関東「有料指定席」のりくらべ【6】～東武「ＴＪライナー」編～

2019/09/27 - 2019/09/27

　地元福岡の大手私鉄・西鉄が、天神大牟田線で「有料指定席」の導入を計画しています。基本的には特急料金無料の私鉄の「有料指定席」って、どんな使われ方をしてるんだろう？
　６度目の関東有料指定席体験は、Ｌ／Ｃカーを活用した有料指定席列車の元祖といえる、東武東上線のＴＪライナー。10年選手のライナーは年季を感じさせつつも、抜群の安定感がある運行を見せてくれました。

エリア 川越(埼玉)

• 旅行の満足度: 4.0
• 交通: 4.0

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 1万円未満
• 交通手段: 私鉄
• 旅行の手配内容: 個別手配

　2008年デビューのTJライナーは、今年で11周年。増発を重ね、今や17:30から0:00まで、30分毎に運行されています。
　指定券のチケットレス化には、2009年に早くも対応。当時はまだガラケーの時代、かなり先駆的な取り組みだったのではないかと思います。

　指定券は、池袋からの下り列車が360円と安い代わりに、座席の指定は最初の停車駅であるふじみ野まで。ふじみ野駅からは、指定券のないお客さんも乗り込んできます。
　上り列車はふじみ野からだと360円ですが、その他の駅からは指定区間が長くなる分、460円と強気の価格です。

　購入までは５ステップ。希望する時間帯の空席照会を行い…

　列車を指定。

　号車を指定。車両ごとの残席も出るので、空いているところを狙えます。

　シートマップをもとに、座席も指定可能。このあたりの操作性は他社の列車と似ていて、先駆者のＴＪライナーは多いに参考にされたに違いありません。
　ロングシート部分も指定席になっているところも、他社と同様です。

　座席を指定して、購入完了。

　指定券の表示は、発車30分前から可能になります。１度表示してしまうと、払い戻し不可というシステム。指定券を表示⇒スクショ⇒払い戻しという不正はできません。

　指定券をスマホに携え、やって来ました東武池袋駅。改札口の前には、ＴＪライナーの残席が表示され、快適通勤へ誘惑します。

池袋駅 駅

　ＴＪライナーの特徴の一つは、他の列車を追い抜く速達列車でもあること。先行する19:51発の急行を、途中の川越市で追い抜きます。
　360円は座席保証だけではなく、特急料金のような性格も帯びているということ。本線では戦前から有料の速達列車を走らせている、東武ならではともいえます。

　抜かれる側の、19:51発の急行を見に行ったけど、さほどの混雑ではありません。はやめにホームに来れば座れそうなくらいです。
　それでもTJライナーの指定券は19:40分頃に売り切れており、何が利用客を引き付けているのか、興味が沸きます。

　池袋駅というか、下りTJライナーの特徴の一つが、専用ホームからの発着となること。昼間は降車ホームとなる５番ホームを利用します。
　指定券は改札でチェックできるので漏れがなく、係員は３人と最小限で済むのは効率的。西鉄の福岡天神駅の一番東側のホームも降車専用なので、応用できそうです。

　「中間改札」の横には座席指定券の券売機もあるけど、早々に売り切れて稼働していませんでした。スマホから席を抑えられてしまえば手も足も出ず、だんだん頼られなくなっていくのかな。

　20時00分発、TJライナー小川町行きが入線。池袋までの送り込みは料金不要の快速急行の扱いで、クロスシートの状態です。料金不要なんだからロングシートの状態でもよさそうだけど、クロスからロングへの転換は時間がかかるのかな？
　料金不要でクロスシートに座れるのは、お得感がありそう。

　優先席は、ＴＪライナーでも運用されます。つまり自由席になる ふじみ野以遠で「譲るべき人」が乗ってきたら、ご配慮をという席です。うーむ…。
　京王ライナーでは「優先席の扱いはしない」と明記してあり、このあたりも各社各様ですね。

　19時51分発の急行が先発していきました。車内はまだ余裕ある感じでしたが、地下鉄接続の和光市あたりからは、どっと乗ってくるのかもしれません。
　ＴＪライナーは和光市も豪快に通過するので、喧騒に巻き込まれずゆったり過ごせるのもポイントです。

　座席の転換など車内整備が進む間に、ホームには指定券を持った人が集まり始めました。座席は保証されているんだから、わざわざ並ぶこともないと思うけど、他に居場所もないですからね。専用待合室なんてあったらと思いますが、贅沢か。

　11年前の電車とあって、最近の他社の有料指定席列車に比べて、質素な感を強く受けます。コンセントやwifiなどの設備もありません。
　乗客が求めているのは、結局「着席保証」の１点なんですね。あまり華やいだ感じのない西鉄の3000形が有料指定席に入ると聞いて違和感しかなかったけど、問題ないのかも。

　ロングシート部分も背ずりが高く、ひじ掛けも設けられ、居住性に配慮されています。

　池袋を発車したＴＪライナーは、和光市や志木など快速急行の停車駅を豪快に飛ばし、ふじみ野までノンストップ。落ち着いたひと時を過ごせました。
　ふじみ野以降の乗り込みは多く、立客も大勢。360円は、あくまでふじみ野までの快適料金です。運用側としては、池袋を出れば一般の列車と同じように扱えばいいわけで、よく考えられています。

　川越市駅で、先発の急行と緩急接続。池袋から川越市以遠へ早く帰りたい、でも360円を払いたくないという人は、ここで乗り換えればいいわけです。時間差も数分。
　西鉄に例えれば、小郡あたりで「急行」と「ライナー」を接続させるような感覚かな。

川越市駅 駅

　終点の小川町まで追跡したいのはヤマヤマですが、浅草橋の宿舎の門限10時に間に合わせるため、ＴＪライナーとはここでお別れです。どうか終点まで、ご安全に。

　松山駅と松山市駅の関係を思い描きながら、川越も「市駅」の方が栄えているのかなと思ってました。実際はドラッグストア併設の、平屋建ての駅。

　一方の川越駅は、ＪＲとの乗り換え客がごった返す、いかにもな首都圏のターミナル駅。市駅よりもずっと賑わっていました。西武の本川越の方はどんな感じなんだろう？また昼間に再訪したい川越でした。

川越駅 駅