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学生の頃、吉備路に憧れて旅行案内書を買った。ところが、何故か行く機会が無く、幾年月が過ぎてしまった。しかし、ようやく旅する機会が訪れた。コロナ禍で、外国人観光客が少ないうちに、倉敷を歩いておこうと考えたことと、思いがけず夜行列車が取れたことが、長らく行きそびれていた吉備路への誘いとなったのである。今回は、吉備路と倉敷の他、備前と備中の気になる場所も訪れることにした。<br /><br />(2022.10.02投稿)

備中備前を行く【1】~備前の歴史を歩く~

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2022/09/22 - 2022/09/23

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8

42

旅猫

旅猫さん

学生の頃、吉備路に憧れて旅行案内書を買った。ところが、何故か行く機会が無く、幾年月が過ぎてしまった。しかし、ようやく旅する機会が訪れた。コロナ禍で、外国人観光客が少ないうちに、倉敷を歩いておこうと考えたことと、思いがけず夜行列車が取れたことが、長らく行きそびれていた吉備路への誘いとなったのである。今回は、吉備路と倉敷の他、備前と備中の気になる場所も訪れることにした。

(2022.10.02投稿)

旅行の満足度
3.5
観光
3.5
ホテル
3.0
グルメ
4.0
交通
3.5
同行者
一人旅
一人あたり費用
5万円 - 10万円
交通手段
高速・路線バス タクシー 新幹線 JR特急 JRローカル 徒歩
旅行の手配内容
個別手配
利用旅行会社
楽天トラベル

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  • 西国への旅には、やはり夜行列車が良い。9月の三連休の寝台券を、駄目とは思いつつも窓口で尋ねると、何と最後の一枚が取れてしまった。そこで、急遽旅の計画を立てることになった。そこで思い付いたのが、長らく行く機会が無かった倉敷と吉備路である。そして、22日の夜、東京駅発の琴平行寝台特急『サンライズ瀬戸』に乗り込んだ。

    西国への旅には、やはり夜行列車が良い。9月の三連休の寝台券を、駄目とは思いつつも窓口で尋ねると、何と最後の一枚が取れてしまった。そこで、急遽旅の計画を立てることになった。そこで思い付いたのが、長らく行く機会が無かった倉敷と吉備路である。そして、22日の夜、東京駅発の琴平行寝台特急『サンライズ瀬戸』に乗り込んだ。

  • 夜中の12時半過ぎまで騒ぐ高齢者のおかげで、不愉快な夜行列車の旅となったが、それでも朝の車窓は清々しい感じであった。そして、岡山駅には6時半前に着いた。乗り換える赤穂線の列車までは50分ほどの待ち時間があった。7時21分発の播州赤穂行に乗り、まずは西大寺駅へと向かった。

    夜中の12時半過ぎまで騒ぐ高齢者のおかげで、不愉快な夜行列車の旅となったが、それでも朝の車窓は清々しい感じであった。そして、岡山駅には6時半前に着いた。乗り換える赤穂線の列車までは50分ほどの待ち時間があった。7時21分発の播州赤穂行に乗り、まずは西大寺駅へと向かった。

  • 西大寺駅からは、真っ直ぐ南へ向かえば西大寺観音院へ至る。しかし、本来の参道を歩いて向かうことにした。駅から少し南西へ歩くと、学校の近くに史跡らしきものがあった。説明板によれば、平安時代初期に活躍した宮廷絵師である巨勢金岡の墓と、その筆洗いの井戸があったことを伝えるものである。どちらも別々の場所から移設されたものだそうだ。

    西大寺駅からは、真っ直ぐ南へ向かえば西大寺観音院へ至る。しかし、本来の参道を歩いて向かうことにした。駅から少し南西へ歩くと、学校の近くに史跡らしきものがあった。説明板によれば、平安時代初期に活躍した宮廷絵師である巨勢金岡の墓と、その筆洗いの井戸があったことを伝えるものである。どちらも別々の場所から移設されたものだそうだ。

  • そこからさらに歩くと、両備バスの西大寺バスターミナルがあった。その敷地内に、旧西大寺鉄道の本社社屋が事務所として残されていた。この辺りに、西大寺駅があったそうである。隣には、東岡山駅近くにあったという財田駅の駅舎も移築され、乗務員の休憩所として使われていた。

