国宝 埴輪

2016/11/22 - 2016/11/22

　上野の東京国立博物館（東博）平成館1Fの考古展示室に入ると、最初に、国内唯一の国宝埴輪「挂甲の武人」がガラスケースに入れられて展示されている。国宝指定名称は「埴輪武装男子立像」である。古墳時代・6世紀の作とされ、群馬県太田市飯塚町から出土した。「甲冑に身を固め、大刀と弓矢をもつ武人の埴輪。武器・武具が精巧に表現され、古墳時代後期の東国武人の武装を知ることができる貴重な資料である。」とされている。
　では、出土地は具体的に…。太田市運動公園の近くに　昔は長良神社があり、この神社の敷地内に小高い塚（古墳）があった。昭和初期に不況対策で道路改修の公共事業を行った際に　この塚を崩して土を工事に使用した。その時に出土した中のひとつがこの国宝武人埴輪だったのだ。現在は、古墳があった場所は住宅地になってしまっているという。この神社跡には　かつては「長良神社遺址」（大正3年（1914年）銘）の石碑があったというから昭和初期よりも遡る可能性もある。その後、この長良神社が明治時代末に太田市九合小学校（太田市飯塚町）近くに鎮座していた長良神社に併合され、その後、九合小学校南の現在地に遷座し、挂甲の武人埴輪のレプリカ（鳥居横）とこの石碑がそれぞれ最初に建てられた場所からここに移設されたのだという。
　何々古墳出土と記載されないのは出土した当時にその古墳に名前がなかったからであろう。名実共に無名の古墳から、それも古墳発祥の地とされる西日本ではなく、東国の群馬県出土の埴輪が唯一国宝となっているのも不思議な気がする。さて、国宝土偶は5体あるのに国宝埴輪は1体のみというのは当然と思うか、少ないと思うか？
（表紙写真は国宝埴輪「挂甲の武人」）

エリア 上野・御徒町(東京)

国宝埴輪「挂甲の武人」。

「国宝　埴輪挂甲の武人」。

国宝埴輪「挂甲の武人」。

国宝埴輪「挂甲の武人」。

国宝埴輪「挂甲の武人」。

国宝埴輪「挂甲の武人」。

国宝埴輪「挂甲の武人」。

国宝埴輪「挂甲の武人」。

「国宝　埴輪「挂甲の武人」のパネル。