2019/05/19 - 2019/05/21
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鯨の味噌汁さん
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ドレスデンで見たいのはフラウエン教会、ただ一か所だ。
何年か前のNHK「世界ふれあい町歩き」で、この教会のことを取り上げていた。
前の戦争で空襲に遭い、ドレスデンは灰になった。町の真ん中に建っていたこの教会もこなごなになってしまった。
戦争が終わってから、市民は教会の瓦礫をひとつひとつ、拾い集めた。
いつか再建することを考えての行動だったけど、それがいつになるか、できるかできないか、誰も分からなかった。
遺跡を発掘するように石を拾い、保存した。砕けて残っていない部分は市民から写真を募った。
思いは親から子、子から孫へと引き継がれた。失われたパーツは作り直し、60年かかって再建した。
だからこの教会は「世界最大のジグゾーパズル」と呼ばれているそうだ。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 高速・路線バス 徒歩
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-
5月19日、日曜。快晴。
9時に宿を出て、駅向こうの旧市街に向かう。
といっても、駅の通りをまっすぐ北上するだけ。
シンプルだ。ものすごくシンプルではないか。
これくらいシンプルであれば世界をまたにかける方向オンチのワシも迷いようがない。素晴らしい。 -
15分ほど歩き、右手の路地を抜けると、広場があって、その真ん中にフラウエン教会が建っていた。
大きなドームが美しい。白黒がまだらな壁面は、瓦礫のひとつひとつを拾い集めた市民の手仕事のあとだ。 -
近づいてさわってみると、どうやら材質は砂岩だった。
大理石で固めたフィレンツェのクーポラのような、貴族的な華やかさはない。
ジャガイモ料理を作ってくれる母親の手のような教会。 -
ぐるりと一周し、ベンチに腰掛け、教会を眺めて過ごす。観光客はまだ少ない。
10:45、側門が開き、教区の信者らしい人びとが中に入っていく。
その中に紛れてワシも厚かましく入場してみる。つまみ出されたら諦めるつもりだったが、バックパックの観光客も中にはいたから、来るもの拒まずなんだろう。 -
イチオシ
やはり、とゆうべきか、それは日曜のミサであった。
パイプオルガン、ミニオーケストラ、合唱隊もいる。
司祭はショートカットの若い女性だった。ドーム天井によく通る声が美しい。
信徒は頷き、祈り、パイプオルガンに合わせて歌う。
…ワシがここにいていいのかしら。
そんなことを思いながらも、1時間半、教会の中で過ごした。
フラウエン教会に歓迎されてるような、幸福な1時間半だった。 -
午後はのんびりと旧市街を歩く。
教会の裏手の坂道を上がっていくとエルベ川の湖畔に出た。
整えられた花壇が広がる。 -
そこから少し歩くと、タイル画で有名な「君主の行列」。
ここは空爆に破壊されずに残ったらしい。 -
歩き疲れたらカフェに潜り込み、パフェを食べたり。
また元気を出して歩き出し、宮殿の美術館でレンブラントを探したり。 -
だがしかし、気が付くと、また教会前の広場に戻り、ベンチに座って教会を眺めているのだった。
夕方、ゆっくりと日が傾く。
観光客の波が少しずつ引いていく。 -
去りがたい思いを引きずり、ホテルに帰った。
すっかり暗くなっていた。
ホテルの最上階がバーになっていたので、のぞいてみた。
南側はアパート群、北にドレスデン中央駅。そこだけが常夜灯のように明るかった。 -
5月20日、月曜。快晴。
8:30、ホテルをチェックアウト。てこてこ歩いて、中央駅南口のバス乗り場へ向かう。
9:15、ワルシャワ行きのバスが定刻にやってくる。
ドレスデン、きれいな町だったな。
次はかーちゃんとゆっくり来よう。 -
