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 川崎市多摩区登戸にある長念寺は浄土真宗本願寺派のお寺で永池山長念寺という。大永2年(1522年)法専坊(文禄2年(1593年)遷化)によって当地に草庵が築かれたことに始まる。当初真言宗の寺院であったとの記録がある。しかし、慶長18年(1613年)には正式に東本願寺の末に入る。創建時の山号「大永山」は開基の年に因んで名付けられたが、その後、「永池山」と改称された。改宗時に変わったのであろう。<br /> 第二世祐念が元和元年(1615年)に記した薬師如来の縁起があったという。<br /> 東本願寺に帰属した理由は、徳川家光に仕えて活躍した中根壱岐守平十郎正朝の母堂・秀月禅尼の厚い帰依を受けたことによる。その秀月禅尼の一周忌にあたる慶安2年(1649年)には、中根壱岐守より本堂大門惣門無常門と庫裏が寄進されている。<br /> しかし、元禄14年(1701年)には、西本願寺に帰参し本願寺の直末となり現在に至っている。<br /> 本堂が老朽化したために、文政7年(1824年)に現在の本堂が上棟され、弘化5年(1848年)に本堂の落慶供養が行われ、内部に彫刻、天井絵、壁画、杉戸絵などの装飾が施されるようになった。平成の改修後の欄間彫刻は表が金色に仕上げられているが、裏は欅の木地で、両面に異なる彫刻を施した透かし彫りである。内陣の木鼻なども遊行寺(https://4travel.jp/travelogue/10952736)で見て以来かも知れない。ただし、内部は撮影禁止であり、写真では伝えることができない。<br /> 小林泰善住職からもお話を伺ってきた。それにしてもこれほどの彫刻、天井絵の他にも杉戸絵や壁画があるので驚いた。西本願寺の直末の寺だというが、寺格があったのだろう。杉戸絵や壁画があるお寺の本堂としては運慶仏で知られる横須賀・浄楽寺(https://4travel.jp/travelogue/11016235)があるが、天井絵はない。よほど寺格が高かったのだろう。<br /> 山門は嘉永7年(1854年)に棟上げされている。龍の木鼻である。彫工は江戸深川の後藤弥太郎氏前である。登戸には善立寺本堂(https://4travel.jp/travelogue/11412846)、登戸稲荷神社拝殿(https://4travel.jp/travelogue/11412842)と龍の木鼻が多く見られるが幕末の頃に同一彫工の手によるものか?<br /> 鐘楼は元禄16年(1703年)に建立されものを、昭和3年(1928年)に再建したものである。元緑年間に鋳立された梵鐘は、昭和17年(1942年)に太平洋戦争ために供出され、昭和23年(1948年)に再鋳されたものである。ここにも龍の彫刻が施されており、立派だ。<br /> 市の平成28年(2016年)度の現地公開時の配布資料には庫裡が載っているが、どこにあるのか分からなかった。また、カナロコ(神奈川新聞)では県指定重要文化財で狩野永徳筆と伝わる「紙本金地著色 鳥合わせ図屏風(びょうぶ)」(六曲一双)も公開されるとあったが、これも気が付かなかった。<br /> 寺務所玄関に蛙の置物がある。京都・高山寺(https://4travel.jp/travelogue/10515217)で鳥獣戯画(レプリカ)が展示されている座敷の床の間に仔犬の像があったのを思いだした。湛慶作(当時は運慶作と言われていた)の仔犬の像(重要文化財)がさりげなく置かれているのはお宝だらけの高山寺らしいと思ったが、ここ長念寺にも文政の頃に本堂の部材の余りで彫った蛙の像があったのはほっこりでき笑みがこぼれた。<br />(表紙写真は長念寺本堂)

長念寺(川崎市多摩区登戸)

