築地本願寺と築地にあった旧居留地の跡を訪ねて

2022/10/28 - 2022/10/28

築地は文字通り、築かれた土地で、江戸時代明暦の大火後に西本願寺に与えられた場所に、佃島の門徒が中心となって海を埋め立てできたのが築地本願寺ですが、現在の独特なデザインの本堂は伊東忠太による１９３４年竣工の建物です。

築地は明治維新以降は、１８９９年まで、外国人の居留地となりました。

今では建物などはまったく残っていませんが、歩いて見ると居留地だった

名残があちこちに残っていました。

エリア 築地(東京)

• 旅行の満足度: 5.0

１９３４年竣工の築地本願寺の本堂はインド風と西洋風が混ざったような独特なデザインです。

設計は伊東忠太。

本堂の左右の翼の屋根上にはストゥーパ風の塔屋が据えられています。

翼を持った獅子がお出迎え

築地本願寺 寺・神社・教会

波打つようなデザインの階段手すりも個性的。

築地本願寺 寺・神社・教会

くり抜いた窓はなんかアールデコっぽい

築地本願寺 寺・神社・教会

中に入ると、和風寺院のテイストが強くなります。

築地本願寺 寺・神社・教会

折り上げ格天井に柱が並ぶ内部

柱が並ぶ様子はちょっと教会のようでもある

築地本願寺 寺・神社・教会

階段室は洋風かな？

窓のデザインも単純な長方形ではないんですね。

築地本願寺 寺・神社・教会

ステンドグラスもありました！

築地本願寺 寺・神社・教会

境内の一角には酒井抱一のお墓や、様々な供養塔などががきれいに並んで建っていました。
境内を整備して、まとめて並べたような感じでした。

歌人として有名だった九条武子の歌碑もありました。彼女は西本願寺の大谷光端の妹で、現在の京都女子大学の元となった学校設立や、関東大震災の折の被災者救援、築地本願寺の再建などにも力を尽くした人物ですが、大正三美人としても有名です。

九条武子夫人歌碑 名所・史跡

赤穂義士の間新六の供養塔は泉岳寺にもありますが、なぜ築地本願寺にも供養塔があるのかは不明だそうです。

間新六供養塔 名所・史跡

横からのアングルもいい眺め。

築地本願寺は重要文化財に指定されています。

築地本願寺 寺・神社・教会

本堂だけでなく、石柱や大谷石の塀も重要文化財に指定されています。

築地本願寺 寺・神社・教会

江戸時代、築地の埋立の際に、堤防を築いても築いても波にさらわれて工事が難儀した時の事、海に光るものがあり、それをお祀りしたところ、波がおさまり、工事も無事終了したとのこと。それがこの波除稲荷神社です。

波除稲荷神社 寺・神社・教会

境内には大きな獅子頭が安置されていました。つきじ獅子祭りでは
獅子頭を神輿の載せて巡行するそうですね。

波除獅子 名所・史跡

波除神社のすぐ近くにあった海幸橋の親柱、ちょっと変わったデザインで、日本では珍しいオランダのアムステルダム派の影響を受けた作品です。
橋自体はもうありませんが、色も塗りなおされているみたいで、きれいに保存されています。

海幸橋 名所・史跡

界隈には問屋さんなどがたくさんありますが、古い建物もところどころに残っていておもしろいです。
銅板を多用した三階建ての建物に腰折れ屋根の建物が並んで建っています。

築地場外市場 名所・史跡

築地場外市場

築地場外市場 名所・史跡

ビルの谷間に昔の風情を感じられる家が。和館に洋館が付属している家。

壁面を銅板で覆った家が多いですね。

こちらはちょっと粋な造り。

隅田川に架かる勝鬨橋までやってきました。

勝鬨橋 名所・史跡

勝鬨橋は跳開橋でしたが、昭和４５年を最後に橋が上げられることはなくなりました。

勝鬨橋 名所・史跡

橋を開こうという話もあるそうですが、なかなか難しいでしょうね。

勝鬨橋 名所・史跡

勝鬨橋のたもとには、かちどき橋の資料館という施設があります。

かちどき橋の資料館 美術館・博物館

当時使われていた機械などの展示もあり、小さいながら充実した展示となっていました。受付（管理人）も常駐しているようです。

かちどき橋の資料館 美術館・博物館

勝鬨橋のミニチュアも。

かちどき橋の資料館 美術館・博物館

震災復興橋の絵ハガキのパネル展示もありましたが、

数寄屋橋など今ではなくなってしまった橋もたくさんありました。

かちどき橋の資料館 美術館・博物館

勝鬨橋から隅田川テラスを歩いて上流側へ進みます。

隅田川テラス 名所・史跡

運上所跡碑

東京税関があったんですね。

運上所跡 （東京税関発祥の地) 名所・史跡

運上所跡碑は立派な料亭の壁際に設置されていました。

つきじ治作 グルメ・レストラン

聖路加ガーデンにやってきました。

隅田川のランドマーク的な存在ですね。

聖路加ガーデン 名所・史跡

聖路加国際病院の老朽化に伴った再開発でタワーなどができたわけですが、１９３３

年竣工の旧館の中央部分だけは保存されました。

旧病院の設計者はアントニン・レーモンドなどですが、この中央塔だけは残して左右の棟は建て替えられました。十字架のついた尖塔はゴシック調ですが、アールデコ様式も取り入れられています。

