2019/09/01 - 2019/09/04
158位(同エリア8件中)
AandMさん
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サルデーニャ島とコルシカ島は、現在それぞれイタリアおよびフランスと所属する国が異なります。島間に幅10kmの海峡がありフェリーが運航されています。2019年夏にレンタカーでフェリーを利用してこれらの島々を巡りました。コルシカ島は険しい山々や自然が、サルデーニャ島は中世時代に建造された大聖堂や旧市街が印象的でした。
サルデーニャ島とコルシカ島には先史時代遺跡があり、いずれもギリシャや古代ローマ帝国の文化の影響を受けています。現在所属する国は違いますが、町々を訪問した印象では伝統文化に大きな違いは感じませんでした。歴史や文化発展に興味を抱きましたので、主要な町にある博物館を幾つか訪問しました。ただ改修工事で閉館していた博物館、昼休み時間で閉館中の博物館、レンタカー用駐車場がなかったので訪問を諦めた博物館などもありました。この旅行記では、見学できた博物館の展示品などを紹介します。
カバー写真は、サルジニア島南部の町カリアリにある国立博物館の展示品「モンテズマの巨人」です。紀元前13-9世紀に造られた砂岩製像で1974年にモンテズマ村(Mont'e Prama)で発見されたものです。博物館の目玉展示品です。
- 旅行の満足度
- 4.0
- 観光
- 4.5
- ホテル
- 3.5
- グルメ
- 3.5
- 交通
- 4.0
- 同行者
- カップル・夫婦
- 交通手段
- レンタカー 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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9月1日
サルジニア島の中西部の町オリスターノの西方20kmにあるタロス遺跡(Area archeologica di Tharros)を訪問しました。
タロスは地中海交易におけるサルデーニャ島の主要港として、紀元前8世紀頃にはフェニキア人が、その後、カルタゴ、古代ローマ、ビザンチン時代まで栄えていた町の遺跡です。沢山の遺物が発掘され、サルデーニャの歴史研究で重要な遺跡です。タロス遺跡 史跡・遺跡
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現在のタロス遺跡は、建物の礎石などがゴロゴロ転がった状態で保存されています。
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タロス遺跡の発掘品が展示されているオスタリーノの考古学博物館です。この町のホテルに滞在しましたので、行ってみました。博物館は旧市街中心部にありますが、訪問者数は多くありません。我々以外に、2‐3名の来館者でした。
アルボレア出土品収蔵博物館 博物館・美術館・ギャラリー
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博物館入り口に胸像がありました。博物館を設立した功労者の像のようです。また、ビデオ映像で概要説明もされています。イタリア語と英語があり、説明者はドイツのハイデルベルグ大学の先生で。古代史が専門の方です。博物館の受付の方が、ビデオの視聴を勧めてくれました。
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タロス遺跡発掘品の品々が展示されています。先に訪問した半島の海沿い遺跡で発掘されたものです。
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紀元前8世紀頃にタロスで造られたブロンズ像です。
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様々なブロンズ像が展示されていました。
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タロス遺跡の発掘品で紀元前7世紀頃のもので、石像です。ブロンズ像と同時代のものですがブロンズ像に比べて保存状態は良くありません。
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浸食が進んでいますが、動物の像でであることが分かります。紀元前8世紀頃のものです。
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これも紀元前7‐8世紀の石像です。長い年月の風雨で浸食が進み、何の像なのか良く分かりません。
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紀元前7世紀頃にギリシャ西部(推定)で作られた工芸品で、タロス遺跡の発掘品です。大理石の小型の像ですが、地中に埋もれていたので良好な形状が保たれているのだろうと思われます。
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サルデーニャで作られたブロンズ製工芸品が沢山タロスで発掘され、この博物館に展示されていました。紀元前8‐7世紀頃の作品です。
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沢山の土器製ランプが展示されていました。デザインや形が似通っています。照明用ランプは各家庭での必需品で品数が多く、タロス遺跡で沢山発見されたのでしょう。
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こちらは鉄剣や槍先で腐食が進んでいますが、外見は保たれています。紀元前7世紀頃に製作されたもので、これらもタロス遺跡の発掘品です。
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主な展示品にはイタリア顎と英語の説明がありました。英語説明から、展示品の概要が分かります。
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タロス遺跡以外で発見されたものも展示されています。
これらはエルトリア・コリント様式の土器でSt. Marcu およびSt. Givanni di Sinisのネクロポリスで発掘された品々です。 -
紀元前のタロスの町が再現されていました。サルデーニャ島の地中海交易拠点の港町で、様々な物資がこの町に集められていたようです。
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こちらの模型は中世時代のオリスターノでしょうか?タロス模型よりも2500年程後の時代になります。
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オリスターノの教会に掲げられていた宗教画が展示されていました。中世に描かれたものです。