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2018/10/14 - 2018/10/14

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ドクターキムル

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 川崎市多摩区登戸にある長念寺は浄土真宗本願寺派のお寺で永池山長念寺という。大永2年(1522年)法専坊(文禄2年(1593年)遷化)によって当地に草庵が築かれたことに始まる。当初真言宗の寺院であったとの記録がある。しかし、慶長18年(1613年)には正式に東本願寺の末に入る。創建時の山号「大永山」は開基の年に因んで名付けられたが、その後、「永池山」と改称された。改宗時に変わったのであろう。
 第二世祐念が元和元年(1615年)に記した薬師如来の縁起があったという。
 東本願寺に帰属した理由は、徳川家光に仕えて活躍した中根壱岐守平十郎正朝の母堂・秀月禅尼の厚い帰依を受けたことによる。その秀月禅尼の一周忌にあたる慶安2年(1649年)には、中根壱岐守より本堂大門惣門無常門と庫裏が寄進されている。
 しかし、元禄14年(1701年)には、西本願寺に帰参し本願寺の直末となり現在に至っている。
 本堂が老朽化したために、文政7年(1824年)に現在の本堂が上棟され、弘化5年(1848年)に本堂の落慶供養が行われ、内部に彫刻、天井絵、壁画、杉戸絵などの装飾が施されるようになった。平成の改修後の欄間彫刻は表が金色に仕上げられているが、裏は欅の木地で、両面に異なる彫刻を施した透かし彫りである。内陣の木鼻なども遊行寺(https://4travel.jp/travelogue/10952736)で見て以来かも知れない。ただし、内部は撮影禁止であり、写真では伝えることができない。
 小林泰善住職からもお話を伺ってきた。それにしてもこれほどの彫刻、天井絵の他にも杉戸絵や壁画があるので驚いた。西本願寺の直末の寺だというが、寺格があったのだろう。杉戸絵や壁画があるお寺の本堂としては運慶仏で知られる横須賀・浄楽寺(https://4travel.jp/travelogue/11016235)があるが、天井絵はない。よほど寺格が高かったのだろう。
 山門は嘉永7年(1854年)に棟上げされている。龍の木鼻である。彫工は江戸深川の後藤弥太郎氏前である。登戸には善立寺本堂(https://4travel.jp/travelogue/11412846)、登戸稲荷神社拝殿(https://4travel.jp/travelogue/11412842)と龍の木鼻が多く見られるが幕末の頃に同一彫工の手によるものか?
 鐘楼は元禄16年(1703年)に建立されものを、昭和3年(1928年)に再建したものである。元緑年間に鋳立された梵鐘は、昭和17年(1942年)に太平洋戦争ために供出され、昭和23年(1948年)に再鋳されたものである。ここにも龍の彫刻が施されており、立派だ。
 市の平成28年(2016年)度の現地公開時の配布資料には庫裡が載っているが、どこにあるのか分からなかった。また、カナロコ(神奈川新聞)では県指定重要文化財で狩野永徳筆と伝わる「紙本金地著色 鳥合わせ図屏風(びょうぶ)」(六曲一双)も公開されるとあったが、これも気が付かなかった。
 寺務所玄関に蛙の置物がある。京都・高山寺(https://4travel.jp/travelogue/10515217)で鳥獣戯画(レプリカ)が展示されている座敷の床の間に仔犬の像があったのを思いだした。湛慶作(当時は運慶作と言われていた)の仔犬の像(重要文化財)がさりげなく置かれているのはお宝だらけの高山寺らしいと思ったが、ここ長念寺にも文政の頃に本堂の部材の余りで彫った蛙の像があったのはほっこりでき笑みがこぼれた。
(表紙写真は長念寺本堂)

