2014/11/01 - 2014/11/04
6537位(同エリア16384件中)
mirilinさん
- mirilinさんTOP
- 旅行記135冊
- クチコミ40件
- Q&A回答20件
- 352,762アクセス
- フォロワー26人
あまりにもベタな旅行先パリ。
海外旅行大好きな私も、ご多分に漏れず既に3度訪問済み。
限りある時間とお金…できればまだ行ったことのないところに行ってみたい!
でも、相方が未だパリ未経験。「死ぬまでに1度は行かなきゃだな」とのたまうではありませんか。
ならば、いっちょ行っときますか?ってことで、まぁ、まだ死ぬには早いけれど、相方の初体験に付き合って、4度目のパリ訪問となりました。
とはいえ、有名観光スポットを回るだけでは、さすがにつまらない。
ってことで、何かこの旅にテーマを持たせよう!と思っていたところ、相方が「有名なアールヌーボー建築がたくさんあるらしい」との情報を仕入れてきたのです。
そうだ!これだ!…ってことで、観光スポットとともに、アールヌーボー建築を巡ってみました。
いやいや、これがことのほか素晴らしく、大当たり!
すっかりアールヌーボーに嵌っていまったのでアール。
というわけで、「ラップ通りの巻」に続く第2弾は、アールヌーボー建築が多数見られることで有名な、パリ16区の rue La Fontaine (ラ・フォンテーヌ通り)界隈に突撃です。
第1弾:アールヌーボーに嵌ってしまったのでアール ~ラップ通りの巻~ はこちら
https://4travel.jp/travelogue/10964737
- 旅行の満足度
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦
- 交通手段
- 鉄道 徒歩
PR
-
メトロ9号線 Jasmin(ジャスマン)駅は、16区のパリのアール・ヌーボー建築めぐり最寄駅です。
出口にある地図で、おおよその位置関係を確認して、いざ出発! -
まずはジャスマン駅からジャスマン通りに入ります。
そして、すぐの細い路地を入ったところに、明らかに周りの建物とは違う趣の建物が表れます。
これは、エクトール・ギマール作のPetit Hotel standardise という名のアパルトマン。地下鉄駅からほんの1~2分くらいのところです。
【アドレス】3, passage Jasmin,Paris XVIe -
あれ?これほんとにギマール作?と思ってしまいました。
建物の正面壁全体に生乾きのコンクリートに釘で線を引いたような装飾が施されているのも珍しいですし、全体的にデザインが直線的なんです。
まぁ、細部に亘って細かな細工があるのは、さすがという感じですよね。 -
この窓まわりのデザインは、ギマールっぽいでしょうか…
-
壁にはしっかり名前が刻まれているので、ギマール作であることは間違いないようです。
1922年の作のようなので、後期の作ですね。 -
ジャスマン通りを進み rue Henri-Heine(アンリ・エーヌ通り)との交差点(といっても小さな交差点)を右に行くと、1926年作のギマール建築の館があります。歩いて2分くらいでしょうか。
【アドレス】18, rue Henri-Heine -
窓まわりの直線的な装飾が印象的な建物です。
-
アンリ・エーヌ通りを南下し2分も行けば Avenue Mozart (モザール通り)との交差点にぶつかります。
その交差点にある建物は、花のモチーフがあちこちに散りばめられ、最上階のデザインや、正面入口周りのデザインが目を引きます。
1912年に建てられたようで、壁には J.MAGUIN & R.MAGUIN という名が刻まれていました。
ちなみにその刻まれている作者名をググってみましたが、情報はヒットせず…。あまり著名な方ではないのでしょうか…?
【アドレス】1 , rue Henri-Heine, Paris XVIe -
上の写真では暗くなっちゃっているので、正面エントランス部分をアップにしてみました。
華麗なデザインですよね~ -
この界隈には、このような美しいバルコニーのある家が目白押し。というか当たり前のようにあるのです。
-
明かり取りの窓?の装飾も、とても美しかったりします。
-
モザール通りには、1912年に建てられたギマールの自邸Hotel Guimard があります。
妻であり画家であるアデリーヌと結婚したギマールが、自分たちのために設計したアトリエ兼住宅。新婚時代の1938年までここに暮らしたギマールは、ユダヤ系の妻とともにニューヨークに渡り、その後この家に戻ることはなかったそうです。
丸みを帯びてコロンとした外観は、いかにもギマール建築といった感じで、1964年に歴史的建造物に認定されています。
【アドレス】122 Avenue Mozart -
地上階はギマールの設計スタジオ、上の階は画家であったギマール夫人のアトリエ、そしてその間の階が居住空間だったそうです。
各階ごとに装飾が違う窓や、建物全体の雰囲気は、アール・ヌーボーの父と言われている、ベルギーのヴィクトール・オルタの影響を多分に受けているように感じます。 -
屋根も可愛らしいです。あの屋根の上の小さな窓のある部分は、何があるのでしょうか?
