盛夏の信州諏訪湖、諏訪大社下社秋宮、上諏訪温泉と諏訪9蔵めぐり

2023/07/30 - 2023/08/01

長野県には新潟県に次いで2番目に多い81もの酒蔵がある。上諏訪駅近くの国道20号沿いの数百mは高密度で、5軒の酒蔵が切磋琢磨している。諏訪5蔵めぐりと称する有料試飲ができることを知り、サクッと訪れてみた。
本命は全国ブランド「真澄」で、お馴染み協会7号酵母採取蔵、宮坂醸造所の蔵元ショップ「セラ真澄」。
上諏訪温泉に泊り、参詣したことがなかった諏訪大社下社秋宮と春宮を参詣し、久し振りの中長距離ドライブ旅を楽しんだ。
この旅行記は前半の記録です。

エリア 諏訪(長野)

早起きして出発、6時30分過ぎに長野県最大の湖「諏訪湖」に到着。
水面の標高は759mなのでそれなりに涼しい。
1周約16kmは4～5時間位かけてゆっくりウォーキングを楽しむにはちょうど良い距離のようだが、日陰が少なく暑い時期には厳しそうだ。
日時計のようなモニュメントと湖越しに対岸の山脈の稜線をしばし望む。

諏訪湖(長野県諏訪市) 自然・景勝地

遡って諏訪湖への道中、猛暑の最中に渋滞にはまるのを避けるとともに、高速道路料金の深夜割引(40%)を利用するため、久しぶりに未明に出発した。
圏央道の外回りの起点となる予定の、横浜横須賀道路釜利谷JCTまでつながる横浜南道路の建設が大幅に遅れているため、環状4号線(横浜市主要地方道18号/神奈川県道23号原宿六浦線)と国道1号線で藤沢ICに向かい、圏央道茅ヶ崎JCTを深夜割引の適用条件である午前4時前に通過。
諏訪湖最寄りの諏訪南ICまで中央道で行くと早く着き過ぎるので、笹子トンネルを抜けた次の山梨県の勝沼ICで出て、あとは久しぶりの早朝の国道20号の走行だ。
途中、北杜市白州町の道の駅はくしゅうでお手洗い休憩、早朝のため9時から営業の店舗施設などは未だ開いてなく。

道の駅 はくしゅう 道の駅

白州町出身の山口素堂の「目には青葉　山ほととぎす　初かつお」の句碑が道の駅内の目立つ位置に移設されていた。
書は田中角栄氏で、第2次田中角栄内閣で第34代建設大臣を務め、山梨県から12期選出された元衆議院議員、自民党副総裁などを歴任した金丸信氏が世話役と北杜市長名の解説板に記され、様々な思いが込めらた経緯がありそうだ。田中氏、金丸氏ともに汚職で失脚し、裁判中に体調を崩して死去されているので地元の方の思いは複雑だろう。

道の駅 はくしゅう 道の駅

さて、諏訪湖を一周遊覧する観光船乗り場、早朝の便は無く、滞在中に乗るつもりが便数が4便/日と少なくタイミングを逸してしまった。

諏訪湖一周遊覧船すわん 乗り物

重なっていて分かりにくいが、奥が昭和57年就航のスワン号、手前が亀型の竜宮丸に替わり40年振りに2020年に新造されたスワコスターマイン号だ。

諏訪湖一周遊覧船すわん 乗り物

宿泊先の上諏訪温泉「紅や」。2棟がほぼ直交するような配置で、リゾートマンションの様な風貌だが、リニューアルされた洋室の数が多く、最上14階の展望温泉風呂などに興味を引き選定した。
KITZ北澤バルブが創業者の地縁で経営する大型施設だ。

ホテル紅や 宿・ホテル

薬用養命酒が経営する「くらすわ」の開店を待ち、遅めの朝食をベーカリーカフェでとる。
焼き立てのパンが美味、スタイリッシュな空間で居心地も良い。

くらすわ レストラン グルメ・レストラン

諏訪に来た第1の目的は上諏訪駅近くの国道20号沿いに５軒の酒蔵が密集し、諏訪5蔵と称して協力した酒蔵めぐりを開催しているのを知ったから。協会7号酵母発祥蔵の「真澄」は全国的に知名度が高いが他は比較的規模が小さく未知の領域だ。
まずは上諏訪駅の観光案内所に寄り情報を収集しよう。
上諏訪駅の諏訪湖側の諏訪湖口は街路樹が配置されたゆったりしたつくり。駅ビルは無く、駅前の商業施設も少ないが、上諏訪温泉をはじめ宿泊施設は湖側に多い。
なお、諏訪市の諏訪大社上社本宮は、茅野市の前宮の北西約2km、諏訪盆地の南端にあり徒歩圏ではない。
諏訪大社下社秋宮・春宮は松本駅側隣駅の下諏訪駅、諏訪湖北岸に立地、諏訪市ではなく下諏訪町となる。

