2019/06/11 - 2019/06/11
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frau.himmelさん
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大鳴門橋橋桁を利用して造られた遊歩道「渦の道」を見学した後、私たちは「板東俘虜収容所」と同じくらい今回の旅に重きを置いていた「大塚国際美術館」にやってまいりました。
館内には、教科書や美術本などでよく目にする超有名な世界の名画1000点余りが展示されています。それも古代壁画から現代絵画まで、世界26カ国の美術館が所蔵する至宝の作品ばかりです。
その中には空間をそっくりそのまま持ちこんだスケールの大きいものもあります。
どうしてそんなことができるのか?
それは、特殊な製法により陶板に焼き付けられた「陶板美術館」だからです。
大塚国際美術館は、大きさ、色、質感まで実物そっくりに再現された日本最大級の陶板名画美術館なのです。
私はここは2度目です。
2011年に故H氏とI女史と私の「元祖シニア3人組」で訪れた懐かしい場所でもあります。その折は、H氏のご友人で大塚国際美術館の発足当初より美術館立ち上げにご尽力なさったT常務様から、いろいろと珍しいお話を伺う素晴らしい機会にも恵まれました。
T常務様もおっしゃっていました。「皆様で、ぜひまた来てください」と。
とうとうそれも叶いませんでした。
2011年の旅行記はこちら。
https://4travel.jp/travelogue/10614925
2011秋 ☆西日本憧れの三つの美術館を一度に巡る珠玉の3日間 大塚国際美術館編☆
さて、今回もじっくり鑑賞して、たくさん写真も撮りました。
まずは古代・中世編。
古代・中世の芸術。どちらかと言うと今まで敬遠してきた分野でしたが、これがなかなか面白い。
すっかり古代に取りつかれました(笑)。
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大塚国際美術館は国立公園の中に建てられたものです。
周囲の景観を損なわないように配慮しなければならないため、山を削り、その下に地下5階分の巨大な建物が造られました。
そのため山肌に埋め込まれたように見えます。 -
正面玄関を入って、長さ41メートルの長いエスカレーターを上るとそこはまだB3階。
-
インフォメーション横の鮮やかな黄色のスペースに思わず駆け寄りました。
「カフェ・ヴィンセント」 -
その横には、アルルのゴッホの「黄色い寝室」のセット。
壁には自画像と浮世絵2点。
まずは、大好きなゴッホに出迎えられた大塚国際美術館でした。 -
地下3階の地図です。
コースに従って見て回ります。
今日は夕方の飛行機の乗ればいいので、ゆっくり時間はあります。 -
大塚美術館といったら「システィーナ・ホール」。
ちょうど修学旅行生と一緒になったようです。
学生たちもここに来たら、世界の超有名名画が一堂に鑑賞できるのですから、幸せですね。 -
学生たちをちょっとやり過ごしてゆっくり鑑賞します。
ヴァチカンのシスティーナ礼拝堂が、原寸大でそっくりでそのまま存在しています。
大塚美術館では、部分的切り取られた作品ではなく、現地の空間をそっくりそのまま再現した立体展示がなされています。それらは「環境展示」と言われます。
天井と壁にはミケランジェロの壮大なフレスコ画。 -
天井画は旧約聖書の「天地創造」が描かれています。
特に有名なのは天井のこの場面。
神がアダムに命を吹き込んでいる「アダムの創造」(下○印)。
それに禁断の木の実を食べて楽園を追放される「アダムとイヴ」(上○印)。 -
正面の壁一面を利用して同じくミケランジェロの「最後の審判」が描かれています。
中央には蘇ったイエス・キリストが描かれ、死者に最後の審判を下しています。その横にはマリアの姿も。 -
向かって左側には天国へと導かれる人々、右側には地獄へと堕ちていく人々が描かれているのが判ります。
キリストの右下にいる人物がぶら下げている人間の抜け殻(黒○印)みたいなものは、ミケランジェロの自画像だそうです。 -
壁には、2018年末に開催されたNHK紅白歌合戦で、米津玄帥さんがシスティナーホ-ルで熱唱している写真が掲げられています。米津さんの背景には最後の審判の壁がみえます。
米津さんは徳島出身だそうです。 -
2011年、「元祖シニア3人組」でここを訪れた時は、横綱白鵬関の結婚式の写真が飾ってありました。
