2018/12/25 - 2019/01/15
303位(同エリア495件中)
タヌキを連れた布袋(ほてい)さん
- タヌキを連れた布袋(ほてい)さんTOP
- 旅行記98冊
- クチコミ152件
- Q&A回答0件
- 73,647アクセス
- フォロワー25人
「イラワジ川の銀色のカーブ沿いに平原を転がり抜け,マンダレーの砦の西壁にまで響いてくる音。その正体を知っているのは,屋台にはたったひとりしかいなかった。とはいっても,ラージクマールという名のその少年はインド人で,まだ十一歳だったから,どこまで信じていいのかはわからなかった。
聞き慣れない,不安をかき立てる音だった。遠くでドーンといったかと思うと,カタッカタッと低く唸るような音が続く。ときには突然何の前触れもなく,乾いた枝が折れるような音がする。それが出し抜けにゴロゴロという深い響きに変わると,屋台が揺られ,湯気を上げているスープ鍋もカタカタと音を立てるのだった。」
「最初の轟きが聞こえると屋台は一瞬静まりかえり,それから,ひそひそ声のやりとりが慌しく交わされた。人々は困惑してあたりを見回した。何だあれは(バアレエ)? いったい何事だろう? そのとき,ラージクマールの興奮気味の声が,憶測のざわめきを鋭く切り裂いたのだった。『イギリスの大砲さ』と,流暢だが訛りのきついビルマ語で彼は言った。『川のどこかで砲撃してるんだ。こっちへ向かってる』」
「奇妙なことに,イギリス軍が国境を越えてからここ十日のあいだ,王妃の耳に届いたのは良い知らせばかりだった。一週間前には,二百マイル下流のミンラで異人の進撃を食い止めたと駐屯軍の司令官が電報で伝えてきた。宮殿ではその勝利が祝われ,国王は司令官に勲章を贈りさえした。首都に銃声が届くほど侵略者たちが迫っているなどということがあるはずがないではないか?
あっという間の出来事だった。数ヶ月前,英国のある材木会社とのあいだにもめごとが起こった。チーク材をめぐる,ささいな法律上の問題だった。会社側に非があることは明らかだった。彼らは王国の法の目をかいくぐり,木を切り出しているにもかかわらず関税を払っていなかったのだ。税関所の役人は会社に罰金を突きつけ,五万本分ほどの未払い代金を求めた。イギリス人はこれに抗議して支払いを拒否した。彼らはラングーンのイギリス総督に異議を申し立てた。屈辱的な最後通牒がそれに続いた。上級大臣のひとりであるキンウン・ミンヂー大臣はそれとなく進言した。要求を受け入れるにしくはありません。そうすれば,インドの藩王たちの場合と似たような条件で,王室がマンダレーの宮殿にとどまるのをイギリス人は許してくれるかもしれません。」
「ビルマの国王は藩王とはちがうのだ,と王妃はキンウン・ミンヂー大臣に告げた。彼らは国王,君主なのであり,中国の皇帝を破り,タイ,アッサム,マニプールを征服したこともある。それに,私自身,このスパヤーラッも,すべてを賭けて,夫で義兄弟のティーボーの王座を確かなものにしてきたのだ。いまさらすべてを手離すことに同意などできようか? それに,お腹のなかの赤ん坊が男の子だったらどうするのだ(今回はそうにちがいないと彼女は確信していた)。たかが木材をめぐるいさかいのために彼のものになるはずの王位を放棄したなどと,生まれてくる子どもにどうやって説明すればよいのか? 王妃の主張が通り,ビルマの宮廷はイギリスの最後通牒を拒否したのだった。」
「1885年11月14日に帝国艦隊は国境を越えた。二日後,数時間に及ぶ集中砲撃ののち,イギリス軍はビルマ側の前哨地点ニャウンビンモーとシンバウングエを占領した。翌日,艦隊はミンラで激しい砲撃を受けた。ミンラのビルマ側の要塞は小さかったが,予想以上に粘り強く抵抗した。」