上諏訪駅 駅

駅から諏訪湖や上諏訪温泉街までは徒歩圏内で便利だ。陽射しが強く湖が影になり分かりにくいが、上が諏訪湖で、2時の方向が北である。
目的地の国道沿いの諏訪5蔵は最も遠い「真澄」の宮坂醸造で上諏訪駅から1kmとある。
国道20号は、駅の反対側の霧ヶ峰口にあり、線路と並行しほぼ南北に諏訪湖の東岸を貫く。中央自動車道は反対の西岸に建設されている。
観光案内所は霧ヶ峰口にあり、諏訪5蔵の案内をしてもらえる。観光案内所の位置が異なるなど街の変化を反映した更新がなされていないようでwebなどで確認した方が賢明だ。

諏訪市観光案内所 名所・史跡

駅の北側に東西を結ぶ屋根付の歩道橋があり、霧ヶ峰口へ向かう。

上諏訪駅 駅

JR上諏訪駅霧ヶ峰口。長野日報の看板下、おみやげの看板の改札側によく見ると観光案内所の赤い横断幕が見える。
観光案内所で5蔵巡りを一括￥2500前払いすると巾着袋に入った「GOKURAKU SUWA5KURA」と記された約1合のグラスか陶器のお猪口がお土産として貰える。試飲は、都度洗浄しなくて良いようにお土産のグラスではなく、使い捨てのプラスチックカップで行う。酒蔵によっては独自の試飲コースもあるが、5蔵巡りのコースしかない酒蔵もある。5蔵コースだと各酒蔵で4～5品の試飲を楽しめ、1品の試飲量は10ml程度だが、5蔵巡ると1合を超える量である。アルコール度数の高い加水無しの原酒などもありそれなりの覚悟が必要だ。
観光案内所で量の目安として黒線がペンで記載されたプラカップを示されるが少なく見せていたようだ。なお、試飲せずに1合瓶またはカップをひとつずつ持ち帰ることもできるが、種類を選ぶことはできない。

諏訪市観光案内所 名所・史跡

霧ヶ峰口駅前は国道20号が通っていて商業施設が並んでいて高度利用区域となっている。
東西通路から国道20号を跨ぎ上諏訪市の整備した大型施設に繋がっている。

上諏訪駅 駅

長野県佐久市などで展開する「ツルヤ」の大型店舗が入居し、特産品や人気のオリジナル品を物色して楽しむ。

上諏訪駅 駅

ツルヤは1階のみ、2階はクリニックや専門店など、3階が諏訪市の駅前交流スペースとして整備されている。駐車場の台数も平日は潤沢なようだ。

上諏訪駅 駅

諏訪5蔵めぐりで飲酒する前に、土用の丑であり諏訪に点在する鰻の名店で早めの昼食。
諏訪市の観光案内所の案内を参考に、下諏訪の老舗店から暖簾分けしたらしい諏訪南IC近くの鰻小林へ車で遠征した。
人気店なので11時の開店前に行列とのことで急ぐ。
道路が混雑して信号停止も多く11時を過ぎたが、店舗隣接の駐車スペースが運良く1台空きスムーズに寄れた。店舗は狭いながら、座敷、テーブルとカウンタと席数は多く、丑の日のため鰻重か鰻丼の2択で回転が早かった。
四万十川の最高級の天然鰻も供されるようだが、関東と同様の鰻の蒲焼はふっくら脂がのり美味で、たっぷり滋養が付きそうだ。

鰻 小林 グルメ・レストラン

鰻小林へ向かう途中に見つけた信州の地酒の品揃えが良さそうな大型酒店「信濃屋」へ、鰻重を食した後、諏訪5蔵へ戻る際に立ち寄った。
諏訪市以外の信州の酒(日本酒、ワイン、焼酎)の品揃えが抜群で、今回は諏訪市以外への探索は予定していないので、塩尻市と下諏訪町の地酒を購入。

