2019/05/15 - 2019/05/16
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鯨の味噌汁さん
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直前に予約したクラクフのホテルは、いかにも「駅前旅館」といった風情の古い建物だった。
木の階段が広くて、手すりは黒光りしている。昔の小学校の校舎みたい。
一階はBARになっていて、地下と中庭はテーブルが置かれ、ジモピーらしい若者たちが特大ジョッキのビールで盛り上がっていた。
中にカワイコちゃんもいるど。
お近づきになるのはやぶさかではないが、ポーランド語がまるでわからん。
何しろ知ってるのは「ディエンドブリ」(こんにちは)と「デングイエン」(ありがとう)の二つだけだ。
しかもその二つだって「田園どんぶり」「天狗胃炎」と無理やり当て字して、かろうじて覚えてる程度である。
この語学力でのナンパは、ネアンデルタール人がホモ・サピエンスと交雑(⇒学術用語)するより困難であろう。
とゆうわけで、さっさとあきらめ、おフトンに入る鯨の味噌汁である。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 高速・路線バス 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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-
明けて5月16日、木曜。この旅初めての快晴。
午前5時からとっとと起きだし、駅向こうの旧市街へ出かける。これが一人旅のいいところで、配偶者といっしょだったら呆れられて「あなただけ行って、私は寝てますから」とケツを向けられるに違いない。愛と起床時間は同期しないのだ。
フロリアンスカ門を越えると旧市街が始まる。
でも門を越えて最初の飲食店がマクドナルドなのであった。
たいがいにしろ。 -
旧市街は東西1キロ、南北2キロ。歩いて観光するにはちょうどいいサイズだ。
町の真ん中に聖マリア教会があり、そこがこの旅の目的地の一つになっている。
クラクフは13世紀、三度にわたりモンゴルの襲来を受けている。
日本が元寇で大騒ぎになった同じ時代、彼らはユーラシアの反対側、ヨーロッパまで到達していたわけだ。
草原とゆうハイウェイを騎馬で疾走してたんだろうなぁ。 -
教会の塔にいたラッパ手は、モンゴル襲来を告げるラッパを市民に向かって吹き、敵の矢にかかって命を落とした。
その故事にならい、毎正時ごとに教会の尖塔からラッパが吹かれるそうだ。
本当かなぁ。観光客用の「いい話」じゃないだろね。(⇒疑り深いわたくし) -
てくてく歩いて、午前7時、教会前着。まだ観光客は少ない。中央広場を清掃車が走り回り、周囲のカフェも開店前だ。
見上げると、尖塔の直下の窓が開き、人影が現れ、穏やかにラッパの吹奏が始まった。
静かにワンフレーズを吹き終わる。すると、まばらに集まっていた観光客が塔に向かって拍手。ラッパ手はそれに手を振って応えるのだった。
平和な時代のラッパ手は、朝もはよからサービスなのであった。 -
そのまま南下して、ヴァヴェル城の正門から場内に入る。歴代ポーランド王の居城。二次大戦時はナチスに接収されて総督府になった場所。
開館の時間が近いのか、ツアーの観光客や小学生の遠足があちこちに集まり始めている。
地球の歩き方によると、王宮・大聖堂・旧王宮・遺構・龍の洞窟、などなど見所が満載であって、そのたびに入場料を支払うらしい。トッピングで思わぬ値段になる丸亀製麺を思わせる。 -
王宮前広場ではオシッコだけして(重要な注:立ちションではない)、そのまま坂道を抜けてカジミエシュ地区に至る。
古くからのユダヤ人居住区で、町のあちこちにシナゴーグがある。
ポーランドはユダヤ人にとって住みやすい土地だったらしい。モンゴル襲来やペストで人口減が起こると、歴代王が積極的にユダヤ移民を奨励した。
なかでもクラクフはその中核で、一時は市民の1/4 がユダヤ人だった。クラクフ近郊のアウシュビッツに収容所が作られたのはそうゆう背景もあったんだろう。
そういえば映画「シンドラーのリスト」の土地もクラクフだ。 -
路地から路地へ、シナゴーグを探して歩く。中のひとつは博物館になっていた。
古いユダヤ教のラビたちの写真が展示されている。白人でも東洋人でもない不思議な顔立ちだった。 -
ぶらぶら歩いてホテルに戻り、午後からはヴィエリチカ岩塩坑に向かうことにする。
基本的にはただの穴ぼこなのだが、いろんな仕掛けがあっておもしろいらしい。
ホテルに隣接するターミナルでバスを探し当てて乗り込むと、隣に妙齢のご婦人が座った。
ちょっとお年は召しているが、きれいなブロンドで、程よくぽっちゃり小柄。ワシのど真ん中ストライクではないか。
世が世ならたちまちバットを屹立させ、フルスイングなどしてるところだ。(しないけど)