白鵬関は2010年にシスティーナホールで結婚式をあげました。
奥様は地元徳島の名家のお嬢様で、とてもきれいなスポーツウーマンだということです。
実際その場に立ち合われたH氏の友人、T常務さんが教えてくださいました。 -
2011年、H氏はここにお友達がいらっしゃるということで、途中から私たちとは別行動になりました。
そしてI女史と私が地下3階に降りて来たら、H氏は私たちを見つけお友人を紹介してくださいました。
その方が大塚国際美術館の発足当時から一大プロジェクトでご尽力なさったT常務さん。とても若々しい方でした。
私たちは、いろんな面白いお話を伺いました。 -
次の部屋はエル・グレコの部屋。
左:「三位一体」 プラド美術館。
聖なるハト、父なる神、キリストの受難の三者が一体となっています。
右:「聖アンデレと聖フランチェスコ」、プラド美術館
右側の聖人は、マントに縄の腰紐、それに手の甲にはキリストの聖痕が。聖フランチェスコの印です。 -
「オルガス伯爵の埋葬」サント・トメ聖堂、スペイン・トレド。
◆
それにしても美しい色です。
システィーナホールを眺めているときにT常務に質問しました。
「どうしてこんなに美しくてそっくりな作品ができたのですか?」。
そのお答えが、世界の美術館から細密な写真をいただき、コンピューターで色を分析して、20000色の釉薬で色をつけたのだとか…。
化学音痴の私ですから、解釈が少し間違っているかも知れませんが。
20000色で色分析!?、そっくりな作品に仕上がるのも納得です。
凄い技術ですね。 -
「聖マウリティウスの殉教」エルグレコ、エル・エスコリアル美術館・スペイン
-
「エル・グレコの祭壇衝立復元」。これも環境展示です。
大きな祭壇衝立の中に6点のエルグレコの宗教画が飾られています。
実際に、このような形になっているわけではありません。 -
祭壇画の中央には「受胎告知」
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その周りを、
左上:「キリストの復活」、中央「キリストの磔刑」、右上「聖霊降臨」、右下「キリストの洗礼」、以上5点はプラド美術館、
左下:「羊飼いの礼拝」ルーマニア国立美術館。 -
ナポレオン戦争で作品が散逸してしまい、6点のうち1点がルーマニアにあります。
大塚美術館では、プラドの5点にルーマニア美術館のもう1点を加えて、400年前の「幻の祭壇衝立画」を復元しました。
T常務は世界的試みだと言っておられました。
では、今プラドには1枚欠けた形の祭壇衝立が展示してあるのですか?とバカな質問をしました。目の前にこんな立派な祭壇衝立があると、現在どういう状態なのか想像できなかったのです。
T常務。バラバラになって美術館には額に入れて並べて飾ってあるとのこと。
そうですよね。 -
T常務は、ここは額の美術館でもあるのですと、語っておられました。
エル・グレコの祭壇衝立のこの豪華な枠もイタリアで2年の歳月をかけて制作されたものだそうで、金(金箔?)で出来ています、と。
またこの祭壇画は大変大きなもので、そのままでは中に搬入できなかったので、屋根が出来る前に祭壇画を上から搬入して、その後屋根を造った、という現場ならではの苦労話もお聞きしました。
H氏も久しぶりにご友人に会われて嬉しそうでした。
(2011年の写真) -
さて現実に戻って。
エルグレコのバロックの時代より、中世に。
「聖マルタン聖堂の壁画」環境展示。
フランスの小さな村にある聖マルタン聖堂を同じ大きさで復元されたものです。
エル・グレコの豪華な祭壇を見てきた後には、素朴なセピア濃淡の壁画もまた素敵です。 -
これは最後の晩餐。まるでマンガみたい。
テーブルのこちら側から隙をみて手を伸ばしているのはユダですね。 -
5番目の部屋は
「聖ニコラウス・オルフェノス聖堂の壁画」(ギリシャ)1310-1320年ごろ。環境展示
鮮やかなブルーと金色が目立つ壁画です。
サンタクロース伝説のもととなった聖ニコラウス、ヨーロッパでは有名ですよね。 -
ここにも「最後の晩餐」の絵。
意地汚くテーブルに手を伸ばしているのはユダ。 -
聖書の物語や、聖人たちが数多く描かれてます。
-
その中で、最も気になるこの部分をクローズアップしましたが、聖母マリアと、一緒にいるもう二人の聖人はどなたでしょう。
一目見てささっと聖人の名前が出て来るようだったら、絵画を見るのも楽しいでしょうね。 -
