2016/10/14 - 2016/10/16
120位(同エリア335件中)
naoさん
JR秋の乗り放題パスを使って広島と岡山を訪れました。
旅の行程
10月14日 山陽道 神辺宿、鞆の浦
10月15日 備中高梁、備前福岡
10月16日 津山、美作勝山
広島県福山市神辺町は、南北朝時代に築かれた神辺城の城下町で、備後国の守護所が置かれ、また、三日町、七日町、十日町などの市場も形成された、政治、経済の中心地として栄えました。
元和5年(1619年)に水野勝成が福山城を築城し、政治、経済の中心が福山へ移った後、山陽道と石州街道が交わる交通の要衝に位置していた神辺は、備中高屋宿と備後国今津宿の間の宿として息を吹き返します。
宿場町の中心となったのは三日市、七日市、十日市などの市場が営まれていた現在の川北及び川南地域で、川北には東本陣(現存せず)が、川南には西本陣(現在の神辺本陣)が設けられ、山陽道の宿場町としての姿を整えると、街道を往来する人々で大いに賑わいました。
現存する西本陣(現在の神辺本陣)は延享3年(1746年)に建てられたもので、御成の間、上段の間、三の間、札の間など、大部分が当時の面影をそのまま留めています。
本陣以外に現存する建物に、江戸時代末期の儒学者、菅茶山が開いた「黄葉夕陽村舎(こうようせきようそんしゃ:後の廉塾)」があり、神辺の文化的風土は、ここを訪れた頼山陽、古賀精里、浦上玉堂、田能村竹田、伊能忠敬など、多くの文人墨客により培われたと言えるかも知れません。
延亨5年(1748年)に神辺に生まれた菅茶山は、儒学者としての教育活動のかたわら、漢詩作りにもいそしんだ人で、慈愛に満ちた温かい眼で神辺を見つめた、郷土愛あふれる漢詩を数多く詠んでいます。
そんな菅茶山の漢詩の世界を現代風ポエムに解釈し直し、そのイメージを子どもたちが絵画で表現する「菅茶山ポエム絵画展」が平成4年から開催されていて、絵画展の優秀作品を神辺の町並みに残る風情ある町家の格子戸を会場として展示する「茶山ポエム絵画町並み格子戸展」は、道行く人々の眼を楽しませる風物詩となっています。
「茶山ポエム絵画町並み格子戸展」の会場でもある現在の神辺宿の町並みは、虫籠窓、ナマコ壁、格子窓、出格子、袖壁、煙出しの越屋根などを備えた漆喰塗籠めの重厚な町家が多数点在し、城下町の面影と宿場町の繁栄ぶりを偲ばせる、風情ある町並みが続いています。
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- JRローカル 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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今回は「JR秋の乗り放題パス」を購入して出発です。
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JR大阪環状線の天満駅を7時35分に発車して、JR神戸線~JR山陽本線と乗りついで、11時48分に広島県の福山駅に到着しました。
次の乗り継ぎまで20分間あったので、昼食にこの駅弁を購入して、駅のベンチでかき込みました。 -
福山駅での昼食後、JR福塩線に乗り換えてこの駅にやって来ました。
神辺宿の町並みは、駅の北東側に広がっています。
では、この駅から町歩きを始めます。 -
季節感を感じさせる光景です。
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旧神辺町の汚水枡の蓋。
亀甲模様に町章が描かれています。 -
神辺駅の東側を南北に延びる町並みです。
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神辺宿の町家は、一口にナマコ壁といっても、いろんなパターンの漆喰装飾が特徴のようです。
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この町家は一般的なナマコ壁が使われています。
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ナマコ壁とともに格子も特徴の一つです。
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神辺宿の町並みです。
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虫籠窓の面影が残る町家。
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こちらも亀甲模様と町章を基本にした旧神辺町の汚水枡の蓋ですが、模様の太さや大きさにアレンジが加えられています。
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塀の腰壁に瓦を張っていますが、ナマコ壁の漆喰塗が施されていません。
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ナマコ壁の土蔵。
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色とりどりの花を咲かせるコスモス畑。
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個性的なナマコ壁のある町家。
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土蔵の妻壁にもナマコ壁の装飾が施されています。
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緻密な模様のナマコ壁には、左官屋さんの精緻な職人技が輝いています。
さて、この先で町並みは東の方へ折れ曲がります。 -
東西方向に延びる町並みです。
「茶山ポエム絵画町並み格子戸展」の会場となる、町並みに点在する風情ある町家の格子戸には、「菅茶山ポエム絵画展」の優秀作品が展示されています。 -
名栗加工の駒寄せのある町家。
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こちらの町家や・・・
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こちらの町家のナマコ壁にも、職人技が息づいています。
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東西方向に延びる町並みの、西側を振り返った光景です。
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見えてきたのは西本陣(神辺本陣)です。
宿場町当時、神辺宿には本荘屋菅波家が務める東本陣と、尾道屋菅波家が務める西本陣が置かれていましたが、現在はこの西本陣(神辺本陣)のみが現存しています。 -
こちらは大名が宿泊する際に利用された御成門です。
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西本陣は筑前黒田家専属の本陣として使われていましたが、東本陣の状況により他の大名家の御用も務めていたようです。
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重厚な本瓦葺入母屋造りの主屋は、延享3年(1746年)に建築されたもので・・・
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玄関の間、二ノ間、三ノ間、札の間、御成の間と続く、威厳に満ちた客室群が当時の面影を今に伝えているそうです。
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西本陣のお向かいには・・・
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この町並みには珍しい、妻入りの町家があります。
