2015/09/19 - 2015/09/19
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mirilinさん
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アントワープのアール・ヌーヴォー建築は、ベルヘム駅からまっすぐ走るCogels-Osylei(コーグレス・オシレイ通り)を中心に、隣接する道上にも壮麗な邸宅が個性と美を競い合っています。
ということで、アール・ヌーヴォーを極める in Antwerp 第2弾は、コーグレス・オシレイ通りと並び賞されるもうひとつの通り、Walterloostraat (ワーテルロー通り)をご紹介しようと思ったのですが、その前に、有名な2本の通りに挟まれながらも、しっかりアール・ヌーヴォーして頑張っているゲーネラール・ファン・メルレン通りも少しご紹介したいと思います。
途中で雨が降ってきたりしたこともあり、駅を背に左手の通りのみとなっていますが…
さてさて、有名な通りに隣接するその他の通りも、侮るなかれですよ。
ちなみに…
アール・ヌーヴォーを極める in Antwerp 【1】Cogels-Osylei(コーグレス・オシレイ通り)は
http://4travel.jp/travelogue/11191840
にありま~す。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 同行者
- カップル・夫婦
- 交通手段
- 鉄道 徒歩
-
コーグレス・オシレイ通り中程のロータリーから左右に伸びるGeneraal Van Merlenstraat(ゲーネラール・ファン・メルレン通り)…日本語で言うと「メルレン将軍通り」の曲がり角にある道標は、白亜の館の外観を壊さないようにか、一般的なブルーの標識ではなく、控えめな白い表示でした。
せっかくの白亜の館に、無機質な青い看板がついていたら興ざめですよね?こんなところにも心配りしているこの街の心意気、感動です。 -
コーグレス・オシレイ通り中程のロータリーをベルヘム駅を背にして左手のメルレン将軍通り入ると、すぐさま私好みの色合いの家並みが登場します。
Michel De Braey (ミシェル・デ・ブレイ)1898年作の3軒の家です。
デザインは折衷主義ですが、美しい手すりのデザインや、色合いが目を引きます。
【アドレス】Generaal Van Merlenstraat 49-53 -
ミシェル・デ・ブレイ作の3軒の家の隣からは、アール・ヌーヴォーの家が5軒並んでいます。
Ernest.Stordiauの1898年作の家々です。
47番地のこの家は、ファサードの材質が1階部分と2階、3階部分で違っています。
【アドレス】Generaal Van Merlenstraat 47 -
その隣の45番地の家は、濃茶のファサードに小さいながら美しい壁画が描かれていて、思わずシャッターを切りたくなります。
【アドレス】Generaal Van Merlenstraat 45 -
壁画をアップにしてみました。
私には、タンポポの絵のように見えますが…。 -
そしてこちらは、私のこの通りの一番のお気に入り。
エレガントな入口にうっとりです。
A. Cols & A. Defeverの1900年の作で3軒で1軒の豪邸のように見える家です。
扉上の庇の感じとか、それを支える支柱とか、いかにもアール・ヌーヴォー的なんですが、あとで調べたら、ネオ・ロココ様式で作られた家らしいです。
でも、とにかく入口周りが素敵でしょ!?
【アドレス】Generaal Van Merlenstraat 34-38 -
じっくり見てください。この美しすぎる入口のデザインを!
(*^_^*) ポッ -
足元の開口部のアイアンワークも、もちろんエレガントです。
-
隣の3軒と共に、A. Cols & A. Defeverの1900年の作の家である32番地の家の扉の取っ手兼郵便受け。エレガントですよね~
【アドレス】Generaal Van Merlenstraat 32 -
この家も、ネオ・ロココ様式の家で、 1901年にErnest・Dieltiensによって建てられた家です。この家からワーテルロー通りと交差する手前までの37番地~31番地の4軒がDieltiensの手による家です。
彼の作品は、どの家も2階の窓の手すりと、入口ドア上の明り取りの窓のアイアンワークが繊細で見事でした。
【アドレス】Generaal Van Merlenstraat 37 -
アール・ヌーヴォーやら、折衷主義やら、ネオ・ロココやら、いろいろな建築様式の家を見ながら150mほど歩くと、ワーテルロー通りとの交差点に出ます。
そしてこの四角を囲むように、この地区でも特に有名な「四季」と名付けられた邸宅群があります。
これは、Jos Bascourt(ジョゼフ・バスコート)の1899年の作で、なんと都市開発プロジェクトとして建てられたそうです。
だからこんな洒落たコンセプトの4軒なんですね!
