二条・烏丸・河原町旅行記(ブログ) 一覧に戻る
京都の町家に日ごろから興味があったが、近年、多くの町家が姿を消し、数が少なくなってきていることに残念な思いでいた。ただ数少なくなった町家を文化財として整備し、特別公開しているところがいくつかあり、この旅行中にそうした町家を訪ねてみた。<br /><br />今回、「旧邸御室」と「詩織庵」を訪ねた。旧邸室生は京都の中心部から少々離れた嵯峨野御室の地にあり、嵐電北野線に乗って出かけた。<br /><br /><br />■ 旧邸御室<br />京都市右京区御室岡ノ裾町5( 電:075-366-0376 )<br />    嵐電「御室仁和寺駅」下車徒歩5~6分<br /><br />■ 詩織庵<br />    京都市中京区新町通六角上る三条町340 <br />    地下鉄烏丸線「烏丸御池駅」6番出口から徒歩6分

町家は隠れた京の魅力がたくさん詰まった近代和風建築 -「旧邸御室」と「詩織庵」を訪ねる

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2018/07/17 - 2018/07/20

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Weiwojing

Weiwojingさん

京都の町家に日ごろから興味があったが、近年、多くの町家が姿を消し、数が少なくなってきていることに残念な思いでいた。ただ数少なくなった町家を文化財として整備し、特別公開しているところがいくつかあり、この旅行中にそうした町家を訪ねてみた。

今回、「旧邸御室」と「詩織庵」を訪ねた。旧邸室生は京都の中心部から少々離れた嵯峨野御室の地にあり、嵐電北野線に乗って出かけた。


■ 旧邸御室
京都市右京区御室岡ノ裾町5( 電:075-366-0376 )
嵐電「御室仁和寺駅」下車徒歩5~6分

■ 詩織庵
京都市中京区新町通六角上る三条町340
地下鉄烏丸線「烏丸御池駅」6番出口から徒歩6分

旅行の満足度
5.0

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  • 先ず、「旧邸御室」を訪ねた。ここは京都の中心部からかなり離れた御室の地にあり、閑静な住宅街の一角にあった。<br /><br />入り口には国登録有形文化財の印が付いている。普段は一般公開はしておらず、特別な催事などに使われているようである。

    先ず、「旧邸御室」を訪ねた。ここは京都の中心部からかなり離れた御室の地にあり、閑静な住宅街の一角にあった。

    入り口には国登録有形文化財の印が付いている。普段は一般公開はしておらず、特別な催事などに使われているようである。

  • 門を通リ中に入ると、玄関に至る途中に大きな石造りの灯篭がある。

    門を通リ中に入ると、玄関に至る途中に大きな石造りの灯篭がある。

  • 燈籠の脇を抜けて玄関先に向かう。

    燈籠の脇を抜けて玄関先に向かう。

  • 旧邸御室は2階建てであるが、今回の公開では2階部分は公開されていない。1階のみである。<br /><br />1937年(昭和12)500坪の敷地に建てられたが、設計者や設計目的は不明である。1969年(昭和44)、当時、住居として所有していた大手酒造会社役員・四代目阿部喜兵衛より、現オーナーの父である三製材所社長山本三夫が購入。四代目阿部喜兵衛の祖父にあたる二代目阿部喜兵衛は、朝の連続ドラマ小説「マッサン」のモデルで話題になった竹鶴政孝をスコットランドへ送り出したことで知られている。2016年(平成28)国の登録有形文化財に登録された。

    旧邸御室は2階建てであるが、今回の公開では2階部分は公開されていない。1階のみである。

    1937年(昭和12)500坪の敷地に建てられたが、設計者や設計目的は不明である。1969年(昭和44)、当時、住居として所有していた大手酒造会社役員・四代目阿部喜兵衛より、現オーナーの父である三製材所社長山本三夫が購入。四代目阿部喜兵衛の祖父にあたる二代目阿部喜兵衛は、朝の連続ドラマ小説「マッサン」のモデルで話題になった竹鶴政孝をスコットランドへ送り出したことで知られている。2016年(平成28)国の登録有形文化財に登録された。

