1989/12/30 - 1990/01/05
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かちかち山たぬ吉さん
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12月30日、9日目。
寝入りばなの午前1時に部屋の電話が鳴った。若い女性の声で英語である。
さては噂に聞くモスクワの夜の蝶からのお誘いかと胸を躍らせたが、何のことはない、「マールボロ(アメリカタバコ)を持っていたら譲って欲しい。」とのこと。
プレゼント用に持ってはいたが、面倒なのでブロークンイングリッシュで断った。
今、ソ連ではマールボロがたいへんな人気で、信じられないような高値でやり取りされているようだ。
グラスノスチによってこれまで敵対してきたアメリカの情報も、好奇心を持って拡散されているらしい。
早朝、朝日に輝く街並みをホテルの窓から見下ろす。何かしら活気のないすすけた感じがする。東京の朝もこんなものなのだろうか。
国営テレビのニュースの合間に、流行歌手であろう男女の歌が入る。奇妙な国だ。
この年の瀬の一日は終日モスクワ観光で過ぎた。赤の広場は昨夜見物したが、今日はクレムリン内のウスペンスキー寺院、ブラコヴェシチェンスキー寺院を見ることができた。ロシア正教の教会は、何故か「寺院」と呼ばれることが多い。
諸外国の車の汚れが良く話題になるが、この国では驚くべきレベルだ。
理由は簡単だ。冬のモスクワの平均気温が-10度だから洗車などできないのだ。洗うそばから凍り付いてしまう。
私たちがロシア号の窓拭きでやったように、ウォッカでも使わないと無理なのだ。ロシア人としては車をウォッカで綺麗にするよりは、飲んだ方が良いに決まっている。
一方で私たちの服装はどうだろうか、もちろん汚れた服装をしている者はいないが、この旅行の条件とも言える厚手のロングコートを着ている者は私以外に二人か三人だ。
特にツアーメイトの若者たちのほとんどがスキーウェアの類だ。それも赤や青の。だから目立つこと目立つこと。すぐに異国の観光客と分かってしまい、好奇の視線を浴びる事となる。ドレスコードがあるというボリショイ劇場でよく入場を断られなかったものだ。
このため私は時として彼らの数メートル後を歩いた。
ホテル「コスモス」の正面には地下鉄のヴェーデンハー駅があり、駅前には一畳ほどの売店が並んでガラクタ類を売っている。ライター、キーホルダー、バンドのない時計などなど。皆中古品のようだがまあまあ客が寄っている。中にはヘアがはっきり映っている名刺大のヌード写真も売られていた。
合法なのだろうか、取り締まりが行き届かないのだろうか。
治安について言えば、どの町でも五つ星だった。身の危険を感じるような出来事は一切なかった。
それもそのはず、警官と兵士の多いことには驚くべきものがある。
しかしこれは我々外国人旅行者にとっては心強いものだった。
夕食後は国立モスクワサーカスへ。娯楽の少ない国だけに子供より大人の方が多い。歌あり踊りありで、サーカスというよりも「ショー」の側面も大きい。社交の場でもあるらしく礼装した人たちもいた。
が、トラやヒグマが登場する場面では、舞台の周りに数名の銃を構えた係員が数名そっと配置される。万一彼らが暴れ出した時の対策なのだろう。
他の国のサーカスもそうなのだろうか。
その足で駅へと向かう。夜行寝台特急「赤い矢号」でレニングラードへ出発だ。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 4.0
- ホテル
- 4.0
- グルメ
- 4.0
- 交通
- 4.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 30万円 - 50万円
- 交通手段
- 鉄道 観光バス 徒歩 飛行機
- 航空会社
- アエロフロート・ロシア航空
- 旅行の手配内容
- ツアー(添乗員同行あり)
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