JAL「どこかへマイル」で岡山・吉備路へ

2024/05/18 - 2024/05/18

JALではマイレージを「どこかへマイル」というサービスがあります。
通常の半分のマイルで、４つの候補地から１つの場所への往復航空券があたるというものです。

今回は東京岡山間の航空券が当たったので、岡山県の吉備路にドライブしてきました。

https://www.youtube.com/watch?v=Krks1JvAcjg

エリア 備前・日生(岡山)

• 旅行の満足度: 4.0
• 観光: 4.0
• ホテル: 2.0
• グルメ: 3.0
• 交通: 4.0

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 1万円 - 3万円
• 交通手段: レンタカー JALグループ
• 旅行の手配内容: 個別手配

羽田から１時間ちょいで岡山空港へ到着。
飛行機は速いけど、空港から市内へのアクセスはバスしかないので岡山空港は少し不便。

さて、岡山駅について電車とレンタサイクルでまわろうかと思っていましたが、とても暑かったので、レンタカーでまわることにしました。

タイムズカー岡山駅西口店 乗り物

まずはクルマでないと不便なところにある犬養毅生家へ。

犬養毅は明治時代から昭和時代の自由民権の政治家です。
議員生活６３年の尾崎行雄と並んで「憲政の神様」と呼ばれました。
昭和の初めに総理大臣になりましたが、５１５事件で暗殺されました。

旧犬養家住宅 名所・史跡

犬養毅はこの地域の庄屋の息子として生まれました。

庄屋、豪農と呼ばれた人たちは農民ではありましたが、学問もあり、幕末から明治にかけて多くの人材が出ています。
新選組の近藤勇、土方歳三、「日本資本主義の父」渋沢栄一、坂本龍馬とともに暗殺された土佐藩の大物志士・中岡慎太郎などは幕末に活躍しましたし、明治時代の自由民権運動のリーダーたちも多くは庄屋、豪農出身でした。
彼等はのちに衆議院選挙が行われると、地域の代表として衆議院議員となり、初期議会は「地主議会」などとも言われました。
現在では第１回帝国議会から議席を有していた長野の小坂家が２０１６年に小坂憲司氏がなくなり、地主議員の子孫は青森県の津島家（太宰治の実家）くらいです。

庄屋だけあって、農家に比べると、かなりしっかりした家です。
ここで犬養も学問や家の仕事に励んだのでしょう。

彼は東京に出て慶応大学に入り、新聞記者として西南戦争の取材、記事を書いたことから名前が知られるようになり、第１回衆議院議員選挙から連続当選しています。

犬養の生家には隣接して、犬養毅の生涯について展示、紹介している記念館がありました。

犬養木堂記念館 美術館・博物館

犬養家の墓地。
犬養毅のお墓とその息子で戦後法務大臣となった犬養健のお墓が並んでいました。

昭和２９年の第５次吉田内閣の時代、いわゆる「造船疑獄」事件が起こり、自民党の佐藤栄作幹事長が逮捕される寸前に、犬養健は法務大臣として「指揮権発動」して検察への捜査を中止させたことで、汚名を後世に残してしまいました。
国民の怒りは激しく、当時公開された映画「ゴジラ」ではゴジラが国会議事堂を破壊すると観客から拍手喝采が起こったとか。
ほどなく戦後日本をリードした吉田内閣は退陣しました。

犬養家旧宅から少し北へ向かったところにある吉備津神社へ行きます。

第１０代崇神天皇の命令でこの地の平定に赴いた将軍・吉備津彦命を祀った神社で、吉備の国の総鎮守の神社です。

吉備津神社 寺・神社・教会

立派な社殿です。
吉備津彦命は桃太郎のモデルになったとも言われています。
また彼の子孫はこの国の国造・有力豪族となりました。
その子孫に吉備真備がいます。

この神社の見どころか社殿から長く続く回廊。
どういう理由でこんなに長い回廊を作ったのでしょう。

吉備津神社の前にある犬養毅の銅像です。
犬養毅の先祖は犬養健命。
吉備津彦命が桃太郎のモデルなら、犬養健命は桃太郎に付き添った「犬」のモデルとされる人です。
その由来から地元の政治家である犬養毅の銅像が神社前に建てられたのでしょう。

吉備津神社の近くにある鼻ぐり塚。
ここには鼻ぐり＝牛の鼻輪が集められ、病死したり屠殺された牛の鼻ぐりを供養することで、人のために奉仕し尽くして一生を終える畜類への感謝するという趣旨でつくられた塚です。