「秘儀の間」イタリア・ポンペイ、環境展示
ヴェスビオ火山の噴火により埋もれていたポンペイの遺跡より発掘された秘儀荘に描かれていた壁絵。
2000年以上も前に描かれたとは思えない鮮やかな朱色が美しい。
「ポンペイ・レッド」と言われる。 -
登場人物の服装や表情も豊か。
この壁絵は「ディオニュソスの秘儀」という神秘的な一連の儀式が描かれているのだそう。
主人公ディオニソスは左の絵と右の絵に描かれている子供。
ディオニソスはワインの神、ローマ神話ではバッカスと呼ばれる。
私たちはバッカスの方が馴染みがありますね。 -
面白いものが展示してありました。
このワインはイタリアのワインメーカーにより再現された古代ローマのワインです。
当時と同じ品種のぶどうをポンペイ遺跡内で栽培し、当時の伝統方法を用いて醸造された貴重なワインなのです。
ラベルには「秘儀の間」の壁画が使われています。
もの凄く高価なワインになるでしょうね。 -
秘儀の間の横の細い隙間を入っていくと、
「鳥占い師の墓」モンテロッツイ墓地、環境展示
紀元前520年ごろの、イタリアのタルクイニアにある墓地遺跡の一つです。 -
扉の向こうに眠っている死者(たぶん)に、片手を額にあてて深い悲しみを表している2人の男性(鳥占い師)。
その横では踊りを踊ったり、レスリングをしたりして、死者を弔っている風景なのでしょうか。
ところで鳥占い師って職業があったのでしょうか? -
「貝殻のヴィーナス」イタリア・ポンペイ。
ここも火山の噴火で壊滅したポンペイから発掘された「貝殻のヴィーナスの家」の壁絵。
中庭風になっていて、壁絵の前にはアイビーの植え込みが。 -
ここからは古代系展示です。
この円形の空間のなかに、古代ギリシャ、古代ローマの作品が130点ほど展示してあります。 -
円形の広場の中央にはモザイク画が。
「大狩猟図」4世紀初頭、シチリアから出土したカサーレのローマ別荘の廊下とのこと。
これが廊下の飾り!?
広いし、豪華だし。ほんとに廊下なの? -
細かいモザイク模様の図柄は、北アフリカで猛獣を生け捕りにしている場面。
それらの猛獣は、円形闘技場で見世物に売られる運命にあったものらしい。(説明書) -
随分細かい模様が描かれ絵だこと、と思ったら、壺などの陶器に描かれた文様でそれを平たく伸ばしたものらしい。
一つ一つ名前が付いています。
左上:「コリント式オルペ」ヴァチカン美術館。
左下:「動物のパラダイス」イタリア・ヴィラ・ジュリア国立博物館。右:「プロメテウスを解放するヘラクレス」フィレンツェ国立考古学博物館 -
『ヘラクレスとアルキュオネス」540-520頃、ヴァチカン美術館。
下の写真のようにヒュドリア(水甕)に描かれています。 -
上:「ペンテシレイアを殺すアキレウス」大英博物館。
アマゾン族の女王ペンテシレイアが、今まさにアキレウスの槍を受けて殺されようとしている場面。この時アキレウスはペンテンレイアの美しさを知り、恋に堕ちたが、すでに時は遅すぎた(説明より)。
下:「アキレウス」ヴァチカン美術館。
ここもアキレウス。アキレオスはギリシア神話に出てくる大英雄。
アキレス腱のアキレスなんですね。 -
「春」紀元前1世紀末、ナポリ国立考古学博物館、イタリア。
-
上:「巨人族の戦い」フェッラーラ国立考古学博物館、イタリア
下:「ギリシア人とアマゾン族の戦い」ナポリ考古学博物館、イタリア -
「獅子狩り」前330-300年ごろ、ペラ考古学博物館(ギリシア)
アレクサンドロス大王の生地として知られるマケドニアの古都ペラには、ヘレニズム時代の栄華を偲ばせる優れたモザイクが数多く残されている。左のマントの人物はアレクサンドロス大王と考えられている。(説明より、抜粋) -
「豹に乗るディオニュソス」前160-100年ごろ、デロス考古学博物館、ギリシア)。
このモザイク画は、前2世紀中ごろから前1世紀にかけて商業の中心地として繁栄したギリシアのデロス島より出土しました。
ここから見事なモザイクが数多く発見さています。
この作品はローマ時代の模倣作ではなく、ヘレニズム時代のオリジナルモザイクとして貴重な資料です。 -
上:「パラエストラ」(エウフロニオス作)前50年ごろ、ベルリン国立古代博物館
下右:「運動家」(アンティフォンの画家)ベルリン国立古代博物館、
下左:「イソップと狐」ヴァチカン美術館 -
上の「イソップと狐(?)」の拡大。
作品リストにも「イソップと狐(?)」と(?)がついています。
そもそも古代からイソップ物語はあったのでしょうか?