チャペルも保存されているそうです。

敷地内にあるトイスラー記念館は外観はハーフティンバーに見えますが、実際はコンクリート造りで木組みは装飾です。色合いがきれいで優しい印象ですね。

元々は病院の看護や教育を担当する女性宣教師のために建てられた住宅です。

トイスラー記念館 名所・史跡

トイスラーは聖路加国際病院の創立者であるアメリカの宣教師です。
聖路加国際病院ができたのは１９０２年で、そのころは築地は居留地ではなくなっていますが、教会やミッションスクールなどキリスト教関係の施設が多く、宣教師であるトイスラーがこの地に病院を設立したのも、そういったこの場所の歴史があったからなんでしょう。

トイスラー記念館 名所・史跡

居留地時代、アメリカの公使館もここに置かれていて、実際の場所は聖路加タワーのあたりのようで、そこに案内板も設置されていましたが、トイスラー記念館の前には公使館時代の白頭鷲や星条旗の標石が置かれていました。

アメリカ公使館跡 名所・史跡

横浜新橋間に汽車が開通すると、築地から出ていく商人も多く、築地居留地は宗教、教育としての側面が大きくなっていったようです。

そんなわけで、築地居留地が発祥であったり、一時期ここに校舎があったりというキリスト教関係の学校のモニュメントがたくさんあります。
聖路加国際病院と同じ米国聖公会の立教女学院のモニュメントは病院敷地内にあります。

立教女学院 築地居留地 校舎跡記念碑 名所・史跡

やはり聖路加国際病院敷地にある立教学院発祥の地モニュメント。１８７４年学校開設。

立教学院発祥の地 名所・史跡

女子学院発祥の地記念碑。女子学院の前身の学校は１８７０年に築地で開校。

女子学院発祥の地 名所・史跡

青山学院も築地にルーツがあるんですね。

青山学院記念の地 名所・史跡

女子聖学院発祥の地碑。

女子聖学院の前身の学校の開校は１９０５年

女子聖学院発祥の地 名所・史跡

明治学院は１８８０年、横浜より移転

明治学院発祥の地 名所・史跡

双葉学園発祥の地碑。学校の名前にちなんだ双葉のかわいいモニュメント。

１８７５年に修道院・寄宿学校を設立

雙葉学園発祥の地 名所・史跡

関東学院の源流・東京中学院発祥の地碑。

東京中学院発祥の地 名所・史跡

１８８８年カトリック築地教会内に開かれた学校が暁星学園に発展。

モニュメントはカトリック築地教会の目の前に建っています。

暁星学園発祥の地 名所・史跡

そのカトリック築地教会はギリシャ神殿風の建物です。

日本でギリシャ建築風の教会は珍しいかな？しかも、これが木造というからちょっとびっくり。

カトリック築地教会 寺・神社・教会

居留地１８号地跡に置かれている「ヘンリー・フォールズ住居跡」の石碑。

ここに住んでいたイギリス人ヘンリー・フォールズは日本の指印の習慣に興味を持ち、「指紋」の研究に発展させたそうです。

指紋研究発祥の地（ヘンリー・フォールズ住居跡） 名所・史跡

旧居留地の跡はそのほとんどがモニュメントですが、ひとつだけ、居留地時代のものが残っていました。明石小学校の外回りに整備されているイギリス積みの煉瓦塀です。
合わせてガス燈もありますが、明治時代末期のものであるのは確かなようですが、どこにあったものとか、由来は書いてありませんでした。

築地居留地跡 名所・史跡

その明石小学校は建物自体は新しいもののようですが、デザインはレトロな感じになっていました。

明治維新以降居留地となった築地は江戸時代は武家屋敷が並んでいました。
明治の世になって、武家屋敷がいらなくなってその跡地を居留地にしたということなのでしょうか。

忠臣蔵で有名な浅野家の上屋敷もここに置かれていて、本懐なった赤穂義士たちは泉岳寺へ行く途中、浅野家の屋敷の前を通ったと言います。

今は浅野内匠頭邸跡という石碑が建てられています。

浅野内匠頭邸跡 名所・史跡

築地で見つけた古い建物たち。

宮川商店（宮川食鳥鶏卵）は昭和4年竣工。三階建ての銅板張り商店建築です。

昔はこんな建物がずーっと並んでいたんでしょうね。

トラヤ薬局はずいぶんとモダンなデザインです。