鼻ぐり塚 名所・史跡

集められた鼻ぐりは７００万個にも及ぶとか。

「ウルトラマンA」第１６回、「怪談・牛神男」では名バイブレーヤーだった故・蟹江敬三さんがひっぴ―役でゲスト出演し、ここで牛の怪獣になってしまう話がありました。

吉備津駅 駅

吉備津神社から数キロいったところにはかつて備中高松城がありました。

織田信長の家臣だった羽柴秀吉が毛利方の清水宗治の居城だったこの城を川をせき止めて湖にしてしまう「水攻め」で知られるお城です。
この城攻めの最中、本能寺の変が起こり、信長の死後、秀吉は天下人への道を進み始めます。

備中高松城址公園 名所・史跡

本丸には城兵の命と引き換えに切腹した城将・清水宗治の首塚がありました。

備中高松城址資料館 美術館・博物館

首塚の隣にある清水宗治の辞世の石碑。
「浮き世をば　今こそ渡れ武士(もののふ)の　名を高松の苔に残して」。

秀吉は宗治の切腹を賞賛し、これ以降、切腹は名誉の死とされることになります。
通常武士は死罪の場合も、武士の名誉から「切腹」を命じられます。
赤穂浪士は「切腹」となったことを喜び、吉田松陰は大老井伊直弼から「切腹」ではなく、斬首にされたことで、彼の弟子など志士たちから井伊は憎まれることになります。

備中高松城跡からは大きな鳥居が見えました。
京都伏見稲荷、豊川稲荷と並ぶ、日本３大稲荷の１つ、最上稲荷の鳥居です。

備中高松駅 駅

せっかくですので、少し寄ってみます。
さすがに日本３大稲荷、参道には多くの店が並んでいました。

現在の本堂は近代的な鉄筋コンクリートでしたが、旧本殿はいかにも由緒ありそうな建物でした。

最上稲荷 寺・神社・教会

備中高松城や最上稲荷から数キロ北上すると、城下町・足守につきます。
城下町らしく風情のある街並みでした。

ただ、足守へは路線バスがありません。
城下町で公共交通で行くことができないのはここくらいかも。
レンタカーを借りたのもここに来るためでした。

備中足守まちなみ館 美術館・博物館

足守の入り口にある現在も残る商家、藤田千年治邸。
江戸時代から醬油業で栄えた商家で、この建物は明治時代にさらに増築されたものだそうです。

旧足守商家藤田千年治邸 名所・史跡

足守藩は豊臣秀吉の妻・北政所ねねの兄、木下家定に始まる２万５千石の小藩でした。
小藩なので城はなく、殿様は「陣屋」を住まい兼役所にしていました。
現在は陣屋は残っておらず、公園になっています。

陣屋の建物は残っていませんが、庭園は残り整備されていました。
大きな池と小島の配された雰囲気のいい庭園です。

近水公園 紅葉

陣屋の跡の横にある足守小学校には木下家の一族で家老屋敷の正門が残っていました。
かつては小学校の正門として使われていたとか。

殿様の陣屋は残っていませんが、家老の杉原家家老屋敷は現存しています。

旧足守藩侍屋敷遺構 名所・史跡

もっとも小藩の家老屋敷なので、小さい屋敷でした。
徳川御三家の尾張、紀州や加賀前田藩の家老は大名並みの数万石の領地を持ち、現在は屋敷跡が町名になるほど大きな屋敷だったようですが（金沢市長町など）、この家は禄高も数百石レベルだったのでしょう。

幕末、医師で有名な緒形洪庵はこの足守の出身です。
大阪の適塾を開き、福沢諭吉や幕末の天才軍略家・大村益次郎などの弟子を育てました。
ちなみにドラマ「JIN」で南方仁も緒方洪庵に師事していました。
洪庵は武田鉄矢さんでした。

洪庵の生家跡には石碑と銅像がありました。

緒方洪庵生誕地 名所・史跡

足守を散策したあと、南に向かうと造山古墳があります。

意外なことですが、日本で４番目に大きな古墳です。
１位仁徳、２位応神は有名ですが、４番目がこの岡山にあるのは意外。
かつてここにはよほど強大な豪族が支配していたのでしょう。
吉備津彦命が「桃太郎」なら、この古墳の豪族は「鬼」だったかも。

造山古墳 名所・史跡

造山古墳は立ち入ることができます。
日本の大きな古墳は立ち入り禁止、さらには秦の始皇帝陵、エジプトのピラミッドより大きいことから「立ち入ることができる世界最大の墓」とありました。

近くにある備中国分寺。
奈良時代、１つの国に１つ国分寺が建てられました。

現在の国分寺は江戸時代に再建のお寺です。
五重塔が目立っていました。

備中国分寺 寺・神社・教会

お寺の前の広い原っぱが国分寺跡。
いかに大きいお寺だったかしのぶことができます。

最後は、吉備津彦神社へ。
吉備津神社と吉備津彦神社の２つは紛らわしいですが、吉備の国が備中、備前にわけらえたとき、吉備津神社の分社として備前一之宮として建てられたそうです。
いわば吉備津神社の「支店」です。

吉備津彦神社 寺・神社・教会