    そこからさらに歩くと、両備バスの西大寺バスターミナルがあった。その敷地内に、旧西大寺鉄道の本社社屋が事務所として残されていた。この辺りに、西大寺駅があったそうである。隣には、東岡山駅近くにあったという財田駅の駅舎も移築され、乗務員の休憩所として使われていた。

  • バスターミナルの建物の脇には、かつて使われていたキハ7と言う形式の気動車も保存されていた。思いがけず、廃止された鉄道の遺産に出会えたことは嬉しい。近くには、ポイント切替器も保存されていた。

    バスターミナルの建物の脇には、かつて使われていたキハ7と言う形式の気動車も保存されていた。思いがけず、廃止された鉄道の遺産に出会えたことは嬉しい。近くには、ポイント切替器も保存されていた。

  • バスターミナルの南側から、西大寺の参道が伸びている。参道に入ると、かつては賑わったであろう街の残り香を感じた。その道が、途中で東へと向きを変えているのに気付かず、そのまま道なりに歩いてしまった。

    バスターミナルの南側から、西大寺の参道が伸びている。参道に入ると、かつては賑わったであろう街の残り香を感じた。その道が、途中で東へと向きを変えているのに気付かず、そのまま道なりに歩いてしまった。

  • その道も、緩やかに弧を描きながら東へと向きを変える。途中に小さな喫茶店があり、窓に、テレビドラマのロケで使われたと書いてあった。その先で、水路を渡る。西川と呼ばれる用水で、なかなか風情があった。

    その道も、緩やかに弧を描きながら東へと向きを変える。途中に小さな喫茶店があり、窓に、テレビドラマのロケで使われたと書いてあった。その先で、水路を渡る。西川と呼ばれる用水で、なかなか風情があった。

  • 大通りを渡ると、道の奥に西大寺の三重塔が見えて来た。正門の方へ向かうと、風情のある街並みとなった。大きな寺なので、門前町が広がっているかと思っていたのだが、その入口は狭い細道で、その奥に、江戸時代に建立された仁王門が立っていた。県下最大級の仁王門だそうだ。

    大通りを渡ると、道の奥に西大寺の三重塔が見えて来た。正門の方へ向かうと、風情のある街並みとなった。大きな寺なので、門前町が広がっているかと思っていたのだが、その入口は狭い細道で、その奥に、江戸時代に建立された仁王門が立っていた。県下最大級の仁王門だそうだ。

  • 門を入ると、外からは想像も付かないくらい広い境内が現れた。その境内には、本堂や三重塔など江戸時代に建立された建物が数多く立っていた。三重塔は、小ぶりながらも均整の取れた姿で、なかなか美しい。

    門を入ると、外からは想像も付かないくらい広い境内が現れた。その境内には、本堂や三重塔など江戸時代に建立された建物が数多く立っていた。三重塔は、小ぶりながらも均整の取れた姿で、なかなか美しい。

    西大寺観音院 寺・神社・教会

  • 境内の一角には、石門と呼ばれる龍鐘楼が立っている。竜宮城のような門で、やはり江戸時代に建てられたものである。門の前には鳥居があり、日本三大奇祭のひとつである『会陽』の際、そこで身を清めるそうである。

    境内の一角には、石門と呼ばれる龍鐘楼が立っている。竜宮城のような門で、やはり江戸時代に建てられたものである。門の前には鳥居があり、日本三大奇祭のひとつである『会陽』の際、そこで身を清めるそうである。

  • 西大寺を拝観した後、北側に続く五福通りを歩く。そこは、門前町と川湊を擁する商業の街が一体となった街で、今でも江戸から大正時代に建てられた古い商家などが軒を連ねている。

    西大寺を拝観した後、北側に続く五福通りを歩く。そこは、門前町と川湊を擁する商業の街が一体となった街で、今でも江戸から大正時代に建てられた古い商家などが軒を連ねている。

  • 古風な看板建築の建物も多く、一部は洒落た喫茶や雑貨屋などになっていた。立ち寄りたい店もあったが、時間が無く断念した。

    古風な看板建築の建物も多く、一部は洒落た喫茶や雑貨屋などになっていた。立ち寄りたい店もあったが、時間が無く断念した。

  • 五福通りから裏道へ入ると、新堀川と言う川に出た。その川べりに、大きな榎の樹が立っていた。浜倉の榎と呼ばれるものである。この辺りが川湊のあった場所で、問屋の蔵が建ち並んでいたそうで、浜倉と呼ばれていたそうだ。当時は、この川が吉井川だったそうである。

