― 『玲瓏馥郁(れいろうふくいく)』を信条に酒造りをしています ―
(玲瓏…透き通るように美しく輝く 馥郁…良い香りが漂う)
後日、HPを見るとそう書かれていましたがまさにその通り。
軽やかで華やかに広がる香り。
その香りが、原酒、生酒、吟醸等、それぞれの醸し方の特徴を帯びる。
香り高いのにすっきりとした飲み口。
晴れの日のご馳走と一緒に頂きたい。そういうお酒でした。
本当は欲しかったけど、荷物になるので断念。
通販で購入するに値するそういうお酒だと思います。 -
酒屋さんの先。
交差点を渡って、岩村城址へ向かう道。
時間の関係でここまで。
似たような道が続きそうな…。
でも、もっと雰囲気のある道になりそうな…。 -
-
右に「女城主」の岩村酒造。
左はカステラ屋さん。 -
雰囲気のあるお店は日常生活のお店。
観光客が冷やかしで入れない場所。 -
高山のような、通り全てが観光客向けの店というのは詰まらない。
ガラス製品やオルゴールなんて論外。
岩村は本当に素敵な街でした。
岩村の通りに着いたのが4時過ぎ。
木村家を出た頃には商店もそろそろ店を閉める頃。
観光HPでは、町の人が「軒先のベンチに招じて、漬物やお茶で接待しながら会話を交わして交流…」とあり、これも岩村を選んだ理由でした。
今回は残念ながら叶いませんでした。 -
光に照らされると全てが晒され色褪せてしまう。
しかし、歴史ある街並みはその重厚さが魅力である反面、完全に夜に沈むと重すぎる。
あちらこちら見ながらも、自然、駅へと足が向くことになりました。 -
針の指す数字と空の色を見比べる。
車窓を見たかったり写真を撮りたい自分としては、日暮れはその日の旅の終了を意味してしまう。
冬の旅は損だ…。
朝は寒いし、陽は短いし、山間はどんより曇るし…。
でも、結露で濡れた窓からの景色、澄んだ冬空のマジックタイム、厚い雪に覆われて広漠とした雪景色…。
晴れやかな眩しさが無く、落ち着いた魅力の多い冬の旅、替え難いものがあるんですよね…。 -
電車の時間にはまだ余裕がある。
未練がましく、夕日の残光を頼りに時々写真を撮る。 -
丸型ポストって現役なんですね。
通信の手段として利便性や速達性が失われ、実用から儀礼、趣味へと役割が変化し、定着しつつある「手紙」。
合理的な角型すら、街中の公衆電話のように数を減らし、その存在が陳腐化し、コンビニに寄生しながら生きながらえている。
対照的に、どっしりと腰を下ろして変わらず建ち続ける丸型ポストには、手紙に託したものを確実に届けてくれる安心感、信頼を感じる。
軽いキータッチで事が済むメールには無い、手紙の良さを思い出させてくれるよう…。 -
左右の道も時間があれば歩いて見たかった。
例えば、変った意匠の2階窓だな…と思っていた建物が、鉄砲鍛冶を営んでいた商家であった事が後で分かったり…。
通りから脇にそれてもほんの1〜2分の距離。
そんな風に、帰宅後、悔しく思った事もありました。 -
でも、この時は夕暮れに急かされるように、足早に駅に向かっていました。
窓から漏れる明かりが少なかったからかも知れません。
通りの外灯も少なく、先程までは少しは見えた人影も全く無く、「帰らなきゃ」という思いに動かされていたのかもしれません。 -
駅からは鍵形の経路で伝建地区、城へと続く。
観光用の略図とは少し違う。
鍵型の横線部分がどこまで続くか分からず少し不安になって道を教えて貰った理容店。 -
-
すっかり日が暮れてしまいました。
-
岩村駅に到着する頃には完全に夜。
バスを待つひとりの女性以外には人気がありませんでした。 -
駅の灯りが頼もしい。
離れ難かった石油ストーブも赤々と燃えていました。 -
切符を購入しようと思ったんだけど、駅員さんは見当たりませんでした。
その隙に失礼してちょっと1枚。
MARSのような端末が置かれた駅では見られないレトロな雰囲気。