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5聖人の写実的な絵です。地元の人々なら知っている聖人かもしれませんが、我々には誰なのか分かりません。
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オスタリーノの考古学博物館を後にします。展示品の数は多くはありませんが、タロス遺跡で発掘された品々があり、主だった展示品には英語説明もあるので、訪れる価値のある博物館だと思いました。
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9月3日
カリアリ旧市街にある国立考古学博物館を訪問しました。
カリアリの考古学博物館は1800年に設立された歴史ある博物館で、膨大なコレクションがあることで知られています。博物館は7つの部屋で構成され、ヌラージュ以前(青銅器時代)、ローマ時代、キリスト教時代など、時代や展示品の種類などで区分されていました。国立考古学博物館 (カリアリ) 博物館・美術館・ギャラリー
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入場チケットは大人7ユーロでした。入場券の絵は「モンテズマの巨人像」で、この像がカリアリ考古学博物館の目玉の一つであることが伺えます。
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新石器時代の女性像ですが、表面がツルツルで古くは見えません。土中に埋もれていたためと思いますが、製作当時の良好な状態で保存されています。
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「地中海の母」と呼ばれている謎の石像の女性人形です。近代の芸術家作品と言われても納得できるような斬新な像です。
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青銅器時代に造られた武器です。青銅は腐食に耐えるので、製作当時の形がそのまま保たれています。
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両刃斧で、石加工の道具として使われたものです。後期青銅器から初期鉄器時代に造られた品です。
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これは「牛皮インゴット」で交易用の銅地金です。(インゴット)は地金ですが、(牛皮)は地金表面形状が牛皮と類似していることから使われたとのことです。この地金を溶解・鋳造して武器や道具に加工されて利用されます。タロス遺跡の発掘品です。
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銅地金の溶解と鋳造の様子が説明されていました。
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交易に使われた「牛皮インゴット」が発見された場所の地図です。サルデーニャ島の北から南まで広範な地域で発見されています。
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当時造られていた銅製品の分類表です。武具や加工用道具などが主な用途であったことが分かります。
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これは銅製の人形で、人物像の他に鳥、犬、鹿も認められます。埋葬品だったようです。
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国立考古学博物館の目玉展示品である「モンテズマの巨人像」です。紀元前13-9世紀に造られた像で1974年にMont'e Prama村で発見されました。28体も発見されています。
彫像はサルデーニャ産の白亜質砂岩製で、高さ2~2.5メートルで、射手、剣士、力士などの像だそうです。 -
「モンテズマの巨人像」で直立している点が共通しています。
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他の「モンテズマの巨人像」です。
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「モンテズマの巨人像」はいずれも大きさやスタイルが類似していますので、同一作者の作品のようにも見受けられます。
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古代文字が描かれた粘土板です。説明によれば「サルデーニャ、Sardegna」に相当する文字が書かれており、古代文字は解読されているそうです。説明パネルで青字で書かれている部分がサルデーニャに対応しています。
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サルデーニャ島にある古代遺跡スー・ヌラージ・ディ・バルーミニ(Su Nuraxi di Barumini)で多くの品々が発掘され、この博物館で展示されています。発掘当時の様子を説明したパネルです。
この遺跡の場所で紀元前17世紀から紀元前6世紀まで人々が生活しており、当時造られた品々が発見されています。 -
ヌラージ発掘品の土器製容器ですが、均整の取れた美しい容器です。
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仮面もしくは人面で表情が様々です。
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素焼き粘土で作られた女性像です。
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これも女性像とランプですが、前の展示品に比べて後の時代の作品です。
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これらの壺はヌラージ遺跡ではなく、別の場所で発掘されたものです。壺に描かれた絵が写実的で古代ギリシャの影響が見受けられます。地中海を渡ってギリシャから運ばれてきた壺かも知れません。
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これらの像は明らかにローマ風です。サルデーニャがローマ支配下にあった時代の作品です。
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床のモザイクタイルです。ローマ時代のもので、カリアリのローマ遺跡の発掘品です。
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色の異なる石を砕いてモザイク絵にする手法は、ギリシャやローマに多く残されています。ボンペイ遺跡にも似たようなモザイクタイルがありました。サルデーニャ島にもモザイク技術が伝えられていたことが分かります。