「イギリス軍の侵略部隊には一万人ほどの兵がいた。そのほとんど,実に三分の二がインド人兵士(セポイ)だった。ミンラに配置された部隊のうち,三つの大隊がセポイで構成されていた。彼らはハザラ連隊と第一マドラス・パイオニア隊に属していた。インド人たちは百戦錬磨の兵士だった。アフガニスタンの国境地帯から選抜されたハザラ人は,長年にわたるインド内外での戦いを通じて,その真価をイギリス人に証明していた。」
「相手がそのセポイで,しかもイギリスの新兵器を備え,数的にもはるかに優っているとあっては,ミンラのビルマ軍守備隊に勝ち目はほとんどなかった。要塞が突撃攻撃を受けると,少数ながらも粘り強い抵抗を続けていた守備軍は瓦解した。
ミンラ陥落の余波は,はるか上流でも感じられた。パコックでは駐屯兵たちが消え失せた。パゴダの点在するパガン大平原にほど近いニャウンウーでは,ビルマの砲兵たちは数発撃っただけで大砲の火門を塞いでしまった。ミンヂャンはフレーティン枢密官の指揮下にあったが,守備隊は数時間に及ぶ砲撃を受けて退却を余儀なくされた。数日後,ティーボー国王に報告することなくビルマ軍は降伏した。
戦争はわずか二週間で終わった。」
アミタヴ・ゴーシュ著,小沢自然・小野正嗣訳「ガラスの宮殿」(新潮社)より
マンダレー逍遥~その2:ゼージョー(市場)&マンダレー・モンティ食べ歩き
https://4travel.jp/travelogue/11551387
- 旅行の満足度
- 4.0
- 観光
- 3.5
- ホテル
- 4.0
- グルメ
- 4.0
- ショッピング
- 4.0
- 交通
- 3.5
- 同行者
- その他
- 一人あたり費用
- 25万円 - 30万円
- 交通手段
- 鉄道 高速・路線バス タクシー 徒歩
- 航空会社
- タイ・エアアジア
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
マンダレー国際空港に到着。
飛行機でマンダレーに来るのは初めてだ。
バンコクでチェックインした際,係員から「ビザがない」と言われ,出国航空券を入念にチェックされた。
せっかくビザ免除になったのに,日本人観光客はそんなに来ていないのか知らん。
マンダレーの空港はイミグレカードは廃止されているようで,機内で税関申告書だけ配布された。
ところが税関申告書を提出する場所が判らず,そのまま外へ。 -
まずはチャット(MMK)現金の入手である。
ミャンマーで外貨両替をする場合は,新札を用意しておかなければならない。
使用済みのドル紙幣などを受け取る両替所もあるが,レートが1割も悪くなったりするので大損をする。
ミャンマー独特の取引慣行だ。 -
空港からマンダレー市内へは,順南山(Shwe Nan San)バスが日中(08:00-21:00)一時間おきに運行していることになっているが,このバスは客が少ないと運休してしまうようだ。
空港バスは「乗れたらラッキー」くらいに思っておけばよいだろう。
運賃は一人4000MMKまたは3USD。(1000MMK=約75円) -
私が乗ろうとしていた空港バスはあっさりキャンセルされてしまったので,タクシーのカウンターへ赴く。
乗合タクシーと貸切タクシーがあって,人数次第で乗合タクシーのほうが割安になる(どちらも市内の希望の場所まで行ってくれる)。
目下,空港バスすらキャンセルされるような状況なのだから,乗合タクシーをシェアする乗客なぞいるはずもない。貸切タクシーに乗る運命にある。
乗合タクシー運賃 一人5000MMKまたは4USD
貸切タクシー運賃 一台15000MMKまたは12USD(乗客3名まで) -
ちなみに,市内から空港へ向かったときのことを書いておくと,マンダレー駅近くにある「順南山」のオフィスから乗った。
(「Shwe Nan San Travel Agency」 Google座標:21.979386,96.085215)
空港から乗る場合と同じ運賃で,一人4000MMK。
