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とっても寒くて暖かいシベリア・アルタイでの年越し(後編)

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2004/12/30 - 2005/01/04

149位(同エリア149件中)

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JIC旅行センター

JIC旅行センターさん

 到着の翌日、ノボシビルスクで慌ただしく冬物を買い揃えアルタイ地方へと出かけました。位置的にはノボシビルスクから約250キロ南下した辺り。車を走らせるに連れて雪が深くなり、途中からはどこが道路でどこが畑なのかわからなくなってきて(ガードレールなんてない)、よくこんな状態で運転できるな…と感心&恐怖心をもちつつ、道なき道をひたすら走りました。建物もすれ違う車も街灯もなく、信号はすでに何時間も見ていない、という場所です。雪が降り出し、辺りが薄暗くなってきたころ、100年前も200年前も全く同じ景色なのではと思えるような田舎の風景が現れました。「映画で見た昔のシベリアのままだ。」と思いました。真っ白な雪世界の中にぽつんぽつんと木造の平屋の家が建ち、煙突からは煙が出ていて、白樺やもみの木が家の周りに立っています。映画の世界に迷い込んだのは、12月31日、大晦日の夕方でした。美しい田舎のはずれに私たちの宿泊地「ルースキー・ドム(ロシアの家)」がありました。

 ロッジ形式のホテルで、ロシアの森の中に点々とロッジやバーニャ(ロシア式サウナ)が建てられています。お部屋は簡素で、鍵も無く、トイレも共同というワイルドな環境でした。その上、食事やお風呂の度に外にでないといけないわずらわしさはありましたが、シーンと静まった中で新雪を踏みしめる音だけが響き、凍った空気が顔の皮膚をパリパリにする寒さ、月明かりのダイヤモンドダストが辺り中キラキラと輝く美しさ、雪と森のにおい、外に出るからこそシベリアの冬を体感できたのです。あの感覚は一生忘れません。

 ロッジから30メートルほどの所にいちばん近いバーニャ小屋がありました。バーニャの中は燃えたぎる火でものすごく暑いし、かといって外はすごく寒く、出たり入ったり私たちは右往左往。そしてついに雪の中へダイビング。-30℃の外に水着姿で出る寒さ、はだしで雪の上走る冷たさは格別、慣れているロシア人は大はしゃぎで雪合戦を始めるし、雪の中に押し倒されるし、必死で逃げて来ました。凄い、これが本物のロシアのバーニャです。ワイルドです。白樺の枝を水につけて体をたたいてマッサージするのですが、とても気持ちよかったです。同行した小さい子供たちも一緒にバーニャに入ったのですが(お風呂もシャワーもないので仕方なく)、じっと我慢していました。子供なりに、これしかないんだ、ってわかっているみたいで、真っ赤な顔をして汗いっぱいかいていました。子供って適応力があるのだと感心。バーニャにはシャワーもなく、あるのはドラム缶に貯めた雪解け水だけ。これで洗うの・・・?

 バーニャを出てから最大級に温かく着込み、夜の森へ行きました。ロッジを出てしばらく歩くと、真っ暗な森に焚き火の炎だけが明るく浮かび上がっています。デッドマロース(サンタクロース)とスネグーラチカ(雪娘)が歌いながら火の周囲を回っています。幻想的でロシアの御伽噺のような世界です。揺らめく炎が周りの雪に反射してきらきら輝いています。寒さを忘れるくらい素敵で、童心に戻ってわくわくします。そして何発もの打ち上げ花火と共に新年がやってきました。

 ルースキー・ドムはオールインクルーシヴで、全食事、飲み物、エンターテイメントもすべて料金に含まれています。船の形をしたレストランは24時間オープンしていて、いつ行っても食事を出してもらえます。アルコール類も飲み放題。朝でも夜中でも昼でもOKです。

 昼間はアウトドアライフを楽しみます。まずはソリで森を散策。一頭だての馬ソリです。重たいソリが雪上を走る音、そして馬の息と足音と鈴の音しかしません。わらを敷いたソリに寝転がって、森の奥深くへとどんどんと進んで行きます。雪の重みでしなった枝々でアーチになった小道をシャンシャンといいながら走るのです。自然が創りだした美しさ。とても言葉では表現しきれません。私にとって今回の旅のいちばんの名所でした。聖霊の宿るようなシベリアの美しい森。これがロシアの森なのだ、と感動。本当に感動。こんな美しい場所をたくさんの人に見せてあげたい!本当にそう思わせる場所でした。

