2019/11/01 - 2019/11/09
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おはぎさん
ルネサンスを中心に、イタリアの歴史・諸芸術に触れる9日間の旅を敢行してきました。今回訪れたのはローマ、フィレンツェ、ラヴェンナの3都市。行き先は完全に史跡や美術館に絞ったため偏りマックスの旅程でしたが、個人的には大満足の旅でした。
【旅程】
1日目:成田空港~フィウミチーノ空港
2日目:ローマ観光(スペイン広場、ボルゲーゼ美術館)
3日目:ローマ観光(コロッセオ、パラティーノの丘、フォロ・ロマーノ、カピトリーニ美術館、ヴィットリアーノ、パンテオン)
4日目:バチカン観光(バチカン美術館、サン・ピエトロ大聖堂、サンタンジェロ城、トレヴィの泉、ナヴォーナ広場)
5日目:フィレンツェ観光(サン・マルコ修道院、メディチ家礼拝堂、サン・ロレンツォ教会、サンタ・マリア・ノヴェッラ教会、アカデミア美術館)
6日目:フィレンツェ観光(バルジェロ国立博物館、ドゥオーモ、クーポラ、ヴェッキオ宮殿)
7日目:ラヴェンナ観光
8日目:フィレンツェ観光(ウフィツィ美術館、サンタ・マリア・デル・カルミネ教会、ピッティ宮殿)
9日目:帰国
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6日目。おはようございます。本日も朝から大雨です。今日の予定はこんな感じ。
①バルジェロ国立博物館
②クーポラ(予約)
③ドゥオーモ ・ジョットの鐘楼
④オルサンミケーレ教会
⑤ヴェッキオ宮殿
早速、バルジェロ国立博物館に向かいましょう。開館の8:15に合わせて出発です。ホテルからはほんとに5分くらいで到着。
一時期は監獄として使われていたというように、石造りで堅牢な感じがしますが、明かりのせいか決して冷たい感じはありません。 -
この中庭の回廊に立っている、ジャンボローニャ『Oceano』。迫力がすごいです。
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こちらはヴェッキオ宮殿の噴水のために造られたらしいですが今はここにあります。アンマンナーティ作。
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コジモ1世の彫像。
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古代ローマ風、言ってしまえばアウグストゥスぽくしてほしかったらしくこんなデザインになっていますが、実際はこんなにイケメンではなかったとも言われています。歴史叙述は冷酷ですね。
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回廊を巡った先、同じ1階の展示室に入ります。ミケランジェロの作品もとても多く、名作揃いの部屋です。こちらもチェリーニのコジモ1世の胸像。
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チェリーニの『アンドロメダを救うペルセウス』。こちらもレリーフの中に高度な遠近法の技術を用いています。浮き彫りの高低で人の奥行きを表しているのがよく分かりますね。
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チェリーニのペルセウスといえばヴェッキオ宮殿前のこれのイメージが強いですが、才能の前には浮き彫りだろうが丸彫りだろうが関係ないんですね。
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ほら、浮き彫りとは?というくらいにダイナミックな高低の付け方です。腕は完全に丸彫りなんですね~。
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ペルセウスの躍動感がすごいです。
では2階に上がりましょう。ここから先は代表委員会の間と言われる部屋。楽しみにしているドナテッロの作品が目白押しなので、入る前から心臓が止まりそうです。 -
入って早速、有名なこちらの作品が。天国の門のコンペのため、「イサクの犠牲」のテーマでギベルティとブルネレスキが競い合った作品です。
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ゴシック色が残っているとはいえ、個人的には構図のまとまり的にギベルティのが好きだったりもしますが…。
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でもまあこっちの方が圧倒的に劇的な感じはしますよね。
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さて、こちらも楽しみにしていたヴェロッキオのダヴィデ像なんですが…まさかの海外出張中…割とトップレベルでショッキングでした。ナショナルギャラリーが来い。
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そしていよいよ…ドナテッロの『聖ゲオルギウス』!!!個人的にほんとうに大好きな作品です。元々はオルサンミケーレ教会の外壁に立っていました。
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遠くを強い視線で見つめています。カッコいいですよね。
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カッコ良すぎるこっちの人物像についつい気を取られてしまうのですが、その下のレリーフも本当は凄いんですね。
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竜を退治するゲオルギウスを描いているのですが、この薄い厚みしかない画面上で、奥行き感を表現しようとしています。人物は彫りの深さで遠近を表しているんですね。
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右側の建物には、たしかに奥行きを感じられます。これは消失点が上の方に寄っていて、正面から見ると若干違和感があるんですが、下から見上げることによってその消失点が自然な位置となるとされています。この時点で本人が何をどこまで考えていたのか今となっては知る由もありませんが、ドナテッロが「鑑賞者の視点」と「作品の設置点」、これら2つの関係性を強く意識して作品を制作していたことは確かです。
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この立像自体も、完全に壁の中に収まっているわけではなく、少し前面にはみ出しています。これは360度とは言わないまでも、正面以外からも鑑賞されることを想定したからだと言われています。
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そしてお待ちかね、ドナテッロの『ダヴィデ像』。
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素晴らしい。もはや余計な賞賛など不要。
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古典古代以来、裸体像で表した初めての丸彫り彫刻として名高いですね。
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勝利後の雄々しい感じというよりも、落ち着いた雰囲気で微笑をたたえているのが印象的なこちらの作品ですが、左側面から見るとちょっと表情の印象が変わるな~と個人的に思いました。なんか少しだけ笑みがなりを潜めるような感じ。
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足元の装飾がすごい。
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ゴリアテの首…
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あまりに人がいなさすぎたので、ありがたく360度から延々と矯めつ眇めつしていました。完全に変質者でしたが大変に満足でした。こんな贅沢中々ない。ローシーズン万歳!!