  • 「長念寺の文化財 現地特別公開中」の立て看板・道標。

    「長念寺の文化財 現地特別公開中」の立て看板・道標。

  • 長念寺。大通りからは曲がった道だったので、大回りしてしまうことに。

    長念寺。大通りからは曲がった道だったので、大回りしてしまうことに。

  • 「記念碑」。駐車場端にある。

    「記念碑」。駐車場端にある。

  • 水場と築地塀。

    水場と築地塀。

  • 水場。

    水場。

  • 築地塀の屋根に上がる浪の飾り瓦。

    築地塀の屋根に上がる浪の飾り瓦。

  • 築地塀の屋根に上がる浪の飾り瓦。

    築地塀の屋根に上がる浪の飾り瓦。

  • 鐘楼。

    鐘楼。

  • 「奉納」碑(平成17年(2005年)銘)。

    「奉納」碑(平成17年(2005年)銘)。

  • 鐘楼に懸かる梵鐘。

    鐘楼に懸かる梵鐘。

  • 鐘楼に龍の彫刻。

    鐘楼に龍の彫刻。

  • 鐘楼に龍の彫刻。

    鐘楼に龍の彫刻。

  • 鐘楼に龍の彫刻。

    鐘楼に龍の彫刻。

  • 鐘楼に龍の彫刻。

    鐘楼に龍の彫刻。

  • 山門。

    山門。

  • 「長念寺の建造物」。

    「長念寺の建造物」。

  • 「長念寺の文化財」。

    「長念寺の文化財」。

  • 廊下。

    廊下。

  • 長念寺の土蔵。

    長念寺の土蔵。

  • トイレ。

    トイレ。

  • 長念寺本堂。

    長念寺本堂。

  • 長念寺本堂。

    長念寺本堂。

  • 長念寺本堂。

    長念寺本堂。

  • 長念寺本堂の懸魚。

    長念寺本堂の懸魚。

  • 長念寺本堂の龍の彫刻。

    長念寺本堂の龍の彫刻。

  • 長念寺本堂の木鼻。

    長念寺本堂の木鼻。

  • 長念寺本堂の木鼻。

    長念寺本堂の木鼻。

  • 長念寺本堂の扉。

    長念寺本堂の扉。

  • 「親鸞聖人」像。「一期一會」。

    「親鸞聖人」像。「一期一會」。

  • 手水鉢。不思議と手水舎はない。

    手水鉢。不思議と手水舎はない。

  • 龍の手水口と手水鉢。

    龍の手水口と手水鉢。

  • 石碑。

    石碑。

  • 「元木千代吉氏碑銘」。

    「元木千代吉氏碑銘」。

  • 「西南之役戦死齋藤利兵衛招魂碑」。

    「西南之役戦死齋藤利兵衛招魂碑」。

  • 「まちの樹50選」。

    「まちの樹50選」。

  • 「イチョウ」。

    「イチョウ」。

  • 銀杏の木。根元のほらを埋めている。

    銀杏の木。根元のほらを埋めている。

  • 「禁煙・火気厳禁・危険物品持込み厳禁」看板。

    「禁煙・火気厳禁・危険物品持込み厳禁」看板。

  • 銀杏の木。

    銀杏の木。

  • 「イチョウ」。

    「イチョウ」。

  • 「まちの樹50選」。

    「まちの樹50選」。

  • 門のように2本並んだ銀杏の木。

    門のように2本並んだ銀杏の木。

  • 門のように2本並んだ銀杏の木。

    門のように2本並んだ銀杏の木。

  • 門のように2本並んだ銀杏の木。

    門のように2本並んだ銀杏の木。

  • 寺務所棟。

    寺務所棟。

  • 「稲田保育園創立五十周年植樹記念碑」。

    「稲田保育園創立五十周年植樹記念碑」。

  • 稲田保育園創立五十周年植樹の梅。

    稲田保育園創立五十周年植樹の梅。

  • お堂。

    お堂。

  • 網が掛けられた彩色された仏具が安置されている。

    網が掛けられた彩色された仏具が安置されている。

  • 築地塀の屋根に上がる浪の飾り瓦。

    築地塀の屋根に上がる浪の飾り瓦。

  • 山門の彫刻。

    山門の彫刻。

  • 「山門鐘楼改築工事 昭和61年3月落慶」。

    「山門鐘楼改築工事 昭和61年3月落慶」。

  • 山門扉の紋。

    山門扉の紋。

  • 山門扉の彫刻。

    山門扉の彫刻。

  • 山門扉の紋。

    山門扉の紋。

  • 山門扉の彫刻。

    山門扉の彫刻。

  • 山門の透かし彫。

    山門の透かし彫。

  • 山門の透かし彫。

    山門の透かし彫。

  • 長念寺山門。

    長念寺山門。

  • 長念寺山門の屋根に上がる飾り瓦。幾何学模様の四角柱の形で初めて目にするものだ。

    長念寺山門の屋根に上がる飾り瓦。幾何学模様の四角柱の形で初めて目にするものだ。

  • 長念寺山門の屋根に上がる飾り瓦。

    長念寺山門の屋根に上がる飾り瓦。

  • 長念寺山門。

    長念寺山門。

  • 長念寺山門。

    長念寺山門。

  • 長念寺山門。木鼻は龍だ。

    長念寺山門。木鼻は龍だ。

  • 「浄土真宗本願寺派 永池山長念寺」寺号標石。

    「浄土真宗本願寺派 永池山長念寺」寺号標石。

  • 長念寺の掲示板。

    長念寺の掲示板。

  • 鐘楼。

    鐘楼。

  • 鐘楼。

    鐘楼。

  • 長念寺の土蔵。

    長念寺の土蔵。

  • 稲田保育園が併設されている。

    稲田保育園が併設されている。

  • 築地塀。

    築地塀。

  • 築地塀。

    築地塀。

  • 築地塀と寺務所棟。

    築地塀と寺務所棟。

  • 「永池山 長念寺」道標。

    「永池山 長念寺」道標。

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