2018/06/10 - 2018/06/17
1002位(同エリア1376件中)
ひよどりさん
鳥栖に所用があり、4泊。
東京への帰り道、下関で途中下車、物見遊山で3泊。7泊8日の道中となりました。
下関では、唐戸市場、赤間神社、レトロな洋館を巡り、関門トンネル人道を通り、対岸門司港を散策してきました。
今回の旅行記は、下関で訪れた「日本遺産 関門“ノスタルジック”海峡」に指定された洋館の昼と夜の様子を、概ね、西から東の順で紹介したいと思います。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 4.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- JR特急 徒歩
PR
-
山口銀行旧本店 1
下関滞在中、3度、訪ねました。
1度目は、下関駅から旧山陽道を経由して、ホテルに向かう途中、外観の観賞、
2度目は、内部の見学、
3度目は、ライトアップされた外観の鑑賞です。 -
山口銀行旧本店 2
最近、旅行先を検討する時の検索ワードの一つが、「近代建築」です。
帰路、福岡、山口、広島辺りで途中下車候補を探しました。「下関 近代建築」と入力、ヒットした山口銀行と秋田商会の写真に引きつけられ、下関に滞在することに決めました。
そういう訳で、ホテルに着く前に、思いがけず山口銀行を見つけたので、感激して駆け寄り、パネル読み、屋舎を見上げ、写真を撮ってはしゃいでおりましたら、遠慮がちに一人の男性が声を掛けてきました。その方は、待ち合わせでもしているのでしょうか、私が訪れる前から、銀行の前に立っていました。
その方は、「ここの資料館の者ですが、夜間ライトアップもしているのでよかったら、見に来てください。」と声を掛けして下さいました。
このお誘いのおかげで、大変美しい夜の様子を見ることができました。(旅行記表紙写真)
写真は、東側から。道路に面していない側面も立派です。 -
山口銀行旧本店 3
翌日、内部を見学するため来館。受付に昨日の方がいらしたので、
「ライトアップの情報、ありがとうございました。」
と謝意を伝えると、部屋から出て来て下さり、館内の案内をして下さいました。 -
山口銀行旧本店 4
建物の説明は元より、関門海峡のこと、幕末の武器商「ジャーディン・マセソン商会」のこと等、解説は、歴史、地理、多岐に渡りました。
中でも、印象に残ったのは、
「地元の人は、この海のことを(地形を硯に見立てて)『硯の海』と呼んでいます。」
という話です。
『硯の海』、使ってみたたくなるような響きのある言葉です。 -
山口銀行旧本店 8
-
山口銀行旧本店 5
3度目の訪問です。
抑えられた光量で、レリーフの陰影が浮き上がり、幻想的です。 -
山口銀行旧本店 6
-
山口銀行旧本店 7
ここは、ホテルから離れた場所なので、声を掛けて頂かなければ、ライトアップだけの為に、もう一度訪れることは無かったと思います。そして、この美しい光景を見ることもなかったと思います。
月並みですが、「旅先の一期一会」に感謝です。 -
山口銀行旧本店 9
4日間滞在の下関を離れる前に、名残を惜しんで、撮影しました。
この数日間、歩き回り、歴史的空間と風光明媚な景観に触れ、すっかり、下関贔屓になりました。そのスタートとなった建物です。 -
中国労働金庫下関支店 1
街のあちこちに、
「150th 維新発祥の地 下関」の幟が立ちます。
旧山陽道、幟の向こうに見えるのは、「中国労働金庫下関支店」です。 -
中国労働金庫下関支店 2
1934年に建てられました。
シンプルな外観です。
斜向かいと言うには少し離れていますが、対面側には、下関所縁の金子みすずの顕彰碑がある寿公園があります。その近くに、伊藤博文夫妻の新居跡もあります。 -
田中絹代ぶんか館