オフィスでは乗用車に乗せられ,市内で客を拾い回っている空港バスに出会ったところでそれに乗り換えた。 -
半分以上の乗車率があった。なかなかの人気。
-
さて,荷を解いたら,すぐに街歩きを始める。
-
マンダレーの街には,「ラーマ9世病院」を始めいくつものタイ系の病院が進出しているのが見られた。
-
華人の會館もたくさんあり,
-
中華料理店はもっとたくさんある。
-
宿の近くで我らがイオンを見つけた。
イオンはミャンマーの流通大手との合弁会社を作り,既存の「オレンジ」スーパーマーケットを「イオンオレンジ」として展開していくらしい。 -
トップバリュー・ブランドの製品をはじめ,なかなか品揃えが良く,
-
生鮮食料やデリカもそこそこ置いている。
-
後日,白豆腐とカット野菜を買って湯豆腐にしたところ,充填豆腐だというのに饐えた味がした‥‥。
ちょっと残念だったが,ぜひ今後に期待したい。在住邦人や旅行者にとって,とてもありがたい存在だと思う。 -
さて,旅行者に有名なマンダレーのシャン料理店といえば「ラーショーレイ」だが,
-
すぐ近くに別のシャン料理店があったので,そちらに入ってみた。
(Googleマップでは「LandMawSaing」として登録,座標:21.987907,96.078023) -
ピカピカに磨かれたトレイに惣菜が並んでいる。
惣菜4種のせ(肉2種+野菜2種)の皿飯(2500MMK)を勧めてきた。おそらくそれが最高値の皿飯なのだろうが,今回最初のビルマ飯なので勧めに乗ることにする。
(1000MMK=約75円) -
旨そうな皿飯が出来上がった。
-
ミャンマーなので,無料のトッサヤー(野菜+たれのセット)とスープが付く。
トサヤーのたれはンガピやンガピイェー(魚醤),柑橘,唐辛子をベースにしたものがポピュラーだが,この店のものはタイのナームプリックにも似ていた。
二種類あったが,どちらもかなり辛かった。 -
翌日,また街を逍遥する。
王宮の濠端をマンダレーヒルの方向へ歩いてみる。 -
途中,警察の交通検問を見かけた。
-
その現場で,女性警察官は何だか「お飾り」のように佇立していた。
日本の女性警察官とは雰囲気が違っていて,ミャンマーのは「婦警さん」という感じだった。 -
他日,ある消防署で見た訓練風景でも似たような感じだった。
女性署員は所在なさげに佇んでいる。
ミャンマーの公務所では,こういう気風が支配的なのだろうか。 -
愛らしい尼さんの托鉢と行き交ったりしながら,
-
とある食堂(正確にはランチ営業をしているラペイエサン)へ入ってみた。
-
典型的なビルマ飯で,画像の食事のうち実際に注文をしたのは丸印をつけたヒン(油煮)だけである。
それに野菜の惣菜数品,汁物,トサヤーがサービスされ,ご覧のとおりの充実した食卓となる。一人前1200MMK。(1000MMK=約75円)
腹具合によっては,油ぎったヒンを避けて(本来無料の)野菜の惣菜,汁物,米飯だけで食事を済ませたいと思うこともある。
もちろん只で食べようと考えているわけではないのだが,今までそういう注文に成功したことはなく,必ず肉などのヒンが(最低一品)テーブルに並ぶことになる。
「New Paris Cafe」
(Googleマップ座標:21.992238,96.111937) -
23番のラインカーでゼージョー(市場)のほうへ舞い戻り(運賃は300-500MMKくらいだったと思う),
-
ラペイエサンで一服。
↓残念ながらラペイエではなく3in1コーヒーを作っているシーンだが,同店の生真面目そうなご主人の手捌き。(動画0:31)
(↓下の画面をクリックすると動画が再生される。約31秒。)
https://youtu.be/lr7znQPX6k8 -
ミャンマー名物の意味不明のステッカー(主にトラック)は今も健在だった。
なんでキンコー醤油さん(鹿児島の有名なローカルブランド)が屋根工事? -
‥‥??