  • 玄関入口。数寄屋風の造りに興味を覚えた。一枚板の大きな衝立がある。

    玄関入口。数寄屋風の造りに興味を覚えた。一枚板の大きな衝立がある。

  • 玄関を上がった右側にある窓。手前に出っ張りの部分があり、そこに花を飾ったり、陶器などを置いて、空間をうまく利用している。

    玄関を上がった右側にある窓。手前に出っ張りの部分があり、そこに花を飾ったり、陶器などを置いて、空間をうまく利用している。

  • 洋室部分があり、ここは新しく増築されたものであるが、天井が素晴らしい。格天井で、四季の花々が描かれている。この部屋の奥に蔵がある。

    洋室部分があり、ここは新しく増築されたものであるが、天井が素晴らしい。格天井で、四季の花々が描かれている。この部屋の奥に蔵がある。

  • 洗面所は至って簡素なもので、左側の方にトイレと浴槽がある。

    洗面所は至って簡素なもので、左側の方にトイレと浴槽がある。

  • 「洗面台の下もよくみてください」と案内の方が言うので、よく見ると、網代模様になっていた。

    「洗面台の下もよくみてください」と案内の方が言うので、よく見ると、網代模様になっていた。

  • 庭に面した2間続きの大広間は開放的で、広々として気持ちよい。22帖ある。部屋の中央に置かれたテーブルに注目してほしい。

    庭に面した2間続きの大広間は開放的で、広々として気持ちよい。22帖ある。部屋の中央に置かれたテーブルに注目してほしい。

  • 今井の大きな天然杉のテーブルの上には外の樹木が写り、まるで外の景色が連続して繋がっているようである。

    今井の大きな天然杉のテーブルの上には外の樹木が写り、まるで外の景色が連続して繋がっているようである。

  • この美しい風景にしばし見入ってしまった。

    この美しい風景にしばし見入ってしまった。

  • 大広間から見た庭は樹木が生い茂り、大きな池や茶室もあり、なかなか見事である。

    大広間から見た庭は樹木が生い茂り、大きな池や茶室もあり、なかなか見事である。

  • 大広間の床の間。

    大広間の床の間。

  • 立派な調度品が置かれている。

    立派な調度品が置かれている。

  • 大広間の2つの部屋の中央にある富士山の欄間は見事と言う他に言葉がない。

    大広間の2つの部屋の中央にある富士山の欄間は見事と言う他に言葉がない。

  • 隣には松の木をあしらつた欄間もある。

    隣には松の木をあしらつた欄間もある。

  • 玄関脇にある茶室。

    玄関脇にある茶室。

  • 茶室と蔵の間にある空間。左側には洋室があり、美術品などが展示されている。

    茶室と蔵の間にある空間。左側には洋室があり、美術品などが展示されている。

  • ある部屋には神棚があり、何やら祀られている。

    ある部屋には神棚があり、何やら祀られている。

  • 庭にあるもうひとつの茶室「双庵」の入口。

    庭にあるもうひとつの茶室「双庵」の入口。

  • 茶室の内部。

    茶室の内部。

  • こちらも茶室の内部であるが、右側に躙り口がある。

    こちらも茶室の内部であるが、右側に躙り口がある。

  • 茶室の裏側。

    茶室の裏側。

  • 茶室の前から見た旧邸御室の全景。

    茶室の前から見た旧邸御室の全景。

  • 庭側から見た建物の部分。

    庭側から見た建物の部分。

  • 建物の右側の部分。こちらは家族用の私的なスペースのようである。

    建物の右側の部分。こちらは家族用の私的なスペースのようである。

  • 2間続きの大広間脇には廊下があり、縁側につながっている。

    2間続きの大広間脇には廊下があり、縁側につながっている。

  • 縁側の天井は見事な網代天井となっている。

    縁側の天井は見事な網代天井となっている。

  • 旧御室邸の前の道路にはこのような地蔵像が安置され、地域の人々に守られているのが分かる。

    旧御室邸の前の道路にはこのような地蔵像が安置され、地域の人々に守られているのが分かる。

  • 次のところへ行くために嵐電「御室仁和寺駅」に向かったが、駅前にちょうど手ごろなレストランがあったので、ここで昼食をとることにした。<br /><br />店の名前は「ファミリーキッチン Pu」という風変わりな名で、本格的なカレーの店であった。

    次のところへ行くために嵐電「御室仁和寺駅」に向かったが、駅前にちょうど手ごろなレストランがあったので、ここで昼食をとることにした。

    店の名前は「ファミリーキッチン Pu」という風変わりな名で、本格的なカレーの店であった。

  • このレスストランはカレー専門店で、なかなか変わったメニューが豊富で、小生が注文したのは「チキン・カレー」で、10種類以上のスパイスで作った南インドカレーである。サラダもついていた。