-
壁面に、こんなプレートが付いていました。
私道につき駐車禁止…って書いてあるような…
フランス語なんで、知ってる単語からの推測です(汗) -
優雅なデザインのエントランス周りがとても印象的です。
新婚の愛妻へのプレゼントとして建築しただけあって、女性が好みそうな雰囲気ですね。 -
もちろん、窓まわりの装飾もいい仕事しています。
-
メインエントランスの扉の上には Hector Guimard のモノグラムが刻まれています。
-
こちらは通用口ですが、細部にわたるデザインは手を抜いていません。
-
歴史的建造物に指定されている割には、ほかの建造物に比べ、壁面に刻まれた彼の名が読み取りにくくなっているのが残念です。
-
足元の通風口だって、素敵なアイアンワークで飾られています。
-
ギマールの自邸の細い小道を挟んだ隣の壁には、洒落たプレートが付いています。
-
その小道を挟んだ隣の家も彼の作だそうです。
1927年の建築ということで、となりの自邸から15年後に建てられたということもあり、隣の自邸とは随分趣が違い、どちらかというとアールデコに近い感じがします。
とはいえ、こちらの建物も各階の窓のデザインが違うという、ギマールらしさは健在です。
でも、ちょっと味気なくなっちゃったかな~ -
ギマール自邸からモザール通りを1分ほど南下すると、なんだか複雑な五差路にぶつかります。そこをヘアピンカーブするようにすぐ横の道に入ると、16区のアール・ヌーボー建築が集まるメインストリート rue La Fontaine (ラ・フォンテーヌ通り)です。
この通り沿いは、ギマールのサインの入った館だらけです。 -
ラ・フォンテーヌ通りは、少し路地に入っても、ゴージャスな建物が並んでいます。この館も、最上階の窓まわりの装飾が、とても綺麗ですよね。
【アドレス】9 Rue du Pere Brottier -
特に、この扉周りのデザインが素敵です。
扉横には、「G.PLATEAU ET DUVAL ARCHITECTES 1912」と刻まれていますので、1912年にプラトーさんとデュヴァルさんが建築したみたいです。 -
この建物は1階は中華料理屋さんのようですが、そこはラ・フォンテーヌ通りに建つ館ですから、あちらこちらのディテールは凝った装飾が施されているのです。
-
エントランス周りの装飾が特にユニーク。
どうやらこの館は、グザヴィエ・プリヴァという高名なシャンソン歌手が晩年暮らした家のようです。扉の横にそんなことが書かれたプレートがありました。
いや、これもフランス語わからん私のテキトウ訳によるものですが… -
上階の窓まわりも綺麗ですよね~
壁に刻まれた建築家の名前は A DE GRIMALDI。1908年に建築された館のようです。 -
モザール通りとの交差点から5分ほど歩いたところに大きな建物に挟まれた小さな可愛い館が現れます。
これは Hotel Mezzara メザラ邸。1911年のギマール建築で、1994年に歴史的建造物に指定されています。
ここは特定の日には内部見学もできるようです。見たかったなぁ~
【アドレス】60, rue La Fontaine -
相変わらず、窓まわりの装飾は見事です。
-
フェンスも見事なアイアンワークで構成されていますが、その上に付けられた番地表示も凝ってますよね。
-
エントランス周りも、優雅な曲線で囲まれて、ギマールらしさが満開です。
この木製の扉とアイアンワークのコラボは、ブリュッセルのオルタ邸に似ています。 -
メザラ邸から100メートルほど行くと rue Francois-Millet(フランシス・ミレ通り)という小さな路地があります。そこに入っていくと、またまたギマール作の館が登場します。
これは、トレモアの集合住宅と呼ばれているもので、1909年建築の7階建ての大きな建物です。
微妙な左右非対称が面白いですね!?
【アドレス】11 rue Francois-Millet -
エントランスのデザインは、とても愛らしい感じです。
特に扉のガラス部分の鉄細工がいいですよね。 -
扉の取っ手をアップにしてみました。こんな細部にもこだわりを見せています。
美しですよね~ -
窓まわりも可愛らしいデザインです。窓下の扉の柄もキュートですよね!
-
上階の窓は、優雅なデザインのベランダがありますが、2階だけはとてもシンプルな策がついています。
メザラ邸もそうだったような… -
この建物もご多分に漏れず、通風孔デザインまで手を抜いていません。
-
トレモアの集合住宅から2分ほどのところに、オレンジと青のストライプのひさしが目印となる路地があります。
この路地が RUE AGAR (アガール通り)
なんとギマールのサインの入った建物だらけの路地なのです。
この一帯の建物は1909年から1911年の間に建てられたようです。 -
通り名の表示も、ギマールデザインで可愛らしいのです。
-
路地の正面の建物が、なんだかYシャツ姿の上半身みたいに見ませんか?
-
ギマールの建築がこれだけ並んでいると、どの部分を写真に撮ろうかと、オタオタしてしまいます。
広角レンズ持っていけばよかったなぁ -
とりあえず、路地の一番奥は10番地
各階ごとに変化をつけた窓のデザインが見事です。
特に2階の窓から、階下の窓やドアへのつながりが独創的ですね。
木の幹(2階)から根を張っている(1階)ようにも見えます。
【アドレス】10,rue Agar -
そしてお隣8番地は、中央の窓部分が丸みを帯びて、1本の太い幹のように見えます。
【アドレス】8,rue Agar -
ちゃーんとギマールのサインもありますね!