驚きました。
紀元前6世紀には古代ギリシャでそれらしきものがあったのですね。
それにしても、この絵面白い。
大きな顔のイソップ(?)とそれよりずーっと顔の小さな狐の物語・・・。 -
「祭の行進」1世紀。ポンペイ大工の工房より出土。ナポリ国立考古学博物館。
「大工の工房」という建物の入り口を飾っていたもので、祭の行列を表したものらしい。
日本の御神輿(おみこし)みたいなものがあったのですね。 -
ゆっくり見ていたらいくら時間があっても足りません。
端折って端折ってめぼしいものをチラ見しながら歩きます。
巨大なモザイク画が目に留まる。
「ナイル・モザイク」パレストリーナ国立考古学博物館、イタリア。
縦5m、横6.5m。
ぼーっとした絵で何が書いてあるのかよく判らない。
しかし目を近づけると、これが面白い。
ナイル川の上流から下流まで、動物の種類や狩りの様子や、宴会などの人の生活などが描かれています。
ナイル川の氾濫の様子も見えます。 -
出口近くまでやってきました。
ふと床をみると、今までとは明らかにパターンが違うモザイク画が。スカーフみたいにも見えます。
「ローマン・モザイク」(ヘラクレイトス作)100年ごろ。ヴァチカン美術館。
よく見たら、木の実やお魚や貝殻やお野菜などの食べかすが散らばっているよう。それを狙って鼠までやってきました。 -
ここには見覚えのある赤い壁。さきほど見てきた「秘儀の間」の「ポンペイ・レッド」の朱色ですね。
その上の中央の絵にも壁はポンペイ・レッド。
「ララリウムの壁画」(カウポーナ1、ポンペイ)、やはり。
左の絵は「アルドブランディーニの婚礼」ヴァチカン図書館。 -
しかし、下のポンペイ・レッドの壁絵の中に描かれたキューピットたち、
「働くキューピット」(ヴェッティの家、ポンペイ)
今までのポンペイの壁絵に比べてあまりにもかなり先進的。
機械みたいなものを操っているキューピーもいるし、エレベーターみたいなものもあるし、同じ2000年前くらいに描かれたものなのだろうか?
にわか古代研究の私には難しい。
調べてみたら、ポンペイの壁画の様式は第1様式から第4様式まであり、ヴェッティ家の壁画は最も新しい第4様式だそうです。 -
一つの白い箱が見えます。
私はお風呂かと思いましたが、実は、箱型お墓なのです。
そして箱の内側には絵が描かれています。 -
その絵がこれです。
下の4枚(左側の1枚は見えませんが)が箱の内側に描かれていたもの。
「饗宴」パエストゥム国立考古学博物館(イタリア)。
上は「飛び込む男」パエストゥム国立考古学博物館(イタリア)は箱の蓋に描かれていたもの。 -
古代オリンピックの飛び込みの選手かと思いました。きれいな飛び込みのポーズです。
この墓は「飛び込む男の墓」と言われています。
この男が飛び込もうとしているのは三途の川・・(?) -
「剣闘士の闘い」パエストゥム国立考古学博物館(イタリア)。
これも別の箱型墓の内側に描かれていたもの。
決闘は、死者を称える葬祭競技だそうです。
宴会の絵や決闘および馬車競技などを描いて、死者を賑やかに送り出したのでしょうね。 -
古代の時空を越えて次は中世。
『スクロヴェーニ礼拝堂』環境展示。
北イタリアのバドヴァにあります。
天井の美しいブルー色、壁面にはぐるりと聖書の物語が描かれています。 -
目も醒めるような天井の鮮やかなコバルトブルーの星空には圧倒されます。
よく見ると、星の一つ一つに聖母子や聖人たちの姿が描かれています。 -
壁面にはイタリア・ルネッサンスの祖、ジョットが描いた「聖母マリアの生涯」12場面、「キリストの生涯」25場面が描かれています。