    五福通りから裏道へ入ると、新堀川と言う川に出た。その川べりに、大きな榎の樹が立っていた。浜倉の榎と呼ばれるものである。この辺りが川湊のあった場所で、問屋の蔵が建ち並んでいたそうで、浜倉と呼ばれていたそうだ。当時は、この川が吉井川だったそうである。

  • ふと時計を見ると、列車の時間が迫っていた。気になる麦酒工房などもあったが、またの機会にし、駅へと戻る。途中で西川を渡ったが、この用水沿いにも趣のある街並みがありそうである。

    ふと時計を見ると、列車の時間が迫っていた。気になる麦酒工房などもあったが、またの機会にし、駅へと戻る。途中で西川を渡ったが、この用水沿いにも趣のある街並みがありそうである。

  • 駅までは思ったよりも距離があり、結局列車に乗り遅れてしまった。仕方が無いので、一本後の列車に乗り、長船駅へと向かう。長船駅からは、刀剣博物館までタクシーを利用した。10時からの入館を予約していたが、ギリギリ間に合った。館内に入ると、かなり混んでいて、ほとんどが女性であった。

    駅までは思ったよりも距離があり、結局列車に乗り遅れてしまった。仕方が無いので、一本後の列車に乗り、長船駅へと向かう。長船駅からは、刀剣博物館までタクシーを利用した。10時からの入館を予約していたが、ギリギリ間に合った。館内に入ると、かなり混んでいて、ほとんどが女性であった。

    備前おさふね刀剣の里 備前長船刀剣博物館 美術館・博物館

  • 展示室には、数多くの日本刀が展示されていた。この日は、夏季特別展『長船の系譜 -700年の栄枯盛衰-』と言う内容で、関係する刀匠の刀が展示されている。どうれも美しく、中でも、長船派の祖である光忠の刀には、蛙丁子や袋丁子と呼ばれる刀紋が浮かび、とても綺麗であった。

    展示室には、数多くの日本刀が展示されていた。この日は、夏季特別展『長船の系譜 -700年の栄枯盛衰-』と言う内容で、関係する刀匠の刀が展示されている。どうれも美しく、中でも、長船派の祖である光忠の刀には、蛙丁子や袋丁子と呼ばれる刀紋が浮かび、とても綺麗であった。

  • 二階に上がると、行列が出来ていた。今回の特別展では、何と国宝の『太刀無銘一文字(山鳥毛)』が出展されていたのだ。まさかの出会いで、正直驚いた。一組ずつしか観ることが出来ないため、行列が出来ていたのである。その刀紋は複雑で、多くの襞があるかのようである。

    二階に上がると、行列が出来ていた。今回の特別展では、何と国宝の『太刀無銘一文字(山鳥毛)』が出展されていたのだ。まさかの出会いで、正直驚いた。一組ずつしか観ることが出来ないため、行列が出来ていたのである。その刀紋は複雑で、多くの襞があるかのようである。

  • 結局、一時間のほど掛かってしまい、近くの史跡を巡る時間が無くなってしまった。どうしようかと考えていると、ちょうど駐車場から、長船駅行の無料シャトルバスが出るところだったので、乗り込んでしまった。そして、駅からタクシーで、備前福岡へと向かうことにした。ところが、運転手が道を誤り、5分と掛からないところを20分以上掛かってようやく着いた。歩き始めてすぐ、奈良時代に建立された備前四十八寺のひとつである薬王寺の跡があった。

    結局、一時間のほど掛かってしまい、近くの史跡を巡る時間が無くなってしまった。どうしようかと考えていると、ちょうど駐車場から、長船駅行の無料シャトルバスが出るところだったので、乗り込んでしまった。そして、駅からタクシーで、備前福岡へと向かうことにした。ところが、運転手が道を誤り、5分と掛からないところを20分以上掛かってようやく着いた。歩き始めてすぐ、奈良時代に建立された備前四十八寺のひとつである薬王寺の跡があった。