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大きな瓜型の虫籠窓の名残りが残る町家。
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西本陣の先の、西側の町並みです。
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妻壁に、ナマコ壁の付け庇があしらわれています。
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キバナコスモスとナマコ壁。
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通常なら主役を張る生花ですが、今回は茶山ポエム絵画にその座を奪われてしまいました。
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袖卯建を上げた町家。
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「旧山陽道 神辺駅跡」と書かれた石碑がありました。
ここは、豊臣秀吉が朝鮮の役の帰途に立ち寄った館があった所で、太閤屋敷跡と呼ばれています。 -
東側の町並みです。
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2階部分が異様に背の高い町家です。
天井裏を何かに使っているのかなと、思ってしまいます。 -
これ位が通常の高さなので、お隣の2階部分が如何に高いか判りますね。
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こちらは明治43年(1910年)創業の日本酒の蔵元、「天寶一」さんです。
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「天地の唯一の宝」という言葉に由来する「天寶一」さんは、『日本酒は酒そのものが主張するのではなく、和食を最大限に活かす名脇役たるべき』をモットーに、こだわりのある酒造りに励んでおられます。
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酒造り以上にこだわっているのは販売店選びで、「どうしても『天寶一』を扱いたい、という酒屋さんとしか取引をしない」との信念から・・・
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「酒屋さんには、一度は蔵へ来て酒造りを見てもらい、一緒に飲んで腹を割って話さないと納得しない」ほどの徹底ぶりです。
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趣きを増長するかのような浅黄色の外壁を持つ町家。
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この大きなお屋敷の手前の水路に・・・
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東本陣跡の木札が掛けられています。
東本陣は、文化四年(1807年)の神辺の大火で焼失したそうです。 -
それにしても、桁違いに広大なお屋敷です。
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東側の町並みの光景です。
こんもりとクスノキが茂っている所が、菅茶山の開いた「黄葉夕陽村舎」です。 -
桟のデザインに工夫が凝らされたガラス戸のある町家です。
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こちらは、慶応元年(1865年)創業の和菓子屋さん。
茶山の名を戴いた饅頭を製造販売されています。 -
「黄葉夕陽村舎」にやって来ました。
では、正門をくぐって中に入ります。 -
正門をくぐると、中門に向って真直ぐな道が延びています。
「黄葉夕陽村舎」当時の寮生たちも、両側の畑を耕し、野菜を作って自給していたといわれています。 -
当初は茶山の私塾だった「黄葉夕陽村舎」は、末永く存続することを願って福山藩に献上された後、廉塾へと発展し・・・
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福山藩の藩校でありながら、藩の枠や身分を越えて全国から塾生が集まりました。
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木と竹を組み合わせ濡れ縁には、茶山の優れたデザイン感覚が窺えます。
また、所々に見られる虫食い跡が、無作為の美を生み出しています。 -
奥の講堂の前を、廉塾の裏手を流れる高屋川から水を引いた水路が流れています。
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当時の塾生たちは、この水路で筆を洗ったといわれています。
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では、町歩きへ戻ります。
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この町家のナマコ壁は・・・
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黒漆喰で縁取りされています。
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東側に延びる町並みです。
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この町家では、石の加工品が効果的な添景として使われています。
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添景として趣きがあります。
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手水鉢の中では、メダカが戯れています。
人の気配に敏感なメダカは、すぐに物陰に隠れてしまうので、出てくるまでじっと待っていました。 -
オレンジ色のホオズキが町並みに彩りを添えています。
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風情ある町並みもこの辺りまでなので、ここで引き返します。
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町家の格子に、私の好きなホトトギスも飾られていました。
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「岩ノ戸七五三吉墓」。
「岩ノ戸七五三吉」は江戸時代の神辺出身の力士のようです。 -
先ほどは店の前に軽トラックが停まっていた「天寶一」さんですが、その軽トラックも居なくなったので、改めて店の全景を撮りました。
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カーブミラーの中の町並み。
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この町並みには異色の存在ともいえる洋館がありました。
これは元中国銀行の建物だったそうです。 -
やっぱり、この町並みに先ほどの洋館は異色でしょう~!
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さて、そろそろ神辺駅が近づいてきました。
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では、またまたJR福塩線に乗って、次の目的地のある福山駅へ戻ります。
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