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こちらはドナテッロ派の彫刻家による『聖母子』。優しいですね。
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ドナテッロ『Amore』。同じブロンズ像でもこちらの賑やかしい感じは可愛らしく見えます。
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対する『洗礼者聖ジョヴァンニ』。このやつれた表現がすごいです。なんて贅沢な部屋なんだ。
他にもジョットの壁画やジャンボローニャの彫刻や盛り沢山でした。朝イチというのもあったと思いますが、この時期だからなのかほんとにガラガラで、これだけの世界的な作品をほとんど独り占めのように鑑賞することができてもう思い残すことはありません。
というわけでこの時点で11:15。お次に参りましょう。次はクーポラを13:00に予約しているので、それまでに腹ごしらえをします。 -
と思ってフラフラしていたら、近くにダンテの家があることに気づき、せっかくなので行ってみました。ちょっと路地裏にあります。
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展示内容は本人の人生やフィレンツェの歴史についてなど、結構ディープな感じで展示してありましたが正直ちょっと難解…。ある程度神曲について理解してないと100%楽しめないかもしれません。天国・地獄・煉獄のあの絵が出てきたところでやっとなんか分かるものが出てきた!という感じでした。神曲ちゃんと読んでから出直してきます。そんでもう一回行きたい!
さて、飛び込みで入ったダンテの家を出て、ジェラートで腹ごしらえ。13:00のクーポラの予約に合わせて現地へ向かいます。これも予約がないと登れないみたいなので、日本からネットで予約していきました。 -
クーポラ予約者は、大聖堂を正面から見て左手の側面奥に並びました。その辺に入り口があります。レーンの近くから見上げた図。
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クーポラに登る人たちはここから入っていきます。サイズ感がバグる。
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あくまで横面の入り口なんですけどね。立派すぎます。
ここでもセキュリティチェックを受けたら、覚悟を決めて階段を上りましょう! -
途中、こんな彫刻が並んでいるスペースがあります。半分くらいの人がここで息を整えて、残りの半分は果敢にもペースを落とさずスルーして続きを登っていきます。
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いったんクーポラの中面に出た!天井画がものすごい。
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壁画の圧もすごい。触れる位置にあります。触りませんけど。
そんなこんなで狭苦しい階段を上り切ると… -
きたー!気持ちいい!フィレンツェの街並みを一望できます。建物の高さと屋根の色が揃っているだけで、とっても綺麗に見えますね。
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ジョットの鐘楼ですらこの位置に見えます。それまで天気が超絶際どかったのですが、謎にこのタイミングだけ一部青空がのぞいていました。日頃から徳を積んでおくに越したことはありません。
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降りるのも一苦労だったけど、無事景色が堪能できて何より!改めて大聖堂をパシャリ。続いてはこちらの中を覗きましょう。この時点で14:00くらい。ちなみに天気が怖かったのと疲れてしまったので、ジョットの鐘楼に登るのはやめてしまいました。
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サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂、正面口から入りましょう。こっちは15分ほど並ぶ必要がありました。その間に無表情のお兄さんが何やらビラを配っていきましたが、どうやら後日この中でオーケストラのコンサートをするらしい。粋!!!!