  • 東小路を歩いて行くと、左手に蔵のある大きな家が見えて来た。仲崎邸と呼ばれる地主の家で、明治末期から大正にかけて建てられたものだそうだ。見学もできるようだが、催事をやっているようなので遠慮した。

    東小路を歩いて行くと、左手に蔵のある大きな家が見えて来た。仲崎邸と呼ばれる地主の家で、明治末期から大正にかけて建てられたものだそうだ。見学もできるようだが、催事をやっているようなので遠慮した。

    仲﨑邸 名所・史跡

  • そのすぐ隣に、『七つ井戸』と呼ばれる井戸があった。備前福岡には、江戸の頃から共同井戸が整備されていたそうである。明治の頃にあった7つの井戸の内、現在も4つが残っているそうである。

    そのすぐ隣に、『七つ井戸』と呼ばれる井戸があった。備前福岡には、江戸の頃から共同井戸が整備されていたそうである。明治の頃にあった7つの井戸の内、現在も4つが残っているそうである。

  • その先の丁字路に、妙興寺と言う寺があった。室町時代、この地を領有していた赤松則興の追善供養のために建立された寺院で、江戸時代までは隆盛を誇った大寺院だったそうである。境内には、黒田官兵衛の曾祖父である高政と、宇喜多直家の父である宇喜多興家の墓があった。

    その先の丁字路に、妙興寺と言う寺があった。室町時代、この地を領有していた赤松則興の追善供養のために建立された寺院で、江戸時代までは隆盛を誇った大寺院だったそうである。境内には、黒田官兵衛の曾祖父である高政と、宇喜多直家の父である宇喜多興家の墓があった。

    妙興寺(岡山県瀬戸内市) 寺・神社・教会

  • 丁字路から西へと伸びる市場小路へ入ると、その途中に大きな石碑があった。長船派と並ぶ備前刀の一派である福岡一文字派が、ここを根拠地としていたことを示す碑であった。刀剣博物館で観た国宝の『山鳥毛』は、この辺りで造られたものと考えられているそうだ。

    丁字路から西へと伸びる市場小路へ入ると、その途中に大きな石碑があった。長船派と並ぶ備前刀の一派である福岡一文字派が、ここを根拠地としていたことを示す碑であった。刀剣博物館で観た国宝の『山鳥毛』は、この辺りで造られたものと考えられているそうだ。

  • 上小路と言う道沿いには、風情のある街並みがあった。備前福岡は、かつて、西国一の賑わいを誇った街と言われている。しかし、近世に吉井川の流路が変わったことと、岡山城下が発展したことに伴い、以前の賑わいは失われたそうである。

    上小路と言う道沿いには、風情のある街並みがあった。備前福岡は、かつて、西国一の賑わいを誇った街と言われている。しかし、近世に吉井川の流路が変わったことと、岡山城下が発展したことに伴い、以前の賑わいは失われたそうである。

  • 市場小路が上小路を越えると西小路となる。その道沿いに、『福岡の市跡』の石柱が立っていた。鎌倉時代には開かれていたという市があったことを示すものである。その市は、藩政時代にも続いていたそうである。

    市場小路が上小路を越えると西小路となる。その道沿いに、『福岡の市跡』の石柱が立っていた。鎌倉時代には開かれていたという市があったことを示すものである。その市は、藩政時代にも続いていたそうである。

    福岡の市跡 名所・史跡

  • 気付けば、また列車の時間が迫っている。駅へと向かう道を急ぎ足で進む。途中、色付き始めた稲穂が美しい景色が広がった。しかし、ゆっくりと眺める余裕は無く、先へ進む。ホームが見えて来ると、列車が入って来た。もう蒸し暑さで息も絶え絶えだったが、何とか乗り込むことが出来た。しかし、乗り込んだ列車は、逆方向へ行く列車であった。

    気付けば、また列車の時間が迫っている。駅へと向かう道を急ぎ足で進む。途中、色付き始めた稲穂が美しい景色が広がった。しかし、ゆっくりと眺める余裕は無く、先へ進む。ホームが見えて来ると、列車が入って来た。もう蒸し暑さで息も絶え絶えだったが、何とか乗り込むことが出来た。しかし、乗り込んだ列車は、逆方向へ行く列車であった。

