2019/05/18 - 2019/06/02
27位(同エリア41件中)
さいたまさん
この旅行記のスケジュール
2019/05/18
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成田空港から、オーストラリアのブリスベーンを経て、ガダルカナル国際空港に向かいます。
2019/05/20
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ガダルカナル島のキタノ・メンダナ・ホテルにて、ガダルカナルを紹介したメンダナとマラリアの関係を確認
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ガダルカナル島の密林内を調査
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ガダルカナル島の植生を調査
2019/05/23
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ガダルカナル島内の密林と水の滞留を確認する。
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ガダルカナル島の密林内のマラリアの繁殖地を調査
2019/05/26
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マラリアの感染を媒介する蚊の生態を理解する。
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マラリアへの感染を防止する具体的な対策について考える。
2019/05/29
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マラリアに対する薬草、薬品等について勉強する。
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JICAにおいてガダルカナルのマラリア抑止策について勉強する
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この旅行記スケジュールを元に
ガダルカナル島の遺骨収集の間、旧日本軍が苦しんだマラリアについて考えてみました。
マラリアは、毎年、世界で2億6千万人が罹り、毎年200万人近くも死亡する感染症です。ガンやHIV、脳卒中よりも恐ろしい感染症です。
写真は、遺骨収集の現地調査で行動したガダルカナル島の丸山道の様子です。丸山道とは、第2師団長の丸山中将の名前をとったもので、旧日本軍が航空火力、地上火力による損害を避けるため、山岳地帯を迂回した際の密林の道路です。
ガダルカナル島の道なき密林内に、道を作りながら、進んだ過酷な迂回行動でした。
ガダルカナル島では、多くの日本軍将兵が、マラリアで亡くなりました。散華された戦没者の方々の無念の念に思いを致しつつ、常にマラリアに対し、留意して行動しました。
マラリアは、ハマダラ蚊が、吸血の際、マラリア原虫が人体に混入することにより伝染する疾病です。したがって、ハマダラ蚊が棲息する地域及びマラリア原虫が繁殖している地域に、多く発生しています。このため、ハマダラ蚊に刺されないこととマラリア原虫の駆除が大事な対応手段となります。
ガダルカナルでは、密林の湿地内であることとマラリア原虫がはびこっている風土等の両者の要因が相まって、今も、猛威を振るっているのです。
ガダルカナルと同じニューギニア地域ですが、ラバウルの日本軍は、マラリアに対する対応が功を奏し、マラリアの被害が抑えられています。
その対応は、
?ハマダラ蚊に刺されない。
?ハマダラ蚊が活動する夜間の行動を避ける。特に、排便等肌を露出させない。
?ハマダラ蚊の好む黒色の衣服を避ける。
?ハマダラ蚊が棲息する水溜まりを、排水する。
等の対応がマラリア発生を抑えました。
逆に、夜間の行動を主とせざるを得ないガダルカナルの戦闘地域では、湿気と水溜まりの多い密林内では、ハマダラ蚊の活動と日本兵の体内に繁殖したマラリア原虫の連鎖により爆発的に、マラリアが蔓延し、日本軍の戦闘能力を喪失させて行ったのです。
