2024/04/02 - 2024/04/06
217位(同エリア899件中)
ST&Gさん
宮城県から北上して岩手県に入りました。
今回は猫ブログのような感じになってしまいましたが、この旅行記で紹介するのは【平泉-仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺産群-】という長い名前で世界遺産登録されている中尊寺と毛越寺。
朝早く訪れた中尊寺では、私たちにとって人生初となる猫ガイドの案内で本堂を歩くことになりました。
また僧侶さまのお話しも聞けたり…と、諺通り「早起きは三文の徳」。
そして旅行記後半は、団体客が押し寄せる前の静かな毛越寺を紹介します。
無き伽藍を想像しながら歩いてみましたが、奥州藤原氏の力は偉大なり!
栄華を極めた時代の魅力に触れた平泉の旅。
その様子をご覧ください。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- グルメ
- 4.0
- 同行者
- 家族旅行
- 交通手段
- 自家用車
-
岩手に入り、最初に訪れたのは中尊寺。
今回は楽をして坂の上駐車場に車を停めることにしましたが、時間に余裕があれば町営駐車場を利用して、表参道(月見坂)を歩いたり弁慶堂などを見学すると良いでしょう。
境内ではまだ掃除が行われているような時間帯でしたので、駐車場もガラガラ。 -
坂の上駐車場から緩やかな坂を上り本堂に到着。
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前を歩いていた観光客が階段の下にいた猫を撫でていたので、私たちも同じように猫が好む部位をナデナデ。
飼い猫だけあり、とても人懐こいですよ。
階段を上ろうとしたら、猫が私たちの前を歩き始めました。
ここからは、猫(※)の案内で本堂参拝。
※以下:猫ガイドで表記。 -
「作り話だ!」という声が聞こえてきそうですが、冗談のような本当の話し。
「こちらへどうぞ!」という感じで、猫ガイドによる本堂ツアーが始まりました。
私たちも生まれて初めての経験でしたが、写真ではその様子が伝わらないのが残念。 -
階段を上がり、山門で立ち止まったと思ったら門をスリスリ。
暫く動く気配がないので、私たちは一関城から移築された表門(現在の本堂山門)を見学。
そろそろ移動しようか…と思った時に、猫ガイドも動き出しました。 -
人間の前を歩く猫ガイド。
門を潜ったと思ったら、今度は爪研ぎ。
デイリー ルーティンなかな? -
私たちは山門を内側から見学。
以前有った門は焼失したため、一関城から移築された門が山門の代わりを務めています。 -
通常の寺の門とは異なり、切妻屋根の庇が深く脇門もある薬医門の造り。
平屋門の中では、最も格式が高いと言われている門です。 -
山門の見学を終え本堂へ移動しようとしたら、再び猫ガイドが私たちの前を歩き始めました。
大勢の人が訪れる中尊寺ですから、きっと人間の傍にいるのが好きなのでしょう。 -
参拝の前に身を清めろということで立ち止まったのかと思いきや、「水を飲むんか~い!」
これもデイリー ルーティン?
この緩さに、大笑いです。
でも可愛いな。 -
中尊寺の中心となる本堂。
明治時代に再建されたものですが、こちらでは色々な行事が行われます。
山門の次に見たいのは、この本堂の中にあるもの。 -
本堂の建物に向かって歩き始めると、水を飲み終えた猫ガイドがまた目の前に現れました。
この展開は何回目?