  • 予定では、伊部駅へ向かい、備前焼の窯跡や街道沿いの街並みを歩くことにしていたのだが、乗り間違えてしまったため、予定が狂ってしまった。西大寺駅まで乗り、戻ることにした。結局、伊部駅では降りず、そのまま伊里駅まで乗車した。

    予定では、伊部駅へ向かい、備前焼の窯跡や街道沿いの街並みを歩くことにしていたのだが、乗り間違えてしまったため、予定が狂ってしまった。西大寺駅まで乗り、戻ることにした。結局、伊部駅では降りず、そのまま伊里駅まで乗車した。

    伊里駅

  • 降り立った伊里駅は無人駅で、駅前には何も無い。次に向かう閑谷学校に向かうバスの時間まで30分以上ある。何かないかと見渡してみると、駅から歩いて行ける場所に、井田跡と言う場所があるので行ってみる。井田とは、中国周代の井田法を模し、江戸時代の岡山藩主池田光政により整備されたものだそうだ。今は、石碑などが建っているだけであった。

    降り立った伊里駅は無人駅で、駅前には何も無い。次に向かう閑谷学校に向かうバスの時間まで30分以上ある。何かないかと見渡してみると、駅から歩いて行ける場所に、井田跡と言う場所があるので行ってみる。井田とは、中国周代の井田法を模し、江戸時代の岡山藩主池田光政により整備されたものだそうだ。今は、石碑などが建っているだけであった。

  • 駅へ戻りしばらく待つと、深紅を纏った車がやって来た。これが、備前市が運行している路線バスであった。乗り込んだのは、私だけである。

    駅へ戻りしばらく待つと、深紅を纏った車がやって来た。これが、備前市が運行している路線バスであった。乗り込んだのは、私だけである。

  • 伊里駅から乗り込んだバスは、15分足らずで閑谷学校に着いた。バス停からしばらく歩くと、美しい色合いの屋根を持った閑谷学校が見えて来た。以前から訪れてみたかったところだが、ようやく来ることが出来た。国宝に指定されている講堂の屋根には、近くにあった閑谷窯で焼かれた窯変瓦が使われている。焼き具合によって色が変わるため、とても特徴的な色合いとなっている。

    伊里駅から乗り込んだバスは、15分足らずで閑谷学校に着いた。バス停からしばらく歩くと、美しい色合いの屋根を持った閑谷学校が見えて来た。以前から訪れてみたかったところだが、ようやく来ることが出来た。国宝に指定されている講堂の屋根には、近くにあった閑谷窯で焼かれた窯変瓦が使われている。焼き具合によって色が変わるため、とても特徴的な色合いとなっている。

  • 三連休だと言うのに、思いの外人が少ない。講堂の中も人影はほとんどなく、ひっそりとしていた。磨き上げられた床に光が差し込み、何とも言えず美しかった。

    三連休だと言うのに、思いの外人が少ない。講堂の中も人影はほとんどなく、ひっそりとしていた。磨き上げられた床に光が差し込み、何とも言えず美しかった。

  • 敷地を囲む石塀は、観たことも無い蒲鉾型のものである。隙間も無く綺麗に積み上げられ、とても特徴的であった。奥へ進むと資料館があり、閑谷学校に関する資料が連辞されていた。

    敷地を囲む石塀は、観たことも無い蒲鉾型のものである。隙間も無く綺麗に積み上げられ、とても特徴的であった。奥へ進むと資料館があり、閑谷学校に関する資料が連辞されていた。

  • 学校の隣には、椿山と呼ばれる場所があった。閑谷学校を設立した岡山藩主池田光政の死後、その髪や爪などを埋めた場所で、後に椿を植えたそうである。奥に墳丘があり、そこへ至る道を覆うように椿が枝を伸ばしている。冬には椿の花が咲き、艶やかな景色が観られそうであった。

    学校の隣には、椿山と呼ばれる場所があった。閑谷学校を設立した岡山藩主池田光政の死後、その髪や爪などを埋めた場所で、後に椿を植えたそうである。奥に墳丘があり、そこへ至る道を覆うように椿が枝を伸ばしている。冬には椿の花が咲き、艶やかな景色が観られそうであった。

