2018/04/21 - 2018/04/21
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motogenさん
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『道の駅飯高駅』に到着しました。
今夜はここで車中泊です。
飯高駅と言うので、鉄道の駅の近くと思っていたのに、鉄道などは通っていません。
周囲は山ばかり、その山あいにある道の駅です。
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 自家用車 徒歩
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近くに珍布峠(めずらしとうげ)があることで、名の知れている道の駅です。
好奇心をかきたてる名前です。
死人谷などという、おどろおどろした谷もあります。
案内所で「珍布峠ウォーキングコース」のマップを手に入れて、さっそく歩きます。道の駅 飯高駅 道の駅
-
ロングコースとショートコースがありますが、4.5kmのショートコースを歩くつもりです。
時間にして1時間強となっています。
手始めは、道の駅に近い「小津安二郎史料館」です。 -
史料館は福祉センターの中にあるようで、土曜日なのに開いています。
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中をのぞくと廊下の奥に、史料館の名札の付いた部屋がありました。
-
学校の教室くらいの小さな部屋です。
募金箱があって、100円の寄付を求めているのでそれに応じ、展示されている写真や小津さんの書いた作文や絵などを眺めていると、 -
パソコンを操作していたおばさんが近づいて来ました。
展示物一つ一つについて、懇切丁寧に説明をしてくれます。
松阪なまりの柔らかな言葉で、それはそれは楽しそうに話してくれるのです。 -
小津さんの映画のシナリオを、全て覚えているように、
「このシーンの、こんな台詞がいいのよねぇ・・・」
などと、感情豊かにその台詞を紹介してくれます。
映画もさることながら、このおばさんそのものが、魅力的な学芸員です。 -
ちょっとのぞいてみよう・・と気軽に入った資料館ですが、40分以上も話に乗せられて、退室する機会を失ってしまいます。
でもこんなに親切されることはめったにあるものでなく、飯高の学芸員の温もりがじ~んと伝わってきて、別れ際にはちょっぴりセンチな気持ちになってしまいました。 -
コースに戻りました。
「いい人だったねぇ・・」
「訪ねてくるお客が少なくて、話したいことがいっぱいあったのね・・」
などと話していると、
「そこまで案内するわ。」
と後を追いかけて来てくれました。 -
小津安二郎が代用教員として勤めた飯高ですが、下宿先が決まらなかった時に仮住まいした家がこの家だそうで、
-
その後この家の二階の部屋に下宿したのだと教えてくれました。
-
そのすぐ近くには花岡神社があり、
-
その裏に、珍布峠へのウォーキングコースの細道が枝分かれしています。
-
この道は和歌山街道と呼ばれていて、松阪と和歌山を結ぶ街道だったようです。
紀州藩主の参勤交代や、伊勢神宮への参拝道として人の行き交いが多く、昭和前半までは、旅館や商店が並んでいたといいます。
当時は『宮前宿』と呼ばれ、この道がメインストリートだったのですが、今や人の流れは国道166号に移り、廃道寸前になっています。 -
こんな案内板が次々に出てきます。
数年前より地元住民によって、荒れ果てた道は補修され、案内板や看板を設置したり、植樹したりして、昔の趣を蘇らせる取り組みが続けられているとのことです。 -
民家のある場所を過ぎると、すぐ山となりました。
道は舗装されています。 -
死人谷(しびとだに)の案内板が立っていました。
-
これがその谷ですが、谷というよりも沢です。
村人がここで死人を発見して、その名が付いたようですが、それはいつの頃なのか、具体的にどこだったのかなど、詳しい説明はありません。
ちょっとがっかり。 -
義経と静御前が逃避した「道行谷」とか、石灰を作って暮らしていた「石灰爺さん」の住居跡の案内板も出てきます。
しかし案内板だけで何もありません。
義経の話など、全国各地に様々な言い伝えがあり、どこまでが真実なのか、偏屈な私は疑うばかりです。 -
そうこうしているうちに、岩を削り取って道とした峠に差し掛かりました。
-
ここが珍布峠(めずらしとうげ)です。
よくもまあ、数メートルの高さを楽するために、こんな固い岩を削ったものだ!
観光スポットなのに、私たち以外には誰もいません。
誰にも出会っていません。 -
いったいどんな岩石でできているんだろう?
