ハンドルもアクセルペダル、ブレーキペダルもないバスタイプの電気自動車（Nanamobi)に試乗

2021/10/06 - 2021/10/06

　『自動車王国』の愛知県では全国に先駆けて2016年から自動運転車の社会実装を目的に実証実験が実施されています。
シンガポールで自動運転のバス運行を実用化させたWILLER社と名鉄バスに愛知県が実用化に向けて委託して、一般市民を対象に試乗会が企画されたので早速応募し、運よく試乗出来ました。
＜運行区間＞
①イオンタウン千種とJR鶴舞駅を往復の約1.6ｋｍ
②イオンタウン千種と名古屋工業大学を往復の約1.4ｋｍ

当初は9月予定でしたが、緊急事態宣言の影響で延期され1か月遅れの試乗となり、結果的に2回応募しました。
試乗会への応募はWILLER社の予約サイトで予約するのにはビックリ。試乗会は無料なので、予約金額は0円で入力。乗り物の予約を0円で申込んだのは初めてです。

エリア 鶴舞・堀田(愛知)

• 同行者: 一人旅
• 交通手段: 高速・路線バス 徒歩
• 旅行の手配内容: 個別手配

実証実験の自動運転車を試乗するためにJR中央線鶴舞駅にやって来ました。

鶴舞駅 駅

鶴舞駅の前後の線路は長い一直線で特急しなのが通過して行く時は迫力があります。

出発時間10時37分よりかなり早く到着したので、案内看板もなく集合場所を間違えたのではと少し不安に。暫くしてひときわ目立つデザインのNanamobiが前照灯をつけてゆっくりと走って来ました。

乗降場のJR鶴舞駅名大病院口の案内板

もう一つの乗降場の名大病院駐車場前の案内板

Nanamobiの後部
前部と後部は同じデザイン、前後の見分けがつきません。
車両はフランスのナビヤ社製の小型バス型電気自動車「アルマ」。

郵便配達のバイクが路上に止まっていましたが、上手く避けて近づいて来ました。

JR鶴舞駅名大病院口に停車中のNanamobi
＜車体概要＞
全長：477ｃｍ、全幅：210ｃｍ、全高：261ｃｍ
車両重量：2,490ｋｇ、車両総重量：3,260ｋｇ

JR鶴舞駅名大病院口に停車中のNanamobi
左右にスライドして開く乗降ドア

ここからイオンタウン千種まで約800ｍを試乗します。

完全電気自動車なのでシンプルな運転席パネル。
スイッチはワイパー関連だけ。

前面ガラス、後面ガラスの曇り止めスイッチ

demistingは知らない英単語なので思わず検索。
demisting：窓ガラスから曇りをとる（同義語でdefrost)

ハンドルもアクセルペダルもブレーキペダルもない運転席
本来なら無人運転で運転手もいらないNanamobiですが、実証実験で安全性を考慮してセーフティドライバーがゲームコントローラーを操作して車両を運行。

4人掛けの後部席
定員は14名（セーフティオペレーター、保安員含む）
今回の実証実験では安全性を考慮して立席を運用せず8名定員。

2人掛けの前部席に陣取りました。

乗客は着席したら先ずシートベルトを着用

前部から後方をみた車内

運転席の隣の席から走行シーンを見守ります。

定刻の10時37分に発進。
人工衛星との通信で位置を把握しながら最高速度19ｋｍで進みます。

閉めた時の乗降ドア

開けた時の乗降ドア

運転席・左の窓際には成田山の交通安全の御守札が置いてありました。

名鉄電車や名鉄バスの運転席付近には交通安全を祈願した成田山の御守札が据え付けられています。
成田山は自動車の交通安全にご利益があるとされ、交通安全のお寺として人気があります。

運転席で操作しているのは何と名鉄バスの高速バス運転手。

近づいてコントローラーを拝見。

ハンドルをきると前後の4輪が向きを変え、今までに体験した事のない異次元のコーナリングです。

花田公園交差点の横断歩道前で停車。
赤信号では自動で停まるかと思いきや、安全のためセーフティドライバーが操作して停まりました。

イオンタウン千種の敷地内に入っていきます。

配布されたチラシに書かれていたNanamobi（New Aichi navigate mobility)の由来：
「モビリティが新たな愛知を導く」という想いと名古屋のシンボルイメージである「ナナちゃん人形」、そして名古屋弁で「ですね」を意味する「なも」を掛け合わせたネーミング

GPSのアンテナ
人工衛星との通信で位置を把握しながら進みます。

フランス製らしいお洒落なデザインと自動運転公道実証実験中の標示が目を惹きます。

前後対象型のNanamobi
車両は名古屋の三英傑（織田信長、豊臣秀吉、徳川家康）をイメージし、兜の立物及び名鉄のパノラマカーやバスを想起させるラインをあしらい、地域の住民に親しみを持ってもらえるようにと想いを込めてデザインされたらしい。

イオンタウン千種の乗降場

今回の実証実験の実施者は愛知県。WILLERが事業統括し、運行会社は名鉄バス、イオンタウン千種と事業連携し、名古屋工業大学が共同研究して運行。

自動運転　実証実験中の道路標識

イオンタウン千種の乗降場で停車中のNanamobiを斜め後ろから撮影

イオンタウン千種の乗降場で停車中のNanamobiを後ろから撮影

右回りカーブ。4輪で方向を変えるNanamobi

一般車両に混じって走行

信号待ちのNanamobi

コロナ禍で明るい話題が少ない世の中で、先進的なデザイン・先端技術の車両が名古屋の中心部に登場し、自動運転の実証実験が順調に実施され、今後の発展が期待されます。

一般道を走行し、対向の直進車輌を右折ラインで待機中のNanamobi

試乗会の後に何もしないとタダ乗りになってしまいます。
事前に配布されたパンフレットに記載されたQRコードで
・乗降中、危険や不安を感じたか
・セーフティオペレーターの安全確認の対応
・車両のデザインやカラーリングの印象
・自動運転サービスが実現した場合の希望 等
を問うアンケート調査に率直に感じるままに回答をしました。

小型を活かして普通のバスでは実現できないルートを走り、将来に夢が持てるような交通手段になって欲しいものです。