  • 閑谷学校から、再び深紅のバスに乗り、山陽本線の吉永駅へと出る。しばらく待ってやってきた列車は、懐かしい色合いの車両であった。

    閑谷学校から、再び深紅のバスに乗り、山陽本線の吉永駅へと出る。しばらく待ってやってきた列車は、懐かしい色合いの車両であった。

  • 吉永駅から20分ほど列車に揺られると、今宵の宿がある岡山駅である。宿は、駅から商店街を少し歩いた場所にあった。シングルを予約したのだが、部屋はツインであった。料金は変わらないが、狭く感じていまひとつである。

    吉永駅から20分ほど列車に揺られると、今宵の宿がある岡山駅である。宿は、駅から商店街を少し歩いた場所にあった。シングルを予約したのだが、部屋はツインであった。料金は変わらないが、狭く感じていまひとつである。

    東横イン 岡山駅東口 宿・ホテル

  • 荷物を置き、夕食を求めて外に出る。とりあえず、宿で教えてもらった店に行ってみたのだが、なかなか良さそうな雰囲気だったので入ってみる。すると、店の方の対応も良いし、地酒もなかなかの品揃え。麦酒を注文すると、お通しに鮑が出て来た。その後、たこわさを注文し、地酒は『多賀治 純米吟醸』を頼んだのだが、何故か注がれたのは『純米大吟醸 無濾過生原酒』であった。値段は変わらなかったので、ご厚意だろうか。しかも、これがとても美味しかった。

    荷物を置き、夕食を求めて外に出る。とりあえず、宿で教えてもらった店に行ってみたのだが、なかなか良さそうな雰囲気だったので入ってみる。すると、店の方の対応も良いし、地酒もなかなかの品揃え。麦酒を注文すると、お通しに鮑が出て来た。その後、たこわさを注文し、地酒は『多賀治 純米吟醸』を頼んだのだが、何故か注がれたのは『純米大吟醸 無濾過生原酒』であった。値段は変わらなかったので、ご厚意だろうか。しかも、これがとても美味しかった。

  • 続いて、烏賊下足の天婦羅をいただく。品書きには下足と書かれていたが、実際に出て来たものには、身の部分も含まれていた。

    続いて、烏賊下足の天婦羅をいただく。品書きには下足と書かれていたが、実際に出て来たものには、身の部分も含まれていた。

  • 合わせたのは、『伊七 純米吟醸』。山田錦らしい酒質で、これも旨い。

    合わせたのは、『伊七 純米吟醸』。山田錦らしい酒質で、これも旨い。

  • 他の席から、『金目鯛の煮付け』を注文する声が度々上がるので、ついこちらも頼んでしまった。しかし、出て来たのはあらばかり。食べる部分はほとんどなく、これで1,500円は高い。しかも、隣の常連客には、きちんと身の部分が入っていたので、かなりがっかりであった。それでも、味は申し分なく、美味しかった。

    他の席から、『金目鯛の煮付け』を注文する声が度々上がるので、ついこちらも頼んでしまった。しかし、出て来たのはあらばかり。食べる部分はほとんどなく、これで1,500円は高い。しかも、隣の常連客には、きちんと身の部分が入っていたので、かなりがっかりであった。それでも、味は申し分なく、美味しかった。

  • 気を取り直し、酒を頼む。今度は、『瀬海 純米酒』を呑んでみる。前の二杯が吟醸系だったため、口に含むと米の旨味が強く広がった。

    気を取り直し、酒を頼む。今度は、『瀬海 純米酒』を呑んでみる。前の二杯が吟醸系だったため、口に含むと米の旨味が強く広がった。

  • 『金目鯛の煮付け』がすぐに無くなってしまったので、名物の『ままかりの酢漬け』をお願いした。それは、上品な味わいで、添えられた茗荷との相性も良い。おかげで酒がすすみ、『喜平 純米』を追加した。やや辛口の味わいで、締めにはちょうど良い。

    『金目鯛の煮付け』がすぐに無くなってしまったので、名物の『ままかりの酢漬け』をお願いした。それは、上品な味わいで、添えられた茗荷との相性も良い。おかげで酒がすすみ、『喜平 純米』を追加した。やや辛口の味わいで、締めにはちょうど良い。

