2008/09/26 - 2008/10/03
163位(同エリア408件中)
風神さん
バリ島のデンパサール空港から空路ジョグジャカルタへ移動。
ムンドゥッ寺院とパオン寺院に寄った後、ボロブドゥールに到着。ホテルのチェックインを済ませてすぐにボロブへ、徒歩5分位でゲートに到着します。
ボロブはムンドゥッ寺院・パオン寺院とともに1991年「ボロブドゥール遺跡群」として592番目の世界文化遺産に指定されています。
6つある世界文化遺産登録基準のうち「人類の創造的資質を示す傑作であること」など3点に該当しています。
一方で、ボロブは撮影対象としては超難物です。この旅行記の中で少しお話したいと思います。
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ボロブのゲート横にある世界遺産であることを示す表示。No592とあります。ちなみに08.7現在、登録済み世界文化遺産は679、自然遺産174、複合遺産25です。
1km四方をはるかに越えるボロブ遺跡公園全体がフェンスで囲われ、自由に出入りできないようになっています。
その中でもボロブはさらに高いフェンスで囲われ、開園時間以外はゲートも施錠されています。
私が二日目・三日目早朝に行った時は、まだゲートが施錠されたままで、中にいた警備員?が開錠しました。さらに驚いたことにはボロブの「中腹」に別の警備員がシートを被ってまだ就寝中、私たちの気配で起き出しました。
85年にイスラム過激派によりストゥーパ9基が破壊された事実もあり、また色々と危惧されることがあって、厳重に守られているのかもしれません。
インドネシアの仏教徒は国民のわずか0.4%にすぎないといいますが、現在も国内外の信仰の対象であり、またインドネシアの極めつけドル箱観光ポイントでもあるのです。 -
ボロブは撮影対象としては超難物です。
理由は沢山あります。
一つ二つあげると、まずは、大きさ(底面積)の割りに高さがないこと。
この写真は基壇近くから広角レンズで撮っています。
ピラミッドの上半分をカットした形態に写ります。つまり四角錐台です。ボロブは大きさの割りに高さがない上に、稜線の角度が途中から急に緩くなっています。
極端に表現すれば「深めのスープ皿を伏せた形」です。
そのために直下に立つと、一番上にある大ストゥーパの極一部以外は上部が見えないのです。
そこはピラミッドのように鋭角的・直線的に天を突くフォルムとは根本的に違っています。
大きさと特に高さ、それと鋭角的なシャープさを感じさせる写真を撮ることは大変に困難です。 -
第二は無数の複雑な突起・凸凹です。
この写真でも分かるようにボロブは大小様ざま、向きも色々の無数の突起に覆われています。この点も、大掴み言えば表面がシンプルなピラミッドと全然違います。この無数の凸凹の装飾が無数の不規則な影と明点を作り、画面を大変うるさい雰囲気にしてしまいます。
対策は撮影時間、朝か夕方近く、自分の影が等身大かそれ以上に長くなるのを目安にします。太陽光線が傾くことで、装飾がない平らな側壁が明るく写り、画面全体を比較的シンプルにし、うるさい混沌とした画面に一種の図形性・規則性を与えるからです。
もうひとつの対策は、今回の旅行記でも多用したように、ディテールを潰してシルエットにし、凸凹をラインの面白さとして使うことです。
この写真は前の写真よりさらに基壇に近寄って、撮影していますが、ますます頂上は見えなくなり、大ストゥーパの天辺がわずかに見えているだけです。 -
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小ストゥーパの中の仏像です。
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これはストゥーパの覆い(仏像の左に二つ見えているもの)が無くなっている仏像。
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ボロブは仏教レリーフの宝庫ですが、重要なレリーフがどこにあるのか見つけるためには、やはり下調べをして行ったほうがいいですね。
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このようにどうしようもない影がレリーフにかかることもあります。
対策は、時間をずらすか、強制発光か、レフ板か・・ -
レリーフの図柄が見やすいように撮影しても、帰ってから見ると、特に有名なもの以外は、仏教逸話との対応が分からなくなってしまいます。
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半人半魚キンナラキンナリ。
グロテスクですが妙にリアルです。 -
小ストゥーパの影です。
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ボロブの「稜線」はなだらかです。
ボロブが撮影上難物である理由はまだあります。
それは、ボロブ本体が広い底面積の割りに高さがないにもかかわらず、丘の頂上に言わばへばりつくように乗っているからです。
ボロブは自然の丘にさらに土盛りをして造営されたと言われています。内部に空間はありません。ボロブの大きな広がりを全部フレームに収めようとずっと遠ざかると丘の斜面を下ることになり、かなりの仰角となってボロブ本来のフォルムは崩れてしまいます。近くから広角レンズで全体を撮ると、遠近感が強調され過ぎたクセのある写真になります。
また回りの平地の範囲でさがっても、ボロブの上部は写りません。
どういう構図にしたいから、どこを立ち位置にし、焦点距離がどれ位のレンズを使うのか、の選択が難しいのです。
しかしただ一方向だけ基壇の高さのままかなりさがれる広場があります。ここだと標準レンズでもボロブ全体をフレームに収めることができます。
ただしここから撮るボロブは表紙写真と違って曲線的ラインになり、正に「深めのスープ皿を伏せた形」になります。
旅行パンフやユネスコ世界遺産シリーズなどによく使われている写真です。
この広場には大規模修復の記念碑があり、多くの国名の中に「JEPANG」も見えます。 -
この碑です。
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修復に協力した国や団体のリストです。
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碑の辺りから撮るとこういう写真になります。
立ち位置を選べば、左の樹木も外せます。
中央の大ストゥーパも上半分が写ります。
ただつまらない形だし、インパクトがありません。
遺跡の高さが本来の高さよりさらに低く見えます。
このフレームなら、遺跡そのもののディテールも描写できる光線状態と機材が望まれます。 -
このようにトリミングすると、見た目の貧弱さは多少改善します。
上下をカットし、その代り横長になり過ぎないよう、左端もカットしています。 -
もう日がだいぶ傾きました。
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遺跡の上に上がって・・・
日没を待ちます。 -
遠くの山の端のアップです。
空気がひんやりしてきて、ほっとした気分、そして少し物憂い気分・・・ -
明日の日の出、
雲はどうでしょうか・・・?
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