どうしても私たちの前を歩きたいのね。
面白い猫ガイド。
何処まで行くのかついて行きましょう。
と思ったのも束の間、早速コースアウト??? -
猫が消えていった壁。
そこに何があるのかと石碑を見たら、東日本大震災慰霊供養之塔でした。
この存在を知らなかった私たちにとっては、意外なものを教えてもらったような形となりましたが、猫ガイドについて行こうと思わなければ、この数日後に訪れた福島で再び復興の様子を見に行くという展開にはならなかったかもしれません。 -
今度は本堂参拝。
と思ったら、壁の向こうに消えていったはずの猫が現れ「ついてこい!」と言うように歩きだしました。 -
奥に見えるのは光勝院。
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猫ガイドは本堂の前で止まり、今度は床下へと消えていきましたので、私たちも本堂を参拝します。
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中尊寺は初めに釈迦と多宝如来が鎮座する多宝寺が建立され、さらに大長寿院を建立。
この大長寿院には二階大堂と呼ばれた大きな阿弥陀堂があり、その中には9mにも及ぶ金色の阿弥陀如来像が本尊として安置されていました。
鎌倉には源頼朝が建立した永福寺(今は永福寺跡)がありますが、これを真似て造ったと言われています。 -
本堂に入り最初に参拝。
釈迦如来坐像の前には、不滅の法灯。
最澄以来灯り続ける延暦寺 不滅の法灯の元火が中尊寺に分燈され、今も護持されています。
今回は僧侶様のお許しをいただき、神聖な釈迦如来坐像と不滅の法灯を撮影させていただきました。
中尊寺では毎朝この不滅の法灯から祭壇の蝋燭に火が灯されるのですが、僧侶さまもこの火は絶やさないと仰っていましたよ。
他にも観光資源としての情報を得るために天台宗についてお聞きしたり、とても有意義な時間を過ごすことができた中尊寺本堂です。 -
昔テレビで見た『ゆく年くる年』。
その時に撞いていたのが、中尊寺のこの鐘。 -
参拝を終え本堂を後にしようとしたら、床下に消えて行った猫ガイドが再び現れ門までお見送り。
(門の左側を歩いているのが猫ガイド)。
遠隔操作されているような驚きの猫でしたが、皆さんが中尊寺を訪れる時も案内してくれると良いですね。 -
峯薬師堂。
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その近くで見掛けたショウジョウバカマの花。
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大日堂。
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梵鐘(旧鐘楼)。
長い間撞かれてきた部分が凹み、今は殆どこの鐘を撞くことはないようです。 -
こちらは、奥州藤原氏の文化財を収蔵している宝物館の讃衡蔵。
金色堂へ行くには、こちらで拝観券を入手してください。 -
料金改定により、4月1日から大人1,000円。
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拝観券を持って、いざ金色堂…。
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こちらは、金色堂をすっぽり覆っている新・覆堂。
以前この金色堂を覆っていた木造の建物(旧・覆堂)は、ここから歩いて数分の所にありますので、新・覆堂と旧・覆堂の違いを見比べてみると良いでしょう。
個人的には金色堂へ行く前に、旧・覆堂で映像を見てからこちらを訪れるべきだと思いますので、その順番で紹介します。 -
旧・覆堂。
鎌倉幕府が風雪にさらされている金色堂をまもるために建造したと伝わる建物ですが、後の調査でこの建物は室町期のものだということが判明しました。
左横にあるのは、松尾芭蕉の像。
=五月雨の降りのこしてや光堂= -
昔はこの旧・覆堂の建物もなく、金堂が直接雨や雪・また風にさらされていたというのが信じられませんが、その時代を想像したら益々タイムトラベルの願望が強くなりました。
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旧・覆堂の中ではこのように修復の様子などを映像で見る事ができますので、讃衡蔵で拝観料を支払ったら(拝観券購入)、先に旧・覆堂でビデオを見てから金色堂へ向かうのがお勧めです。
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再び新・覆堂。
この建物には殆ど目もくれず、そのまま建物中にまっしぐら…という人もいると思いますが、実はこの新・覆堂もなかなか興味深い建物。
画像を見ると木材が使われているように見えますが、覆堂は全てコンクリート造り。
木材のように見える部分も、実はコンクリートです。
このように木目に苔の緑色も加わっていましたから、見た目は木材そのものという感じ。
本当にこれがコンクリートなのかしらと軽く触ってみたら、やはりコンクリートでした。
周囲の建物や自然との調和、また金色堂の煌びやかさを際立たせている新・覆堂。この設計にあたっては、いろいろ修正を加える必要があったと聞きます。 -
シンプル イズ ベスト!