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ここに描かれているのは「最後の晩餐」。
最後の晩餐の場面は人気がありますね。
でも十二使徒がテーブルを囲む絵はちょっと珍しい。 -
部屋の一番奥に一面に描かれているのは「最後の審判」。
キリストの下の右側が地獄に堕ちる人、左側は天国に召される人々。 -
天国に召される集団の中にこの礼拝堂を寄進したエンリコ・スクロヴェーニの姿が描かれています。
とてもわかり易いです。
スクロヴェーニ礼拝堂の建物の上から天使が手を差し伸べている・・・。
彼の父親が高利貸しとして財をなした人物だったため、父の罪の贖罪を願ってこの礼拝堂を建てたといわれています。
この頃はまだマルティン・ルターもいなかったので、お金を積めば天国に行けたのですね。(笑) -
反対側は、キリストの磔刑像と、入り口には上部アーチの左右に「受胎告知」の左側は天使ガブリエル、右にマリアの図(○印)。
-
壁絵下段には7つの美徳、7つの悪徳が描かれています。
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スクロヴェーニ礼拝堂を出て、もう少し中世の展示を見ていきます。
絵画鑑賞って老化防止・ボケ防止にはいいですね~。
「皇帝ユスティニアヌスと随臣たち」サン・ヴィターレ聖堂、イタリア・ラヴェンナ -
「皇妃テオドラと侍女たち」サン・ヴィターレ聖堂、イタリア・ラヴェンナ
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「最後の晩餐」サンタポッリナーレ・ヌオーヴォ聖堂 イタリア・ラヴェンナ。モザイク画
真ん中の魚を、キリストと12使徒がじーっと眺めている絵が何とも面白い。
最後の晩餐の食卓はパンとワインだけでなく、メーン料理はお魚だったそうです。
古代より魚はキリストの象徴だったとか。 -
「紅海を渡るモーゼ」サンタ・マリーア・マッジョーレ聖堂、イタリア・ローマ
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「善き羊飼い」ガッラ・プラディア廟堂、イタリア・ラヴェンナ
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「マスクと動物のある唐草縁飾り」モザイク美術館 トルコ・イスタンブール
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広い通路にずらーーっと並んだ絵画の数々。
ここは「イコンと祭壇画」のコーナーです。
老化防止にここも制覇しましょう(笑)。 -
イコンとは、キリストや聖母、聖人たち姿を描いた崇拝用の肖像画です。
信者に受け入れられやすい判り易い絵です。
罰当たりかも知れないけど、人気俳優などのブロマイドのようなもの?
すみません・・・。
イコンが4枚ならんでいますが、こういうような・・・。
上の絵は「キリスト」アギア・エカテリーニ修道院、エジプト・シナイ山 -
「聖ゲオルギオスと聖テオドロスを伴う玉座の聖母子」アギア・エカテリーニ修道院、エジプト・シナイ山
-
「聖ペテロ」アギア・エカテリーニ修道院、エジプト・シナイ山。
個人的にはこの絵は好きです。仲代達也さんに似てイケメンですよね。 -
「聖ニコラオスとその生涯」アギア・エカテリーニ修道院、エジプト・シナイ山。
聖ニコラウスってサンタクロースのことですね?
