波除稲荷神社

2018/09/28 - 2018/09/28

　東京都中央区築地6に鎮座する波除神社は波除稲荷神社という名称の神社である。衣食住・殖産工業・商業の守り神である倉稲魂命（うがのみたまのみこと）をお祀りしている。
　江戸時代の振袖火事とも呼ばれる明暦の大火（明暦3年（1657年））後、当時はまだ江戸湾の入江があった築地の埋め立て工事が行われたが、荒波の影響で工事は難航した。その最中のある晩、光を放ち海面を漂う御神体が見つかり、万治2年（1659年）、現在地に社殿を建て祀った。その後、波が収まり工事が順調に進んだことから、「波除稲荷」と尊称して厄除けなどに信仰を集めることとなった。
　社殿は昭和12年（1937年）に完成した唯一神明造である。獅子殿に厄除天井大獅子、弁財天社にお歯黒獅子が安置されている。この獅子頭一対 は 嘉永元年（1848年）に建立されたもので区指定文化財になっている。昭和2年（1927年）に神社に奉納された。また、青龍・白虎の頭が平成24年（2012年）の鎮座350年の記念事業として再興され、本殿に飾られている。神社創建の際に、波が立つのは「雲を従える龍」「風を従える虎」の仕業とされ、それをひれ伏させるのが獅子とされ、獅子頭とともに青龍・白虎の頭も奉納されたが、江戸時代に焼失してしまっていた。
　築地市場の外れに鎮座している。1週間もすると豊洲に移転するために、築地市場の場外市場の寿司屋さんには行列ができて、大賑わいであるが、ここ波除稲荷神社も参拝者が絶えない。この前を通りすがりに地元の人や市場の関係者がお参りしていくが、観光客も多い。
　横浜市金沢区富岡東4に鎮座する富岡八幡宮（深川の富岡八幡宮が分霊された本宮）（https://4travel.jp/travelogue/10541138）も八幡宮の山が応長（1311年）の大津波から部落を守った事から「波除八幡」とも称ばれている。豊洲の守り神はこの深川の富岡八幡宮（https://4travel.jp/travelogue/11270350）が当たることになる。「波除八幡」を分霊していることから、「波除」の霊験はあらたかであろう。しかし、関東大震災（大正12年（1923年））の瓦礫処理で埋め立てられた場所には人が住んでいた訳ではなく、神社などが創建されてはいないだろう。やはり、豊洲市場の中に神社が鎮座していないのは気掛かりだ。
（表紙写真は波除稲荷神社社殿）

エリア 築地(東京)

波除稲荷神社。

波除稲荷神社の石鳥居。

「波除神社」。

「波除稲荷神社」。

提灯掛け。

御神木の枝垂れ銀杏。

「御神木　枝垂れ銀杏」。

弁財天社に歯黒獅子。

歯黒獅子。

「玉子塚」。

干支の「申」と「未」。

石碑。

「弁財天」。

「吉野家」碑と干支の「戌」と「酉」。

吉野家の碑文。

掲示板。

獅子殿。

厄除天井大獅子。

大獅子願い串と酒樽。

社務所。

「波除神社七福神まつり」の旗。

「波除神社七福殿」。

七福神。

干支の「午」と「海老の大丸」、「海老塚」。

塚。

干支の「巳」と「辰」。

「鮟鱇（あんこう）塚」と「活魚塚」。

干支の「卯」。

龍の置物。

兎の親子の置物。

蛤（はまぐり）石。

おきつね様。

干支の「寅」。

「昆布塚」と干支の「丑」と「子」。

「大獅子頭…神輿修理」。

「波除神社」。

波除稲荷神社社殿。

波除稲荷神社社殿に掛かる「波除神社」の扁額。

波除稲荷神社社殿横。

晴海通に波除神社の案内板。