 馬が雪を蹴り上げるので粉雪が顔にかかって冷たい。20分ほど森を進んだところで馬に休憩を取らせます。マルシャークのお話、12月を思い出します。こんな森の奥で月の精が集まっていたのかな~なんて。

 ロッジから数キロ離れた川沿いにもバーニャがあり、スノーモービル2台で9人乗りのソリを引いて、大勢で訪れました。今度は雪ならぬ寒中水泳です。凍った川の表面を開けてプールにします。外気は-30℃でも、水はプラスの温度なので案外温かく感じるようです。着替え室=休憩室であり、6畳間ほどの大きさの部屋に10人以上入り、ロシア人のおっちゃん達が乾杯している傍らで着替え(ロシア人は横で女性達が着替えていようと気にとめない)、もうめちゃくちゃ、こうなりゃヤケクソです。「ええい、なるようになれ~」。バーニャからソリでロッジに帰る途中、9人乗りのところを12人くらいぎゅうぎゅうに乗って、真っ暗な森の中をスノーモービルのライトだけを頼りに進みました。小さい子供達をひざに乗せて、寒いからみんなで肩を寄せ合って、なんだか革命期の亡命者の気分でした。

 アイスホッケーやアイススケート、乗馬、ソリ遊び、スノーモービルなどがあり、寒くても外でたくさん遊びます。遊び疲れたら、森の小屋の横にシャシリク(バーベキュー)コーナーがあり、ワインやウォッカも用意されていて、もう至れり尽くせり。こんなに飲んだくれて、遊びまくって、いいの~?これぞロシア人の生活です!

 夜9時くらいから朝5時くらいまで食べて飲み、昼前に起きてシャンパン付の朝ごはん、アウトドアで遊びまくって、ウォッカ付き昼ごはんを食べ、バーニャ(ここでもアルコールが…)、そしてまた夜へと…この繰り返しが3日3晩続くのです。これぞ、ロシアの新年です。

 ディナータイムには、大晦日はサンタクロースと雪娘がゲームをやって遊ばせてくれました。次の日はジプシーの音楽家。心に響く歌、バイオリンそしてギターです。演奏時間が終わったらそそくさと帰るのが普通でしょうが、彼らも宿泊客と一緒に飲みながら朝までリクエストに応えて何曲も歌ってくれました。大好きなロマンスを何時間も歌ってくれるのです。素敵な夜でした。人生の深さが歌に現れる歌手でした。

 アルタイでは、一緒に新年を迎えた50人ほどの人達と3日間を過ごし、たくさんの人たちと知り合うことができました。

 アルタイはトレッキングで有名な場所です。欧米からはかなりの観光客が来ているようですが、日本からはアクセスの悪さか、残念ながらまだあまり知られていません。次は雪の無いシーズンに訪れ、トレッキングを楽しみたいと考えています。新しいルートを開発できたら、ぜひ皆さまにご紹介したいと思います。

 今回の訪ロのついでにノボシビルスク市内の大学を訪問しました。学習環境はとてもよくて、留学に適した場所だと思います。シベリア人の心の温かさ、治安も悪くなさそうだったし、モスクワなどの大都市のような派手なスーパーやエンターテイメントは少ないでしょうが、ロシア的なものを探しにいくのであれば、案外シベリアっていいのかも、と私自身考えを改めました。もう少し条件を詰める事ができたら、皆様にJICの新しい留学研修先をご紹介したいと思います。

 静かな美しい森を1人で散歩していたとき、ふと思いました。「極寒の地シベリアで抑留生活を送った人たちは、この美しい自然に少しでも感動したのだろうか、少しでも気持ちを癒す瞬間があったのだろうか。」そして、帰ってから抑留経験者の方とお話をしたときに尋ねたら「日本に帰りたい一心でそんなことは思わなかった」という答えでした。シベリアは流刑地であり、また抑留された多くの人たちが苦しみ亡くなったという歴史があるからこそ、心に響く何かを感じるのでしょうか。

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