-
これは日本にもあるステッカーのようだ。
-
まったく,「なんのこっちゃ」である。
-
ここで,(後篇に書くマンダレーモンティを除いて)マンダレーで食べた中で美味しいと思ったものをひとつ書き留めておこう。
-
81st×28thの交差点を東に入ったところにある「KONE HTAT COLD DRINK」という店の鶏飯(チェッスィタミン,チェッシータミン)である。
鶏飯は,東南アジア各国で「海南鶏飯(ハイナンチキンライス)」「カーオマンガイ」「コムガー」「ナシアヤム」などとして親しまれている。
「チェッ=鶏,スィ=脂,タミン=飯」だから,タイ語の「カーオマンガイ」をそのままビルマ語に置き換えたのだろう。
ミャンマーのチェッシータミンは,他の国々に較べるとやや人気が低いように感じる。少なくともビルマ人は,タイやマレー半島の人々ほど鶏飯を食べていない。
にもかかわらず,この店のチェッシータミンは素晴らしかった。
↑写真のとおり,この店の鶏肉は,茹で鶏ではなくローストチキンである。さらに,鶏飯はココナッツミルクを加えて炊いていて,マレーシアのナシルマッのような風味になっている。
付属のスープは濃厚なトムヤム味でかなり辛い。赤い小皿にはチキンソース(スイートチリソース)とンガピジョ(ビルマふりかけ)。
その手前の小皿は白きくらげの酢の物。これも付いてくる。 -
この店のチェッシータミンは,ナシルマッがダンパウ(ビリヤニ)に替わったバージョンもある。
ダンパウの場合は,天盛りもコリアンダーからミントに替わる。芸が細かい。
メニューを解読する限り,飯部分だけの追加をすることもできそうだったが,英語がまったく通じない店なので意思疎通が難しい。 -
他日,マンダレー駅から南東側のモールが集まる繁華街へ行ってみた。
スマホの広告はどこの国のも同じで退屈だが, -
宝飾店の広告はそれなりに個性があって面白い。
-
モールの地下に,大手スーパーチェーンの「OCEAN」があった。
-
かなり広くて品揃えがよい。
-
旅ネタのひとつ,日本語ふう家電ブランドの「MISUSITA(ミスシタ)」。
具体的に何をミスしたのか判らないところが怖い製品だw。 -
茶製品が並ぶ商品棚を見つけた。
これは大手国産ブランドの「Nagar Pyan」。
シャン州北部にある茶の名産地ナムサンを拠点として,近代的な工場設備でCTC紅茶などを生産する。
イングリッシュ・ブレックファストのティーバッグ50入りが5800MMK。リプトン並みの値段をしている。(1000MMK=約75円) -
ラーショーの市場で買って以来,持ち歩いて飲んでいるコーカン自治区の果敢茶も並んでいる。
左から天然緑茶,炒香茶,糯米香茶の三種類。 -
これはシャン州南部の茶「MAW SHAN」。やや高級路線。
左ふたつが糯米香茶,右が天然緑茶。 -
「Nara」というブランド。これはまだ飲んだことがない。
左ふたつはチン州の有機栽培の緑茶とのこと。 -
最後は,チャイントン(チェントン)産の「サチャインチ茶」。
サチャインチは,インカインチとも呼ばれるペルーアマゾン原産の植物。実らせる星形のナッツから油が採れ,東南アジアから中国南部の一帯でも広く栽培されているようだ。
どうやらその葉は茶になるらしい。
初めて見た。買ってみたかったが,すでにあちこちで買った茶葉がバックパックに収まりきらなくなっており,泣く泣く見送り。 -
後篇では,マンダレー名物の雄「マンダレー・モンティ」に迫ってみることにしたい。
(つづく)
マンダレー逍遥~その2:ゼージョー(市場)&マンダレー・モンティ食べ歩き
https://4travel.jp/travelogue/11551387
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
タヌキを連れた布袋(ほてい)さんの関連旅行記
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
マンダレー(ミャンマー) の人気ホテル
ミャンマーで使うWi-Fiはレンタルしましたか?
フォートラベル GLOBAL WiFiなら
ミャンマー最安
689円/日~
- 空港で受取・返却可能
- お得なポイントがたまる
0
46