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紀元前3世紀に造られた石像で、エジプト由来のカルト像の説明がありました。太目の男とスフィンクスのように見えます。
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見事な動物レリーフで、石棺に描かれたものです。
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ライオンの像で、ローマ時代に造られたものです。時代が経過するにつれ、写実的かつ芸術的に移り変わっているように感じます。
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ローマ時代に造られたお面で、舞台劇で使用されていたもののようです。
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カリアリの南西約30kmにあるノラ(Nora)遺跡を発掘した時の写真には、沢山の遺物が並べられています。ノラは紀元前238年から300年ほどローマ帝国の支配下にありました。
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ノラ遺跡で発掘された金、銀製品の説明には、ローマの技術が使われていることが書かれていました。
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この首飾りはタロスのネクロポリスで発見されたもので、埋葬品です。
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ネックレス、首飾り、イアリングなど多様な金製品です。サルデーニャ島が古代ローマの支配下にあったことを示す発掘品だろうと思います。
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面白い形状の粘土製ジャーはローマ時代に造られたものです。
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彫像の表情が写実的でしかも芸術的に変化しています。ローマ時代の作品です。
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アフリカ系の人物像で、サルデーニャ島にアフリカ系の人達が住んでいたことが伺われます。
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こちらはローマもしくはギリシャ系の人物像です。
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サルデーニャ中部のオリスターノ近くにあるマドンナ・デル・リメディオで発見された「テラコッタのピンタデラ」で、この博物館で目玉展示品の一つです。パン装飾に使用された型だそうです。現在使われているベルギー・ワッフル型の原型のようなものです。
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カリアリの国立考古学博物館は旧市街の中心部で、周囲には中世時代に建造された建造物も一杯あります。これは1825年に当時のサルデーニャ王カルロ・フェリーチェが建造した門で、妃の名をとってクリスティナ門と呼ばれています。博物館の展示品も見事ですが門も立派です。
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9月4日
サルデーニャ島からコルシカ島に渡り、島中心部にある山村の町コルテを訪問しました。この町にコルシカ博物館がありましたので、訪問しました。 -
コルシカ博物館入り口です。中にある受付で入場料を払います。
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この博物館の2階を通って城塞(シタデル)に行けましたので、博物館見学をする前に城塞見学をすることにしました。
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前方が城塞です。コルテの街の最も高い場所にある建物で、城塞からの眺めは絶景でした。
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城塞を見学した帰りにコルシカ博物館を訪れました。建物2階の展示室入り口に子供向けの遊園地のような部屋がありました。博物館展示品に興味を示さない子供達でもここなら楽しめそうです。
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幼稚園あるいは保育園のような感じです。
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博物館展示室の入口にあった絵で、牧歌的な景観が描かれています。コルシカ島は農業や放牧が古来からの主な産業です。この絵もコルシカの典型的な光景を描いていると思います。
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コルシカ島で産出する鉱石の展示です。洞や鉄の原料となる鉱石が産出し、青銅器時代から銅製品などが島で製造されきたことも理解できます。
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農村部で使われていた植物蔓で作った籠です。18-19世紀頃のもののようです。
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木製のスプーンとしゃもじです。
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荷物運搬の馬やロバ用の部材です。自動車が登場する以前の島の道具類です。
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コルシカ島の家庭で使われていた品々です。コルシカに限らず、18-19世紀頃ならどこにもあった品々のように思います。
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昔のキッチンが再現されていました。
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流しや洗面台も木製です。
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機織機ですが、使われている木材が新しいので、復元品と思われます。
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17世紀に造られた古い銃で、ダルタニヤンが登場するルイ13世時代の三銃士を思い起こさせられます。
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コルシカ島で使われていた土鍋でしょうか?