鰻 小林 グルメ・レストラン

諏訪湖畔に戻ると、先ほど寄った信濃屋の電柱看板を発見。看板を見て買いに行く方も少なくないのかな。

鰻 小林 グルメ・レストラン

そしていよいよ諏訪5蔵めぐり開始。
諏訪駅側から順番にめぐり、本命の豪華なセラ真澄で締める計画だ。
始めは「舞姫酒造」。どの蔵も共通で立ち呑みで、あては無し。和らぎ水は用意がある蔵と無い蔵がある。

舞姫酒造 グルメ・レストラン

舞姫は小さなスペースだが整然としていて気持ちよく。
先は長いので購入はしなかったが、諏訪5蔵めぐりのスタンプラリーカードを提示すると割引で購入可能。

舞姫酒造 グルメ・レストラン

舞姫の由来が掲示されている。なお、八王子市に飲酒店があり、舞姫に合わせたあてを選んで楽しみるようだ。

舞姫酒造 グルメ・レストラン

試飲はどの蔵も流行りのコイン式で、窒素置換して酸化防止する冷蔵定量サーバーを導入していた。

舞姫酒造 グルメ・レストラン

続いてすぐ隣の「麗人酒造」へ。
駐車場があるので試飲しなければ猛暑でも車で楽々アクセス可能。

麗人酒造 グルメ・レストラン

麗人酒造はクラフトビールを手掛けていて、1種類を試飲可能であった。量は日本酒と異なり200ml。5蔵めぐりとは別に1杯のみ別注文できる。
試飲した辛子ビールの賞味期限が近い訳あり6本セットが割引販売されていて食指が伸びる。
日本酒もバラエティーがありテイストの違いは明確なのだが、ラベルも含めて惹きつけられる力は強くなく。
店員さんのプレゼンテーションや笑顔の振舞サービスも好印象ではなくトーンダウン。

麗人酒造 グルメ・レストラン

6種類から5種類を選べ、全ての種類は試飲できない。もちろん複数名で参加してシェアすることは可能。
但し、試飲スペースは広く無く、長居もできません。

麗人酒造 グルメ・レストラン

そして3軒目の「酒ぬのや本金酒造」、本日は3軒目で打止め。夕食をゆっくり食べながら飲み比べるため。
本金酒造ではメディアに良く出られている女将さんは不在。信濃屋酒店で本金酒造は日曜日は休業と聞いたが、観光案内所の説明の通り営業していた。
諏訪の酒蔵は純米酒のみでは無く、穀物蒸留酒である醸造用アルコールを規定以下添加した普通酒なども作っていて、地元の量を求める需要家に応えた酒作りなのだろうと認識した。

酒ぬのや本金酒造 グルメ・レストラン

翌日に備えて、残りの2軒をさっと予習しておく。
諏訪で1番小さい酒蔵、「横笛」ブランドの伊東酒造。

伊東酒造 専門店

そして協会7号酵母発祥の「真澄」ブランドの宮坂醸造。他の酒蔵とは規模が異なる広い蔵元ショップ、さらに別棟に試飲コーナを増設。駐車場も複数あり。

蔵元ショップ セラ真澄 専門店

1升瓶と4号瓶が2本ずつ入る丈夫そうな保冷バックが目に留まったが、神奈川県酒造組合とトヨタモビリティ神奈川から保冷バックをもらったばかりなので購入は自粛した。

蔵元ショップ セラ真澄 専門店

予約しておいた宿の近くの元鮨店の居酒屋「和かし」へ早めの夕食へ向かう。
座敷で6～8名が宴会、隣のテーブルで大陸からの旅行者らしき家族連れ6、7人が宴中で、騒がしくがっかり。
太田和彦さんの番組のようにご主人等を独占して話しをすることはまずできない。
郷土料理を食べながらゆっくり地酒を利き酒するつもりが、特段の郷土料理も、お手軽な数種類の利き酒セットもなく、別店舗の口コミと混ざって勘違いしたか？
なにはとめあれ、明日も来訪の無い岡谷市豊島酒造の夏限定の「御渡」生貯蔵純米酒を頂く。

旨いもんや 和かし グルメ・レストラン

早めの夕食にしたのは、19時からの諏訪湖サマーナイト花火を湖畔で鑑賞するため。
いったん宿に戻ると早起きしたのでまったりして出掛けられなくなるので、直行して数少ない背もたれのあるベンチを確保し、夕日に染まる幻想的な日没ゴールデンタイムを楽しんだ。