少しだけ人の裁量や温かさが残っていそう。
それは幻想でも。 -
実際、岩村の駅長さんは親切で気さくな方でした。
席を外して忙しそうにされていたのは、「焼き芋器」の回路の修理の為。
ストーブの奥に見えるのが焼き芋器。
修理のさ中、申し訳無いけど、ほんわかとした雰囲気に後押しされて声をかけると、いろいろお話してくれました。
鉄道員としての経験、明知鉄道、ローカル線の事etc・・・。
駅長さんは修理の手を休める事無く…。
僕はと言うと、木製のベンチに座って、炎のじんわりとした温かさで手をあぶりながら…。
その時は分からなかったのですが、修理中の「タブレット閉塞機」も置かれていました。
分かっていたら、もっと嬉々として見ただろうに…。 -
ホームより明智方向を見る。
恵那駅は反対ホーム。
この先でホームを降りて、渡ります。 -
自動改札にはじき出されるんじゃなく、
手を掛けると、意外と重みの有る事に気づいて少し力を入れる。
そうやってそっと開けて…「お邪魔します」
そんなふうに街への扉を開けて駅を抜ける…。
着いた時はそんな感じだったかな…と今になると思いだします。 -
腕木式信号を操作するレバーかな。
鉄道の旅は好きだけど、イワユル「鉄」と言われるような人程、鉄分は多くない…。
レトロなメカとしての魅力を感じます。 -
時を重ね続ける駅舎は、白々とした蛍光灯の光すら電球色のような柔らかさに変えて照らされているように見えました。
宵闇の中、明るく光る信号灯と対照的。
現代と過去が緩やかに結びついて生き続ける魅力。 -
暫くすると、学生服を着た生徒で賑わいました。
静けさを十分堪能した後なので、そんな騒々しさが微笑ましく感じる。 -
-
待合室。
何故か中に入るのは躊躇われた…。
何時もなら中から見た景色も撮りたくなるんだけど。
少し寒々とした雰囲気を感じたからかな。 -
古い建物は、人に使われてこそ。
人の気配があるから、実用の為の手が入っているから包まれる安心感があるように思います。
見学に供している、実用から離れた、文化財としての保存建築には無い魅力。
岩村駅の駅舎は、あの駅長さんが居るからこその魅力なのかもしれません。
少し離れると、近寄りがたい侘しさ…。
自分と距離を置きたくなる。 -
-
茄子紺から完全な闇へ。
-
車内は生徒達でにぎわっていました。
完全に日常な空間に、自分が浮いている気がする…。
浮いているついでに一番後ろで壁に寄りかかりながら、お昼に残した笹ずしを食べていました。 -
恵那駅に到着。
隣に見えるJR線が眩しく見えました。
そつの無さ。
日常に必要なものだけが備わるJR。
自分の子供の頃のアルバムにも無いようなレトロさを残す私鉄ローカル線。
教科書に載るような過去じゃない、少し前。
その痕跡のように残り、実用に耐え続けている岩村駅のような建物。
需要を合理的、経済的に満たしているだけでは不足な「何か」。
その「何か」がある、明知鉄道、岩村の町。
とてもいい1日を過ごせました。 -
JR恵那駅。
学生、迎えの車etc… 賑わいを見せていました。 -
時間の許す限りの範囲で歩いてみました。
旧中山道。
商業的な賑わいはありませんでした。
旧街道を思い出させるのは、居酒屋の看板くらい。
暫く歩いた先の橋でUターン。
何かの工場からモウモウと上がる蒸気が、街の明かりで薄くなった夜空を背景に見えていました。 製紙関連?
橋の先は緩やかな曲線を描く、昔風の線形の道。
街道を歩く趣味の人は、過去に思いを馳せながら歩くのかな? -
老朽化した実用品が、価値を回復する瞬間っていつなんだろう。
レトロな雰囲気という付加価値。
町でいくつか見た「昭和」は、新しい価値を得るまで残っているのかな…。 -
今日最後の乗り換え。
今日の宿泊先、中津川に向かいます。
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