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金属製ではなく、素焼きの鍋が沢山展示されていました。説明がフランス語だけで英語がありませんので良くわかりませんが、コルシカの一般家庭では専ら素焼き鍋が使われていたようです。
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この他、コルシカの自然、植物、動物などが展示されています。これはコルシカ島にすむ狐の剥製です。
コルシカ博物館は、コルシカ島における庶民の生活史などを紹介している博物館です。フランスの英雄ナポレオンが生まれたのはコルシカ島で、1769年です。ナポレオンが生活していた頃の島の様子が、この博物館を訪れると分かります。 -
コルシカ博物館があるコルテは美しい街でした。
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サルデーニャ島とコルシカ島の博物館を幾つか訪問しましたが、休館中などの理由で見学できなかった博物館が少なからずありました。
サルデーニャ島北部の町サッサリの考古学博物館(Museo Nazionale "Giovanni Antonio Sanna")もその一つです。訪問時(2019.9.1)は改修作業が進行中のようで閉館中でした。建物へ繋がる道路沿いの門に鎖が掛けられ、博物館入り口に続く石畳には草が生えていました。閉館は少なくとも数か月以上も続いていたのではないかと思いました。サンナ国立博物館 博物館・美術館・ギャラリー
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サルデーニャ島中部の山中の街ヌオロの国立考古学博物館(Museo Archeologico Nazionale)も改修工事が進行中(2019.9.3)で見学出来ませんでした。
国立考古学博物館 (ヌオーロ) 博物館・美術館・ギャラリー
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博物館の扉に「博物館は補修のため閉鎖中。開館日はいずれ表示します」と書かれていました。扉が開いたので中を覗くと作業が進行中で、係員らしい人が英語で「申し訳ないけど見学できません」とのことでした。
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ヌオロの民俗学博物館(Museo del Costume Nuoro)は開館していましたが、昼休み休憩時間(13:00-15:00)のため閉められていました。フランスの小さな博物館などでは昼休みの間は閉められていることが結構あります。この博物館も昼休み休憩のため、見学出来ませんでした。
サルデーニャ生活 民族伝統博物館 博物館・美術館・ギャラリー
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コルシカ島南部の町サルテーヌの博物館(Musée Départemental de Préhistoire)も見学できませんでした。博物館は旧市街の中心にありましたが、博物館にも付近にも駐車場がありませんでした。レンタカー旅行だったので駐車場が必要でしたが、利用できる駐車場は1kmも離れた場所にしかなかったので、見学を諦めました。イタリアやフランスの旧市街では駐車スペース確保で苦労しますが、サルテーヌも例外ではありませんでした。
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ナポレオンが生まれたコルシカの港町アジャクシオに大きな美術館がありました。フェッシュ美術館(Musée Fesch)で、ナポレオンの叔父であるジョセフ・フェッシュ枢機卿が1837年に設立した美術館で、ナポレオン時代のヨーロッパ絵画などが展示されています。美術館は開いていましたが、アジャクシオに到着(2019.9.1)したのが夕方だったので、残念ながら見学は出来ませんでした。
今回のサルデーニャ島とコルシカ島の旅行では、オリスターノの考古学博物館、カリアリの国立考古学博物館、そしてコルテのコルシカ博物館をしっかりと見学しました。それぞれ特徴のある面白い博物館でしたが、カリアリの国立考古学博物館が展示品の数と種類が多く興味が引かれる品々が多かったと思います。歴史や考古学に関心があるなら、カリアリの博物館はお勧めです。旅の印象に残る展示品に出会えると思います。フェッシュ美術館/礼拝堂チャペル 博物館・美術館・ギャラリー
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