こちらはちょっと冷たそうな感じ(笑)。
彼の生涯の物語が周りを飾っています。 -
上:「ディシスとキリストの生涯」アギア・エカテリーニ修道院、エジプト・シナイ山。
ディシスとは中央の玉座に聖書を持ったキリストが座り、左に聖母マリア、右に洗礼者ヨハネが立っているシーンのこと。
下:「キリストの受難と復活」アギア・エカテリーニ修道院、エジプト・シナイ山。
左から、キリストのエルサレム入城、キリストの磔刑、そして「ヨミに下るキリスト」の3つの場面が描かれています。
イコンには、有名な聖書の場面なども描かれました。 -
「大天使ミカエル」。14世紀中ごろ、ビザンチン美術館、ギリシャ・アテネ
若いキリリとした顔立ちの大天使ミカエル。大天使たちのリーダーですからやはり人気がありますね。
彼は龍を退治している場面が有名です。 -
聖母子像は圧倒的に人気がありました。
いくつか並べます。
「ウラディーミルの聖母子」。1100年ごろ、トエンチャコフ美術館、モスクワ -
「ヤロスラヴリの聖母」1200年ごろ、トエンチャコフ美術館、モスクワ。
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「玉座の聖母子」コッポ・ディ・マルコヴァルト、1265-70年、サンタ・マリーア・ディ・セルヴィ聖堂、ローマ
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「丸い玉座の聖母子」1200年ごろ、ナショナルギャラリー、ワシントン
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「玉座の聖母子」グィード・ダ・シエナ、サン・ドメニコ聖堂旧蔵。
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「キリストの変容」フェオファン・グレーク(テオファネス)作、
1466年ごろ、トエンチャコフ美術館、モスクワ。
キリストが天に昇り、二人の預言者(モーゼとエリア)と話しをするところを見て、驚いて転げている三人の弟子たち。
時々はお茶目なところもあるキリスト。 -
「東方三博士の礼拝」エル・グレコ作、1565年ごろ、
ベナキ美術館、ギリシャ アテネ。
はっきりしない絵ですが、エル・グレコとあったので思わず撮りました。彼が、エル・グレコ(ギリシャ人)と呼ばれていたころの初期の作品だそうです。 -
「キリストと十二使徒の祭壇前飾り」12世紀初頭、カタルーニャ美術館・バルセロナ。
また私の好きな漫画チックな絵です。
大きな目、それに使徒たちのユニークなポーズが面白い。 -
聖フランチェスコの絵も人気です。
左:「聖フランチェスコと2天使」1260-65年、サンタ・マリーア・デッリ。アンジェリ聖堂、イタリア・アッシジ
聖フランチェスコと言えば、粗末なマントと縄の帯、それに両手両足にイエス・キリストと同じ聖痕。
右:聖フランチェスコと4つの死後の軌跡」サン・フランチェスコ聖堂 宝物館 アッシジ -
「聖フランチェスコとその生涯(ペッシャ祭壇画)」サン・フランチェスコ聖堂 イタリア・ペッシャ。
ここには、聖フランチェスコと6つのエピソード。 -
ここにも。
「聖フランチェスコとその生涯」サンタ・クローチェ聖堂バルディ礼拝堂、イタリア・フィレンチェ。
彼の生涯を表すのに4場面や6場面のエピソードでは足りないよ。
ここでは、聖フランチェスコとその周りにずらりと彼の生涯の軌跡が描かれています。いくつあるかな?
波乱万丈の生涯を送った聖人らしいです。
聖フランチェスコも人気の聖人ですね。 -
ギャラリーの奥まったところには磔刑図。
「十字架上のキリスト」聖フランチェスコの画家、ウンブリア国立美術館、イタリア、ペルージャ。
その両脇には小鳥に説教をしている聖人、これも聖フランチェスコですね。 -
「小鳥への説教」ジョット作、1290年ごろ、
サン・フランチェスコ聖堂 上堂 イタリア・アッシジ。
後期ゴシックの祖、ジョットの作です。
昔アッシジに行った時、この絵は見たような・・・。 -
「小鳥への説教」聖フランチェスコの画家、1260年
サン・フランチェスコ聖堂 下堂 イタリア・アッシジ -
隣の部屋にも磔刑のキリスト像が見えます。
「十字架上のキリスト」12世紀末、ピサ国立美術館、イタリア -
中世のころの磔刑図って細い柱の十字架ではなかったのですね。
横にするとベッドに貼り付けられたキリストみたい。
これは「十字架板絵」と言い、周りにキリストにまつわるいろいろな場面が描かれています。 -
キリストの両脇には「キリスト受難」の諸場面が、下段には「聖霊降臨」、そして上段には「キリスト昇天」が描かれています。
-
キリスト板絵の手前にあるのは祭壇画。
「マエスタ(荘厳の聖母)」ドゥッチョ、1308-1311頃。
シエナ大聖堂美術館、イタリア。
シエナ大聖堂の祭壇画の中央部分として描かれました。
写真下は裏側です。
「マエスタ(荘厳の聖母)」ドゥッチョ。
キリストの受難と復活の26の物語が描かれています。 -
板絵はまだありました。
「十字架上のキリスト」13世紀初期 ピサ国立美術館、イタリア -
「アヴィニョンのピエタ」アンゲラン・カルトン作、1453-1454
ルーブル美術館。
そう言えば今回「ピエタ像」って少なかったような。 -
「聖三位一体」アンドレイ・ルブリョーフ作、トレチャコフ美術館・モスクワ。
和気藹々の三位一体。えっこれが?と思う珍しい構図です。もともと一体なんですものね。
左から父なる神、中央は御子キリスト、右は聖霊なのだそうです。 -
「貴婦人と龍」アンジェ城タピストリー美術館・フランス。
陶板とタピストリー!