中世代(恐竜時代)の堆積物が、高圧高温で変成した岩石みたいです。 -
幅は軽自動車が通れるぎりぎりです。
参勤交代の籠や、荷車や馬も通ったはずですが、舗装はされていなかったでしょう。 -
その先にはお地蔵さん3体が、小さな祠に鎮座されていました。
-
礫石(つぶていし)と常夜灯まで200mの案内が立っています。
山を下る細い道がありますが、観光マップにはありません。
へたに降りると行き止まりで、戻って来ることになると、止めておきます。 -
しばらく進むと、谷間に降りる道がありました。
ここがマップある分岐点で、櫛田川に降りていく道のようです。
ショートコースはこの道を、ロングコースは直進です。 -
山を下ると、国分け伝説の「礫石(つぶていし)」がありました。
天照大神が、大和の国と伊勢の国の国境を決めるために、櫛田川に投げ入れたという岩です。
けれど、ため息をつくような小さなものです。
こんな岩で大津波が起こるとは到底思えません。
伝説とは何でしょう。 -
イザナギ、イザナミの2神が、矛で混沌をかき混ぜて日本列島を作ったという神話に思いをめぐらします。
神たちは日本列島よりも大きかったのか?
神の居た天の橋は、人工衛星の飛ぶような宇宙高度にあったのか?
科学の発達していなかった時代には、人々は本当にこの話を信じたのか? -
この小さな岩で津波が起こったと、本当に信じたのか?
「伝説は伝説でいいじゃない・・」
と女房は言います。
しかし、一言ケチをつけてみたくなる天邪鬼な私でした。 -
そんな話をしているうちに、地蔵尊にたどり着きました。
-
お堂の中をのぞくと、長年の風雨によって刻みが薄くなった、素朴なお地蔵さんがいらっしゃいます。
素材はただの石ですが、さまざまな過去を見てきたお地蔵さんです。
丁寧に手を合わせる素直さも、私にはありました。 -
道の駅のレストランが閉まってしまうのではないか?
それが心配になって、急ぎ足で帰ってきました。
レストランのオーダーストップは6時半で、まだ余裕がありました。 -
特産品販売所でシイタケなどを買い込んで、周囲をぶらついた後、
-
夕食にしました。
私にはもったないほどの綺麗なレストランです。
モミジカレー(鹿肉カレー)と松阪牛コロッケ定食を注文しましたが、どちらも1000円以下と、安心の料金でした。レストラン いいたか グルメ・レストラン
-
食後のコーヒーは自分たちで作り、
-
夕暮れの涼しい空気の中で、ウォーキングの疲れを癒していると、
-
チュピチュピとツバメが飛び交います。
頭の上にはツバメの巣があったのです。
子ども時代を思い出します。 -
道の駅飯高は「温泉のある道の駅」がキャッチフレーズです。
敷地内に温泉があるのです。
入浴料は640円ですが、65歳以上は430円なので、免許証を提示しようとすると、
「自己申告でいいですよ。」
とにこやかに、無料てタオルを貸してくれました。 -
レストランに負けず、ここも綺麗な建物です。
木の香りがする廊下や柱に出迎えられ・・・ -
浴場には露天風呂もあります。
炭酸水素塩の湯ということで、浸かっていると肌に細かな気泡が付着してきます。 -
眼下に櫛田川の清流が眺められるとのことですが、暗くて見えないのが残念です。
身体を芯から温める湯、ひんやりした山の空気、家では味わえない至福のひとときを過ごしました。
温泉とは無縁の生活をしてきましたが、クセになりそうです。 -
「まだ9時だよ・・」
女房はそう言いながら、タブレットで藤沢周平を読みます。
私はしばらく寝転んでいましたが、昼間の疲れが押し寄せてきて、眠ることにしました。
カプセルホテルのような狭い室内ですが、これはこれで楽しいものです。 -
道路を走る車はほとんどありません。
停まっている車も少なくなりました。
眠るのがもったいないような、飯高のひっそりした夜です。
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この旅行記へのコメント (7)
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- アリヤンさん 2018/05/23 20:01:48
- 道の駅飯高駅
- 温泉つきとは!良いですネエ。いつか自転車で寄ってみたくなりました。珍布峠も良いですネエ。三重県は当方の地元ですのでヒマさえあればサイクリングしてみたい!