では、4軒を見てみましょう。 -
壁にはしっかりバスコートの署名がありました。
-
まずは、LENTE 春。
春にふさわしく、さわやかな緑色が使われ、春の女神(ギリシャ神話のペルセポネー)?の顔のモザイク画がコーナーの壁に描かれています。軒にも窓にもあちこちにスズランやヒヤシンスの花がデザインされています。
【アドレス】Generaal Van Merlenstraat 30 -
モザイク画をアップにしてみました。
女神の顔の周りにはスズランの花、黄道十二星座のマークが見えます。その下にLENTE(春)と書いてありますね。 -
出窓のデザインも4軒同じですが、季節によって描かれている絵が違います。
こちら春の館は、すずらんの絵です。 -
次は、Zomer 夏。
こちらも同じ緑色を使っています。春夏は爽やかなイメージがあるからでしょうか。
夏の花はポピーのようです。
【アドレス】Generaal Van Merlenstraat 28 -
夏のモザイク画を見てみると、女神の髪にはザクロの花が飾られ、こちらにも
黄道十二星座のマークがあります。
顔の周りの植物が土筆に見えてしまうのですが(笑)、ギリシャ神話で四季と深い関わりのある豊穣の女神「デメテル」の象徴が麦の穂らしいので、おそらくこれはデメテルと麦の穂なのでしょう。
夏=ZOMERの文字の横には、真紅のザクロの花があしらわれていますが、ギリシャ神話上で、四季とザクロはとても深い関わりがあるようです。 -
夏の館には、ザクロの花があちこちに…
ザクロが重要アイテムとなる四季の始まりのギリシャ神話とは…
「ゼウスと豊穣の女神デメテルの美しい娘ペルセポネーが、冥府の神ハデスに一目惚れされ、ある日ハデスに略奪されてしまいました。半狂乱で娘を探すデメテルは、その略奪にゼウスが加担していたことを知り激怒して、天界を離れてしまいました。
女神が消え天に帰らないため、春が来ても草木は芽吹かず、穀物はのびず、花は咲かず、果物は実らず、大地は実る事をやめ、地上は四季を通じて冬のように枯れ果ててしまったことから、困り果てたゼウスは、ハデスの妃となったペルセポネーに、母デメテルの元に戻るように命じます。
ハデスもゼウスの命令であることもあり、妃の願いを聞き入れたのですが、母のもとに戻る馬車にペルセポネーが乗る時、庭のザクロの実をもいで渡しました。実は、冥府のものを食した場合は、必ず冥府に戻らなけれがならない掟があるのですが、それを知らないペルセポネーは何気なくその実を四粒食べてしまったのです。
ベルセポネーを手放したくなかったハデスの苦肉の策といったところです。
愛娘ペルセポネーが地上に戻るとデメテルも戻ってきました。その瞬間、冬のように枯れた大地はよみがえり、再び元のような緑の大地となったのです。
しかし、ザクロの実を四粒食べてしまったベルセポネーは、1年のうち食べてしまった4粒分の4か月だけ冥府でハデスと暮らさなければならず、その期間が冬、母デメテルとともに暮らす8か月間が春夏秋となった」というものです。(細かい部分は諸説ありますが、ざっとこんな感じです) -
窓のステンドグラス…可愛らしいですね~
とはいえ、嫁に行った娘と一緒に過ごせないというだけで、地上を冬にしてしまうデメテルってどうよ!(笑)
もっと子離れしてれば、寒い冬はなかったかもですよね(笑) -
3番目は、HERFST 秋。
こちらは秋らしく茶色が使われています。
【アドレス】Generaal Van Merlenstraat 27 -
秋のモザイクは、ベルギーにおけるアール・ヌーヴォーのモザイクの中で、最も美しいもののひとつと言われているそうです。女性の顔の周りには、黄道十二星座とともに葡萄です。
ヨーロッパの秋は、やっぱり葡萄…ワインの素ですね!