そのような大斗肘木。 -
覆堂の中は撮影禁止となっていますが、東を正面にして立つ金色堂は屋根が一片3軒(約5.5m)の宝形造り。
柱や壁・扉などは総漆塗り(接着剤の役目)の上に布を貼り、更に金箔が貼られています。
屋根を支える4本の巻柱には計48体の仏像が蒔絵のように描かれ、須弥壇は螺鈿・象牙・金・銀・紫檀などの装飾が施されとても華やか。
阿弥陀如来・勢至菩薩・観音菩薩、更に増長天や持国天などが光り輝いていますが、ここには藤原氏の亡骸も黄金の棺に安置されています。
須弥壇中央には、中尊寺を再興した初代藩主の藤原清衡(きよひら)公。
※開山は慈覚大師円仁。
向かって左は、毛越寺を造営した2代藩主の基衡(もとひら)公。
右は、源義経を欧州に招き入れた3代藩主の秀衡(ひでひら)公。
そして4代藩主の泰衡(やすひら)公の御首級(みしるし)も安置されています。
※泰衡公は首を落とされてしまいましたので御首級。
更に詳しい情報が知りたければ、中尊寺公式サイトや旧・覆堂のビデオでご確認ください。
中尊寺公式ホームページ
https://www.chusonji.or.jp/ -
新・覆堂と旧・覆堂の間にあるのが寒山天満宮。
階段は途中まで木の根っこが階段代わりとなっています。
自然を利用したその様子が面白くて、カメラに納めてみました。
(移動) -
こちらの鳥居を潜ると、白山神社能舞台。
5月4日・5日と11月3日の祭礼では、中尊寺一山僧侶により「古実式三番」と「御神事能」が奉納されます。 -
中尊寺参拝を終えたら、今度は毛越寺へ行ってみましょう。
帰りは讃衡蔵と金色堂の間にある道から下り、再び坂の上駐車場へ。 -
木立を抜けたと思ったら、再び本堂を案内してくれた猫ガイドが現れました。
違う猫かと思い首輪を見ると、やはり同じ猫。
また見送りに来てくれたのかしら? -
案内板の前で立ち止まり、これを見ろと言わんばかりの仕草で上を見る猫ガイド。
動画ではないので、旅行記では写真を適当に組み合わせたような感じになっていますが、嘘のような本当の話し。 -
その猫ガイドが見上げた案内板が、こちらです。
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大池跡。
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桜がまだなら、蓮はもっと後。
この花が咲けば、益々極楽浄土の世界に近い風景を見る事ができたのかもしれません。
見応えがあった中尊寺。
しかしそれ以上に印象的だったのが、猫ガイドでした。
案内してくれて有難う!
今度はチャオ●ュールを持っていくね。 -
中尊寺の次は天台宗別格本山毛越寺(もうつうじ)。
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すぐ隣にある駐車場に車を停めたら、奥州藤原氏の浄土庭園を見に行きましょう。
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開山は天台宗山門派の祖・慈覚大師円仁ですが、後に荒廃が進み、12世紀に入り奥州藤原氏により復興されました。
こちらは、旧一関藩主 田村家の門を移築した山門。 -
手水舎で身を清めてから参拝。
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こちらがかつての毛越寺。
伽藍復元図左にある大泉ヶ池に架かる橋を渡ると、毛越寺の伽藍(がらん)。
そして右の池泉の所は観自在王院(かんじざいおういん)。 -
毛越寺 南大門跡。
この南大門から観自在王院南門前は人通りも多く、とても賑やかな空間が広がっていたようです。
二階惣門とも呼ばれていた南大門の両側には仁王像も安置されていましたが、今は礎石を残すのみ。
しかしながら、平安時代の伽藍遺構がほぼ完全な形で残る毛越寺ですので、基本的な寺院構造(本堂は南向き/山門も南に向いて開かれる)を思い出しながら、歩いてみることにしましょう。
因みに西方は極楽浄土。 -
平成元年に再建された、平安様式の本堂。
本尊は薬師如来。
その両脇に日光月光菩薩が安置されています。 -
本堂近くの建物に方言のうちわが置いてありましたので、私もうちわをもって撮影してみました。
皆さんもこの様なうちわを持って、記念撮影をしてみませんか? -
海岸の風景や、山水の景観を表している池泉。
この築山は、海岸に迫る岩山を表現。 -
開山堂。
こちらには毛越寺の前身である嘉勝寺を創建した、慈覚大師円仁が祀られています。 -