だがしかし、バスが走り出してすぐ、納豆とくさやと鮒寿司と臭豆腐などなどが混じって、呼吸困難系にまで進化した異臭が漂うのであった。
尿道が開きかけ意識が遠のいてゆく。
日本人にはメッタにいない、至高にして究極のワキガであった。
バスは混んでて逃げ場がない。
日本男児としてここで倒れるわけにはいかないので、奇策として靴を脱いで足を出し「異臭ワールドカップ・日本V.Sポーランド再戦」も頭に浮かんだが、以後の日本人が出禁になっても困るので自粛する。 -
ヴィエリチカ岩塩抗は、個人でフラフラできない。必ずツアーに参加せねばならず、ツアーは英語・フランス語・ドイツ語・イタリア語・スペイン語・ロシア語と揃っている。
とはいえ、どれもわからんのは一緒であるから、一番早い英語の列に並ぶ。 -
30人ほどがグループになり、やや太めのお姉さまが先導し、どんどん地下への階段を下っていく。
坑道が開けた空間には、王様とか神様とか、いろんな彫刻があり、オオトリが地下教会、お土産物屋と続く。
グイグイと地下への階段を降りていくところは、さすがに異界感がある。
いっぽうの展示は、観光地によくある蝋人形館みたいなものであろう。
要は鉱山跡をしっかり観光地にして、世界中からオカネを集めてるわけだ。穴ぼこに、皆様ニコニコ89ズロチ(約2,670円)を払うんだから、これはすごい。 -
ちなみに、この春に行った長崎の池島炭鉱の坑内ツアーは2,680円だった。ほぼ同額だが、物価を考えればヴィエリチカのほうが高い。
池島は炭鉱マンOBのオジーチャンがガイドをつとめ、トロッコ体験もでき、盛りだくさんの内容だったけど、そのときのツアー参加者は土曜日なのにワシと配偶者のふたりだけだった。 -
同じ穴でなんだこの違いは。
観光施策、ヴィエリチカにできて池島にできないわけがない。
長崎の教会群や軍艦島の世界遺産登録を機に、池島炭鉱も世界的な観光地になっていただきたい。
まずは石炭で坂本龍馬・さだまさし・蛭子能収など長崎ゆかりの方の彫刻をこさえるのが野望への第一歩ではないか。
がんばれ長崎池島の観光。
がんばれガイドの元炭鉱マン堀之内謙二さん(71歳)。 -
おおお、話がそれた。堀之内謙二さんじゃなくてヴィエリチカだった。
最初のうちは、それでも一生懸命ガイドの説明を聞いていた。
だがしかし、何しろ英語であるから、男らしく諦め、皆様の後をついて歩くだけになる。 -
岩塩ポーランド王・岩塩教会・岩塩最後の晩餐、などなどが暗闇の中から続々と現れるが、ワキガに精力を吸われたせいか、あんまり頭に入ってこない。(ウソ。英語だから分からないだけ)
でもって気がつくと、ガイドのお姉さんが、いつのまにか英語からフランス語になっていた。
どうもヨタヨタ歩いてるうちに、後続グループに吸収されたらしい。 -
よくわからんうちにツアー終了。皆様の後について歩き、地下130メートルをエレベーターで一気に上がって地上に出ると、やたらと頭上の太陽が眩しい。
でもって出口は、見覚えのない景色なのだった。
どうやら入口と出口が離れているらしい。
方向オンチのワシに対してなんとゆう残酷な仕打ち。
またもや気が遠くなりかけるが、ここはひとつ冷静になり、
「そのまま坂道を下ればバス停があるはず」
と判断し、坂道を下ってみる。
するとたちまちにして道に迷ってしまい、東西南北タテヨコナナメ、全部わかんなくなる。さすがワシだ。 -
「さっきまで暗闇の中に居たんだからムリもないナ」
ボーゼンとしつつも白昼の路上でみずからを慰める鯨である。
で、そのままズンズン歩くと、右前方に線路らしき軌道を発見。
たどっていくと、鉄道の始発駅だった。 -
路線を見るとちゃんとクラクフまで行くではないか。すばらしー。
それにしてもバスで行ったのに帰りが電車になるとは、人生何が起こるかわからんな。
なんとかホテルにたどり着き、スマホの歩行距離を見たら20キロを突破していた。
ものすごく膝が痛い。岩塩坑の「くだり専門」がクセものなのだ。 -
シャワーを浴び、ホテルの中庭へ。昨夜は雨模様だったから無人だったけど、きょうは月も出て気持ちのいい夜だ。
テーブルごとに地元の若者たちがビールの大ジョッキで乾杯してる。
ワシもジョッキを一杯だけ飲み、ひとりでシミジミしてると、隣のテーブルのお兄ちゃんがいきなり日本語で話しかけてきた。(これはびっくり) -
イチオシ
「名古屋に半年いました。乾杯しましょう」
言葉が通じない異国のひとり旅は、声をかけられただけでも嬉しい。
これが観光地の街頭だと、なんか怪しいぞー、と警戒するのだが、ここは安ホテルのバー。
隣のテーブルは5人で全員ポーランド人。が、ワシが入ると瞬時に全員が英語にシフトする。すげーなポーランドの若者。
とはいえ、ネイティブじゃないから喋ってることはいくらかわかる(→あくまで「いくらか」ですからね)。
さらに名古屋氏が頑張って通訳してくれるから、結構複雑な内容も通じてしまう。
とゆうわけで、ようわからんうちにウオッカで乾杯、ビールおかわり、さらにおかわり、さらにおかわり。
でもってオカネを払おうとすると頑として受け取らない。