全く異なる素材なのに、タピストリーのふんわりした質感が伝わってくるのは驚きです。 -
「龍を退治する大天使ミカエル」アンジェ城タピストリー美術館・フランス
-
最後はこのタピストリー。
「わが唯一の望みの(一角獣を従えた貴婦人)より」クリューニー美術館(中世美術館)、パリ。
この貴婦人のタピストリー、来日したのですよね。
残念ながらお会いすることができなかったので、大塚美術館を訪れた3か月後にパリのクリュニーに行ってまいりました。 -
古代・中世の芸術、どちらかと言うと敬遠してきた分野でした。しかし、じっくり鑑賞すると、これがなかなか面白いのですね。
撮ってきた写真を見ながら、改めて勉強するのも面白かった。
だらだらと美しくない写真と、読みにくい文章を並びたてましたが、私の脳トレの備忘録ですので、読み飛ばしてください。
ミュージアムショップ。
(2011年写す)
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この旅行記へのコメント (6)
-
- kummingさん 2021/02/01 21:08:28
- はじめまして♪
- frau.himmelさん、はじめまして^ ^
聖マルタン聖堂壁画、聖ニコラウスオルフェノス聖堂壁画、に始まり、ポンペイ遺跡壁絵、エトルリア、古代ローマ時代、ギリシア神話をテーマにした作品の数々、かぶりつきで拝見♪
私事ですが、昨年大塚国際美術館に訪れ、古代、中世で2時間でも足りない!仕方ないので絵画と解説を尽く写真に収め、走り抜けました。ところが、せっかく頑張って撮影した写真を、まさかのミスで消失してしまい(;_;)以来、心の傷に蓋をして、忘れたフリして今日に至り…。
こんなところでお目にかかれるとは^o^
大塚国際美術館の本にも、ここまで多く古代の作品は紹介されておらず、いつかリベンジしなければ、と思っていました。
美術史的には未熟、稚拙、と評価されるかもしれない、まだ立体的でない中世の宗教画や、ギリシア芸術に比べると完成度低いのかもしれないローマ時代の作品、聖母の視線がどこ向いてるの?お顔も斜めってない?的なビザンツ絵画、コミカルとも思えるモザイク画、が好きです♪
写実的で壮麗な宗教画や世間的評価の高い印象派とか、すごいな~、とは思えど、好きか?と聞かれたら、そうでもない(-。-;
初めてなのに、思い込み激しい、偏執狂的な書き込みでm(_ _)m
いいね、ぽち、が一回しか出来なくて残念です。
frau.himmelさんのこのブログ、私の永久保存版にさせて頂きます♪
ありがとうございました。
- frau.himmelさん からの返信 2021/02/01 22:04:18
- Re: はじめまして♪
- kummingさん、こんばんは。
コメントありがございます。
うわー凄い!kummingさん、お詳しいですね~。
そんな美術に造詣の深い方が私の拙い旅行記を読んでくださったなんて、お恥ずかしい・・・。
齢だけはそれなりにとっていますので、作品は写真に撮らないと覚えられないのです。それで必死に撮って、それを作品リストと照らし合わせて必死に書きうつしただけです。
>仕方ないので絵画と解説を尽く写真に収め…
そうそう、kummingさんと同じです。
今まで古代・中世と敬遠していましたが、必死に(何度使うの?・笑)書き写しながら調べていると、愛着がわいて、古代っていいな~、中世っていいな~なんて思いました。
あの平面的な漫画チックなキリストや十二使徒にほっとさせられました。
そして旅行記も、せっかく撮った写真を無駄にするのは勿体ないから使ってしまおうと。
そういう面では私もかなりの偏執狂です。
>frau.himmelさんのこのブログ、私の永久保存版にさせて頂きます♪
そんな~、恥ずかしい。
あちこちの寄せ集めの文章ですから、あまり参考になさらないでください。
コメント、とても楽しかったです。ありがとうございました。
himmel
-
- ぶどう畑さん 2021/02/01 10:30:26
- 因縁のシスティーナ礼拝堂
- frau.himmelさん
ぶどう畑です。
大塚国際美術館は行ってみたいのですが、国内旅行はイマイチ腰が上がらず…。
「システィーナ礼拝堂」の壁画との出会いは、「大阪花博」。
壁に印刷する技術が開発されたことを紹介する展示で、その時は「鳥獣戯画」もありました。
花博で礼拝堂の壁画を観た時、ヨーロッパは遠~~~い所と思っていた私は「イタリアに行くことがないだろう」と思ったのです。当時はアラスカ経由でしたしね。
でもその後、あの最悪のツアーでイタリアに行き、バチカンのシスティーナ礼拝堂を訪れました。写真撮影禁止と知らず、写真を撮りまくった…。(^^;
ヴェニス・カーニバルの旅の際、「スクロヴェニー」も行きましたが、あんな鮮やかな青ではなかったです。今は修復されたようですが。
あそこも撮影禁止で、見学時間が限られているため、ずーっと壁画を眺めていることはできません。
そういう場所の壁画をゆっくり観られるのはいいですね!
