それぞれの上野。美術館が目的か？ランチが目的か？「美術」とは「美味しいものを食べる術」なのか。

2017/07/06 - 2017/07/06

スリランカから帰国後2回ほど上野公園へ行きました。今年は好きな傾向の美術展が目白押しで、お小遣いが心配になってしまいます。5月25日に東京都美術館のブリューゲルの「バベルの塔」を観に行き、7月6日には西洋美術館へ「アルチンボルト展」といったペースです。上野に行くと美術館へ行った後はどこかでお昼ご飯を食べるというのが通例になり、妻にとっては美術館イコール美味しいお昼が食べられるという構図が出来上がり、趣味に合う合わないを問わず一緒に行くことになっています。きっと「美術」とは「美味しいものを食べる術（すべ）」の省略なんでしょうね。

エリア 上野・御徒町(東京)

• 旅行の満足度: 4.5
• 観光: 4.5
• グルメ: 4.5
• ショッピング: 4.5
• 交通: 4.5

• 同行者: カップル・夫婦（シニア）
• 一人あたり費用: 1万円未満
• 交通手段: JRローカル 私鉄 徒歩

スリランカ旅行の旅行記のアップが２か月に及び、その間に行った美術展は後回しにしていたので、ここで一緒にアップすることにします。

平日の朝一番に到着したいのですが家を出るのが10時頃になってしまいます。

2015年にブリュッセルからアムステルダムへ向けて３週間かけて美術館巡りをしましたが、その途中で訪れたロッテルダムのボイマンス美術館からヒエロニムス・ボスやブリューゲルのバベルの塔がやって来ていました。

ボイマンス美術館：http://4travel.jp/travelogue/11025478

この時はクリストフォロスの絵は美術館にありませんでしたので、今回初めて観ることが出来ました。それ以外にも素晴らしい作品の多い美術館でしたが、じっくり見学するには一日がかりでした。

バベルの塔も普通に掛けられていました。

ウィーンの美術史美術館には２度ほど行っていますがロッテルダムは初めてです。

個人的にはウイーンの方が好きですが、こちらの作品も素晴らしいディテールです。

ロッテルダムでは早朝にデルフトを出て、朝一番で美術館に入ったので誰もいない部屋でしばらく対峙することが出来ました。

もちろん写真も撮り放題です。

上野ではこの絵にスポットを当てて、ディテールを拡大した写真パネルなどが展示されていて、ロッテルダムとは違った楽しみ方が出来ました。

この３週間後にパンダの赤ちゃんが生まれました。「世界ふしぎ発見！」で黒柳徹子が命名した「豆豆（トット）」というパンダがいましたが、現在はウィーンのシェーンブルン動物園にいて、「フランツ」という名前に変わっています。日本で生まれてもリース代金が上がるだけなんて考えると夢が無いですね。パンダは絶対に中国で見る。という個人的な誓いもあり上野では見たことはありません。
成都のパンダ：http://4travel.jp/travelogue/11130126

郵便物があったので動物園前のポストから投函します。ここから投函するとパンダの消印が押されるって知っていました？

３月に日光の東照宮へ数十年ぶりに行ったので、上野の東照宮にも参拝していくことにしました。

旧寛永寺の五重塔。動物園からも見えた記憶がありますが、上野東照宮の参道から柵越しに見るのが美しいうえにお金もかかりません。

日光の東照宮にもたくさんの灯篭が奉納されていましたが、土地柄か石で出来たものが多かったです。唯一印象に残ったのが伊達政宗が奉納した「南蛮鉄灯篭」でした。

ここにも諸大名が奉納した全48基の銅製の灯篭は国指定重要文化財に指定されているそうです。

日光ほどの豪華さはありませんが、立派な本殿が残されています。

3月に行ったときは間違えて陽明門の修復が終わる前だったので、近いうちにもう一度行ってみたいものです。

唐門両側の6基は、内側より紀伊と水戸と尾張の徳川御三家より2基ずつ寄進されています。気のせいか妻がほっそりして顔も小さく見えます。

上野公園の中のレストランはどこも混んでいるので「伊豆栄」でうなぎでも食べようということになりました。入れ違いで慰安婦の談話を残された政治家の方が黒塗りの車で出ていかれました。

まずは冷たいビールで喉を潤します。

妻にとってはこちらが目的です。

妻はシンプルにうな重とてんぷらのセット。

私は二段になったお重。こちらは二人でビールのつまみにします。

下の段にはしっかりうな重が。

これはやっぱり冷酒ですね。キンキンに冷えた冷酒はウナギによく合います。

昼過ぎからほろ酔いでいい気分です。

新緑に囲まれたお化け灯籠。確かに大きいです。

いつも混んでいて入れない韻松亭。明治8年創業の歴史ある料理屋さんです。軒先に「五條祭」の提灯が吊られていました。

五條天神社は江戸三大天神の一つで、上野公園の中にあります。毎年5月25日に例大祭が行われますが、今年は数年に一度の本祭りとポスターに書かれたあったので行ってみることにします。

江戸の里神楽（えどのさとかぐら）は、笛、大拍子、長胴太鼓を3名の基本とする囃子に仮面をつけて古事記や日本書紀の神話を演じる無言劇の形態をとる神楽の総称だそうです。