これらの要因は、昆虫類が多く、熱帯雨林の存在する地域、特に、泰緬鉄道周辺やビルマの山岳地の雨期等においても、日本軍及び連合軍ともに、共通した被害となっています。
ガダルカナルの日本軍将兵は、米軍の圧倒的な航空火力、地上火力を避けるため、密林内の山岳地帯の雨水が集まる谷地を、夜間移動することからマラリアの被害を直接受けることになったのです。
このため、今回の遺骨収集に際しては、暑くとも白っぽい長袖の被服を着用し、夜間の活動は控えることに努めました。併せて、屋内外では蚊取り線香や虫除けスプレーを活用しました。
これら一般的な対応に加え、自らの備えとして、医療機関が制約されていることも踏まえ、個人で保険契約に加入することと、高価でしたが独自に抗マラリア錠剤を購入し、携行する等の準備をしました。つまり、最悪の状況を想定し、自分なりに対応策を執って置くことが、心の余裕となり、切羽詰まった状況の生起を回避することになると考えたからでした。
心の面で余裕がないことは、何かと心気掛かりとなり得る経験からの準備でした。
結果的には、余分な出費でしたが、何事も無く、済んだことは幸せなことだと思っております。
- 旅行の満足度
- 3.5
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ガダルカナルを含めたソロモン諸島の存在を、ヨーロッパに紹介したスペイン人の探検家メンダナの肖像画です。
ガダルカナルなど周辺の島々を、6ヶ月にわたって探索、この島々を「ソロモン諸島」と命名しました。
不幸なことに、メンダナは、マラリアで亡くなっています。 -
スペインの探検家メンダナは、ガダルカナル島を紹介する際、スペインのジブラル海峡の近くのグアダルの地名と海峡のカナルを合わせてガダルカナルという地名を合成したと伝えられています。
しかしながら、Guadalには、「水の溜まった荒地」というスペイン語の意味があり、実態上からは、水が溜まっているという表現が、マラリアを考えると適切なのかもしれません。 -
ガダルカナル島の戦略的な位置を表しています。
FS作戦と称され、フィージー(F)、サモア(S)への進出作戦の足掛かりの位置にあります。 -
ガダルカナル島の海岸部の平坦な地域に、日本海軍によって飛行場が建設されました。
ガダルカナルの戦いは、飛行場を巡る攻防の戦いでした。 -
ガダルカナルの飛行場の近くの地形です。
海岸沿いには、開豁した丘陵部がひろがっています。 -
ガダルカナルの飛行場の近くの地形です。
飛行場の開豁地の奥には、密林地帯と丘陵部が連なっています。
写真の右側の奥には、川も見られます。 -
熱帯雨林のガダルカナル島には、山岳地が多く、山岳地帯からの河川も、発達しています。
河川の水量は、かなり多くなっています。 -
熱帯雨林のガダルカナル島は、山岳地帯が主となっていて、山岳地帯から流れ出た河川の水量も、かなり多くなっています。
水が溜まりやすい環境であることは、確かです。 -
夜間におけるガダルカナルの密林内です。
夜間に、湿気の多い密林内の中を進むのは、困難を極め、かつ、方向の維持が、難しく、多くの将兵を悩ませました。 -
ガダルカナル島の樹木の生い茂った山岳地帯の谷地と道路の状況です。
谷地には、水が集まって、小流を形成します。 -
山岳地の樹木は、倒れると、朽ちて次世代の樹木の栄養になります。
自然界の輪廻です。 -
ガダルカナルの密林の広がりと開豁地の対比です。
ガダルカナルの密林も、稜線付近では、樹木の伐採が進み、逐次、開かれてきています。 -
ガダルカナル島において、米軍の圧倒的な航空機火力や地上火力からの損害を避けるためには、密林内に入るのは、当然かもしれません。
日本軍は、開豁した稜線付近の行動を避け、密林内を進むこととなります。 -
密林内の樹木は、高く、4~5m以上のの高さになります。
風通しが悪く、湿気に満ちています。 -
高い樹木と密生した草木の連続です。
蚊はもちろん、まさに昆虫類の世界です。 -
ガダルカナルの密林内の高い樹木です。
密生した樹木のため、四周への視界は、効きません。 -
がダルカナルの密林内においては、現在位置を把握するのは、困難です。
地図がない場合は、自分はどこにいて、目標地点はどの方向かを知ることは、困難なのでしょう。