旧逓信省電信局電話課の建物です。
入館は、16:30迄ですが、残念ながら間に合いませんでした。東京より日没時刻が遅く、明るいので、つい油断してしまいました。
この場所は、旧山陽道から道2本分程北側なので、観光で来ている者には、町はずれ感があります。
写真右、煉瓦造の旧宮崎商会、隣地の駐車場の古い塀には、商工会議所と刻まれています。
旧山陽道同様、この通りは、かつて、街のメインストリートの一つであり、この地域は、大手の銀行や企業のビルが立ち並ぶ、現在の駅前のような雰囲気があったのでしょう。 -
下關商工會議所跡
-
宮崎商会
現在は、医院になっています。 -
教法寺 1
旧宮崎商会から、大通りを挟んで100mにも満たない場所にあります。唐戸のアーケード商店街の北側に位置しています。東に100mも行けば、妓楼「大坂屋」のあった花街。南に300m程で、山陽道。山陽道を西に進めば、阿弥陀寺(現赤間神宮)です。
ここは、阿弥陀寺(現赤間神宮)を屯所とする奇兵隊が、教法寺を宿所とする萩藩正規軍の先鋒隊を襲撃し、隊員を斬殺した事件で有名な寺です。(教法寺事件)
この境内に、大正12年落慶の洋館の一部が残っています。
事件のあった本堂は、空襲で失われてしまいました。 -
教法寺 2
解説板には、古い写真が掲示され、洋館の全容がわかりました。
写真右の木造の建物が、教法寺事件の舞台となった本堂です。 -
下関南部町郵便局 1
教法寺から南下して、再び山陽道へ。
唐戸港を中心に、関門海峡の風景を眺めながら回れる、主要観光スポットが集中しています。
この郵便局もその一つです。
案内プレートによると、明治33年に建てられ、現役郵便局の中で、日本で一番古い建物だそうです。
そして、懐かしい赤い円筒形のポストもここが発祥の地だそうです。 -
下関南部町郵便局 2
-
下関南部町郵便局 3
夜間ライトアップもしています。
まばゆい光は、建物だけではなく、周囲全体を明るくしています。 -
旧秋田商会ビル 1
南部町郵便局の光は、東隣の建物も照らし、その明暗は気迫をも生み出しているように感じました。
大正4年に海運商秋田寅之助が建てた、本社兼居宅です。
私を下関に引き寄せた建物です。 -
旧秋田商会ビル 2
円屋根の塔屋と屋上の樹木の組み合わせ、唯一無二の景観です。
開館時刻の10:30、鍵が開くのを待って入館しました。
管理の方(女性)が建物の見所を幾つか説明して下さいました。
「ゆっくりご覧ください」という言葉をいただき、2階、3階、隅々までじっくり見ました。
-
旧秋田商会ビル 3 (1階)
入り口付近。
平成30年3月まで、下関観光情報センターでした。
下関観光のパンフレットは、各種置いてあります。
内装、床材、備品等、建設当初の物が大切に残されているそうです。
-
旧秋田商会ビル 4 (1階)
1階は、本社として使われていました。
窓の向こうに、南部町郵便局が見えます。 -
旧秋田商会ビル 5 (1階)
管理の方から、什器類も当初のままだと、聞きました。 -
旧秋田商会ビル 6
2階に上がります。
毛利の家紋が手摺の柱に付いてます。
質問すると、「ここを建てられた秋田寅之助さんは、毛利の家紋を許される程の貢献をなさった方」と返答がありました。 -
旧秋田商会ビル 7 (2階)
2・3階は、私的空間です。
西隣の郵便局がよく見えます。瓦葺きの屋根だったのですね。 -
旧秋田商会ビル 8 (2階)
円筒形の塔屋部分の床です。 -
旧秋田商会ビル 9 (2階)
和室。
外壁に沿って廊下が一周しています。廊下は、和と洋を隔離する役目を果たし、洋館の鞘をまとった伝統的な和風建築の拵えに思えました。 -
旧秋田商会ビル 10 (2階)
2階南側、格調の高い書院造りの間。
秋田商会、木材商でもありました。