ネットで予約した FLIX BUS のオンラインチケット。決済が終わると、メールに添付で送られてくる。
乗り場の位置まで懇切丁寧に掲載されていて、方向オンチには大変ありがたい。
スマホでこの画面を見せ、車掌さんがQRコードを読み取る。ほとんどのお客さんがペーパーレスだった。 -
ちなみにこのバス会社、席が指定できるのは前4列、トイレのの前2席、及び最後方。それ以外の緑の部分が自由席らしい。
席の指定はトーゼン別料金になるが、最前列なら追加料金を払っても座りたい。
だがしかし、トイレの前が指定なのはナゾだ。
カワイコちゃんがトイレに入るのを観察できるからであろうか。(絞首刑) -
バスは往路とは違う道を走っている。
来た時の国境越えはトンネルだったのだけれど、帰りの国境は両側に町を挟んだ、小さな川だった。
こんなややこしいところに住んだら、色々気苦労があるんだろうなぁ。 -
ワルシャワの宿はアパートメントを選択した。早い話が「貸し部屋」だ。場所は観光の中心、旧市街の南のはずれ。
予約すると、オーナーからメールが届き、アパートまでの道順、鍵の開け方、などなど、詳しい説明がなされる。
ワシは地図が読めないけど、
「××バス停を降りたら左に入る路地があるので直進してください。
やがて駐車場が右に見えます。左手の建物の裏手に回ってアパート番号を探してください」
なんて説明はオッケーである。
東西南北を書かれると泣きそうになるが、右左だったら「お箸を持つ手・お茶碗を持つ手」で判断できるもんね。 -
なんとかたどり着くと、広めの部屋にダブルベッド、炊事用具一式、洗濯機、アイロンまで付いていた。
部屋からの眺めもいい。 -
以前、NHK衛星で、海外の町で短期滞在する「ちょい住み」とゆう番組があった。
俳優さんが2人で海外のアパートを借りる企画だったけど、実際に使ってみるとめちゃくちゃ快適だ。食器もついてるから簡単な料理ならできてしまう。
これで二泊1万円なら安いよなぁ。今度ふたりで旅する時は使ってみよう。 -
イチオシ
5月21日、火曜。
ワルシャワはこの旅の終点であって、「どうしてもコレを見ねば」とゆう場所はない。
よってゆっくり起き、パンをかじっておぱんつを洗濯し、地図一枚だけ持って、ぶらりと町へ出た。
午前8時の旧市街のベンチに腰掛け、ゆっくりタバコを吸う。
この瞬間、ワルシャワで一番ヒマなのはワシだろうなぁ。なんだかいい気分だ。 -
9時を回ると、観光客の団体さんがやってくる。
と、ワシの目の前を日本人のツアーの方々が通り過ぎる。
意外と熟年カップルが多い。旦那はお約束でゴルフウエア。奥様はそれなりにコーディネートして、お洒落をしている。あとは仲良しおばさまのグループ。みなさまチューリップハットだ。
ちなみに中国人のツアーも多いけど、女性は原色系パンタロンにサングラス、男性はそろって短髪にブランドもののシャツ。日本人との違いはかなり明確だ。
韓国人もぽつぽついるけど、ツアーではなく個人が多い。しかも若者。
男は兵役明けで筋肉モリモリ、女はみんな髪が長くて顔が小さいぞ。ワシの半分くらいしかないぞ。 -
見るともなく見ていると、日本人ツアーの方々は自由行動タイムに突入したらしい。三々五々、広場のあちこちに散っていく。
でもって、カメラを構えた奥様が、旦那に指示を飛ばしていた。
「そこに立って」
すると旦那が、直立不動で指定された場所に立つ。
素直だ。素直すぎるぞ旦那。
さらに奥様は、アゴをヒョイと振って
「もっと右」
旦那はひょこひょことカニ歩きするのだった。
朝から笑いが止まらん。 -
だがしかし、我が身を振り返れば似たようなもので。
この旅では配偶者に5000円の餞別をもらっていた。
ボレスアビエツの陶器を買ってこい、の謂である。
現地でミッションを完遂し、やれやれと思ってたら、追加のLINE。
「アンバー欲しいな」
アンバー、琥珀。
ポーランドの名産。
いくらなんでも琥珀は厳しいのではないか。
予算5000円では、さらに厳しいのではないか。
いっそ、厚かましい、とゆってもやぶさかでない。 -
ネットをつらつら眺めると、