たとえ地図があったとしても、難しいでしょう。 -
ガダルカナル島の昼間の密林内です。
上空の敵機からの視認を避けるため、行動は、夜間にならざるを得ません。 -
ガダルカナル島の密林内の様子です。
風通しが悪く、湿気が高いです。
熱帯特有の降雨が、常時、湿気を高めています。 -
ガダルカナルの密林内の草木です。
密生した中、蚊はもちろん昆虫やヒルが多いので、気をつけねばなりません。 -
密林内の凹地です。
湿った凹地には、土壁を垂直に削った後のような形状になっています。
この凹地にて、しばしの休憩をとったのかもしれません。
湿っていて、水分が溜まった状態は、疲労したした将兵にとっては、必ずしも快適な場所ではなかったと思いますが、敵の火力の被害から身を守るためには、仕方がなかったのかもしれません。
反面、湿気のある水のたまった場所は、蚊の活躍する環境であり、マラリアの温床となったのかもしれません。 -
密林内の小流の流れる地形です。
水を求めて、日本軍の将兵がやってきたのかもしれません。
しかし、湿気が多く、蚊が活動し、マラリアが蔓延する環境となっていたのかもしれません。 -
密林内の湿った空気が澱んだ中、水を求めて日本軍将兵が、しばしの休息を得た場所のような感じです。
マラリアの温床だったのかもしれません。 -
ガダルカナルの戦いは、飛行場を巡る攻防でした。
飛行場の近くの地形です。
夜間、隠密裏に密林内を進み、谷地沿いを飛行場に近づきます。 -
日本軍は、航空火力や地上火力からの損害を避けるため、密林内を進みます。
ガダルカナルの飛行場に近づき、夜間攻撃を仕掛けるのです。 -
ガダルカナル島の飛行場の北側の様子です。
平坦な地形になっています。 -
日本軍は、平地部の戦いを避け、山岳地帯か密林内を利用して、飛行場へ接近を図りました。
密林内は、マラリアの原虫を運ぶ蚊の温床となっています。 -
ガダルカナルの激戦は、飛行場の奪取が焦点でした。
飛行場の東側を流れる川です。
激戦の地は、すっかり姿を変えています。 -
ガダルカナルにおける戦いの末期、マラリアに罹患した日本兵が、やっとたどり着いた離脱の地です。
数多くの兵士が、集まってきた場所です。 -
ガダルカナルの地を去る際、集合地点となったとされる海岸です。
多くの将兵が、マラリアにおかされていました。 -
マラリアの原虫です。
一説には、平家の平清盛は、マラリアの高熱に冒され、亡くなったとも言われています。
ガダルカナル島をはじめとして、このマラリア原虫が、多くの日本軍将兵を悩ませたものです。 -
ハマダラ蚊のメスが、人間の血液を吸い、その間に、原虫を人体の中に、混入、繁殖させるのです。
吸血の際は、尻を上げ、斜めになるといわれています。 -
ハマダラ蚊のメスの幼虫と言われています。
この幼虫が、滞留した水の中で育ち、成長後に、人体の血を吸うようです。
滞留する水を排水し、蚊の幼虫の生育を止めることが大事だと言われています。 -
木の間に溜まった水に、蚊が棲みつき、幼虫を繁殖させると言われています。
水溜まりが、蚊の繁殖を促しているようです。 -
ガダルカナルをはじめとして、密林の中の滞留した水溜まりに、ハマダラ蚊が棲息し、幼虫を産み付け、人体の血を吸い、マラリアに感染させるものと判断されています。
水溜まりをなくすことが、マラリア対策の一つと言われています。 -
密林内の水溜まりです。
マラリアの温床とされています。蚊の幼虫を産み付けるのです。 -
雨期の間の降雨による身が溜まりも、蚊の温床になります。
水溜まりをなくすことが、提唱されています。 -
蚊は、少しの水溜まりでも、幼虫を産み付けるようです。
注意が必要です。 -
流れが緩やかで、腐葉土等の栄養分が期待できる場所は、蚊の好む場所のようです。
排水の着意は、蚊を防ぐ一歩かもしれません。 -
ガダルカナルの密林の中には、落ち葉が堆積し、水が溜まっている場所は、無数に存在します。
日本軍の将兵は、このような薄暗い密林の中で、蚊とマラリアに悩まされ続けたのでしょう。 -
マラリア原虫を介在させる蚊が忌避する蚊取り線香です。
昔からの蚊取り線香ですが、効果は抜群でした。
睡眠の間の安息を、守ってくれます。 -
屋外にて行動する場合は、火のついた蚊取り線香を保持する携行缶です。