    このレスストランはカレー専門店で、なかなか変わったメニューが豊富で、小生が注文したのは「チキン・カレー」で、10種類以上のスパイスで作った南インドカレーである。サラダもついていた。

  • 昼食の後、「旧御室邸」から「詩織庵」へ移動した。詩織庵は、大正15年豪商・四代目井上利助が江戸時代後期典薬まで昇進した名医・荻野元帆の医院跡地に、最新のライト様式のモダンな洋間を加えて新築し、昭和40年より平成9年まで、川崎家の本宅兼迎賓館として使用されてきた。

    昼食の後、「旧御室邸」から「詩織庵」へ移動した。詩織庵は、大正15年豪商・四代目井上利助が江戸時代後期典薬まで昇進した名医・荻野元帆の医院跡地に、最新のライト様式のモダンな洋間を加えて新築し、昭和40年より平成9年まで、川崎家の本宅兼迎賓館として使用されてきた。

  • 建物は洋館部分を日本の近代建築の父と呼ばれる武田五一が、茶室や和室部分を数寄屋の名工・上坂浅次郎が設計参与した敷地240坪の町家建築である。

    建物は洋館部分を日本の近代建築の父と呼ばれる武田五一が、茶室や和室部分を数寄屋の名工・上坂浅次郎が設計参与した敷地240坪の町家建築である。

  • 玄関に入ると、入口に粽が飾られている。室内のしつらえも夏用に整えられ、暑い夏を快適に過ごせるように整えられている。

    玄関に入ると、入口に粽が飾られている。室内のしつらえも夏用に整えられ、暑い夏を快適に過ごせるように整えられている。

  • 襖間や障子がすべて取り払われて、すだれに置き代えられている。

    襖間や障子がすべて取り払われて、すだれに置き代えられている。

  • 武田五一が設計した洋館部分。京都には彼が携わった建築物がずいぶん多いようである。公共的な建物は知っているが、しかし、彼がこのような町家の中にある洋風建築を建築していたとは知らなかった。

    武田五一が設計した洋館部分。京都には彼が携わった建築物がずいぶん多いようである。公共的な建物は知っているが、しかし、彼がこのような町家の中にある洋風建築を建築していたとは知らなかった。

  • 中庭にたくさんの樹木が生い茂り、夏の暑さに堪えている風であった。

    中庭にたくさんの樹木が生い茂り、夏の暑さに堪えている風であった。

  • 中庭の茶室 (右側)のある方を望む。

    中庭の茶室 (右側)のある方を望む。

  • 「織部キリシタン灯篭」と言われるもので、竿の上部が左右に張り出していて十字架に似せ、下部にマリヤ像が彫られている。古田織部はキリシタンで、切支丹全盛時代に信者や茶人の好みに合うように創作したものと伝えられている。

    「織部キリシタン灯篭」と言われるもので、竿の上部が左右に張り出していて十字架に似せ、下部にマリヤ像が彫られている。古田織部はキリシタンで、切支丹全盛時代に信者や茶人の好みに合うように創作したものと伝えられている。

  • 建物の下に何やら防空壕みたいなトンネルがあった。説明によるとこれは庭師用出入りトンネルで、庭師や大工が土足のまま出入りできるように裏庭や玄関に通じているそうだ。

    建物の下に何やら防空壕みたいなトンネルがあった。説明によるとこれは庭師用出入りトンネルで、庭師や大工が土足のまま出入りできるように裏庭や玄関に通じているそうだ。

  • この通路は南側の蔵に通じる廊下で(写真手前の方が蔵側)、右側には着替化粧室、洗面所、浴室、トイレがあり、浴室と着替化粧室の戸はアジロ戸で、湿気を逃す工夫がされている。<br />

    この通路は南側の蔵に通じる廊下で(写真手前の方が蔵側)、右側には着替化粧室、洗面所、浴室、トイレがあり、浴室と着替化粧室の戸はアジロ戸で、湿気を逃す工夫がされている。