「オミヤゲ屋さんで買うとパチもんが多い。ここは高くても専門店で」
とある。
ふむ。どうせヒマだから、ちらっと見てみようか。
とゆうわけで、旧市街の一画、琥珀の専門店が並ぶ通りを目指す。
オミヤゲ屋さんで見ると、1000円くらいのもある。
一方、専門店のウインドウを眺めると、やっぱし高い。ケタが違う。
せめて300 とか 500 とかなら考えるけど、軒並み1000ズロチ。
3万円かよ。鯨家の1ヶ月の食費ではないか。
うーーむ、とウインドウをにらんでいると、何店めかで、店のお嬢さんから声がかかった。
「中にもありますよ」
こら、行くしかない。メイン通りの高そうな店だけど。
いいなー、と思って手に取る。1500ズロチ。45000円。あかん。でもいい色だ。
二つ、三つ、手に取る。
いくつか見るが、やっぱり最初の1500かなぁ。
うーん、うーーん、うーーーーーーん。
ガマみたいに脂汗を流す。血管が切れそうだ。
すると、ワシから本気汁がタラタラ流れてるのを、お嬢さんが察したらしい。おもむろに電卓を取り出す。
「1200」
36000円か。
「これはカットしていて、なおかつ周りはシルバーなのよ」
確かになぁ。
琥珀なんてのは要は松ヤニのカタマリであるから、原価があってないようなものだろう。高いのは加工賃。
さらに「ポーランドに行ってきました」系オミヤゲであって、北海道のクマの木彫りみたいなもんなんだろうな。
これってどこまで下がるんだろう?
でもって、どこまで下がったら、ワシは買う気なんだろう?
…可愛らしいお嬢さんを前に、ウンウンうなり続ける鯨であった。
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旅行記グループ
時計回りのポーランド
この旅行記へのコメント (4)
-
- tabinakanotaekoさん 2019/08/12 17:32:59
- アンバー♡
- 鯨さん、
いいなあ~、琥珀、私も欲しいなあ~。で、結局、幾らまで下がりましたか? 私はタリンへ行ったとき、大振りのピアスを熔けてしまうほど熱い視線で見たことがあります。とてもじゃないが買えません。すると店員さんが声をかけました。「これは本物ですよ」ってね。ああ、そうかあ、偽物もあるんだなあと初めて知りまして、熱が冷めました。大振りのプラスチックをいつか買おう! と決めました。
taeko
- 鯨の味噌汁さん からの返信 2019/08/17 14:54:04
- Re: アンバー♡
- taekoさん、
おおタリンですか! やっぱりバルト海とかで採れるんですねぇ。
ワシもお土産代をもらってなければチラ見もしないんですが…今回は1000ズロチで落城です。本物かどうかはお酢に漬けるとわかるそうです。本物は濁るそうです。それって試せないジャン、と突っ込みたくなりますよねぇ…
-
- ももであさん 2019/06/18 18:30:18
- ヒマ王=旅王!?
- 鯨さん♪
>この瞬間、ワルシャワで一番ヒマなのはワシ
>なんだろうなぁ。なんだかいい気分だ。
このくだりメッチャ好きです。
こんな旅ができるからこそ、ぼくには鯨さんが4tra
最強の旅人に思えるんでしょうね。
優雅な旅をはき違えていると思える人もたくさん
見かけますが… これは文句なくスゴイ
浦和にいても物理的にはヒマにできるのでしょうが、
ワルシャワだったからこそ一番になれた。
旅の魅力ですかね。
- 鯨の味噌汁さん からの返信 2019/06/19 00:15:48
- ヒマ王(笑)
- そうなんです、浦和にいてもヒマ、旅に出てもヒマ。
ワルシャワ、それでも市電に乗ってぶらぶらしてました。公園、スタジアム、駅、橋。
でもって疲れたらアパートに戻ってグースカお昼寝。夜も出歩かずさっさと寝てました。
旅に出ると早寝早起きになります。
でもって朝早く町を歩くと誰もいない。ワシってつくづくヒマ、とシミジミしておりました。
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