屋外では、これを腰の付近にぶら下げて、行動します。
陸上自衛隊では、野外の演習にて、活用しているとのことです。 -
屋外を行動する際は、腰に蚊取り線香の携行缶を取り付け、蚊を寄せ付けないようにします。
ややかさばる感じがしますが、軽量でもあり気になりません。
蚊を防ぐためには、効果的でした。 -
ガダルカナル島の遺骨収集の間、具体的に、気を付けたことですが
1 蚊は、黒色系の被服に寄り付くとのことですので、色の濃い黒色系の衣服は、 着用しませんでした。
2 蚊に刺されないように、肌を露出するような、半そでの被服は、避けました。 -
蚊は、低い場所を行動するようです。
(建物の高い階には、上がって来ないようです。)
ハーフパンツやショートパンツ等の着用は、蚊に刺されやすいようです。
肌を露出させない着意は、大事になります。 -
蚊の好む黒色系を避け、蚊が好まないとされる白色系の服を着用し、かつ、肌の露出を避けるため、長袖の服を着るようにしました。
熱帯地方、就中、湿度の高い地域では、長袖は、暑苦しいのですが、蚊を避けるという面からは、効果的でした。 -
裾の長いズボンを着用しました。
蚊の侵入を避け、マラリアにかからないためには、低い位置にある足首を隠す着意は、大事になってきます。 -
マラリアに対する薬剤として、キニーネは、昔から重用されています。
キナの木は、アカネ科に属する熱帯性の木です。
樹皮からキニーネを抽出し、抗マラリア薬として長く使用されてきました。 -
キナの木の絵です。
キナ皮からキニーネ等のマラリア対処薬として利用されたのには、1820年代のフランス人の研究によるものだと言われています。 -
原生地のアンデス地方では、現在も、キナの木が商いされているようです。
インドネシアにおいて栽培されることとなり、戦略物資として、門外不出の貴重な薬として扱われたと言われています。 -
日本で、シロ(白)バナ(花)ムシヨケ(虫除け)キク(菊)として呼ばれている除虫菊です。
野草の菊が、咲き乱れていた日本に植えられ、マラリア対処として、大正時代には、世界第一の生産量を誇り、輸出されていました。
日本はもとより、蚊取り線香の原料に利用されていましたが、安価な化学薬品により、生産量が激減しました。 -
屋外で、行動する場合、首筋や袖口等、肌が露出せざるを得ない部位を守るのに、効果的なのは、防虫スプレーです。
汗で、流れてしまいますが、2~3時間は、防虫効果が持続しますので、活用しました。
ガスを利用した噴霧タイプの虫除けスプレーは、航空機に搭乗する際、機内に持ち込めないので、ノンガス方式の虫除けスプレーを購入する必要があります。 -
遺骨収集の間、万が一、マラリアに罹患した場合のことを想定し、自らの対応として、抗マラリア薬を準備しました。
東京医科大学の海外渡航センターにおいて処方して頂いたマラリア対策の飲み薬です。
マラリアの高熱が発症した場合、マラロン錠を、1回4錠、3日間にわたり服用するように言われました。
その3日間の間に、近傍の医療機関にて、必要な医療を受けるように、指示を受けました。 -
マラロンの錠剤です。
元来、予防用としての薬品なので、保険が効かないうえ、高価な薬ですが、万が一の場合を想定し、購入・準備しました。
幸いなことに、服用することがなく、保管しているままです。 -
日本海軍が、準備していた合成マラリア剤甲です。昭和20年以前のものです。
合成マラリア薬として、海軍と陸軍で支給されたキニーネです。
欧米でも、ジントニックという飲み物は、マラリアに効果があったとされています。
日本でも、大正の平和な時代には、ハイカラな薬用葡萄酒に配合され、健康増進に一役買ったキニーネだったそうですが、再びマラリア治療薬として粗末な包装にくるまれ、兵士とともに戦場に送られていったそうです。 -
合成マラリア剤乙との表示が見えます。 昭和20年以前のものです。
錨のマークがあり、日本海軍のものだったようです。海軍で支給されたキニーネでしょう。 -
同じく、日本海軍で準備されていたキニーネ液のようです。
昭和20年以前のものと判断されます。
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