2025/03/06 - 2025/03/06
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プロムナードさん
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2025年2月~3月のネパール→インド→パキスタンの旅を記録します。最終目的地スワート地方に滞在して3日目。
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ガンダーラ遺跡群を巡るにあたり、考古学博物館へ向かう。ホテルから4.5キロ、排ガスと砂ぼこりの道を歩くにはちょっとつらい。
そこでパキスタンでよく見る、軽トラの荷台にひとを乗せて走っている「スズキ」を利用しようと思う。「スズキ」とは乗合の公共交通の名称。実際にスズキの軽トラが使われているからついた名だと思うが。
「スズキ」は通りをびゅんびゅん走っているが、停留所があるわけでもなく、みんな好きなところで乗り降りしているように見える。乗り方がよくわからない。そこで、道端で乗りたそうな眼差しを送ってみる。すると、次にきたスズキが目の前で速度を落とす(停車してくれるわけではない)。とりあえず荷台に飛び乗ってみる。 -
荷台のなかはこんな感じ。おっ、なんだ外国人ぽいのが乗ってきたぞ。そこ詰めて座らしてやれ。チャイナ? あ、日本です。おお日本……。みたいなやりとり。
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またひとり乗ってくるがもう場所がないので立ち乗り。危ない気もするが、みんな慣れているので、まあそういうものなんだろう。
どうやらスズキごとに行き先が決まっていて(フロントガラスに書いてあるようだがウルドゥー語なので読めない)、どこから乗っても20ルピー(約10円)らしい。降りたいときは運転手のミラーにわかるように手をふるなどして停めるようだ。たしかに降りた客は、そのあと運転席にお金を渡している。なるほど、わかってきた。 -
今回乗ったのは市街地ミンゴーラ行きだったらしく、博物館までは、さらに別のスズキに乗り換える必要があるようだ。とはいえあとは1.5キロほどらしいので、あとは歩くことにする。Googleマップで道はわかるのだが、親切なおじいさんがしばらく先導してくれる。
ついでにここで書いておくが、このところ端数をまけてくれたり親切にしてくれる機会が急にふえている。これはもしかすると、ラマダーンの友愛を実践する意味合いなんじゃないかという気がする。 -
スワート博物館(考古学博物館)に到着。入館チケットは500ルピー。どこまで厚かましくしていいか迷うが、とりあえず昨夜レストランでいただいた館長の名刺を出してみる。すると、ほんとうに食事をご一緒したナワズ氏が姿を見せる。夢じゃなかったのか……。
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「では見ましょうか」とナワズ氏は館内を先導して歩く。館長ご自身より館内ガイドをしていただけるとは。なんとなく期待はしていたが……。
そんな私はぬかりなく、昨日ネットでガンダーラの古代史をざっと予習しているので、パキスタン訛りの感じられない流暢な英語の講義を20%は理解できる(気がする)。まあでも、「この像は装飾品をまとっているからブッダ(如来)ではなくボディサットヴァ(菩薩)ですよね」「眠ってる女性の横に象がいるので、これはマヤ夫人がシッダルタを孕ったエピソードですね」みたいな仏教好きトークなら、そもそも言語はほぼ関係ないのだ。 -
特に興味深かったのが、仏像彫刻へのギリシャ・ローマの影響の強さ。たとえばこの写真中央の像はディオニュソスだという。酒と酩酊の神、ニーチェが「ディオニュソス的」なる世界像を見出したあのギリシャの神性がガンダーラに……!?
※撮影は館長に許可をいただいていますが、通常は撮影料金がかかるようです。 -
いかにもギリシャ然とした女性(女神?)に見えるこちらは、アテナ神の影響が濃厚とのこと。ほかに羽根の生えた人間たちの彫刻について、仏教美術的には飛天と見たいところだが、ローマのキューピッドだという。
仏教世界を具象化した最古の土地のひとつガンダーラで(※)、ここまでギリシャ・ローマの要素が入り込んでいるとは……。たしかにガンダーラ美術は、アレクサンドロス遠征以降のヘレニズム文化の文脈で語られるが、これほど具体的に神々の混淆が見られるとは、趣味のど真ん中で興奮を禁じ得ない。
※ほぼ同時期にインドのマトゥラーでも仏像制作が始まっているので「最古の土地のひとつ」とした。 -
こちらはマイトレーヤ(弥勒)。中央アジアではミトラとも呼ばれたこの神には個人的に思い入れが強く、この地でも会えてよかった。
このほか、なんとなく遠慮してしまい写真をあまり撮らなかったのが心底悔やまれるが、
⚫︎もともとドーム状だったストゥーパは建築技術が発展するにつれ塔状になる(中国や日本では完全に塔になる)
⚫︎ストゥーパの円形の壁面にぐるりと彫られた彫刻は読み書きできない信徒に仏教の物語を図象によって伝えるいわばBooksだった
などなど、発掘品とともに学識者から直々に解説される僥倖に感動しつづけるひとときだった。まあ英語力の限界のため80%は聴き損ねているのだが……。
館長との別れ際に、「私は以前、あなたの解説にも出てきたChinese pilgrims(中国からインドを目指した僧たち)のひとりを小説に書いたのだが、今日見聞きしたものはきっと新しい作品になると思う」と伝えるとすごい笑顔で「いいね!」をいただいた。旅先でこんな好意をもらったからには、せめてなんか変わった日本人が来たな~と面白がってもらえればいいと思う。 -
このあとはミンゴーラ周辺の遺跡群を直接観て回る。