  • 締めに雑炊を食べたのだが、失念した。美味しかったことだけは覚えている。酒も料理も美味しかったので、明日も寄りたいと予約をお願いしたのだが、満席と言うことだった。帰り際、支払いをして外に出ると、板前さんと仲居さんが三人も出て来て見送りをしてくれた。この店は、また訪れたい店となった。

    締めに雑炊を食べたのだが、失念した。美味しかったことだけは覚えている。酒も料理も美味しかったので、明日も寄りたいと予約をお願いしたのだが、満席と言うことだった。帰り際、支払いをして外に出ると、板前さんと仲居さんが三人も出て来て見送りをしてくれた。この店は、また訪れたい店となった。

  • 宿へ戻る途中で、『ら・む~マート』と言う店を見つけた。関東では見かけない店だったので、入ってみることにする。後で知ったのだが、中国地方を中心に西日本で展開しているコンビニだそうだ。菓子の棚で、懐かしいカールを見つけたので、思わず買ってしまった。関東では手に入らないからである。宿で食べてみたが、変わらぬ美味しさであった。

    宿へ戻る途中で、『ら・む~マート』と言う店を見つけた。関東では見かけない店だったので、入ってみることにする。後で知ったのだが、中国地方を中心に西日本で展開しているコンビニだそうだ。菓子の棚で、懐かしいカールを見つけたので、思わず買ってしまった。関東では手に入らないからである。宿で食べてみたが、変わらぬ美味しさであった。

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この旅行記へのコメント (8)

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  • hot chocolateさん 2022/10/23 03:58:26
    備前の旅
    旅猫さま

    こんばんは。
    随分とご無沙汰しているうちに、沢山の旅行記が・・・

    寝台特急「サンライズ瀬戸」の最後の1枚が手に入ってラッキーと思ったら、
    高齢者が夜中まで騒いでいて迷惑だったのですね。
    折角の寝台特急なのに、旅情に浸れず残念でした。

    西大寺観音院というのは聞いたことがありません。
    奈良の西大寺なら知っていますが・・・

    名刀「備前長船」は有名ですが、刀剣博物館入場者のほとんどが女性
    というのは驚きです。
    特別展では、国宝の「太刀無銘一文字」に出会えてラッキーでしたね。

    金目鯛の煮付けがアラばかりって酷いですね。
    大分昔、伊豆の稲取の食堂で、2000円奮発して注文したら、
    シッポの部分ですご~く小さな切り身だったので、詐欺にあった
    気分になったことがありました。
    今でもしつこく覚えているので、食べ物の恨みは恐ろしい・・・

    カールって、関東では手に入らないのですか。
    昔、子供たちが食べていたような・・・

    hot choco

    旅猫

    旅猫さん からの返信 2022/10/23 19:49:02
    RE: 備前の旅
    hot chocoさん、こんばんは。

    書き込みありがとうございます。
    サンライズに久しぶりに乗ったのですが、向かいの部屋に、高齢の男女が3人、ドアを開けたまま宴会をしていて。。。
    12時半になっても騒いでいるので、頭に来て一喝しました(笑)

    岡山の西大寺は、あちらでは有名の様です。
    祭りも奇祭と呼ばれるほどで、人で溢れかえるそうです。

    日本刀は、どうもアニメか何かの影響で、『刀剣女子』と呼ばれる方々がいるそうです。
    各地の名刀を見て回っているらしく。
    国宝の太刀は、たまにしか展示されず、通常は複製品だそうなので、運が良かったです。

    岡山の居酒屋はとても良かったのですが、金目鯛の煮付けだけががっかりでした。
    味が良かったので、ちゃんとした身が欲しかったです。
    hot chocoさんも、がっかりな煮付けに出会っているのですね。
    ほんと、食い物の恨みは怖いですね。

    カールは、現在西日本でしか販売されていません。
    懐かしくて、つい買ってしまいました。

    旅猫
  • ポテのお散歩さん 2022/10/08 17:26:23
    備中備前
    旅猫さん こんにちは。

    備中備前は どちらかというと関西から近いのですが、
    西大寺観音院 は全く知りませんでした。
    今でも現役の趣ある街並みが続き、自然な感じがいいですね。