ありがとう、グッドニュース。
- motogenさん からの返信 2018/05/24 12:32:40
- RE: 道の駅飯高駅
- ありがとうございます。
アリヤンさんの熊野古道の旅行記を見て、熊野古道に憧れて、今回の車中泊旅行を思いつきました。
熊野古道の何たるかを知らないで、3日目に馬越峠を歩き、道の駅で頂いたパンフレットと照らし合わせて、多少理解できました。
そう言えば私の住む地域には東海道がありますが、鎌倉時代の道、江戸初期の道、明治の道、昭和の道、そして平成の新しい道と、道というものは次々に変わっていくんですね。
昔の道は、所々にその残骸が残っています。
熊野古道もそういう道なのか・・と理解できましたが、今回歩いた道はほんのわずかで、アリヤンさんには遠くおよびません。
これからもよろしくお願いします。
-
- 多良さん 2018/05/23 14:44:24
- ほぼ「探検」ですね~(笑)
- motogenさん、こんにちは~♪
「道の駅・飯高駅」を検索していまして来ました。
実は、ワタクシ、松阪市民でして~^^。
確かに「山奥」です(笑)。
茶倉や小津安二郎監督のお話もご紹介いただきありがとうございます。
地元の人もあまり行かない「珍布峠」まで~~~♪
いや~松阪市長になりかわりまして(汗)、一般人のワタクシからもお礼申し上げます。
巨岩・奇岩の紀伊半島で車中泊二編、楽しく拝見させていただきました^^。
車中泊の旅、新鮮で面白かったです!
これからも、お邪魔したいのでフォローさせていただきますね。
ではでは~
多良
- motogenさん からの返信 2018/05/24 12:23:59
- RE: ほぼ「探検」ですね?(笑)
- ありがとうございます。
紀伊地方、特に三重県には深い思い入れがありまして、きざな言い方ですが、ほろ苦くもあり甘酸っぱくもあり、宝物ではあるが恥ずかしさもある、青春時代の秘めた物語のある土地なのです。
ですから紀伊半島を車を走ったり、歩いたりしていると、当時の思い出が湧き出してきて
切なくなってしまいました。
あれから40年以上、いや50年近くになっています。
あの娘も、今ではおばあさんになっているはずですが、音信不通。
元気で暮らしているのかな・・なんて考えながらの旅でした。
よろしくお願いします。
- 多良さん からの返信 2018/05/24 13:14:36
- 「旅の重さ」という古い映画を思い出しました(^_^;)
- そうだったのですか〜♪
ほろ苦く、甘酸っぱい、恥ずかしい、青春・・・。。。
この言葉から想像できる事は、たった一つ・・・アレ(笑)
いや〜〜ワタクシにも同じような思い出がありますので、激しく同意です!(^_^;)
正直、言葉じゃ言い切れない感じで、胸がキュン!となりますね〜^^。
しか〜し、音信不通は残念ですね。。。
地元に近い、飯高町・・・探しましょうか?←オイオイ!!!
多良
- motogenさん からの返信 2018/05/25 08:03:50
- RE: 「旅の重さ」という古い映画を思い出しました(^_^;)
- ありがとうございます。
学生時代の同級生ですので、聞き回れば分るかとも思うのですが、このままにしておいた方が良いのかと・・・
このこと、誰にも話してません。
当時は今と違って純情な時代だったものですから、淡い恋心と友情と仲間意識が混ざったまま、一緒に寝泊りしても何もなく・・・
そんな時代でした。、
整理整頓ができてないものですから、手紙も写真もなくなってしまって、手がかりなし。
尾鷲だったと思っていましたが、手紙を出す時に、確か「海山」と書いた記憶があるような気がして・・・
当時は「うみやま」と読んでいたような気もします。
今回、道の駅海山に泊まって、
「あれっ・・もうかしたら・・・」
「しかし、ここ尾鷲ではないような・・・」
思い出は思い出として、そっとあの世まで持って行きましょう。
- 多良さん からの返信 2018/05/25 11:11:53
- 当時の環境
- いや〜ナカナカ深いお話をしていただき恐縮です。
想像ですが、motogenさんとワタクシはそんなに年齢に差は無さそうな感じで。。。
なので、この淡い恋物語、よ〜くわかります!
昔は、相手に電話したくても、まず家の人が電話口に出られシドロモドロになっちゃいましたし、手紙を出せば、誰から来たか家の人にバレル(苦)。
アノ時代にPCやスマホがあれば、どれだけ助かった?でしょうか〜(笑)。
しか〜し!あの時代はあの時代で、今と違ってロマンが百倍ありました^^。
そんな時代だったから、余計思い出は大事ですね^^。
「海山」へ又お出かけになって、マンボウ料理でも召しあがっていただき、当時の思い出を懐かしむのも悪くありませんね〜♪
ではでは〜
多良
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