あやめ園。
私の感覚ではあやめの開花と言えば鯉のぼりの季節ですが、東北は6月下旬。
この毛越寺では、毎年6月20日から7月10日にあやめまつりが行われますよ。 -
杉木立に囲まれた空間。
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そこにあったのが、金堂円隆寺の西に位置する嘉勝寺 。
藤原基衡公・秀衡公が円隆寺と庭園を造営するにあたり嘉勝寺の規模も大きくしたため、円隆寺と同格だったと言われています。
しかし度重なる火災で今は土壇と礎石が残っているだけ。 -
講堂跡。
土壇の中央に更に隆起している場所があるのですが、恐らく毛越寺のパンフレットに記載のあった仏壇の跡ではないかと思われます。 -
金堂円隆寺跡。
毛越寺の中心的伽藍で東西には左右(東西)対称の廊があり、その先端にあったのが、後述の鐘楼と経楼。 -
西廊は池の畔に経楼(跡)。
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東廊は池の畔に鐘楼(跡)。
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鑓水①。
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鑓水②
池に水を取り込むための水路ですが、『作庭記』の庭園技法が見られる貴重な遺構です。 -
毎年5月第4の日曜日(昼頃)にはこの鑓水の辺(ほとり)で曲水の宴が催され、宮中の雅やかな世界を見る事ができますよ。
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鐘楼。
鐘は有りますが、撞くことは出来ません。 -
常行堂は、天台宗において僧が修行するために建てた仏堂。
屋根は萱葺き。
本尊は宝冠阿弥陀如来。
奥殿には、摩多羅神が祀られています。
二十日夜祭の常行三昧供の後に奉納される『延年の舞』は、国の重要無形文化財。 -
常行堂の横には、常行堂跡と法華堂跡。
この2つの建物は渡廊で繋がり、一体のものとして建てられたようです。 -
海岸の砂浜を表す干潟様の州浜。
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荒磯をイメージした出島と池中立石。
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大泉か池にあるのは、勾玉の形をした中島。
南大門から十八間と十軒の反り橋を渡ると、正面に金堂円隆寺大伽藍。
毛越寺の池の周りをぐるっと1周しましたが、往時には堂塔が40、僧坊も500程あり、中尊寺を凌ぐほどの規模だった毛越寺。
そろそろ奥州藤原氏が築いた浄土庭園の見学も終わりです。 -
満開とまではいきませんでしたが、桜。
毛越寺の紹介はここまでとなりますが、5月1日から5日には春の藤原まつり、11月1日から3日は秋の藤原まつりが催されますので、平安絵巻のような世界を垣間見たい方はそのタイミングで旅行を計画してください。 -
画像は、毛越寺の東に隣接している観自在王院。
こちらは、奥州藤原氏二代基衡の妻が造営したものです。 -
今回は時間の関係で岩手を代表する世界遺産の中尊寺と毛越寺を紹介しましたが、岩手には宮沢賢治の故郷である花巻、曲り屋(L字型の建物)で有名な遠野、また紅葉や空中を移動する郭公だんごで有名な厳美渓などもありますので、その辺りはまたいつか紹介できればと思います。
岩手観光が終わりましたので、最後に盛岡冷麺を食べてから青森に移動しましょう。 -
龍泉。
焼き肉と冷麺のセットがありましたので、そちらを注文。
観光客が観光のついでに寄ってくれたらという感じで、このメニューが出来たのかなという気がしますが…。 -
こちらが龍泉贅沢セット。
上カルビ・厚切りハラミ・牛たん。 -
焼き肉を焼くジューッという音と匂いが、食欲をそそります。
-
そして冷麺。
焼き肉も食べたら、お腹いっぱい! -
再び高速。
そろそろ岩手山が見えてきましたよ。 -
サービスエリアで休憩。
-
ここから岩手山が見えると聞き、寄ってみることにしました。
この角度から見ると単独峰のように見えますが、実は連峰。 -
という事で、次回は本州最北端の青森を紹介します。
良かったらまた遊びに来てください。
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