ポーランドまで来てタカリ酒か。世界を股にかける厚かましさだ。 -
みんな30歳前後、うち一人はサムスン勤務だって言ってたから、全員がエリートなんだろう。屈託なくて、冗談が通じて、楽しい連中であった。
「僕の上司は韓国人だ。日本人はコリアンとチャイニーズが嫌いでしょ。ポーランド人もロシアとドイツが嫌いだよ」
ーいやいやとんでもない。兄弟みたいなもんですよ。マフィアのボスになった長男、ヒガミ根性で出世できない次男、小ずるくて可愛げのない三男。
「ポーランド人は日本に行くとモテるんだよー」
ーそりゃモテるさー、美男美女が多いもん。日本人はパツキン碧眼に弱いのよ。
「アウシュビッツに行かないのか。あそこは全国の小学生が必ず行く場所だぜ、ユーも行くべきだ」
ーワシもう爺さんだから、美しいものだけ見て死にたいのよ。若かったら行ってるよ。
硬軟取り混ぜた話題をサカナに、日付が変わるまで飲んで、気がついたらFBのアドレスを交換していた。でもって東京に来るときは自宅を宿として提供、の約束もした。
ホントに来るだろうなぁ。みんなワシの子供と同じ年代だし。フットワーク軽そうだし。
でもって翌朝になるとFBの「友達申請」に全員が来ているのだった。
ちなみに5人全員♂であって、どうせなら可愛い女の子の方が良かったんで、それらしく日記を捏造したいところだが、三国一の正直者と評判のワシがウソウソブログを書き散らすのはよろしくない。よってタイトルだけ捏造しておこう。
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この旅行記へのコメント (6)
-
- フィーコさん 2019/06/03 23:30:15
- パツキン
- 鯨さん 今晩は
おーパツキンにもてましたか!
♂のパツキン5人と (笑)
異国で呑みにケーションとれて盛り上がったようですね~
楽しそうです。
ヴェリチカ塩鉱
私はツアーで行ったので料金知らなかったのですが 高かったのですね!へー
最初 エレベーターですし詰めにされて降りたのは覚えていました。
色んな順路があるのでしょう。
行きのバズ ワキガの妙齢のご婦人の 隣
ご愁傷様でした。
帰り電車?(@_@)
鯨さんならでは(笑)!
maps meでもダメでしたか。
フィーコ
- 鯨の味噌汁さん からの返信 2019/06/04 11:04:03
- 地下からいきなりお日様の下に出ると
- 深海から浮上した根魚の気分になります。景色に見覚えがないとアワアワしちゃう。地図見てもさっぱりわからんし、高低差の感覚も狂っちゃってる。
一応ね、バス降りたとき「この道戻るのね」って確認するんですよ、ちゃんと。それなのに外に出たら景色がリセットされてるんだもん。泣きそうになりますたー。
-
- ももであさん 2019/06/03 21:58:47
- 金のパツ
- 鯨さん
日本男児、ついにポーランド・パツキンにモテまくる時が
来たかと、ワキガもヴィエリチカもほどほどに読み進めると
終盤に男5人。
パツキンはパツキンは... ... ...
もはやどっぷりウソウソブログで良いからウハウハ話が
読みたかったと、ちょっぴり思った猫でした。
いっそワキガと一戦相まみえて...(-_-;)
でも馬車とか教会とか織物会館とか出てこないクラクフの
ブログは初めてで新鮮でした。 天狗胃炎
- 鯨の味噌汁さん からの返信 2019/06/03 22:25:59
- ウソついてないし!
- ももさま、
ししし証拠写真もございますので、ウソではありません!(力強く)
ときに♂にモテるのもよきかなよきかな。
多分彼らのうちの何人かは、近いうちに浦和に泊まるんではないかしら。
そうなったらもつ焼き屋に連れてってやろうっと♪
そうそうウォッカもハマってしまいました。旅の後半、スーパーで買って寝酒にしてました。
ステキな町でした。ワキガとタダ酒と穴ぼこと見どころ満載(笑)。朝から張り切って歩き出したんですが、あのラッパを聴いたら不思議と満足してしまいました。よってあの高さまでモンゴルの弓は届いたんだろうか、なんて無粋なことを考えてはいけないようです。
ワキガは、ワシ以外の方々はマユひとつ動かしていなかったので、民族によって消化酵素が異なるように、嗅覚も日本人とポーランド人は、違う腺を持ってるんでしょうね。だから足なんて出さなくてよかったよかった。
- ももであさん からの返信 2019/06/04 07:14:55
- せめて
- 鯨さま おはようございます。
彼らが入国する際には、せめてナターシャを筆頭に
パツキン女子5名を同行させることを条件に
加えてくださいね。外交問題になりかねません。
- 鯨の味噌汁さん からの返信 2019/06/04 10:59:20
- 順番に
- まとめて来られると困るなぁ(笑)
部屋は三つ空いてますんで、♀2:♂1の割合でお願いしたい!
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