館長が指名した研究者サナ氏が同行してくれるようで、リキシャを1台借り切って移動する。
写真は最初に訪れたサイドゥ・ストゥーパ。例の如く基盤のみだが、周辺をたくさんの中小のストゥーパがとりまいているほか、僧堂もあって学舎という感じがする。 -
次に訪れたブトカラ遺跡(No.1)。ここはより多くのストゥーパがあり、サナ氏が先導して丁寧に解説してくれる。氏の英語はパキスタン訛りが強く、私の英語力では10%しか聴き取れないのが残念だが。
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中央のメインストゥーパを取り巻いていた4本のピラーの上に鎮座していたという獅子像。もう少し状態のよいものが博物館にもあったが、デフォルメされた恐竜みたいでかわいい。諸星大二郎のマンガに出てきそうでもある。
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ストゥーパを回る参道にはラピスラズリが敷き詰められていたそうで、いまも一部が残っている。博物館では、黄金でメッキされた仏僧が無数にあったとの話も聴いていて、当時(紀元前3世紀から1000年栄えたというその歴史のどこかで)とてつもない賑わいと栄光がこの地にあったのだろうと思う。ガンダーラの絢爛たるイメージが浮かぶ。
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メインストゥーパの中央部分に空いた穴には、まさにアショーカ王が回収し各地に分骨した仏舎利が納められていたという。だとすると、このストゥーパもタキシラで見たものと同じく、アショーカ王の建てた仏塔の最古モデルのひとつなのだ。
サナ氏によると、パキスタンで現在確認されているアショーカ王による最古モデルのストゥーパは3つのみ。ひとつがタキシラに、もうひとつがここに、そして3つ目がここから南西に10キロほどいったシャンカルダールにある。私はすでに、その2つを巡礼したことになる。 -
無数に残る中小のストゥーパの基部にも、サナ氏のガイドがあればこそ気づく興味深い彫刻がある。
たとえば、写真の上の層に並んでいる目の大きい横長の顔らしきものは「オウル」だという。もしかしてミネルヴァのフクロウ(ローマにおける智恵の象徴)のことだろうか? まさかと思ったが、その層を支える柱を彼は明確に「ローマン・スタイル」と説明する。ローマのコリント式柱頭飾? ガンダーラの仏塔に古代ローマ建築様式が用いられている!? -
「次はこっちだ。仏・法・僧の三位一体の表現と西洋的トリニティとの類似が……」などとまくしたてるサナ氏は、よく見るとペルシャ人のような顔つきに髭をしている。この地はそもそも世界の境界で、無数の文化が入り混じってもなんらおかしくないのだ、そんな気になる。
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最後にブトカラ遺跡(No.3)を訪れる。ここにもストゥーパが残っており、ほぼ完全な状態のものも見られる。なおブトカラ遺跡は現在No.1~3までの名称がつけられているがいずれも発掘途中(No.2に至ってはほとんど未発掘)とのことで、いまだ現代人の目に触れない神像やシンボルが多く眠っているのだろう。
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タキシラもそうだったが、ここでも遺跡はひとびとの日常に溶け込んでいて、サナ氏の解説を聴くあいだも子供たちがストゥーパのまわりで遊び始めるのだった。
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ちなみに夕方ホテルに戻ると、やはり警官がいる。いつも作り笑顔を向けてくるので、こちらも微妙な苦笑で答えるのだが、なにをしてるのか相変わらず不明だ。あいつにはもう勝手に出かけさせて、一応「ホテルをガードしている」という形だけは維持しよう、ということだろうか。まあ向こうも公務でやらざるを得ないというなら可哀想だが……。
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断食明けには歩いて1分のレストランへ。初日にMixed Vegetables をいただいたところだ。昨夜は豪華すぎたが、まあこちらが通常モード。
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奥の皿のがオーダーした麺類で(マカロニともう一種のぶつ切りうどん的なものを野菜や肉と煮込んだもの)、それを食べ終えるころに隣のグループから野菜に衣をつけて揚げたものと、イチゴ・リンゴをヨーグルトであえたものが届く。食べてくれ、とのこと。
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こちらの方々。ほかにもうひとグループあったが、ひとりで覚束ない食事をしている外国人を見て、みんな好奇心と親切心のこもった眼差しを向けてくれる。
お会計でも、なぜだか最後に頼んだチャイ一杯のみでいいといわれる。これはやはり、ラマダーンだからなのでは? もともとパキスタンのひとたちはひと当たりがよいイメージだったが、さすがにレストランに行くたびにディスカウントしてもらえるはずがない。ぼっち飯の外国人として哀れまれている可能性もまだあるが……。 -
明日の朝のために、ホテルの売店でお菓子類を買い込んでおく(一部は夜のうちに食べてしまったが……)。
なおお腹は相変わらず食べたらすぐ出てしまう状況なので、結局外出時は飲み食いしないプチ断食になってしまう。まあラマダーンだしそれはそれでいいかとも思う。そのほうがガンダーラの巡礼僧っぽいしな。
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