諏訪市湖畔公園 (石彫公園) 公園・植物園

花火の写真は難しく。
短い時間とは言え、毎晩打ち上げているのはご立派。
8月15日の花火大会は台風通過の影響で開催が危ぶまれたものの、開催できておめでとうございます。
花火のあとは紅やの複数の温泉風呂でゆっくりした。とは言え、2時半起床で就寝前にもう一度入浴は叶わず爆睡。
早朝にめざめ湖を見ながら贅沢な朝風呂。
昼食に蕎麦を食べたかったので、朝食はホテル自慢のゴージャスなビュッフェは利用せず。ツルヤで購入した惣菜パンなどで軽く済ませ、下諏訪町へ出発した。

諏訪湖祭湖上花火大会 花火

清々しい夏空のもと、諏訪下社へ初めて訪問した。
例大祭の前日で飾り付けや出店が多数、平日なのに参道はたいそう賑わっている。
午前早めに来たので駐車はスムーズにできた。

諏訪大社下社秋宮 寺・神社・教会

まずは秋宮から訪問。
諏訪の上社とは雰囲気が異なっている。

諏訪大社下社秋宮 寺・神社・教会

余り広く無い境内だが、整然としている。

諏訪大社下社秋宮 寺・神社・教会

巨大な狛犬としめ縄が印象的。

諏訪大社下社秋宮 寺・神社・教会

国の重要文化財の神楽殿、の立て札が新しい。

諏訪大社下社秋宮 寺・神社・教会

神楽殿の奥にある諏訪下社秋宮幣拝殿も国の重要文化財。

諏訪大社下社秋宮 寺・神社・教会

そして社殿の四隅に建てられた御柱を拝む。

諏訪大社下社秋宮 寺・神社・教会

7年毎の御柱祭、次は令和十年に開催される。

諏訪大社下社秋宮 寺・神社・教会

宝物殿にも興味惹かれたが、長居してしまいそうなので次へ進む。

諏訪大社下社秋宮 寺・神社・教会

御柱祭のマンホール。柱の太さがデフォルメし過ぎではないかと。

諏訪大社下社秋宮 寺・神社・教会

あちこちに看板がある老舗銘菓店の新鶴本店に寄る。

新鶴本店 グルメ・レストラン

羊羹は種々の贈答用のあつらえに対応されていて見本の数が多く。旅の途中なのでバラの小サイズを購入。

新鶴本店 グルメ・レストラン

下諏訪温泉街は上諏訪温泉と異なり湖畔を臨む高層ビルのホテル街ではなく、江戸時代以前の賑わいの趣きが残っている。
次回の予習と考えたが、なかなかじっくり味わうのは難しそうだ。

下諏訪温泉 温泉

良く整備された「綿の湯」の神話と伝説の解説板。

下諏訪温泉 温泉

空中架線と電柱が残念だが、美しい街並みである。
歴史深い和旅館は好みのベットでは無いであろう。

下諏訪温泉　御宿まるや 宿・ホテル

大社煎餅も老舗の風格だがつい買い過ぎてしまいそうなので自粛した。

大社煎餅 下諏訪店 グルメ・レストラン

下諏訪町唯一の酒蔵に寄る。
福島県の運送会社の投資で設備を一新し、IWCのSAKE部門で見事チャンピオンに輝いている。

下諏訪温泉 温泉

早速試飲を薦められる。

下諏訪温泉 温泉

プラスチックカップではなく販売もされている意匠に凝ったグラスでの試飲は素晴しい。
運転手はもちろん試飲出来ません。

街の大きな酒販店には無い素晴しいコレクションの販売に酔う。
さあ、上諏訪に戻る前に春宮を参詣しよう。
午後は諏訪5蔵めぐりの続きだ。
諸事情のためレポートはいったんここまでで閉じ、次編に続けることにします。
猛暑とエアコンで冷え過ぎのギャップ、冷たい飲み物の飲み過ぎだとかでバテていませんか？
最後までめくって読んで頂き有難うございます。
皆様のご健勝と幸運を祈ります。

下諏訪温泉 温泉

この旅行記へのコメント （1）

• マリオットさん 2023/09/18 09:28:53

  酒造巡り

  こんにちは、足跡から来ましたマリオットです。
  
  諏訪へは行ったことがありますが、参拝が中心で酒造までは周りませんでした。伏見や灘では酒造へ行きましたが、諏訪にも多いとは知りませんでした。旅行記を読むとその数に驚きますし、歩いて周れるのも楽しそうです。日本酒に詳しい訳ではありませんが、飲み比べをして見たくなります。
  
  涼しい季節になったら、酒造巡りに行って見たいと思います。