この女神はデメテル?ペルセポネー?私?
( ^^)Y☆Y(^^ ) -
こちら秋の館は、軒下や窓にあるのは葡萄ではなくお花の絵。彼岸花(リコリス)のように見えますが…。
-
そして最後は、冬 WINTER。
色は秋と同じ茶色ですが、なんと冬の館のモザイク画は男性の横顔なのです。
【アドレス】Generaal Van Merlenstraat 29 -
白髪、白い長い髭をたくわえ、眉も白。なんと頭のてっぺんは禿げています。
そしてその周りを針葉樹のような植物が囲んでいるのですが、枝には雪がついています。
WINTERと書かれた文字の横には、柊の赤い実も見えますね。クリスマスケーキに飾られている、あれですね。
でも何故冬だけ禿げオヤジなんだろ?と思って調べてみたら、この4軒はギリシャ神話の「四季の始まり」に由来しているらしいことをつかみました。(←専門家の方には「今更かい!」と叱られそうですが…)
この禿げオヤジは冥府の神ハデスらしいです。彼の象徴の一つが「糸杉」らしいので、おそらく当たっていると思います。 -
出窓にも、軒にも柊の絵。
これは…そう、冬の館です。 -
入口の扉上の明り取りの窓にも柊のステンドグラス。
-
2階の窓にも柊見っけ~
さてさて、この四季の家の角を曲がれば「ワーテルロー通り」です。
アール・ヌーヴォーを極める in Antwerp 第3弾はアール・ヌーヴォー建築の宝庫「ワーテルロー通り」をご紹介します。必見です!
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この旅行記へのコメント (3)
-
- またたたびさん 2020/01/07 23:10:46
- ありがとうございます
- mirilin様
早速ご返信、丁寧なご教示ありがとうございました!
教えていただいたサイトは早速チェックいたします。
大変参考になる情報をいただき、感謝します。
これからも素晴らしい旅をなさってください。
そしてお時間許せば、この場にて感動を共有していただければ幸いです。
ーーライゼ
-
- またたたびさん 2020/01/07 08:06:37
- 質問です
- mirilin様、
ライゼと申します。
もう5年も前の記事ですが、これからかの地を訪問しようと計画しているので、大変参考になりました。
ありがとうございます。
記事では家々の情報(設計者、建築年、家の名前など)が細かく記されていますが、この情報はどのように入手できるのか、当時mirilin様のお手元にはどのようなもの(本、地図など)をご用意されていたのか、差し支えなければご教示願えませんでしょうか?
- mirilinさん からの返信 2020/01/07 20:13:49
- Re: 質問です
- ライゼさま
古い旅行記を読んでいただきありがとうございました。
めちゃめちゃマニアックなんで(笑)、目に留めていただけただけでも嬉しいです。
5年も前なんで、全ては思い出せないのですが、
・図説「アール・ヌーヴォー建築」橋本文隆(河出書房新社)
・「ヨーロッパのアール・ヌーヴォー建築を巡る」堀本洋一(角川新書)
は、熟読しました。
あとは、海外のサイト2つ
https://inventaris.onroerenderfgoed.be/themas/2446
http://translate.google.com/translate?u=http%3A%2F%2Flartnouveau.com&langpair=fr%7Cen&hl=fr&ie=UTF-8&oe=UTF-8&prev=%2Flanguage_tools
それから
近代建築ゼミ 多摩美術大学 環境デザイン学科 (旧)平山研究室のページ
https://kinkenzemi.exblog.jp/i55/
も大変参考になりました。
他にもウィキペディアとか、一般的な旅行サイトなども見たりしましたが、あいまいです。
素人のにわか勉強で書きましたので、間違いもあるかもしれませんが、趣味のブログなのでお許しください。
でも、ライゼ様が研究されて、なにか私の勘違いや誤りなどを見つけられたら、ぜひ教えてください。
アントワープのアール・ヌーヴォ-建築は、この周辺に凝縮されていて回りやすいですし、パリとはまた違った趣がありお勧めです。
楽しんでいらしてくださいね。
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