演目の「幽顕分界」は知っています。
天照大神の孫・瓊瓊杵尊（ににぎのみこと）の降臨に先立ち、武甕槌命（たけみかづちのみこと）が大国主命に国譲りするように迫ったとされますが、二度にわたる使者の失敗に困り果てた高天原では、第三の使者として武甕槌命を正使、そして経津主を副使として大国主命の下へ遣わします。館にたどり着いた武甕槌命に対して、大国主命は「私は年をとってしまったので、息子の建御名方神に相談してください」と言い残して去ってしまいます。
　

大国主命から話を聞いた建御名方神は「力比べで話をつけよう」と武甕槌命にもちかけ挑みますが、強靭な武甕槌命には勝てず逃げてしまいます。
武甕槌命と経津主に追い詰められた建御名方神は、諏訪湖のほとりで降参します。そして大国主命を加えた四柱の神で「和合の舞」を舞い、中つ国を天つ神に捧げます。

諸星大二郎の「暗黒神話」にも出てくる話です。諏訪大社の祀神は「建御名方神 」（たけみなかたのかみ）で御柱もこの物語に由来するものでしょう。

こんな素晴らしいものが観られるとは思いませんでした。それもほとんど観客はおらず、せいぜい30人くらいだったと思います。まあ神様に奉納するものですから人間にみせなくても良いのかもしれません。

本殿の旗が風にたなびいていました。

そういえばこの五條天神社は因幡の白兎を助け、治療法を授けた大己貴命も祀られている医療にご利益のある社でした。母と妻の健康を祈念しておきます。

久し振りに不忍池にも行ってみました。ちょうどツツジのきれいな時でした。

清水堂へ続く階段の上に歌川広重の名所江戸百景「上野山内月のまつ」が見えます。この日の上野公園の散歩はここまでです。

そして7月6日の西洋美術館。

入り口にはカメラが仕込まれた壁があり、自分の顔をアルチンボルトが描いたように加工してくれます。これは大人気でほとんどの人が列に並んでいます。ただし、カメラかスマホが必要です。

額の上のカメラが撮影してくれます。

これが私の顔です。ちょっと雰囲気が違います。

こちらは妻ですが、これは似すぎています。もう少し大根とか蕪とか入れてほしいところです。

最近必ずイヤホンガイドを借りるようになりました。

「四季」　ジュゼッペ・アルチンボルト　ワシントン・ナショナル・ギャラリー蔵

「春」　マドリードのサン・フェルナンド美術アカデミー美術館蔵。

「夏」　デンバー美術館蔵。

「秋」　デンバー美術館蔵。

「冬」　ウイーン美術史美術館蔵。これは過去に観たことのある作品です。

「大気」　個人蔵。

「火」　個人蔵。

「台地」　リヒテンシュタイン侯爵家コレクション。

「水」ウイーン美術史美術館蔵。これも過去に観たことのある作品です。

「ソムリエ」　大阪新美術館準備室

「司書」　スコークロステル城蔵。

「庭師」クレモナ市立美術館蔵。

ひっくり返すと「野菜」になります。

「コック」ストックホルム国立美術館蔵も。

ひっくり返すと「肉」になります。

常設展示のエリアも一時のバスツアーも鳴りを潜めたのか、時間がずれただけなのか閑散としてました。

入れ替わって展示されていた数点だけカメラに収めます。

スリランカのジェフリー・バワの設計したNo,87で座らなかったル・コルビジェの椅子。ＬＣ４．

パリのロダン美術館を思い出します。

清水堂の「月の松」の松葉の青さが目に沁みます。

この日も韻松亭は長い列が出来ていたので上野駅の旧貴賓室にあるブラッスリー・レカン。

座る間もなく席に案内してもらえました。

少しお疲れ顔です。まずはかぼちゃのポタージュスープ。

家でもよく作ってもらいますが、お店の料理はどこかちょっと違うのでしょうね。

スープとメインをチョイスできる1900円のコースです。こちらは魚のポワレ、レモンバターソース。

子羊のロティのバジル風味。下にはクスクスが盛ってあります。どちらも美味しかったです。この店は本格フランス料理がお手頃でいただけるのでいつも混んでいます。

スリランカの旅行中からここ数カ月ずっと紅茶ばかりなのでコーヒーを注文しました。ここで上野公園の中を朝顔を持った人がいたという話になり。

タクシーで入谷の鬼子母神のそばまで移動しました。

朝顔市に来るのは二十数年振りです。

以前は道路の中で売っていたような気がしたのですが・・・。
鶯谷駅に向かって左側の歩道が朝顔、右側が屋台が並んでいました。

鬼子母神にもお参りします。

以前は朝顔とほうずきを送ってくださる方がいたのですが…、ここ数年ご無沙汰です。

下げて持って帰るのも大変なのでお守りをひとつ。妻から母への心遣いです。

良く出来ています。お守り1個1,000円か鉢植え2,000円か…。

前に来た時は朝早い時間だったと思います。花がきれいでしたが、昼過ぎではちょっと悲しい感じがします。

それでも良さそうなのを写真に撮らせていただきました。

偶然上野公園から入谷の朝顔市となりました。

今度は朝早く来たいものです。

振り返るとスカイツリーが朝顔の蕾のようです。

アルチンボルトの展覧会の帰りに寄った池袋西武の「古本まつり」で澁澤龍彦の初版本を発見。800円から1,000円というお手軽値段。これも偶然のなせる業でしょうか。楽しい一日でした。