素人目でも、銘木をあしらっていることがわかります。
-
旧秋田商会ビル 11 (3階)
3階に着きました。
2階同様、廊下が外周する和室空間です。 -
旧秋田商会ビル 12 (3階)
この建物の見所の一つの座敷です。
中央の柱を外し、大広間に変身できるようになっています。 -
旧秋田商会ビル 13
外した柱を元のように戻せるようになっています。
この字体を見ていると、そう体裁に拘る方でもなかったのかな?と思います。
長女梅子の愛用したオルガンや秋田家で使われていた調度品・家具類もこの階に置かれいます。
家族の名前が記されたものもあり、生活の一面を知ることができました。
-
旧秋田商会ビル 14 (3階)
この階も一番南側の部屋は、書院造りとなっています。 -
旧秋田商会ビル 15 (3階)
「通常お見せする場所ではないのですが、3階には、マジョリカタイルを使った水洗トイレがあります。是非、見ていって下さい。」
管理人さん、お薦めスポットです。 -
旧秋田商会ビル 16 (3階)
マジョリカタイル。
寅之助さん、お嬢さんを喜ばせたかったのかな?と思いました。 -
旧秋田商会ビル 17 (3階)
屋上へと続く螺旋階段。
非公開ですが、屋上に、日本庭園「棲霞園」があります。
世界最古級の屋上庭園と言われています。 -
旧秋田商会ビル 18 (3階)
東側の窓からは、旧下関英国領事館が見えます。
わかりにくいと思いますが、歩道橋もあります。
次は、館外に出て、歩道橋から外観を見てみます。 -
歩道橋から 1
歩道橋から西を眺めれば、屋上庭園があるのが、わかりました。日本家屋の屋根も少し見えます。
建築当時、建物の前は、海。そして、高い塔屋は、灯台の役目を果たしていました。 -
歩道橋から 2
同じ場所の夜の眺め。
電球色で光を放っているのは、南部町郵便局、その右隣が、旧秋田商会ビルです。 -
歩道橋から 3
同じ歩道橋から、東を眺めれば、旧英国下関領事館(写真中央)も見えます。
更に、先には、関門橋の光も捉えることができます。
下関の観光スポットが凝縮している場所です。 -
旧下関英国領事館 1
旧秋田商会ビルに掲示されていた1枚の写真です。
明治末年頃のジャーディン・マセソン商会(左後)と旧英国下関領事館(右前)の写真です。
ジャーディン・マセソン商会は、長州五傑の洋行や、日本の近代化に大きく深く関わったイギリスの貿易商社です。 -
旧下関英国領事館 2
明治39年に建てられ、昭和15年まで、領事館として使われました。
5年半近くの年月をかけて保存修理工事を行い、平成26年に現在の状態になりました。
山陽道から撮影。 -
旧下関英国領事館 3
庭側。自由に出入りができます。
灯りの点いている部屋は、領事室です。 -
旧下関英国領事館 4
開口部の多い建物です。
一人で好き勝手に出たり、入ったり、見ている間に、1階4部屋しかないのに、夫とはぐれてしまいました。
あっちを覗いたり、こっちを覗いたりして、探していましたら、フロアーでお迎えしてくれた館長さんに「お連れさんは、あちらから出られて、右に行きましたよ」って、声を掛けられました。助かりました。 -
旧下関英国領事館 5
領事室、椅子に座るのもOK。写真撮影用に、伊達眼鏡まで用意してあります。
エリザベス女王が描かれた額も飾られています。 -
旧下関英国領事館
夜景。 -
旧英国下関領事館の東500m程、海を見下ろす高台に、藤原義江記念館(旧リンガー邸)があります。
写真左、山の斜面の建物です。
写真右端が赤間神宮。その左、黄色っぽい屋根の「春帆楼」から記念館まで、小径が通じています。
少し遠回りになりますが、小径経由で、昭和初期に建てられたモダンな私邸を訪れたいと思います。
-
春帆楼(奥)と日清講和記念館(手前)
下関条約調印の場となった春帆楼の建物は、空襲で焼失。