てなわけで中。 -
空間が広いですね。シンプルですが、正面のステンドグラスが綺麗。
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でもってクーポラの内壁はやっぱりすごい。
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ダンテだ!!
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ほかにも、壁面にはウッチェロの『ジョン・ホークウッド騎馬像』。ここにもウッチェロさんの遠近法への執念を感じられます。
ここまででホクホクして帰ろうとしたのですが、何やら地下への入り口があるのを発見。何の気なしに降りていくと… -
え!地下に遺跡広がっとるやん!!!!なにこれ最高!!!!
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お恥ずかしながら知らなかったのですが、サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂の下にはなんと4世紀くらいの当時の床面がそのまま残っていたんですね。この地下空間ではものがしっかりとよく保存されているだけでなく、時代ごとによる聖堂の位置とか増築の経緯とかまでしっかり映像で解説もしてくれて、大興奮してしまいました。床のモザイクの上に通路ができてて、その上を自由に通って周れます。天井も低めでなんかアドベンチャーっぽい。最高。
ひとしきり歩き回ったところで、いい加減外に出ましょう。ちなみにお土産屋さんはここと同じ地下にありました。その横にはブルネレスキのお墓もあります。 -
この時点で15:00くらい。相当地下遺跡を見て回っていたようです。今度は大聖堂正面の洗礼堂へ。
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言わずもがなの『天国の門』。いやはや、たしかに天国の門ですね。その名の通りです。
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中もこんなに金ピカなんですね!モザイク画がぎっしり詰まっています。
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外からの光もあいまって、とても綺麗でした。
この後はドゥオーモ附属美術館に行きたかったのですが、事前リサーチでどうやら開いていないらしいとの情報を得ていました。いやまあイタリアのことだし、うっかり開いてるかも!と思って一応行きましたが、普通に閉まっていました。なんだよ。ドナテッロのマグダラのマリアとか見たかったんだけどな…1週間くらいの一時的な閉館のようだったので、運が悪かったようです。
仕方がないので続いてはオルサンミケーレ教会に。足を踏み入れると、なにやら人だかりが…そのまま入って行こうとしたら、なんとこちらも修復期間とのことで入れませんでした。他の人もみんな行ってみて初めて知った感じでした。ショックでお知らせの中身をよく読まなかったのですが、修復期間は12月で終わりだったので、少なくとも2020年以降は大丈夫だと思いますが…。 -
致し方あるまいので、気を取り直してヴェッキオ宮殿に向かいます。すでに15:45くらい。コピーのダヴィデ像が迎えてくれます。
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中庭。流石宮殿、これまでの中庭とは趣がちょっと違いますね。天井が高い。
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早速中へ。これはあの…!某映画でこっから人が落ちてきた…!
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やっぱりそうだ!
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壁面にはヴァザーリらによる絵がぐるっと描かれています。この下にはレオナルド・ダ・ヴィンチの「アンギアーリの戦い」が隠されているのでは?との話題もありますね。「CERCA TROVA」の文字は流石に肉眼では見つけられませんでした!
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話には聞いていましたが、たしかにダンテのマスクは至って普通に展示されていました。全然特別室じゃなかった。
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そしてそして、ヴェッキオ宮殿最大のお目当て、ドナテッロの『ユディトとホロフェルネス』。これもこの目で見たかったのですごく嬉しかったのですが、思いの外背景がどぎつくてちょっと笑ってしまいました。
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すごく見上げる位置にあります。この主題はどっちかというとユディトが首を取ったあとのシーンがメジャーですが、この作品ではこれから剣を振り下ろす、という瞬間を表しているんですね。
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それにしては落ち着いた雰囲気が不思議な感じがします。そして、ユディトは着衣で立像、対するホロフェルネスは半裸で横たわっているというかなり複雑な構成のため、私たち鑑賞者は自然とこの周りをくるくる回るように仕向けられるんですね~。確かに一人で延々とグルグルしていました。
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ホロフェルネスの力ない足は、後ろにくればよく見えます。それにしても天井派手すぎやろがい。
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こんな名作がこんなポン!と置いてあるの、流石宮殿です。
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さて、今日もよく色々と見て回りました。本日はこれくらいにして帰りましょう。ずっと雨が降っていて残念でしたが、それはそれでまた景色に風情がありますね。
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アルノ川ほとりにて。
明日は朝イチでフィレンツェを出発し、いよいよモザイクの街、ラヴェンナに向かいます。楽しみ!ではおやすみなさい。
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