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「こっちよ、そう、そのまま真っ直ぐ!」<br />と誘導の声が上がるのは海辺のスイカ割りではない。清水寺の本堂を抜けて左手の縁結びの神様として名高い地主神社。狭い境内に内外の観光客が詰めかけている。和装の男女も多い。中国語や韓国語の声も交じり着物人気はもうインターナショナルにエスカレートしている。<br /> さて声は「恋占いの石」の方からだ。目をつぶった和装女子がそろそろと歩いている。「こっちよこっち」と友達に助けてもらって向かう先は占いのゴールである。<br /> 「恋占いの石」とは本殿と拝殿の通路に置かれた一組の石である。ひとりで抱えきれない大きさの石が奥と手前に一基ずつ。この十メートルほどの間を反対側に無事にたどり着ければ恋が成就するといい伝えられている。人に手伝ってもらってはご利益も半減。恋の成就も一人ではできないという触れ込みだ。<br />「はい、オッケー」と向こう側で歓声が起こり手を取り合って黄色い声を弾けさせている。遊園地でゲームを成功させたかのようなノリである。<br /> 世界的観光地京都の中でもとりわけ清水寺の人気は高い。嵐山方面と人気を二分しているが、土日ともなれば朝十時前には土産物屋が軒を連ねる長い坂にバスや人が押し寄せ、本堂のいわゆる「舞台」も鈴なりに見物人であふれかえる。<br /> 木造建築物としても日本最大級でしかも世界遺産。そしてあの木組みの柱が谷底から支える豪壮さである。ピラミッドや万里の長城に引けをとらない人類の造営による貴重な堂宇である。日本人でなくとも一度は見ておく値打ちは十二分にある。<br /> どこの国へ行っても寺や神社、教会など宗教建築物は観光地であり、訪れる人が廃れては歴史的な価値を失ってしまう。大なり小なり物見遊山の気分がないとやってられない。きゃーきゃーと歓声が上がる活気が悪いとは言わない。神様も賑やかな方がお喜びになるが、公園で鬼ごっこしているような情景に少し違和感を覚えているだけである。<br /> 遊び心満載の寺もなんか変だし、あくまでも寺は寺なので宗教的価値を全面に押し出せばとっつきにくい。<br /> 地主神社の場合、特に「彼」「彼女」という若者の最大の関心事を神事にかけ合わすからに目隠しゲームに拍車がかかってしまっているのだろう。<br /> ただもう、東山の麓はディズニーランドかUSJかというぐらい観光装置は充実している。<br /> 北の円山公園と八坂神社を起点に南へ延びる線上には北政所ねねの高台寺があり、坂本龍馬が眠る霊山護国寺、ランドマークの八坂の塔、情緒にとんだ産寧坂そして清水寺と見どころ満載のエリアである。人力車が走り、土産物、食べ処も人気店が目白押しで、石畳の坂道を和服姿でアイスクリームを舐めながら逍遥する場所である。<br /> 界隈に紛れ込むとテーマパークにいるような幻想を覚える。それは魔法をかけられた世界で呪文は「古都」である。<br />

テーマパーク THE KYOTO at 清水寺

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2017/03/11 - 2017/03/11

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    1

    Kazuyuki Nakagawa

    Kazuyuki Nakagawaさん

    「こっちよ、そう、そのまま真っ直ぐ!」
    と誘導の声が上がるのは海辺のスイカ割りではない。清水寺の本堂を抜けて左手の縁結びの神様として名高い地主神社。狭い境内に内外の観光客が詰めかけている。和装の男女も多い。中国語や韓国語の声も交じり着物人気はもうインターナショナルにエスカレートしている。
     さて声は「恋占いの石」の方からだ。目をつぶった和装女子がそろそろと歩いている。「こっちよこっち」と友達に助けてもらって向かう先は占いのゴールである。
     「恋占いの石」とは本殿と拝殿の通路に置かれた一組の石である。ひとりで抱えきれない大きさの石が奥と手前に一基ずつ。この十メートルほどの間を反対側に無事にたどり着ければ恋が成就するといい伝えられている。人に手伝ってもらってはご利益も半減。恋の成就も一人ではできないという触れ込みだ。
    「はい、オッケー」と向こう側で歓声が起こり手を取り合って黄色い声を弾けさせている。遊園地でゲームを成功させたかのようなノリである。
     世界的観光地京都の中でもとりわけ清水寺の人気は高い。嵐山方面と人気を二分しているが、土日ともなれば朝十時前には土産物屋が軒を連ねる長い坂にバスや人が押し寄せ、本堂のいわゆる「舞台」も鈴なりに見物人であふれかえる。
     木造建築物としても日本最大級でしかも世界遺産。そしてあの木組みの柱が谷底から支える豪壮さである。ピラミッドや万里の長城に引けをとらない人類の造営による貴重な堂宇である。日本人でなくとも一度は見ておく値打ちは十二分にある。
     どこの国へ行っても寺や神社、教会など宗教建築物は観光地であり、訪れる人が廃れては歴史的な価値を失ってしまう。大なり小なり物見遊山の気分がないとやってられない。きゃーきゃーと歓声が上がる活気が悪いとは言わない。神様も賑やかな方がお喜びになるが、公園で鬼ごっこしているような情景に少し違和感を覚えているだけである。
     遊び心満載の寺もなんか変だし、あくまでも寺は寺なので宗教的価値を全面に押し出せばとっつきにくい。
     地主神社の場合、特に「彼」「彼女」という若者の最大の関心事を神事にかけ合わすからに目隠しゲームに拍車がかかってしまっているのだろう。
     ただもう、東山の麓はディズニーランドかUSJかというぐらい観光装置は充実している。
     北の円山公園と八坂神社を起点に南へ延びる線上には北政所ねねの高台寺があり、坂本龍馬が眠る霊山護国寺、ランドマークの八坂の塔、情緒にとんだ産寧坂そして清水寺と見どころ満載のエリアである。人力車が走り、土産物、食べ処も人気店が目白押しで、石畳の坂道を和服姿でアイスクリームを舐めながら逍遥する場所である。
     界隈に紛れ込むとテーマパークにいるような幻想を覚える。それは魔法をかけられた世界で呪文は「古都」である。

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