なにより、詳しい説明が聴けたことが羨ましい。
- frau.himmelさん からの返信 2021/02/01 22:31:01
- Re: 因縁のシスティーナ礼拝堂
- ぶどう畑さん、こんばんは。
いろんなところに行ってらっしゃるのですね。
システィーナ礼拝堂にも、スクロヴェニーにも。
このコロナ禍の今ですから、ヨーロッパは遠~~~い!!ですけど、コロナ前のぶどう畑さんにとってはヨーロッパなんで自分のお庭(笑)のような存在でしたね~。
「あの最悪のツアー」ってどこか旅行記に書いていらっしゃいましたっけ?もう一度拝見しなければ。
それからスクロヴェニーのあの鮮やかなコバルトブルー。あれこそが陶板名画の最強たるものです。二千年以上そのままの色と形で残せるのだそうです。
世界美術館の本物の名画のほうがあちこち傷んで色褪せてきて、修復が必要になれば、陶板名画を参考にしながら修復する・・、と言うことになるのでしょうか。
確かに大塚美術館の作品は本物ではありませんが、あれだけ超一流の名画がいっせいに揃えばそれはもう壮観。行く価値はあります。
もっと近ければ、私も月イチくらいは通い詰めるかも。
コロナの感染者は日を追って少なくなっていますが、まだまだ先は遠いですね。
himmel
-
- mistralさん 2021/01/31 17:44:45
- 嬉しい再会など。
- himmelさん
こんにちは。
大塚国際美術館の旅行記のアップ、
ありがとうございました、そしてお疲れ様でした。
たいがい、皆さんの旅行記で拝見しますのは、中世以降の絵画が多かったように思いました。
なので、美術館のラインナップは有名どころの絵画?と思い込んでおりました。
今回、himmelさんのこの旅行記を拝見しなければ、ずっとそう思い込んでいたことでしょう。
特に、私の好きな中世の絵画、タピストリーなどまで、展示、再現されていることを知って驚きました。
また古代のモザイクまで。
これは一度は行かなくてはなりませんね。
未訪問のカタルーニャ美術館、聖マルティン聖堂の漫画チックな、棟方志功さん風の絵、
中世のキリストは悲壮感いっぱいのお顔でなく、目を大きく見開いていて本当に元気そうです。
他にもあちこちの美術館で出会った、ちょっとマニアックな作品も拝見できて嬉しかったです。
mistral
- frau.himmelさん からの返信 2021/01/31 23:26:18
- RE: 嬉しい再会など。
- mistralさん、こんばんは。
ここのところ、お天気はいいのに風が強い日が続いていますね。
さて、私の備忘録みたいなまとまりのない旅行記を見てくださって、コメントをありがとうございます。
もう少し有名なものだけに絞って、コンパクトにまとめたいのですが、有名じゃないほう(?)に魅力的なものが多くて、なかなかまとめきれないでいます。
調べれば調べるほど、古代・中世って面白いですね。mistraさんのお気持ちがわかるような気がしました。
mistralさんがお好きなモザイクにしろ、タピストリーにしろ、全く素材の異なる陶板で造られるものですが、本当にそっくりで驚きます。凄い技術だと思います。
あの漫画チックな作品、面白いですよね。
遠い昔にこんなキリストや十二使徒が描かれていたなんて、ロマンを感じます。
旅行記を書いていたここ数日間、芸術に満たされた日々でした。
このコロナ禍にあって、海外旅行ができない今、あの美術館は行った気にさせてくれる美術館だと思います。せめて、もう少し近くに、日帰りの距離にあれば、月1回くらいは通い詰めるのではないかと思うくらい魅力的な美術館です。
mistralさんもきっとお気に召すと思います。
いつもコメントありがとうございます。
お風邪など召されませんように。
himmel
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