  • 2つの蔵 (大蔵と小蔵)に通じる廊下と中庭の一部が見える。

    2つの蔵 (大蔵と小蔵)に通じる廊下と中庭の一部が見える。

  • 小蔵の入口には何やら凝った造作がされている扉がある。

    小蔵の入口には何やら凝った造作がされている扉がある。

  • 大蔵に案内された。ここには大正友禅着物や振袖、帯ビロード、夏着物等が展示されている。<br />

    大蔵に案内された。ここには大正友禅着物や振袖、帯ビロード、夏着物等が展示されている。

  • 大蔵の入口扉の桟に変わった敷居があるのに気が付いた。

    大蔵の入口扉の桟に変わった敷居があるのに気が付いた。

  • 廊下のガラス戸から見た庭。このガラス戸はいわゆる「大正ガラス」というもので、かなり歪んで見える。

    廊下のガラス戸から見た庭。このガラス戸はいわゆる「大正ガラス」というもので、かなり歪んで見える。

  • 祇園祭の期間中だけ、大変立派な特別の屏風が飾られている。

    祇園祭の期間中だけ、大変立派な特別の屏風が飾られている。

  • 1階の洋間。和風な天井と洋風な造りがうまい具合にぴったり合っている。

    1階の洋間。和風な天井と洋風な造りがうまい具合にぴったり合っている。

  • こちらは2階の洋間。1階・2階共に武田五一の設計によるものである。

    こちらは2階の洋間。1階・2階共に武田五一の設計によるものである。

  • ガラス戸の上にはめ込まれたステンドグラスが美しい。

    ガラス戸の上にはめ込まれたステンドグラスが美しい。

  • 照明は昔のままだそうだ。

    照明は昔のままだそうだ。

  • 2階にはこのょうな「鉾見台」があり、7月17日の祇園祭巡行日にすべての鉾が戻囃子にのって当家前の新町通を通過する。この鉾の巡行を見たり、投げられる粽を受け取るために当家専用の観覧席である。

    2階にはこのょうな「鉾見台」があり、7月17日の祇園祭巡行日にすべての鉾が戻囃子にのって当家前の新町通を通過する。この鉾の巡行を見たり、投げられる粽を受け取るために当家専用の観覧席である。

  • 茶室に案内された。

    茶室に案内された。

  • ここで見学を終えて、最後に茶室で抹茶をいただいた。

    ここで見学を終えて、最後に茶室で抹茶をいただいた。

  • 詩織庵を出て新町通を歩いていると、古い建物が多いのに気が付いた。<br /><br />この赤い外観を持つ建物は現在売り出し中と張り紙が出ているが、以前は何だったのだろうか。

    詩織庵を出て新町通を歩いていると、古い建物が多いのに気が付いた。

    この赤い外観を持つ建物は現在売り出し中と張り紙が出ているが、以前は何だったのだろうか。

  • 1階屋根の上には狛犬(?)のような置物があり3体あった。

    1階屋根の上には狛犬(?)のような置物があり3体あった。

  • 2階の丸窓にはステンドグラスが嵌め込まれているようで、外からだとその美しさを見ることが出来ないのが残念である。

    2階の丸窓にはステンドグラスが嵌め込まれているようで、外からだとその美しさを見ることが出来ないのが残念である。

  • この古い郵便ポストにご注目ください。

    この古い郵便ポストにご注目ください。

  • 改造したり、手を加えたりして、カフェやレストランにした町家がいくつもあった。

    改造したり、手を加えたりして、カフェやレストランにした町家がいくつもあった。

  • 数寄屋風の門構えと中の洋館との組み合わせがミスマッチな気がしないでもないが、いかにも京都らしく、うまく釣り合っている。

    数寄屋風の門構えと中の洋館との組み合わせがミスマッチな気がしないでもないが、いかにも京都らしく、うまく釣り合っている。

  • この暖簾はなかなか立派であるが、ここは小料理屋のようだ。

    この暖簾はなかなか立派であるが、ここは小料理屋のようだ。

  • 祇園祭の最中の京都訪問であったので、どの町内でもそれぞれ異なった大きな暖簾がどの家にも飾られているのが見ることが出来た。

    祇園祭の最中の京都訪問であったので、どの町内でもそれぞれ異なった大きな暖簾がどの家にも飾られているのが見ることが出来た。

  • 裏道にこれまたこぎれいな町家がある。ここはゲストハウスと看板が出ている。ゲストハウスに改造している例も多いようだ。

    裏道にこれまたこぎれいな町家がある。ここはゲストハウスと看板が出ている。ゲストハウスに改造している例も多いようだ。

  • ゲストハウスの入り口である。

    ゲストハウスの入り口である。

  • 入口の上に粽が飾られている。

    入口の上に粽が飾られている。

  • 町家を改造した食べ物屋の前で、個々の従業員だろうか、随分と長く携帯で話をしている。仕事の方は大丈夫だろうかと気になってしまう。

    町家を改造した食べ物屋の前で、個々の従業員だろうか、随分と長く携帯で話をしている。仕事の方は大丈夫だろうかと気になってしまう。

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