番地の表示版も可愛いのですが、エントランス横の排水管までデザインされていてびっくりです。 -
ベランダを飾るアイアンワークは、いろいろ趣向が凝らされていて見事です。
-
珍しく、ちょっとごっつい感じ
-
窓ガラスにも曲線が入っています。
-
窓の大きさによって、鉄柵の大きさもバランス良く変えられていますね。
-
アガール通りからシャン・ドゥ・フォンテーヌ通りに戻ると、すぐに大きな交差点に出ます。
この角地一体の建物も、ギマール作の集合住宅です。
【アドレス】17 rue La Fontaine -
17 rue La Fontaine のエントランス上にも、もちろんギマールのサインがあります。
-
あまりの大きさに、通りの反対側からでもフレームアウトしてしまいます。
【アドレス】19,rue Jean de La Fontaine -
ちなみに、このコーナーにある赤い色が印象的な小さなカフェ「アントワーヌ」は、内装を含めギマールのデザインらしいです。
室内装飾(ガラスに保護された天井、絵画、陶製の壁、モールディング、鏡、床のタイル)も2006年に歴史的建造物として登録されたそうです。訪れた時はお休みで、中が見られず残念でした。 -
これまで見てきた17-19-21 rue La Fontaine, 43 rue Gros, 8-10 rue Agarにある建物のファサードと六つの建物の屋根は1975年に歴史的建造物に登録されたそうです。
-
更にシャン・ドゥ・ラ・フォンテーヌ通りを1~2分行くと、ギマール初期の名作"Castel Beranger"「カステル・ベランジェ」が現れます。
ギマールが28歳の時に6階建て36戸のアパルトマンとして設計したカステル・ベランジェは、ブリュッセルにあるヴィクトール・オルタのタッセル邸に感銘を受け、帰国後に設計変更を加えて完成させたそうです。
これはパリで最初のアール・ヌーヴォー建築となったとのことです。
1898年の建築ですが、現在も集合住宅として使われているそうで、細部が奇妙な装飾にあふれています。
シャン・ドゥ・ラ・フォンテーヌ通り側から見るとこんな感じですが…
【アドレス】14 Rue J. de la Fontaine -
この建物は、36戸すべてのプランが異なり、その部屋割りを反映して外観には砂岩、煉瓦、タイル、鉄と、さまざまな素材を寄せ集めた形となったそうです。
-
建物を回り込むと、中庭側を見ることができます。
ファサード賞ではありますが、中庭側の景観も面白いですよね。中庭側の主な素材はレンガなので、表と同じ建物に思えません。私は、窓の配置が気に入りました!
にしても、このフェンスのアイアンワークもすごいですね~ -
そしてその窓一つを見ても、どうやら綺麗なステンドグラスになっているようですね。
この部分のアップの中にも、石、レンガ、砂岩、ガラスと多様な素材が使われています。 -
いやー不気味ですね~
遠目ではハートが並んでいるよう見える部分も、よく見ると、カマキリの顔が並んでいるようにも見えます。 -
この窓は不気味なものはついてませんね。
うん可愛いい感じ。 -
こちら側は、おもに石でできていますね。窓まわりのアクセントにレンガと砂岩、そして鉄で装飾されています。
-
そして建物の壁のあちらこちらにあるタツノオトシゴ?のオブジェ
何のためについているのでしょうか? -
このバルコニーの手すりのデザインは、何を表しているのでしょうか?
-
出窓の下にも鉄が配されています。それ以外にも不思議な装飾、並んでますね~
-
そして、忘れてはならないのが、ファサードのアクセントとして、とても有名な鉄の門。
植物の生命エネルギーを表しているそうです。 -
中には入れないので、門の中に腕だけ入れて写真撮ってみました。
天井部分の装飾や、壁、天井を這う鉄などが不思議な雰囲気を醸し出しています。 -
壁の材質は何なのか、中に入って近づけないのでよくわからないのですが、クリームを塗ったようでもあり、和紙のようでもあり…不思議な感じですよね。
-
床はシンプルなタイル貼りです。
-
ほかの建物に比べ、文字量の多いと思ったら…
「第一回パリ市ファサード・コンクールの賞を受賞した建物
建築家エクトール・ギマール による 1897-98」
と書かれていました(翻訳機使ってみました)
-
さすがにこの家の前にはパリの名所の標識が立ってました。
-
この建物、賛否両論はありましたが、一躍人気になったギマールは、メトロの駅の入り口設計も委託されることになりました。
ギマールといえば、メトロの入口のデザインで有名ですもんね!
このギマール最大の傑作カステル・ベランジェを堪能し、今回のアール・ヌーボー巡りは終了です。
行程約1.5kmのなかに、アール・ヌーボーてんこ盛りのパリ16区ジャスマン駅界隈。エッフェル塔や、セーヌ側の中洲に立つ自由の女神の見学との合わせ技も可能ですので、是非アール・ヌーボー巡りしてみてくださいね。
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
パリ(フランス) の旅行記
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
0
72