東京 伊豆大島 地層切断面(The Great Road Cut,Oshima,Tokyo,Japan)

2021/12/20 - 2021/12/20

2021年12月20日(月)10時、波浮港から次の目的地に向かう。大島一周道路に戻って来ると旧波浮港村から旧差木地村に入る。波浮港の前に寄った筆島は旧波浮港村だが、波浮港見晴台は旧差木地村だった。大島町になった6つの村のうちの一つで、島の東南部を占め、旧波浮港村も独立前は旧差木地村だった。差木地とは土壌が肥沃で、挿し木をすると根付いてドンドン増えていったことからと云う。

大島一周道路に合流する前に波浮港の突堤灯台の入口の先のトウシキ園地が広がるところから1本海側の道に分かれると、トウシキの鼻と呼ばれる太平洋に突き出した部分を過ぎる。その先にトウシキキャンプ場の駐車場があるので、いったん車を止めて崖沿いを少し歩く。

この海岸は、大きな縄の様な溶岩の襞が弧を描き海に流れ出て、放射状に幾えにも固まった天然の堤防となっている。この溶岩流は山頂からのものではなく、近くの側火山や割れ目から流れ出たものであると考えられている。一番南に突き出した部分はトウシキの鼻と呼ばれる。

キャンプ場には洗い場やかまど、トイレなどが設置されており、無料で利用できるそうで、海岸には溶岩で囲まれた遊泳場もある。また、沖を見ると伊豆七島の利島や新島も見える。
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大島一周道路に戻り西に15分ほど進むと赤岩に到着。大島南岸のちょうど中間あたり、時計で云えば6時の位置に突き出した岬で、大島を代表する一級磯のひとつだそうだ。60kgのマグロが釣れた地磯と云うことで、大島に来る釣人ならば誰もが一度は竿を出してみたいと憧れる場所らしい。

私は釣りに興味はないが、青い海に突き出す赤い岩が見事。噴火で海沿いまで流れてきた溶岩が固まる際、高温の状態で空気に触れ、溶岩の中に含まれる鉄分が酸化したために、この色になっているようだ。ここからも利島や新島が望める。
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赤岩を過ぎると旧差木地村から旧野増村に入る。旧野増村は島の南西部を占め、ほとんどは山岳地で、後ほど行く三原山も旧野増村だが、海岸部から直接上がる道はなく、元町を経由して後ほど上がる。

赤岩から大島一周道路を10分足らず走り、大島時計盤の7時くらいの位置にひときわ目を引く見事な地層の縞模様が山側に現れる。これが地層大切断面。すぐ近くの島の南西端に当たる千波崎があるため、千波地層大切断面とも呼ばれる。千波崎辺りは岩礁にあたった流れが本流と海面でぶつかり、渓谷の早瀬のように多くの三角波が出来ることから千波と名付けられた。

2020年10月にNHK総合で放送された「ブラタモリ」の伊豆大島編で取り上げられていたところで、その放送を見た時にはすごいなあと思ったが、その約1年後に来ることになるとは思ってもなかった。2021年9月からテレ東系で放送された片桐はいり主演の連ドラ「東京放置食堂」でも登場した。

1953年(昭和28年)の大島一周道路の開削で生まれた最大高さ24m、延長630mにも及ぶ地層の断面。「バームクーヘン」とも通称される地層は約2万年間の噴火の度に堆積したスコリアや火山灰が、何重にも層になって出来上がった地層。火山砕屑物が地表に沿って(地表の斜面に対して)同じ厚さで降り積もった地質構造を伝える代表的なスポット。

各層の厚さや成分を調べることにより、噴火の激しさや期間の長さなどを推測することができる。伊豆大島の火山活動がかなり正確に解明されているのには、この地層大切断面の存在が大きい。

スコリア(黒っぽい破片状の火山噴出物)、火山灰、風化火山灰または腐植土の互層になっており、露頭部分の下にもさらに海面まで、5000年以上の地層が埋もれている。これらの層は百数十年に一度の割合で起こった大噴火で形成されたもので、百数十層が確認されており、実に1万5000年もの間の火山活動の歴史を辿ることができる。

地層とは反対側の洋上には利島、新島、式根島、神津島が見え(下の写真)、この日は肉眼では判別できなかったが条件により三宅島、御蔵島も見ることができる。
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元町港に進むが、続く

エリア 伊豆大島(東京)

地層大切断面からの伊豆七島