    『備前おさふね』という言葉は聞いた事があるだけだったのですが
    刀剣博物館には女性の見学者が多いのが意外でした。
    入館には予約が必要で、それでも名のある刀には行列も!
    名刀と刀紋は、その美しさに魅かれますね。
    ショーケースに入っているから安心して近づけますが、いつでも触れていい状態で置いてあったら、逆に怖くて近づけないかも。 手に持って鞘を抜こうとしても 刀紋を見たら、怖くなって鞘に納めてしまうと思います。

    閑谷学校も、名前はよく聞くのですが 全く理解してなくて、
    岡山を訪れる時には行きたいので、少し勉強しなければ。。。

    『金目鯛の煮付け』は、照りが良いだけに 身が少ないのは残念でしたね。
    落ち着いた雰囲気で、人気なのですね。
    ママカリが岡山らしくて美味しそうです。

    カールは関東では手に入らないのですか?
    年に何度か食べているような。。。
    明日、スーパーで探してみます(^-^)

      ポテ

    旅猫

    旅猫さん からの返信 2022/10/08 21:05:32
    RE: 備中備前
    ポテさん、こんばんは。

    いつもありがとうございます。
    西大寺は、有名な観光地ではないようですね。
    観光客の姿はまったくありませんでした。
    でも、街並みはなかなか風情がありましたよ。

    備前長船や備前福岡は、刀の産地として有名な所です。
    今は廃れてしまいましたが。
    『刀剣女子』と呼ばれる方々が押し寄せているようです。
    アニメの影響らしいですよ。
    それにしても、日本刀と言うのは素晴らしいですね。
    剣としての完成度や美しさは世界一でしょう。

    閑谷学校は国宝なので、さすがに多くの観光客が訪れていました。
    とは言え、静かでしたが。

    夕食で入った店は、とても美味しかったです。
    『金目鯛の煮付け』も美味しかったのですが、身が無くて。。。
    は、照りが良いだけに 身が少ないのは残念でしたね。

    カールは、関東では5年前に販売が終わってしました。
    今は、関西でしか手に入りません。
    子供のころから食べていたので、寂しい限りです。

    旅猫
  • みささん 2022/10/04 16:49:56
    閑谷にようこそ!
    サンライズ瀬戸に乗って岡山に行かれたとは、
    羨ましいです。
    私の実家は閑谷なので、夏休みになると自転車で遊びに行っていました。(笑)
    閑谷学校は、秋の紅葉の時期が一番綺麗で
    たくさんの人が来られます。
    私も閑谷学校の旅行記、書いてますが、やはり故郷の旅行記って
    嬉しいものですね。(*^^*)
    でも、伊里駅からバスが出てるなんて、知りませんでした。(笑)
                            みさ

    旅猫

    旅猫さん からの返信 2022/10/05 23:08:12
    RE: 閑谷にようこそ!
    みささん、こんばんは。

    書き込みありがとうございます!
    サンライズ出雲は、最後の夜行列車。
    快適で、旅には最高です。
    実家が閑谷とは!
    閑谷学校は、秋の紅葉が綺麗なのですね。
    私は、故郷がありません。
    東京生まれなので、田舎に帰るという話を聞くと羨ましく思ったものです。
    帰省と言う言葉は、憧れです(笑)
    父方も母方も東京なので、お墓も浅草と六本木。
    どこか遠くに故郷が欲しい(^^;

    伊里駅と吉永駅を結ぶバスが閑谷学校を通ります。
    伊部からも、シャトルバスがあるようですよ。

    旅猫
  • katsu nagoyaさん 2022/10/02 09:06:30
    ようこそ我が故郷へ!
    閑谷学校には60年前に親父の自転車の後座席にのって、家族でピクニックに行った思い出があります。
    西大寺には映画を観に、備前福岡には散髪に行っていた。
    コロナでここ数年帰省できずに残念です。

    旅行記懐かしく拝見しました。

    旅猫

    旅猫さん からの返信 2022/10/04 08:03:58
    RE: ようこそ我が故郷へ!
    katsu nagoyaさん、こんにちは。

    書き込みありがとうございます。
    岡山が故郷なのですね!
    しかも、閑谷学校へ自転車で行けるとは。
    今回巡った西大寺や備前福岡が、日常の生活で訪れているというのが不思議な感じです。
    コロナもようやく減少傾向になり、このまま大人しくなってくれれば良いのですが。

    旅猫

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