昭和12年に、下関条約の歴史的意義を後世に伝える為、建てられた日清講和記念館は戦火を免れました。 -
日清講和記念館 1
洋館ではありませんが、扉や窓、装飾の一部分は洋風の和洋折衷の建物です。 -
日清講和記念館 2
館内。 -
日清講和記念館 3
講和会議場の再現。足元には火鉢も置かれ、協議が寒い季節に行われたことを物語っています。 -
日清講和記念館 4
左から、伊藤博文、陸奥宗光、伊東巳代治の椅子。
伊藤博文の正面には、李鴻章が座りました。 -
李鴻章道から藤原義江記念館へ 1
3回目の講和会議の後、宿泊先の引接寺(いんじょじ)の門前で、銃撃された李鴻章が、その後、安全の為に、大通りを避けて行き来した道です。 -
李鴻章道藤原義江記念館へ 2
藤原義江記念館に行くには、幾つもの階段を上ります。 -
李鴻章道藤原義江記念館へ 3
-
李鴻章道藤原義江記念館へ 4
記念館は、崖の端に建っています。西側の崖下に李鴻章の宿舎になった引接寺があります。 -
藤原義江記念館 1
昭和11年に建てられました。
「紅葉館」とも言われ、イギリスの商社ホーム・リンガー商会の社長令息の私邸です。
シンプルで、周囲の緑に溶け込む建物です。 -
藤原義江記念館 2
呼び鈴を押すと、隣棟の管理人さんが鍵を開けに来て下さいます。
館内に案内され、簡単な説明を聞きます。
管理人さんは藤原義江の歌曲を流してくれます。
「サンタルチア」始め、知っている曲ばかりなので、ついつい、一緒に口ずさんでしまいます。 -
藤原義江記念館 3
館内は、撮影禁止です。
入館は、無料ですが、心付けを入れる箱があります。
3階建てですが、見学は、1階だけです。
-
藤原義江記念館 4
庭には、風見鶏。耳の奥には、「サンタルチア」の歌声が残っています。
対岸の門司の景色も一望できます。
ここは、いい場所です。
歌を聴いた後だから味わえる、安寧感なのでしょうか?
風が気持ち良い、離れ難い場所でした。
今回訪れた山口銀行、旧秋田商会、旧英国領事館、そして藤原記念館と建物を大切にする方にお出迎えされ、言葉を交わし、温かい気持ちになれました。
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
旅行記グループ
2018年6月 鳥栖・下関・門司
-
前の旅行記
下関唐戸市場~関門トンネル人道~門司港レトロ 2018年6月《7》
2018/06/10~
門司・関門海峡
-
次の旅行記
下関 社寺巡り 昼と夜 2018年6月《5》
2018/06/10~
下関
-
門司レトロ商店街・門司港駅 2018年6月《8》
2018/06/10~
門司・関門海峡
-
下関唐戸市場~関門トンネル人道~門司港レトロ 2018年6月《7》
2018/06/10~
門司・関門海峡
-
下関 洋館巡り 昼と夜 2018年6月《6》
2018/06/10~
下関
-
下関 社寺巡り 昼と夜 2018年6月《5》
2018/06/10~
下関
-
鳥栖輪行 鉄道の町 2018年6月《1》
2018/06/10~
鳥栖・基山
-
鳥栖輪行 街道の町(長崎街道田代宿) 2018年6月《2》
2018/06/10~
鳥栖・基山
-
鳥栖輪行 古墳の町 2018年6月《3》
2018/06/10~
鳥栖・基山
-
鳥栖輪行 街道の町(長崎街道轟木宿)と3つの老松神社 2018年6月《4》
2018/06/10~
鳥栖・基山
旅行記グループをもっと見る
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
下関(山口) の旅行記
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
旅行記グループ 2018年6月 鳥栖・下関・門司
0
60